癌の治療 ~ 西洋と東洋の考え方
Tさんからメールをいただきました。いつもありがとうございます。
「テレビで肺がん治療に関して見たけれど、免疫を上げるという発想がなく、従来通りの手術、放射線、抗ガン剤ということばかりが話題になっていてショックを受けた」とのことでした。
その番組はこれですね。
テレビ番組がどういう風に作られるのかは分かりませんが、やはりその道の第一人者がお話するのでしょうから、免役療法のような評価の分かれる内容について言及することは難しいでしょうね。
以下、私の考えです。
癌を手術、放射線、抗ガン剤で治療するというのはいかにも西洋医学的だなと感じます。癌は悪者であり、それをやっつけるという発想です。
でも癌は悪者なのでしょうか?
東洋医学では自分の身体に目を向けて免疫を上げて癌を処理していくというプロセスを考えるのだと思います。もちろん治療に切れ味があるわけではないので、癌の進行が早くなってしまったら手遅れになることもあるでしょう。
やっぱり癌は悪者に見えますか?
でも私には、今までの生活の結果が癌として出てきたように感じられます。生活習慣が悪かったのか、生活環境が悪かったのか、人間関係が悪かったのか、いろいろあるでしょう。そういうことを考えることが大切なのかもしれません。
そう考えると癌がいろいろなことを教えてくれているのかな?と思います。相手が癌ですから、やっつけることも治療として大切なことはもちろんですが、それだけでなく癌が何ででてきたのかを考えてみるのも大切でしょう。
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2012年11月11日
アレルギーの治療 ~ 野菜ジュースを止めてみる
体のために野菜ジュースを毎日飲んでいます、という患者さんが少なくありません。しかし食材選びには十分な注意が必要です。
今回の患者さんはアレルギー性鼻炎の患者さんです。アレルギー性鼻炎の場合には野菜を生で摂取することは避けた方が無難です。
野菜自体には栄養があり、熱を加えない方がより栄養が摂取できるという側面があります。しかし、野菜はときに土壌汚染の影響を受けることがあり、それがアレルギーを助長しているような印象を持っています。
今回はどのようになるか分かりませんが、野菜ジュースはとりあえず避けていただくことにしました。
その方は漢方処方を別の漢方専門病院から受けているのですが、あまり上手く行っていない様子です。やはりどんなに症状を抑えるように処方をもらっても、その原因は大きいときには処方の切れ味は悪くなります。
それと漢方の専門であっても気の流れまではチェックしていないかもしれません。体調により、気候により、時により気の流れは変化しますけれど、その人の症状に合っている処方をいくらもらっても、気の流れの改善が伴わないと、体に合った処方ということにはなりませんのでご注意を。
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2012年11月04日
点滴バーにみる、医師の役割とは?
点滴バーなるものが人気を博しているそうです。体調に合わせてビタミンを点滴したり、ミネラルを補給したりということだそうですが、どんなものなのでしょうか?
少し前のブログになりますが、良し悪しの議論が交わされているものもあります。
信頼性が担保されていない、いや、自由診療だから需要があれば問題ない、という議論が繰り返されています。
そうですねー。。。
一応私も意見があるので書いてみますと、ビタミンやミネラルを補給しなくてはならない人がたくさんいるのは事実でしょう。これは栄養解析の血液検査をやっていて思う事です。ですので、点滴で安全に補給されるなら、恐らく気分もよくなるに違いありません。
だから良いものだ、とは思いません。
安易に健康を回復するという行為には疑問を感じます。これは通常の医療にも言えることです。
健康を損なったということには必ず背景があります。本来、人間は健康にできているのです。それを損なったということは重大な問題です。
その背景を見つけて、健康を取り戻すということが本来すべきことなのではないかと思うのです。
点滴バーで不調だった体調が急に戻ったらどうでしょう?
