インフルエンザに麻黄湯、という標語?はいかがなものか

 ドクターの間ではこんなことが言われています。

 「インフルエンザに麻黄湯」

 データ重視のドクター達はみな、麻黄湯がインフルエンザの症状を除く効果が強いとか、総合感冒薬よりも麻黄湯の方が重症化しにくいというデータに飛びついているのです。タミフルよりも解熱剤の使用回数が少ないなどのデータもあるようです。

 今更何を言っているのでしょうか?(苦笑)

 漢方薬は基本的に体に対して働く薬であり、タミフルなどの治療薬はウイルスの増殖を抑える働きだけですから、麻黄湯の方が、効果発現が早いのは考えてみればあたりまえのことです。

 総合感冒薬に至っては、インフルエンザのような強い邪気に対抗できるようにデザインされているとは思えませんから、これも麻黄湯に軍配が上がるのは当然でしょう。比較の対象がおかしいです。

 大切なのは、どういう患者さんに、どのタイミングで麻黄湯を使用するか、ということなのです。

 麻黄湯は漢方薬の中でもかなり副作用のある処方です。胃腸障害もでます。お子さんでも不眠、動悸といった症状が簡単に出ます。インフルエンザの時期によっては思わぬ喉の渇きに苦しめられることもあるでしょう。

 麻黄湯は決してバランスの良い処方ではありません。実際には葛根湯とか、小青龍湯など、少し作用は弱くなるけれど、同じ傾向のもっとバランスの良い処方が好ましい場合が多いと私は思っています。

 (注:麻黄湯がダメというつもりは毛頭ありません。念のため)

 当院でも麻黄を含んだ処方をたくさん用いますが、麻黄湯を使いたくなることはあまりありません。こちらでも麻黄湯に頼る危険性を指摘しています。

 何を考えているのか、麻黄湯を備蓄している医療機関もあると聞きます。生薬である麻黄が品薄になり、値段が上がっているとも聞きます。漢方薬の知識のある先生方から常識的な漢方処方が行われることを私は望みます。

 漢方薬には副作用がないなんて、とんでもない誤解です。漢方薬は適切に使用されて、初めて副作用はほとんど生じないと言えるのです。

メルマガ「実践!新ロハス生活~これであなたも医者いらず」より

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2009年10月11日