舌下免疫療法について

●舌下免疫療法とは

舌下免疫療法とは、アレルギー体質の根本的な改善を図る治療方法です。スギ花粉症の方またはダニやハウスダストにアレルギーを持つ方が対象です。アレルギーの原因物質を毎日少量ずつ服用することで、原因物質への免疫を獲得でき、その結果アレルギー症状が軽くなり、お薬を減らす効果が期待できます。約80％の方が、効果を感じている保険適応の治療方法です。

●舌下免疫療法はこんな方におすすめ

数年後に受験をするため、鼻炎で勉強への集中が途切れることが心配な方
スギ花粉症シーズンに、薬だけでは症状を抑えきれない方
ダニやハウスダストのアレルギー性鼻炎に困っている方
アレルギーの薬で眠気や口の乾きが強く出る方
アレルギー性鼻炎の体質を根本から改善したい方
将来妊娠したときに、アレルギーの薬が飲めなくなることが心配な方
（妊娠中の治療開始はできませんが、治療中に妊娠しても継続は可能です）

●期待できる効果

症状を改善することで集中力の低下を防ぎ、仕事や勉強がはかどります。また、自宅で継続的に治療ができるので通院回数が減らせることもメリットのひとつです。

◎鼻の症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が軽減もしくは消失する

◎目の症状

かゆみ、涙の症状が軽減もしくは消失する

◎日々の生活

スギ花粉症の飲み薬の量が減る、あるいは不要になる
スギ花粉症、ダニやハウスダストアレルギーの根本治療が期待できる
生活の質（QOL）が改善する

●治療の流れ

アレルギー検査
舌下免疫療法をはじめるには、スギ花粉、ダニやハウスダストアレルギーかどうかを調べる必要があります。また、舌下免疫療法はスギ、ダニやハウスダストのみが適応であるため、その他のアレルギーは治療を行っても症状がおさまらない可能性があります。
※2年以内のアレルギー検査の結果をご持参いただければ当院で検査を行わずに治療開始が可能です。
※12歳までの患者さんには小児科での採血をお願いしています。

初回投与
初めてお薬を服用する際はアレルギー反応が出る可能性があるので、クリニック内で服用して、30分間待機していただきます。その間に今後の服用の仕方や注意点などのご説明をいたします。帰宅後に体調に変化が出ないよう、初回は平日午前中の受診をお勧めしています。土曜日と16時以降の開始はご遠慮いただいておりますのでご了承ください。

開始から1か月
症状確認のため、週1回の診察をお願いします。

1か月以降
経過観察のため、1ヶ月に１回の受診をお願いします。状態に合わせてお薬の量の調整をします。

スギ花粉とダニやハウスダスト双方のアレルギーがある方は、同時進行で舌下免疫療法を行えます。まずダニ舌下免疫療法を開始し、1か月目以後にスギの舌下免疫療法を開始します。
同時に2つのお薬を服用することで副作用がひどくなることは稀なのでご安心ください。同時に治療を行うかどうかは医師と相談して決めていきます。

●舌下免疫療法の注意点

治療期間が約3～5年と長期であること
スギ花粉に対しての治療は飛散期（1月～5月）に開始できないこと
対象年齢が6歳～65歳であること
重症の気管支喘息や免疫のご病気の場合には治療が受けられないこと
副作用の心配があること

（口の中のかゆみ、腫れ、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、耳のかゆみなどは発生する可能性がありますが、治療開始1週間前から一時的に抗アレルギー薬を服用いただくことでほとんどの場合は軽減できます。ごく稀にアナフィラキシーショックが起こることがあります。）

●よくあるご質問

Q．１回飲み忘れてしまった場合はどうすればよいですか？
→次の日から継続して服用をしてください。次の日に投与量を増やすことはしないでください。

Q．体調がすぐれない時も舌下免疫療法のお薬を飲み続けなければいけませんか？
→発熱している際、口の中に傷があるとき、体調がすぐれときは内服を控えて、回復後に再開します。１週間以上お薬を飲まなかったときにはご相談ください。

Q．妊娠中、授乳中はどうすればよいですか？
→妊娠中の開始はできませんが、治療開始途中で妊娠した場合は医師と相談の上、問題なければ続けることが可能です。授乳中問題ありません。