認知症について~まずは「もの忘れ」から

 最近、精神を病んでいる患者さんが多いのと、精神世界への興味の高まりから、精神科疾患の勉強をしています。先週までの不眠、うつの話をして参りました。今週は認知症について東洋医学的に考えてみます。

 ちなみに認知症の定義では、「社会生活が困難である」かどうかが、単なるモノ忘れと鑑別するポイントのようですね。

 東洋医学では、考える力の低下を補うために、大雑把に言うと3つの方針を考えます。

 第一に生命力を補うことで、脳髄を補う。
 第二に動物性開窮薬で頭の機能を改善する。
 第三に血の滞りを除いて脳の機能を目覚めさせる。

 第一の脳髄(脳神経と考えて下さい)を増やすというのは、生命力(=腎)を補う補腎をすることにより達成されます。生命力を補うための漢方薬もありますし、食事でも補腎を意識することが必要でしょう。具体的には次週解説する予定です。

 第二の動物性開窮薬というのは難しいですが、動物性の生薬の中には、詰まって塞がっているものを再開通するものがあります。何故か動物性のものに多いのです。入手しにくいようですが麝香(鹿の腺分泌物の塊)とか地竜(ミミズ)が挙げられます。

 詰まりが取れるという意味では、脳血栓、心筋梗塞にも使われます。鼻閉には使ったことはありませんが、恐らく効果があるでしょう。植物性の開窮薬としては菖蒲が挙げられるようですが、エキス剤漢方薬には含まれて居ません。

 脳梗塞後遺症などとともに、認知症の治療としても、この詰まりを除く開窮作用と、第三の血の滞り(瘀血(おけつ)と言います)を除く作用を合わせて使用することが多いようです。

 例えば、脳梗塞で半身不随になると、通常はリハビリのみで治療することになると思いますが、そこにこういう東洋医学的な内容を盛り込むと、リハビリも効果が出やすいのではないかと思うのです。

 次週は具体的治療内容に触れようと思います。

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2008年11月08日