漢方診療をしていてよかったこと

比較的高齢の人で口が渇いて、熱っぽい。そんな訴えで耳鼻科に来られる人も多い。

ところが異常がない、ということで解熱剤とうがい薬を渡されるということもある。でも西洋医学的にはそれでおしまいだ。

あまりしつこく食い下がるとしまいには、気のせいだ、年齢のせいだ、と言われ追い返される。・・いや、年齢のせいだ、というのは少し当たっているのだが(苦笑)。

こういう患者さんは漢方診療の独壇場である。

実はもっと聞いてみると、下半身は冷えて、最近食べる量が減っていたそうだ。

こういう風に水が体を巡らないために、上半身に熱を生み、口が渇いたり、熱っぽくなったりする現象を「虚熱」という。

熱はないのであるが、体熱を定期的に冷ます仕組みにトラブルが出てしまうのである。逆に巡らない水は下半身にたまり、下半身を冷やしてしまうわけだ。

体の水の巡りに必要なエネルギーは食事によってもたらされるものもあるが、生命力そのものも影響する。

食事が少し減っていて、年齢的にだんだん高齢になっていることを考えると、年齢的なものがある上に、食事を十分に摂っていなかったために、虚熱が生じたと判断せざるを得ない。

食欲はあり、食事も意識してきちんと摂れるということだったので、生命力そのものを補い水が巡るように処方を考えてみたのだが、どうだろうか?

ちょっと耳鼻科っぽくないと言われるけれど、これくらいのことをしないと対処できない症状にはいつもお目にかかっている。体は全部一体なのである。

2005年08月01日