ストレスに関する考え方3~不眠症3
先週まで2回にわたり、不眠症について考察してきました。今日は不眠の最終回です。
大まかに分類すると、精神活動過剰による「心血不足」による不眠とストレ
スによる「肝血不足」による不眠、そして消化器不調による「血虚」による
不眠と説明して参りました。
あとは腎の働きを説明しなければなりません。腎は生命力を意味していますが、心火(活発な精神活動)の行き過ぎを弱めることができるのは、水をつかさどっている腎の働きです。
心の火と腎の水は本来、上半身と下半身に分かれていますが、それが腎の生命力を得て「心腎交通」の状態となり、体の平衡を保っているという側面があるのです。
従って、生命エネルギーが弱まり(すなわち老化のことですね)、腎の水を心までくみ上げることが出来なくなった場合、あとは先週お話した、脾(消化器)の機能異常により腎の水が減少したときに、心火が消せずに不眠になってしまうのです。「心腎不交」と言います。
今まで述べてきた不眠の中で重要と思われる処方を挙げておきます。
第一に挙げられるのは帰脾湯(きひとう)です。元々消化を助ける作用が中心の処方ですが、安神作用に補血作用を合わせ持つ生薬が多数配されています。当帰(とうき)、龍眼肉(りゅうがんにく)。酸棗仁(さんそうにん)は肝の補血にも効果がありますし、遠志(おんじ)は心腎交通の生薬ですので、どの型の不眠に対しても一定の効果を上げることができるでしょう。
ストレスがとても強くて寝られない場合には、肝の傷害が中心になりますので、酸棗仁湯(さんそうにんとう)が中心になりますが、これで肝鬱の解消が難しい場合には、さらに柴胡を配した処方を考えていきます。
薬膳ではあまり身の回りの食材はないですね。強いて挙げるなら小麦、あとは酸棗仁、牡蠣(ぼれい;牡蛎殻のこと)ですね。重みのあるもので、精神状態を鎮めるという意味で、鉱物なども使われるようです。
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2008年10月05日