また、点滴すれば良いや、という気分にならないでしょうか?特に食事に問題があるなどとは考えないかもしれませんね。
私は医師の仕事は、病気の治療ももちろんですが、その背景にある原因をきちんと明らかにして、その指導を行うということが最も大切なことだと考えています。
ブログの議論の中に、こういう観点がないのは残念でした。
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2012年10月28日
対薬理論について
今日は横浜までこの講演を聞きに行ってきました。
対薬理論という言葉は初めて聞きましたが、なかなか美しい理論なので少し説明してみます。
中国語は「その通り」ということを「対」と言うことからも分かるように、中国では陰陽のように対称になっていることが正しいこと、当たり前のことのようです。
これが漢方処方の生薬の構成にも生かされている、というのが対薬理論です。
一例を挙げますと、六君子湯という処方があります。中に白朮と茯苓という二つの水を動かす生薬が入っています。この生薬は同じような作用の生薬を重ねているということではないのです。
脾(胃腸の消化吸収力のこと)は湿(湿気ですね)を嫌います。脾は気(エネルギー)を吸収する場所ですが、これが湿により妨害されます。調子が悪くなると、気が吸収できないから湿が処理できないという悪循環になります。
白朮は気を補うことで水を動かします。一方、茯苓は水を動かす力がそれ自体にあります。従って白朮と茯苓を共に使うことで、上記の悪循環を断ち切りやすくなるというわけです。
このように同じ働きのように見える生薬も、実は二つの巧みな組み合わせによって処方が組まれていると言えそうです。
他にもたくさんの例を講師の先生に挙げていただき、大変面白く聞かせていただきました。
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2012年10月21日
申し訳ありませんが、梨をたくさん食べました?
申し訳ない、と書きましたが、何でも申し訳ないのでしょう?
いろんな方たちのアレルギーの治療をしていますけれど、果物が悪さをしていることもあるので、果物の質がよく分からないときには少量の摂取にするか、煮るなど熱を加えて摂取することをお勧めしています。
今年はいろんな種類の梨を食べました。買う時にかなり注意深く質の良いものを選びます。そして食べた後も体におかしな反応がないか、いつも検証していますよ。
皆さんには、少なく食べてねー、と言っていますけれど、私はどの果物の安全性が高いかをお伝えしようとして、幸水、豊水、新高、二十世紀、サンセーキと何だかたくさん食べることになっています(笑)。
産地によっても性質がばらばらなので、どの種類が完璧とはなかなか言い切れませんけれど、サンセーキは比較的安全性が高いように感じます。
患者さんには少なく食べてねと言っておきながら、たくさん果物を食べているので何だか申し訳ない気分なのです。
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2012年10月14日
ストレスは悪いもの~癌抑制遺伝子
癌は早期発見がとても重要な病気であることはご存知でしょう。
でもどのように早期発見するかはとても難しいです。健康診断を頻繁にすれば良いのでしょうか?
それもひとつの方法とは思いますが、年に一度の健康診断では完全とは言えないと思います。
昔話になりますが、私の父親は毎年健康診断を受けていました。しかしあるとき、しかも健康診断を終えて2カ月のときに胃癌、しかも進行癌であることを告げられて亡くなりました。
何故こんなことが生じたのか、と考え込んでしまう出来事でした。
最近、患者さんをみていて少し思うところがあります。
癌を進行させる要因はストレスが大きいのかな?と。
癌細胞は日常の生活でも相当数できていると言われています。それを免疫が阻止しているのが通常です。
しかしストレスがかかるなど免疫を下げる要因が強くなると、癌細胞を抑える力を増さなくてはいけません。そこで癌抑制遺伝子が発現するのだと推測しています。
ストレスが強くなると癌抑制遺伝子が強く発現し、ストレスから解放されると癌抑制遺伝子が検出できなくなるのを見るにつけ、ストレスとはいかに悪いものか、思い知らされます。
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2012年10月07日
いまごろになって夏風邪の流行が・・
夏風邪がいまだに流行しているようです。
アデノウイルスの感染はお子さんのプール熱のウイルスで、真夏に流行するのが一般的ですが、涼しくなってきた今でも感染している人がいることに、少々驚いています。
まあ、明確にアデノウイルスの感染かな?と意識するから見つかるという面もあるので、いままで気がつかなかっただけなのかもしれません。普通の風邪にしてはおかしいと大きな病院に紹介してみたら、やはりアデノウイルスの感染だったということもありました。
こんな季節までアデノウイルスの感染があるのだな、とあらためて感じさせられます。
高熱がやたらと続いたり、眼が充血するような風邪の場合にはアデノウイルスの感染を疑ってみましょう。大抵は疲れた人、仕事でやたらと忙しい人に生じやすいと思います。
先日、これまた夏風邪のヘルパンギナのお子さんを見つけました。真夏以外にはあまりみたことがない病気です。口の中にアフタ性口内炎ができていたので、ヘルパンギナでしょう。
ヘルパンギナは、どちらかというと初夏に多い病気だと思っていたので、これまた驚いています。知っているウイルスの感染と分かると患者さんへの説明も対応も比較的スムーズです。
いつまで夏風邪の対応が続くのでしょうか?
