ストレスに関する考え方1~不眠症
不眠症の方が増えているように思います。
私は耳鼻科の医師ですが、不眠症はいろんな症状の原因になりますし、影響もかなり大きいので、対応を迫られることも少なくありません。
不眠症というと、安定剤や睡眠薬が処方されておしまい。あとは「頑張ってね」という医療機関の対応がとても気になります。これでは根本的解決にならないので、いつまでもたくさんの人が薬を飲む結果になっているようです。
不眠の本質を考えなければと思い、今日はこの本を紐解いてみました。
『いかに弁証論治するか~疾患別漢方エキス剤の運用』(東洋学術出版社)
(初級者の知識は持っている、という方向けの本です)
普段診察をしていて最も多いと感じるのは、五臓の「心」を傷めてしまい、不眠症に陥るパターンです。
「心は神を蔵す」と言われます。神、すなわち意識ですが、心は全ての血脈を集めており(すべての血液が心臓を流れるというイメージでも良いですよ)、心はその血液の養分を得て精神を安定させているのです。
さて、昨今はみな常に忙しく精神活動をしており、「心」は疲弊しやすくなっていると考えられます。心の疲弊は心血の不足となり、心の安定を血が維持できなくなって、「心火」となってイライラして眠れなくなるのです。
心血不足、あるいは別の原因でも心火亢進が生じる状態を探していくと、不眠症の根本的治療につながりそうです。詳細は次回に話します。
実は「心血不足」「心火亢進」のほかに、もうひとつ不眠症の有力な原因になりそうなものがあります。肝の働きを考えてみましょう。
「肝は血を蔵す」と言われています。血液には魂が宿るとされているため(科学的でない感じがしますか?)「肝は魂を蔵す」とも言えます。
当然、魂は精神活動に関与していますから、肝は傷つくと肝血が減少し、魂が肝の外へ流出してしまうため熟睡できなくなるとされています。肝を傷つける最も大きな要因はストレスです。肝の障害についても次回に考察します。
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2008年09月20日