漢方薬の勉強を始めたい方へ

 漢方薬を勉強するのに何か良い本はないですか?ということをよく聞かれます。では漢方薬の勉強で何を知るのが早道なのでしょうか?それはそれぞれの生薬の働きを知ることだと思います。

 漢方薬は生薬の組み合わせからできています。例えばご存知「葛根湯」ですが、これは7つの生薬の組み合わせです。「桂枝(けいし)」「芍薬(しゃくやく)」「生姜(しょうきょう)」「大棗(たいそう)」「甘草(かんぞう)」「葛根(かっこん)」「麻黄(まおう)」の7つです。

 生姜はショウガ、大棗はナツメ、甘草は甘味料の原料ですが、いずれも胃腸障害の予防とか諸薬調和のための生薬です。葛根湯を特徴付けるのは麻黄、葛根、桂枝、芍薬ということになります。

 諸薬調和の三生薬と桂枝+芍薬で「桂枝湯」という風邪の初期に使う漢方薬になります。桂枝は発汗作用があり解熱を助けますし、芍薬は温性生薬ばかりにならないように、少し熱を冷ます傾向をもってバランスを取りつつ、首の凝りに有効なのです。

 風邪の初期に桂枝湯で十分!・・とは言えないので葛根湯があると言えます。桂枝湯に麻黄を加えた理由は発汗を増強するためであり、葛根(字の通り、クズの根です)で風邪の首肩の凝りを強く除きます。

 ですから風邪の初期に関して、もう既に発汗している状態であれば桂枝湯で十分と言えますし、首肩の凝りが強いときには桂枝湯では不十分なので葛根湯を選択します。胃腸に優しいのは麻黄の入っていない桂枝湯ですので、胃腸障害があれば、葛根湯はキビシイかもしれませんね。

 生薬それぞれが、温めるのか冷やすのか、体のどこに効きやすいか、潤す性質か乾かす性質か、「氣」の流れが上向き(昇性といいます)か下向き(降性)か、などが分かると良いでしょう。

 以上のレベルで理解するために、初学者向けの本として私がおススメしているのは、以下の2冊です。

 『薬膳素材事典
 それぞれの生薬の性質を知り、料理から勉強してみたい人向け。漢方薬(生
 薬の組み合わせ)についての記述はないので、それは別に勉強することになり
 ます。

 『漢方臨床ハンドブック
 基本的な漢方薬を生薬構成から性質を考察している本。もらった漢方薬の詳
 細を調べてみたい人向け。総論が素晴らしい。医師向けではありますが、一
 般の方でも何とか読み解けます。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年09月14日