【栄養療法】鉄の欠乏について3
通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること、鉄過剰症はヘム鉄経口投与では生じないこと、溶血時に血清鉄が上昇すること、女性でフェリチンが低下しないとき、生理不順や肝炎を考えるということをお話しました。
検査データではもうひとつ、MCV(平均赤血球容積)が重要です。ヘマトクリット値を赤血球数の10倍で割った数です。ひとつの赤血球の占める面積の指標と言えましょう。
つまり十分に赤血球を作る材料が揃っていないとMCVは低下します。タンパク質、鉄、ビタミンB、ビタミンAの不足などを考えます。
ところが、ビタミンB12、葉酸が少なくなると、MCVは高値になります。基本的には胃からの吸収が阻害される場合ですので、ピロリ菌感染による胃の委縮、胃の切除後、あとは飲酒も関連します。
MCVの低下と上昇、これが同時に生じることも少なくありません。MCVが一見正常に見えてしまうのですが、実は鉄もビタミンB12も同時に不足しているという場面に結構遭遇します。
その場合には、鉄を補給するとMCVが異常高値になりますし、ビタミンB12を補給するとMCVが異常低値に変化します。
血液検査が正常な値だからと安心できないひとつの好例であると思います。
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2010年11月07日