第30回東京漢方入門講座

「御種人参」と「竹節人参」について

人参は五臓を補う作用があるため「不老長寿の妙薬」というイメージができ、高値で取引されてきました。

しかし、もうひとつ「心下痞(胸のつかえ)を除く」という大切な働きがあるのです。

人参の側にも種類があります

1)御種(おたね)人参
味は甘く、補薬として用いられ、不老長寿の根拠になっています。
心下痞を除く作用は弱いです。

2)竹節(ちくせつ)人参
味は苦く、竹の節のような形をしています。心下痞を除くのが主作用です。
栽培が難しい。

人参湯のように補うことが主目的の処方には1)が、半夏瀉心湯のように胸の痞え感を除きたいときには2)を用いるのが理想です。

しかし、現実には1)が主に流通していることが多いようです。


人参湯に関して面白い記述を見つけました。

私の先輩でいらっしゃる桑木先生の漢方診療ハンドブックからです。

『人参湯は別名「理中丸」と呼ばれるくらいなので(注:中とはお腹を意味する)、消化器の異常を収める働きがある。そこでここに含まれる人参は竹節人参が合理的である』とあります。いろいろな解釈が成り立つのだなと改めて思います。

2005年07月27日