(中医学)六腑の講義から5~胆2
五臓に関してはバックナンバー173~181号を参照してください。
五臓六腑の話はある程度理解が行かないと面白くなりません。漢方を学ぶ医師も最初のこの段階で挫折します。それは、西洋医学の臓器と東洋医学の臓腑の違いを受け入れられないからだと思います。どの代替医療を勉強しても五臓六腑の話は出てきます。恐らく真理に近いからでしょう。
私が3月に受講した下谷武志先生の「次のステップを目指す中医学講座」はその理解をを絵画と音楽でイメージしようという画期的なものです。何となく分かる程度で結構ですから、少し我慢して読んで下さい。文責は陣内です。
胆には急激な成長に対する欲求があります。その目指すところは完成品であるところの大腸(金)です。胆(木)は、火―土と成長し、金に至るべきなのでしょう。でもその憧れが強いため現実を受容できない部分があります。
講義の中ではポール・デルヴォー「赤い町」(1944)が絵画として紹介されていました。しかしネット上にはありません。そこでこちらのサイトをご覧下さい。「美の巨人たち」のバックナンバーです。
人間の土のイメージとして女性の裸体が、物質化した金のイメージとして骸骨や彫像がところどころに描かれています。母離れできない自分と、父性への憧れとが錯綜している胆の象徴的風景と言える作風だと思います。もう少し大きく背伸びしたような絵画だとより胆的(?)だと思いました。
さて、胆に関係する処方ですが、竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう)は代表的処方です。わがクリニックでも最も使用頻度の高い処方のひとつです。
現代人が必要としている状況は、理気(気の巡りを良くする)、清熱(熱を冷ます)、補陰(潤いを与える)だと思います。ストレスと睡眠不足と過労により、熱を帯び、乾き、気の巡りが悪くなっています。そういう現代人にうってつけの処方であると思います。
「憧れには段々近づきなさい。人生の苦みも味わって・・」という意味合いからか(笑)、とても苦い味の処方になっています。
さて次回は、小腸のイメージを考えてみましょう。
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2009年05月24日