子供の車酔い

東京都医師会で会議がやっと終わるー、と思ったとき、議長の先生が
「そういえば、子供の車酔いが増えていますね」と指摘をされました。

「ああ、そうなのかな?」最近、お子さんの診察機会が少ないからなのか、
あまり実感はありませんでしたが、それはなぜなんだろうか、と考えました。

私の出した結論ですが。
めまいを含めた平衡障害は6歳ごろから生じるというのが一般的です。
それは自分の身体の位置感覚が育ってくるからです。
ベビーカーで酔う赤ちゃんがいないのは、その感覚が育つ前で、
身体位置の状況を予測していないからだと思います。

さて、最近のお子さんの状況はどうでしょうか?
私は映像視聴が幼児期早期から行われていることで
この感覚が早いうちから育って(しまって)いるのかもしれません。

お子さんの体調のことですので、なかなか詳細を知ることが難しいですが、
一応の推論です。

2023年10月23日

春の過ごし方

春は気温の上下が激しく、体内のエネルギーが上下に揺さぶられます。エネルギーは上下に動きやすくなり、上へと上る傾向になります。一種ののぼせのようになり、めまいや頭痛、咳が多く出るようになります。もちろん気温差から風邪も引きやすくなります。

そのエネルギーの流れを止めてしまうのは好ましくありません。上にのぼってきたエネルギーを淀みなく、体外に流します。寒いので、マフラーを一生懸命巻きたくなるのですが、できるだけ薄い物にするか、止めるように頑張ってみましょう。

でもやり過ぎて風邪をひかないよう、注意してくださいね。

2023年03月05日

ちょっと良い話~嗅覚障害

患者さんからこういうメールをいただきました。励みになります。

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いつも大変お世話になっております。
1月下旬に受験した、日本酒と焼酎のテイスティングの資格試験結果の連絡があり、無事合格致しました。資格の正式名称は「酒匠(さかしょう)」といいます。

NPO法人FBOという組織の構成団体である、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)という会の認定によるもので、「日本酒のソムリエ」と言われる「きき酒師」の上位資格になります。

コロナの影響で、当初予定からは遅れましたが、無事合格出来たことを感謝しております。
取り急ぎご報告申し上げますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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この方は、コロナ感染で昨年6月末の初診時には自覚的な嗅覚が30%でした。2月初旬の段階で94%とのことでしたが、受験すると聞き正直私は少し不安でした。しかし無事に合格できて本当に嬉しいと同時にホッとしています。ご報告ありがとうございました。

2022年02月28日

耳鼻咽喉科のがん 〜 喉頭がん

先日、声がれで来られた患者さんですが、喉頭に がん を見つけました。初診日でしたが明らかなものでしたので、大学病院に紹介したところ、すぐに手術をしてもらえました。

患部のがんはまあまあ大きかったですが、幸い転移を認めなかったようで安心しました。喉頭摘出術ですので声を失ってしまいます。しかし、ご本人は一生懸命に食道発声(飲み込んだ空気を声にして出す方法)をしようとしていて、そのうちできるようになりそうでした。

その患者さんが助かって良かったという気持ちもありますが、見落とさなくてよかったなという安堵感が強いです。がんをしばらく見ないこともありますが、どこかで見落としたのだろうか?と不安になることもあります。耳鼻科のがんには見つけにくいものもありますので、症状がある間はしつこく原因を探すことが大切だと、私たちは再確認しています。

2021年10月19日

New findings—COVID-19 aftereffects may be due to membranous inflammation?

There are wide-ranging symptoms of COVID-19 aftereffects. Common symptoms include slight fever, headache, malaise, coldness, numbness, muscular pain, joint pain, eczema, diarrhea, loss of appetite, palpitation, respiratory distress, taste and olfactory dysfunctions, and sleeplessness. Recently, hair loss has also been reported.

