コレステロールは下げた方が良いの?9

 これまで腸肝循環、動脈硬化因子をEPA摂取で減らすお話、糖尿病の人では心筋梗塞のリスク要因であるIDLが増加しやすいこと、糖質制限をしてビタミンB、Cを摂取することでβ酸化の観点からも動脈硬化因子を抑えることができることも先週お話しました。

 今週は善玉と言われるHDLに関することをお話します。

 HDLは肝臓以外の組織からコレステロールを回収して肝臓に戻す働きを持っています。従ってHDLが少ないことが動脈硬化のリスクになるようです。この働きがあるために善玉コレステロールと呼ばれているようです。

 酸化LDLの話をしましたが、酸化LDLはマクロファージに貪食されて血管内膜内に溜まり、プラークを形成してアテローム性動脈硬化の原因になります。HDLはLDLの酸化を抑制したり、酸化LDLを貪食するマクロファージの増殖を抑える作用がありますので、ぜひともHDLは増やしておきたいところです。

 栄養のアプローチから考えると、ビタミンC、ビタミンEを摂取すること、ウォーキング、肥満の人は減量することでHDLを増やすことができます。また、ビタミンB群にもHDLを増やす働きがあります。

 このときに注意しなくてはいけないのは、低HDLを肥満があるからと言ってムリな減量を行うと、タンパク質摂取不足から低HDLが改善しません。これは要注意だと思います。
 
 さて、次週からようやく高脂血症の治療に関する話題をご提供していきます。

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2011年11月05日