インフルエンザ治療・・期待の麻黄湯に死角あり
インフルエンザが猛威を奮っていますが、当クリニックでも少し患者さんが来ています。現状、A型インフルエンザ=新型ということになっていますが、冬になったらごちゃごちゃになるでしょうね。
今日、仙頭クリニックの仙頭正四郎先生が東京にいらっしゃって御講演されるとのことで、耳鼻科の同門会を抜け出して(笑)参加してきました。そこで仙頭先生は、麻黄湯(まおうとう)の危なさを指摘されていたので、ご紹介します。
巷ではインフルエンザに麻黄湯という漢方薬が効くという論調があります。試しに「インフルエンザ」「麻黄湯」で検索してみて下さい。たくさん情報が得られます。しかしここには思わぬ死角が存在するのです。
麻黄湯は確かに体の防御機能を増強する力が強いのです。抗ウイルス効果も強いかもしれません。通常は麻黄湯を使用することで、まず問題ないものと思います。
しかし、それは体の内部の生命力や蓄えていたエネルギーを体の表面に総動員して防御機能を高めているわけです。
インフルエンザで絶対に避けなければならないことがあります。それは感染によって死ぬことです。肺炎などの2次感染が死亡原因として挙げられていますが、これは恐らく体力の消耗により菌やウイルスが増殖して生じることでしょう。
麻黄湯は自分のエネルギーを使って体表の防御機能を最大限に高めています。ですからもしもこの防御に失敗すると、その時にはすでに消耗している状態ですので、体の弱い人がたくさん服薬すると、場合によると逆に生命の危険が生じる可能性が出てきます。ゴールキーパーも戦いに行くサッカーのようなものでしょう。
しかも麻黄湯には桂枝という生薬が含まれています。これ生薬には体の中のエネルギーの通りを良くする働きがあります。通常は良い作用がでるものであっても、体表のウイルスを体内に容易に引き込む可能性があると思われます。汎用されている、桂枝茯苓丸などを服薬している人にも同様の注意が必要かもしれません。
そこで仙頭先生がお勧めなのは、大防風湯でした。キーパーの周りに9人を集めて、2人くらいを攻撃用に残しているようなサッカーを考えてみて下さい。攻め込まれても失点は最小限にできる、つまり死なないようにできる、という考え方です。
漢方薬使用も、麻黄湯一辺倒にならないようにすべきかもしれませんね。自分の体力を考えて、攻めを厚くするか、守りを厚くするか、考えておく必要があるかもしれません。
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2009年09月06日