ストレスに関する考え方4~うつ1

 先週まで3回にわたり、不眠症について考察してきました。今日からはうつについて考えて見たいと思います。ネタ本は引き続き『いかに弁証論治するか~疾患別漢方エキス剤の運用』(東洋学術出版社)です。

 「うつ」とはそもそも何でしょうか?

 古典には「鬱とは滞りて不通の意なり」とあるそうです。つまり何かが滞り、通じなくて鬱結した状態ということができます。滞るものの種類としては、気・血・痰・湿・熱・食が挙げられ、それぞれに対応の原則があるようですので順次ご紹介していきます。

 「およそ病はうつによりておこること多し」

 こんな言葉があるようです。七情といって喜・怒・憂・思・悲・怖・驚)の七つの感情は中医学では重要な発病の要因とされています。どれもちょっと体に悪そうですね(笑)。喜びは健康に良さそうですが、中医学では過ぎた感情は健康には悪いと考えます。

 気鬱の話をします。気の巡りが悪くなる状態ですが、発散する場がなくて、気が行き場を失って溜まってしまう状態とでも申しましょうか。

 この発散働きは肝が持っています。肝の持つ疎泄機能とは、気の滞りを修復してのびのび生長できる状況を整える働きのことです。

 この疎泄機能は憂鬱な気分や怒り、ストレスの影響を受けやすく(のびのびできないので当たり前ですね)、肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる状態になります。ストレスでカーッとなってできたエネルギーがこもる状態です。よくありますでしょ?(笑)

 肝気鬱結は憂鬱になったり、情緒不安定になるだけ(だけってことはないですが)です。しかし長時間持続すると熱になり熱が体を上り、口が苦くなったり、舌が赤くなり黄色の苔が見られたり、頭痛も生じることがあります。頭痛は肝と関連の深い胆の経絡(ツボの列のこと)にも生じやすく、側頭部に痛みが強くなることがあります。

 肝の熱は脾(消化器)にも及びやすく、「肝気犯胃」という状態が生まれると食欲がなくなります。また、肝は血を蔵しますので、月経不順になり、血が滞ると生理痛が生じることになります。

 気持ちの問題からいろんなことが起こるものですね。発散が大切ということがよく分かります。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年10月12日