成都中医学研修3日目

11月3日金曜日
 今日も昨日と同じスケジュールで、まずは8時から成都中医薬大学の郭子光教授から「命門および命門火衰の弁治」というタイトルでご講演、引き続き臨床講義をいただきました。郭教授は今回のツアーの目玉となるような大物教授らしく、私も背筋が張るような思いでおりました。
 命門・・・実はよく分かっておりませんでしたので、ちゃっかりS先生の横に座り、教授がいらっしゃる前に簡単なイントロダクションをいただいて講義に入りました。実はこれが大きな助けになりました。
 西洋医学的には命門は全く否定されてしまうようなものですが、人間の根幹を成すエネルギーのある場所というものが経絡と共に存在しているということは、東洋医学的にはずっと考えられてきたそうです。しかし現代中医学ではその命門を否定するような動きも少なくないようです。郭教授は多くの臓腑の働きが悪く、しかも通常の辛熱の中薬のみを使っただけでは良くならない症例に関しては、「命門火衰」を考えるべきではないか、とおっしゃっておられました。061103-1
 その後患者さんを全員で2人拝見して、その所見に関しても詳細な講義をいただきました。処方もその場でされたので、それをみんなで持ち帰り、あとは各自検討するということになりました。中医薬大学の臨床研修生(学生?)にも付き合っていただきました。
 その後の討論では、命門からの精?(エネルギー)の流れに関すること、血液疾患とくに汎血球減少のときと白血病のような病態のときにどのような対処をすべきか、ということに関してもかなり詳細な議論が交わされました。ちょっと私は外野におりましたが、これから段々と学んで行きたいと思いました。本題とはそれますが、良い人参の見分け方に関しては大変印象に残りました。
 昼食は大学を出てすぐのところにある食堂に行きました。いかにも街中の食堂という感じの店でとても地元では人気のあるところだそうです。料理はおいしいけれど、過去2日よりもやや辛目でした。味が濃厚で食べられないものもありました。後から聞いた話ですが、地元の人は植木の皿に自分の皿をお茶ですすいだ汚水を捨てていたらしい(驚)です。時々感じるけれど、ちょっとトイレも汚かったな。さてそれはさておき・・。
 午後から荷花池薬膳市場に出かけました。061103-2とにかく広くて、生薬の現物がどかどかとところ狭しと並んでいました。治安が悪いところらしいのですが、そんなことを聞くと私はややひるんでしまいました(苦笑)。まあ、素人の私が何かを買うという感じのところではありませんで、先生方のあとをついていって訳も分からず写真を撮りまくっておりましたが、生薬の種類の多さに驚き、入り混じる香りに翻弄され、仕事をしながらマージャンをしている人たちに圧倒され、結構疲れながらも面白いものを見た気がしました。
 その後、オプションまず「杜甫草堂」に行きました。031103-3杜甫は成都に4年の滞在中に240編の詩を残したそうで、その住居が草堂だったとのことです。日本人は「国破れて・・」の詩が有名ですが、中国人にはあまり評判が良くないと聞いて、哀れを重んじるのは日本人の性質なのだと認識しました。とにかく充実した日々をすごしたらしく、本当に街の喧騒から離れることのできる静かで洗練した住居でした。さらにオプションで「武侯祠博物館」にも行きました。ここは三国志で有名な諸葛孔明がまつられている場所で、劉備玄徳とその側近たちもまつられていました。奥には劉備とその奥方の大きな墓があり、周りをぐるっと一周して帰りました。私は昔読んだ三国志がよみがえってきてなんとも懐かしい感じがしました。当時、その地方には流行り病がありたくさんの人が亡くなったそうですが、その時代と張中景が関係しているというK先生たちのお話を聞いて、本当に驚きました。帰国したらそのあたりのことを少し調べてみたいと思います。
 本屋組と合流した後は、ホテルからほど近いところで薬膳料理をいただきました。061103-4食は進みませんでしたが、T先生とN先生、M先生、K先生と囲んだテーブルだけは馬鹿話が異常に盛り上がり(私のせいでしょうか?)、笑いで健康になったということで、めでたし。

2006年11月04日