副鼻腔炎についての考察

 私はおしゃべりなので、患者さんの前でぺちゃくちゃ話をすることがときどきあります。そんな中で、自分の話したことから気付きを得ることがあるのです。

 昨日も「こういう理屈だとうまく説明できるなあ」と自画自賛しながら(笑)話をしていました。やはり副鼻腔炎のことです。

 もともと副鼻腔炎(昔で言う蓄膿症です)というのは、細菌の感染が原因であるというのが定説なわけです。ですので、抗生物質をどんどん与えていき、治ればハッピー、ダメならあきらめるか、手術か、というような流れになっていきます。

 でもよく考えると、細菌が検出されたからといって、その菌が副鼻腔炎を起こしたということにはなりません。ちょっとだけここには論理の飛躍があります。菌は私たちの周りにいつもいるので、鼻汁が好きな菌がたまたま増殖しただけに過ぎないということだってあり得ることです。

 抗生物質はあたると確かに効果があります。ですので細菌が副鼻腔炎に拍車をかけているということを否定するつもりはありません。でも細菌がきっかけになって副鼻腔炎は発症しているのでしょうか?

 東洋医学では、膿は熱があるとき、水は寒いときに生じるとされています。ついでですが、尿が濃いのは熱があるとき、薄い尿は寒いときに生じます。

 来年1月に耳鼻科医のための漢方講座を担当することになったのですが、そのスライドを準備しているときから、副鼻腔炎の位置づけがどうも気になっていました。もしかして分泌物で自分の熱を捨てているのではないか?と。

 気管支炎の治り方でも痰がどんどん出せると、赤さがどんどん取れて治っていきます。乾きがひどくて気管から痰が出せない人の場合にはなかなか治りません。実は「熱を捨てる=痰」より「熱を捨てる=膿性分泌物」が真実なのではないか?と感じたわけです。

 そうすると「膿の出る副鼻腔炎を生じやすい人=体の熱がたまりやすい人」ですので、ストレスで頭に熱がこもる人、毎晩度数の高い酒を飲む人、運動不足の人、過食の習慣があって太りやすい人などが挙げられるでしょう。

 前週にも指摘しましたが、上半身の冷えも増悪因子です。冷えは気の流れを阻害しますので、免疫的に不利になりますし、熱もこもりやすくなりそうです。これで話に矛盾はないのですよ。

 実際に副鼻腔炎が細菌によって引き起こされているかどうかを、確実に診断する手段はありません。ですので、議論しても仕方のないことです。ですがこういう東洋医学の考え方だけは知っておいても良いでしょう。

 細菌のせいにばかりしないで、自分の側を調整することを覚えましょう。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年12月08日