「血」の重要性を痛感しています

 中医学では、人体に生理活動を生じさせるものとして、気・血・津液・精が挙げられています。

 「気」は人体のエネルギーです。元気の「気」ですね。「血」は体の栄養分、「津液(しんえき)」は体液(水分)と考えたら良いでしょう。ともに「気」のエネルギーをもらって体内を移動します。特に「血」は「気」との結びつきが強いので、栄養分と「気」を合わせて「血」とする解釈もあります。「精」は人体を構成する滋養物質で、生命活動と生殖、成長に大きく関わる物質です。

 さて私の診察は、脈と喉をみて風邪を診断できると、あとは風邪の性質の診断と処置に入ります。この時点で風邪が弱める方法を考えます。

 時には五臓の強さを脈で知り、強いものはなだめ、弱いものはたすけるように考えて処方することもあります。

 そうしてできた結論に沿って処方するわけですが、今まで「気」と「津液」は症状に直結することもあり、十分な配慮をしていたと自分では思っておりますが、どのように「血」の問題を扱ったら良いのか、いつも考えておりました。

 診察上は舌の裏面を見て、静脈が浮き上がっているかどうをか見ればよいのです。静脈が浮き上がって見えるなら血の渋滞、静脈がないくらいに浮き上がりがないときには血の不足を考えたら良いのです。

 今まではあまり風邪の診察には必要のないことと考えていましたが、最近、血も意識して処方を考えていくとピタリとはまる処方に行き着くことも多くなってきました。

 最近は、ひどい過労の風邪とか、不眠やストレスが背景にある病気も多いのです。こういうときには「血」の問題を避けて通れないというのが実感です。まだ勉強中ですが、そのうち処方にも慣れてくるのではないかと思います。

2010年05月01日