I have been thinking that COVID-19 tends to cause inflammation of the diaphragm, pleura, and pericardium, which can eventually lead to respiratory distress, palpitation, and loss of appetite. Headaches, coldness, and poor thermoregulation may also be caused by inflammation of the dura mater and pia mater. Furthermore, I have diagnosed relatively many cases of olfactory dysfunctions as parosmia, which were possibly due to inflammation of the brain membrane. It seems that the sense of smell is more susceptible to damage because of the large area of contact between the brain membrane and the olfactory bulb. It also makes sense when considering diarrhea and muscle pain as inflammation of the mesentery and fascia.

Given all these factors, I conclude at this time that COVID-19 aftereffects are the systemic membranous inflammation. I am treating this with Japanese Kampo medicine.

Postscript

Some people may feel it odd to include the diaphragm because it is an only muscle. However, the diaphragm has relatively large fascia to muscle mass and is in contact with various fasciae, pleura, and pericardium, so I think this could cause the same that inflammation as in other membranous structures.

以下、日本語訳です。

新しい見方~コロナ後遺症は膜の炎症?

以下に記すのは日本の一人の開業医の感想であり、科学的根拠はまだありません。でも私は52例の感染確認例と189例の感染疑い例の経験をもっています。

コロナ後遺症の症状は多岐にわたります。通常みられる症状は、微熱、頭痛、倦怠感、冷え、しびれ、筋肉痛、関節痛、湿疹、下痢、食欲不振、動悸、呼吸苦、感冒症状、味覚嗅覚障害、不眠、といったところ。最近は脱毛も指摘されるようになりました。

以前から、横隔膜と胸膜、心膜に炎症が生じるので、呼吸苦と動悸、食欲不振が起こりやすいと思っていました。頭痛や冷え、体温調節不良も脳硬膜や脳軟膜の炎症かもしれません。嗅覚障害も異嗅症が多いのですが、これも脳膜が原因かもしれません。嗅覚が障害を受けやすいのは、嗅球と脳膜との接触が大きいからのように思えてきます。下痢や筋肉痛も腸間膜や筋膜の炎症と考えると矛盾がないです。

コロナウイルス感染後遺症は全身性の膜の炎症である、これが現時点での私の結論です。私はこの炎症を漢方薬で治療しています。

追記

横隔膜だけは筋肉なので、違和感をもつ人もいるかもしれません。しかし、横隔膜の筋膜は筋肉の割に多く、各種筋膜や胸膜や心膜と接しているので他の膜性構造物と同様の炎症が生じるのだと考えます。

2021年02月04日

コロナ後遺症 2020年の総括

年末になりました。

コロナ後遺症が完治した方、まだ今一つの方、いろいろおられることと思いますが、来年も引き続き頑張っていきましょう。

治療の道筋が概ねできてきたので、一応開示しておきます。

コロナ後遺症は、PCR陽性でないにも関わらず症状が出ている方は特にですけれども、この病態の本質は過敏症だと感じます(陽性者には組織障害が残る人もいらっしゃいますが、治療方法はおおむね同じです。補陰(下記)の期間が少し長くなるかもしれません)。

受診された方たちは、食事内容の変更を私から言い渡されたことと思います。そして食事が良くなっても、日用品とか化粧品とか、電気とかwifiとか・・・改善点はたくさんあるものです(私の指導は、私が従来そういうことをしてきた経験に基づいています)。今まで大丈夫だったものに対しても過敏性が増してしまい、炎症が生じていることを認識する必要があります。

あとは漢方薬で炎症を除き、必要があれば解毒、その後に体液を満たして(これが補陰です)、さらに局所の炎症の処理をします。炎症はCRP値で判断されることが多いですが、フェリチン値で見るほうが分かりやすい印象です(ただしフェリチン値は様々な要因に左右されます)。また炎症の処理は通常の消炎鎮痛剤でだと効果が甘い印象があります(効くことはききますが)。

大体この時点で80%程度の症状がとれる方が多いです。

問題はあとの20%

この20%残っている方たちは、何かに反応するたびに症状がでてしまう方たちです。ここからは症状が出てしまった時に自分で対処できるようにしていく訓練の段階です。皆さん時々症状が戻ってしまい、私も指導に力が入ります。スパイスの有用性をこの段階では実感していただけると思います。スパイスを使用する理由は、薬で対応を続けると過敏になりすぎる懸念があること、スーパーで容易に入手できることです。症状がコントロールできるようになると、ずいぶん皆さん朗らかになってきます。

