東洋医学のない風邪診療は考えられません
私の診察を見て、漢方薬を使ってみたい、という先生がいます。しかし大学病院では人の患者さんの様子を細かく見ることはできません。
じゃ、アルバイトの病院で毎週診察したら!と提案してみたのです。
・・・ところが
そのアルバイトの病院には漢方薬が十分においてありません。私の場合、大学病院の漢方薬の品揃えでも少し不便を感じることがあります。漢方薬はまだまだ診察の主役ではないのです。
聞いた話なのですが、先日日経新聞に「急性疾患は西洋医学、慢性疾患には東洋医学で対応する統合医療」という記事があったそうです(未確認)。
では漢方薬は、急性期病院には不要でしょうか?風邪には不要でしょうか?私は漢方薬のない風邪の診察なんて恐ろしいです。
風邪をひいて寒気があるとき
水みたいな鼻水が出るとき
頭痛がはじまったとき
喉が痛くなってきたとき
痰が混じり始めたとき
咳が出てきたとき
再度、寒気が襲ってきたとき
今度は喉仏のあたりが痛くなってきたとき
喉が渇いてきたとき
風邪にはいろいろな場面が予想されますが、これらの症状に対して漢方薬にはそれぞれにふさわしい漢方薬があるものです。しかし西洋薬ではどうでしょう。十分に対応できるのは恐らく痰に対してのみでしょう。
鼻水止めをもらって効いた、と思っている人の多くは自力で鼻水が止まっているように感じます。頭痛に頭痛薬を飲んで、気分的にはよくなっているのだけれど、本当によくなっていますか?身体を薬で冷やしてしまい、逆に風邪を長引かせる要因を作っていませんか?
そういうことを考え出すと東洋医学なしで診察することが恐ろしくさえあります。
先日、脈がどうしても触れることのできない年配の方がいらっしゃいました。風邪の症状で何度か来られているのですが、脈が診られないのは本当にこまります。脈は東洋医学の主幹を成すものですからね。
急性、慢性で東洋医学と西洋医学を分けるのではなく、それぞれの患者さんを前に考えて、内容を選択していかなくてはならないと私は思っています。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2006年10月01日