難治性中耳炎の攻略について~十全大補湯で見えること

 鼻水について過去2回考察してきましたが、また耳鼻科ネタになりますが、中耳炎について考えてみたいと思います。

 中耳炎は鼻の奥にある菌が、耳と鼻を繋ぐ管(耳管といいます)を通じて、感染を耳に起こすために生じるとされています。

 私は西洋医学者でもありますので、この常識を否定するつもりはありません。確かに鼻の治療をしっかりすることで、中耳炎は確実に良くなります。

 ところがー。

 最近とても気になる現象があるのです。

 中耳炎が全然治らないという子どもたちに、十全大補湯という処方を選択すると、不思議なくらい治っていくのです(黒部市民病院の丸山裕美子先生に教わった方法です)。そしてよくよく見ると、今まで気づかなかったそういう子どもたちの共通項が浮かんできました。

 治りにくい中耳炎の子は、体の細い子、そして体格は良くてもやや水太り傾向の子であることが分かります。なるほど、十全大補湯を使いたくなるわけです。

 もしかしてこういう子どもたちに必要なのは抗生物質ではなく、体質を補正する薬ではないのだろうか?そんな考えが頭の中をよぎります。

 一方で西洋医学にも、少量長期使用することで良くなるという抗生物質の使い方が存在し、これも確かに効果があります。

 体を補う漢方処方、そして少量の抗生物質処方。どちらも同じような効果を感じるのですが、気のせいでしょうか?

 私は軽症であり、お子さんが飲んでくれるなら(結構飲んでくれます)漢方処方を、軽症とは言えない場合には漢方処方と少量の抗生物質を併用しています。

 たかが中耳炎と思われるかもしれませんが、いろんな考え方で攻めないと、攻略はできないのです。今日も知り合いの先生と再会し、「十全大補湯は効果あるよねー」と話をしましたよ。

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2008年10月05日