滋陰降火湯と滋陰至宝湯の比較~長引く咳への対応

 しつこい咳の対応として新しい漢方薬を導入しました。滋陰至宝湯(じいんしほうとう)と言います。滋陰降火湯(じいんこうかとう)を従来は代用していたのですが、この考え方が誤りであることに、気づいたので導入を決めました。

 これらの処方の名前は似ていますが、内容がかなり異なるのです(がーん)。

 上級者の方はこちらのサイトが大変参考になります。ご覧下さい。
 
 「滋陰」の意味は、「陰」は陰陽の陰ですので「水分」を表します。つまり水分を滋養するという意味です。その意味では両方ともに同じなのです。

 しかし、滋陰至宝湯には疎肝作用といって、ストレスへ対応する内容の生薬が盛り込まれています。滋陰降火湯にはそういう作用はありません。

 一方で水分を補う作用のある生薬は滋陰降火湯の方がたくさん入っていますし、血分についても同様です。

 滋陰降火湯は水を補う作用が強いということもありますし、熱を奪う生薬も滋陰至宝湯よりも少し強力です。

 そこで見えてきた両者の使い分けですが、滋陰至宝湯は長期間ストレスが続いて水分が失われて慢性的な咳になった人、ただし生命力の減退がない人が対象になるでしょう。つまりストレス自体は強くないのかもしれません。

 滋陰降火湯を使うべき人は、恐らくは急激な負荷の増大により生命力にも影響が出るような人で、風邪を強くひくなどして体の急な変化に対応できず、渇きが強く、熱の残存もあるような人が対象になるのでしょう。

 ポイントは滋陰降火湯だけに含まれる天門冬という生薬にあると思うのですが、この生薬が腎(生命力)にも効果が出ることと、熱を冷ます効果があることで、風邪の回復期に使用する意義があるのだと確認できました。天門冬はアスパラガスと近縁なのだそうです。これは初めて知りましたー。

メルマガ「実践!新ロハス生活~これであなたも医者いらず」より

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2012年02月12日