五行の解説9(保存版)~肺の病態について

 10月25日に受講した「次のステップを目指す中医学講座」のノートから内容をご紹介しています。講義は下谷武志先生。文責は陣内です。

 五行説の基本は木火土金水(もっかどこんすい)の順番で物事が生じるという、世の中の原理を表しています。木から火が生まれ、火で燃えて灰→土になり、土の中に金属が生まれ、金が鉱脈となり水が生じ、水は木を育てる、という輪廻の思想です。

 今日のテーマは「肺」の病態です。「肺」というと、呼吸をする肺を思い浮かべる方が大半だと思いますが、中医学では肺、粘膜、皮膚と外界との境目すべてを指します。

 従って、体と外界との境界が破たんすると、「肺」が病んでいることになりますが、一方で、肺には壊れて再生に向かうという役割もあるため、正常に壊れていくというプロセスが必要になってきます(難!)。

 悲しみの気持ちがあると、「肺」に穴が開くとされます。耳鼻科では滲出性中耳炎、あとはネフローゼなど、表面に穴が開いて、体液やたんぱく質など、体外に漏らすべきでないものを漏らしてしまうことになるのです。この穴を塞いでくれるのは黄耆(おうぎ)という生薬です。

 また破壊を堰き止めることによる弊害を回避するために、大黄(だいおう)という生薬があります。通便のための生薬ですが、堰き止めず、流れをよくして肺全体を潤す作用があります。それでいて形として、もの(大便)を自分の境界を越えて外に出すという働きがあります。同じように形として痰を境界(粘膜)から出してくれる働きを杏仁(きょうにん)が持っています。

 「肺」には自他の区別という大きな課題があります。ということは、自他の区別が最も苦手な「心」の働きが強くなると、障害が出やすくなります。これを「心剋肺」と言い、たとえば、ヒステリーなどの心の乱れにより、体の防御機能が落ちることを指します。
 

 さあ、これで五行ひと通り解説が終りました。如何だったでしょうか?

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2008年12月28日