子どもの難聴
会報「しぶやの学校保健」第69号より
テーマ「子どもを守る」
副題 「子どもの難聴」
新生児難聴の早期発見は、患児のその後の言語の発達のために欠かせないものです。近年、聴力検査機器類の発達してより早い時期に難聴を見つけられるようになってきました。一方で新生児難聴を早期に発見するための施策も近年組織的に行われるようになってきています。岡山県では県下の多くの医療機関にそのための検査機器類が導入され、それらの医療機関が連携して新生児難聴の早期発見に努めています。その結果、新生児難聴は6ヶ月以内に全体の約3分の2が見つけられるようになってきたとのことです。その後の治療や訓練の組織化も行われているようであり、このような流れが全国に広がっていくことを予感させます。また、検査に関する詳細や手術の問題点などについても学会において多施設間で論じられるようになってきており、良い方向性が見えてきているように実感しています。
新生児難聴が早期に発見されるようになった現在、残された課題は学会の講演でも取り上げられるようになりましたが、主に小児難聴の予防になると思います。新生児難聴の原因の多くは不明あるいは先天奇形なので現状では回避することは困難ですが、先天性風疹症候群や流行性耳下腺炎、髄膜炎のように感染症が原因になっている難聴に関してはワクチン接種などで回避できる部分があるように思います。また、新生児や乳児の感染症の際に、難聴にも配慮した薬剤を選択していくことも小児難聴の予防につながるでしょう。
今まで私は子どもの難聴を早期に発見して、それに対応していけばそれで良いと考えておりました。しかし私たちはそれが生じないように予防するための何らかの行動を取れるはずです。恐らくこれは小児難聴に限らないことであり、各種疾患の予防の推進が真に子どもを守るということなのかもしれません。
2005年08月10日