過労でよわった人の、寝汗のある風邪
風邪で、ちょっと困ったなあ、と感じた患者さんがいました。それはこじれ方が尋常ではなかったということです。
風邪が体表の防御を突破して体の芯に届いたときに体内(裏)からも熱が生まれます。過労などがあるとその熱の割に体温が上がらず、熱が裏にこもったようになります。
こういう場合によくやるのは、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を使って、表裏の体温を上げて、裏の熱を表に誘導するということです。汗をすでにかいているときには、教科書的には桂枝湯(けいしとう)を用いて、発汗し過ぎで体液を失い過ぎないようにします。
以前はそれでも麻黄附子細辛湯を使って、陽気をがんがん補っておりました。現代人は体力がありますし、患者さんが早く楽になりますので。
ところが、先日拝見した患者さんは寝汗もかいておりました。
数年前、それでも同じように治療したら、寝汗は増えるばかり、のども渇いてきて困ったことがありました。体液をたくさん喪失してしまったのです。
昔の人は体力がありませんでしたから、この寝汗をたくさんかいて、喉が渇いてきた状態は死に直結したことと思います。現代なら、いざとなれば点滴をすれば切り抜けられるでしょうけれど。
今回は、すでに過労で寒気、口渇、寝汗の症状がそろっていましたので、寝汗を止めつつ、体液を補い、体内の寒邪にも対応する黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を使ってみました。
こういう状態は抗生物質では良くならないのです。
さてさてどうなるかお楽しみ。
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2009年04月26日