当然治ってくると、元の生活よりも内容がよくなる(良くないと治らないです)ので、健康度が増して終了となります。

来年はもっと高い健康を目指しましょう。

2020年12月28日

コロナ後遺症と食品添加物

コロナ後遺症で最近感じていることは、食品添加物を少なくすると改善していくということです。

先日、あるコロナ後遺症疑いの男性が「コンビニ弁当ばかり食べていたが、自炊するようになったら熱がだんだん下がってきた。」とおっしゃいました。それに伴って嗜好も変わるようで、治療を終了した方は、お菓子類やジャンクフードを食べなくなったという話をしておられました。

私は、食品添加物をはじめとして、身体に負荷のかかるものが口からまたは皮膚から入ることで全身に小さい炎症が生じていて、それがなくなると治るのではないかと考えています。

現在はそういう考え方に沿って、漢方薬と食事等の指導をしています。

2020年08月22日

コロナ後遺症について~気になっていること

コロナウイルス感染後遺症と思われる症状をお持ちの方から、たくさんのお問合せとご受診をいただきました。その経験から気になる点を2つだけ申し上げます。

1.免疫を上げる健康食品や飴類、ドリンク剤などは、念のためおやめいただくのが良いと思います。免疫過剰状態を助長する傾向があるように感じます。受診時には全ての健康食品の類について聴取させていただきます。

2.テレビ等でコロナウイルス感染後遺症として、感染を広げてしまう恐怖や不安感などから精神的に病んでしまう方たちの例が挙げられています。こういうことは確かにあると思います。ですが一方で、コロナウイルス感染後遺症が社会的に十分に認知されていないため身体的な後遺症についても「精神的」と一方的に片付けられてしまう人たちが大変多いです。その診断から自分がおかしくなってしまったのかと悩まれる方もいらっしゃいます。医療従事者が安易に「精神的」と片付けてしまうことには警鐘を鳴らしたいと思います。

2020年06月15日

Natureの記事から コロナウイルス関連

コロナウイルスにはスパイク状の突起があることが知られていますが、この突起は細胞との結合を強くするもの、すなわち感染力を強くするもののようです。そしてこの突起の作用はフリンという酵素で活性化されると書かれています。
フリンは肺、肝臓、小腸など多くの臓器にみられるということなので、こういう臓器では感染力が増す可能性があり、肺炎が重症化することにも影響があるかもしれないです。

しかし一方でフリンは多くの臓器にあるので、生体にとっておそらく重要な物質なのでしょう。この働きを抑えて感染力を減らすというのはやや現実的ではないというのが私の意見です。
それと感染が生じてすぐに免疫が過剰な状態になるのがこのウイルスの最も危険なところだと思っているので、免疫過剰のきっかけになる物質さえ分かれば、そこを止めるのが一番効果的かな、と思っています。

様々な研究が進んで新しい知見が得られることで、早期収束を期待します。

2020年04月27日

コロナウイルスに関する新たな考え

しばらく下火だった東京におけるコロナウイルス感染ですが、この5日間は40~60人台の感染者と増加しています。

おそらく武漢でコロナウイルス感染が広がった当初、東京はその渦に巻き込まれたのだと思います。複数の医師がおかしな肺炎の患者が来ていたということを口にしていました。私も風邪にしてはおかしいと思ったことがありました。

その後、ヨーロッパを席捲したコロナウイルスですが、死亡者の数が異常なので、変異するなど性質が変わったのではないかと推測します。

都内にいる私は、都内の人の大半が無症状のまま感染を終わらせたものと理解して、東京に居れば安全と高をくくっていましたが、今回の感染者増大は前回(2月ごろ)の感染拡大の時とは内容が違う、すなわち前回の無症候で作られた体内の抗体はおそらく抑止力が薄く、ウイルス自体も凶悪化している、本当に危険な状態と考えます。

自分は大丈夫!と飲みに繰り出す人もいますが、命を守る行動が求められていると思います、今回は。この連休では終わりになりません。もう少し長い闘いになるでしょう。

2020年03月29日