五行の解説2(保存版(笑))~肝について
10月25日に受講した「次のステップを目指す中医学講座」のノートから内容をご紹介しています。
五行説は木火土金水(もっかどこんすい)の順番で生じるという、世の中の原理を表しています。木から火が生まれ、火で燃えて灰→土になり、土の中に金属が生まれ、金が鉱脈となり水が生じ、水は木を育てる、という輪廻の思想です。
一日の朝昼晩も、人間の一生も、考えてみれば、みんな五行で例えることができます。「肝」が例えられる春の伸び行く木々の様子は、青年期の少年少女が成長する様であり、二軍から初めて一軍登録されたプロ野球選手の様であり、健全に急成長する新興企業のようです。
このドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」を見て下さい。
民衆の死してなお自由を勝ち取ろうという力強さ、勢いは「肝」そのものです。そしてこの「肝」は実は、その勢いを止められると、そのエネルギーを自分で処理することができません。
その止められたエネルギーは熱に変化します。自分の行為を咎められた若者が怒るのは、その熱に相当します。その熱をこの楽曲で感じることができます。金のない現実に昇華させられない自分の欲求ということでしょう。
自分の勢いをせき止める、つまりこれはストレスの存在を意味します。ストレスを「肝」は何とか処理しようとします(疎泄機能と言います)。しかし、過度のストレスは最終的には「肝」を傷めてしまいます。最近、ストレスの影響が体に感じられる人がとても多いです。
健康を守るためには、どのくらいストレスが体に影響を与えているか。これを病気が発症する前に知ることが大切です。私は脈が弦のようにピーンと張っていると、将来ストレスによる影響が体に出そうだと判断しています。
さて、「肝」の本質の話に戻ります。がむしゃらに伸びていく「肝」ですが、伸びていく中で自我の目覚めが生じ、他者との関係が意識されるようになります。その中で最も嫌なものは権威、既成概念です。
次週以後に出てきますが、既成概念は完成品としての「肺」を意味しています。「肺(金)」の力が強くなり過ぎると「肝(木)」の力は弱くなります。これを金克木と言います。木は金属に切られてしまう、と考えると分かりやすいですね。
大切なことは、体も社会も宇宙も、五行の相互のバランスで成り立っているということです。アーユルベーダですと、空、風、火、水、土の五大要素ということになりますが、これは切り口の相違だけだろうと私は考えます。要は複数要素の相互バランスであるという認識が大切でしょう。
だいたい「肝」のイメージを持っていただけましたでしょうか?
次週は「心」についてお話します。
2008年11月08日