風邪の対処経験から~紫蘇の有用性

 私はマスクをつけないで診察をしているためでしょうか、月に1~2回は、「あれ?調子悪いな?風邪かな?」と思うときがあります。

 具合が悪くなると、病邪(寒気がしてきますので、寒邪ということでしょう)が体の表面に留まっている間にできるだけ早く対処することが最も重要です。

 体内に病邪が入ってしまうと、それを散らすために大きなエネルギーを必要とします。体表で追い払えれば、それでおしまいになりますから後を引きません。

 まず葛根湯、と考えましたが、最近の私は胃腸の調子は悪くないのですが、薬の類には過敏に反応してしまうので、葛根湯は止めておきました。葛根湯はありふれていますけれど、あまり弱くない処方であることは認識しておく必要があるでしょう。

 桂枝湯は手元にありませんでしたので、香蘇散(こうそさん)という処方を使ってみました。字からも分かるように、香りが良く、気の巡りが良くなります。紫蘇の発散する性質で、うっすら汗をかいたこともあり、そのまま感じよく治りました。

 香蘇散の性質はほとんど紫蘇の作用だと思います。民間療法としては、紫蘇の実を焼酎に漬けて3ヶ月くらい寝かせておき、咳止めとしていたようです。中医学的には発散性が強調されているのに、民間では咳止めとして使われていることが多かったのですね。

 私は紫蘇と言えば、刺身のつまとして、魚介類の解毒の役割をもっているという程度の認識しかありませんでしたが、かなり有用性が高いもののようですね。

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2008年07月06日