ストレスに対応する生薬~「釣藤鈎」「天麻」「柴胡」

 私の大好きな漢方薬の講演に行ってきました。そこではいろいろな漢方薬の処方解説をして下さいます。今回は私には思い出深い処方である、七物降下湯の話をします。

 この処方ですが「しちもつこうかとう」と読みます。「虚弱な高血圧の人に使用する」とあります。そんな人がいるのかな?と正直思います。・・・と思って別の本を見たら、最低血圧の高い人、とありました。少し普通の高血圧治療とは異なるようです。

 生薬の組み合わせ上、血が不足している人に使われないとおかしい処方ですし、ストレスによる障害に効果的である釣藤鈎(ちょうとうこう)という生薬が含まれているのが特徴です。

 つまり、ストレスがあるのに、血が不足していて、そのストレスのエネルギーが抑えられず、いろんな症状が一気に出てしまう、つまり「肝陽化風」の状態の人に使うのが良いと私は考えたのでした。

 私が初めてこの処方を使用した患者さんは、実は低血圧の患者さんでしたが、思い切って処方してみたところ(結構勇気が要りました)劇的に効果が出ました。やはり生薬をひとつひとつ考察して漢方薬を使うことが重要なのだと改めて感じたものです。

 「肝陽化風」ストレスによる症状の抑えが効かず、急な症状が出るということですが、最近こういう患者さんが増加していると思います。

 ストレスに対応する生薬としては「釣藤鈎」「天麻」「柴胡」が挙げられます。私の処方する漢方薬にもこの3つの生薬はよく出てきます。ストレス社会の影響なのかしら・・。

 あと、この処方は日本で使われている処方の中で最も新しく、日本で60年前に作られた処方とのことです。ところが、中国では既にその情報と使用経験を元に、ひとつ生薬を加えて「八物降下湯」という処方が既に一般的になっていると聞きました。中国はそういうところが柔軟ですごいです。

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2008年09月07日