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2012年09月30日
基礎医学の重要性について(硬い話しです)
基礎医学と臨床医学の乖離は深刻だといつも感じます。
基礎医学とは、最初に習う医学の基礎で、正常な体の状態をいろんな側面から学んでいく医学的知識の足元を固める学問、そして病気の状態や薬の動態などに関するモノの見方を習い、臨床医学に備える学問です。。
思いつくままに挙げてみますが、大学3年のときに習ったのは、正常な状態を学ぶ、解剖学(体の構造)、生理学(体の機能)、生化学(体の物質の変化)でした。
そして4年生になり、病理学(病気を肉眼や顕微鏡で観察する)、薬理学(薬が体にどう影響するか)、微生物学(体内微生物や体に影響する微生物について)、放射線基礎医学などを習いました。
そして5年からは臨床医学として、内科学、外科学、産婦人科学、小児科学を中心に勉強し、患者さんのデータの見方や、診察方法を習います。そして残りの科目を勉強しながら、実際に病院の中で担当患者さんをもたせてもらい、自分なりにレポートを作成していくのが6年生でした。
5年生から急に忙しくなり、現場の血液データとか診察方法を習得するのにみんなが一生懸命になります。現実には3年から4年にかけて勉強した基礎医学の知識を使って考えるというよりは、それぞれの科目独自の学問体系に振り回されてしまい、ハウツーを勉強することに終始するのです。
最近いろんな勉強をして思いますが、実は基礎医学的な内容がとても重要であり、それを元にして考えないと、治療方針も思わぬ方向に行ってしまうことがあるように感じます。
例えば、分子整合栄養医学を勉強してみると、殆どが生化学を元にした内容であり、昔勉強した内容が少しずつではありますが蘇ってきます。いや、全く蘇らないものもありますが(苦笑)。
バイオレゾナンス医学を勉強していても、ナルホドと思う背景にはいつも基礎医学の重要性を感じています。
いつも「何で?」という理論的背景をきちんと考えていると、ハウツーだけではなく、基礎医学をもっと勉強しようということになります。私ももう少し頑張って勉強してみようと思っています。
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2012年09月23日
いつまでも続く咳~気管支炎
咳が出続けて来院される方が数多くいらっしゃいます。いろいろ原因はありますが、最近は気管支炎になっている方が多いですね。
急性気管支炎はほとんど風邪が元になって生じます。風邪の終わりに気管支炎だけ残して風邪が治ったのに、いつまでも気管支炎の咳が続いているということもあります。
気管支炎のときの注意点を書いておきます。
気管支炎は潤いがないと治りが悪くなります。潤いを気管の粘膜に与えるのに最も大切なのは安静です。ずっと寝ている必要はありませんが、運動は控えたいものです。
習い事などで、定期的に運動されている方は要注意です。大したことがないと思っていると、いつまでも軽い咳がつづいてしまいますよ。
あと、同じく潤いを与える意味で睡眠を十分に取る必要があります。睡眠不足のときにはお肌もがさがさしますよね?それと同じように気管も乾いてしまい、炎症が取れにくくなります。
そして最も避けていただきたいのは飲酒です。飲酒は気道に熱を与えます。しかも喉が渇くことでも分かる通り、気管の粘膜も乾いてしまいます。これではいつまでも気管支炎は治りません。
首の一番下、鎖骨のくびれのところを軽く押してみて違和感がある人で、咳がいつまでも続く場合には気管支炎の可能性が高いので、以上のことを守って下さいね。
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2012年09月16日
秋になりめまいの患者さんが増えてきました
めまいの患者さんが増えてきました。しかも私が診察する範囲ではみんな眼振という眼の特有の動きがない人ばかりです。
ちなみに眼振というのは、眼が無意識に動く現象のひとつで、めまいのときに眼振の性状から内耳からくるめまいなのか、頭からくるめまいなのかを診断することができます。
東洋医学ではめまいは水毒という水の流れの障害ということになっています。
水の流れの障害がある、というと、どういう症状がでるのでしょうか?
まず湿気があると症状が悪化します。これは皮膚から蒸発する水が少なくなるので、体の内部で水を処理する必要がでてきます。しかし、その処理能力が衰えていますので、湿気が増えると水のよどみができてしまい症状が悪化するのだと思います。
水がたまりますので重い、だるい症状もでてきます。
水は重いので、どちらかというと下半身に症状がでやすいです。むくみは手よりも足にできやすいですよね?
水は比熱(熱を吸収する量)が大きいので、水がたまることで冷えを生じやすくなります。
そしてこれは理由は分かりませんが、舌苔が厚くなります。粥のような苔がでることもあります。色は白です。
めまいが出てしまった方で、以上の水にまつわる症状がかなり出ている方は、漢方薬で水を処理する処方を使うのが有効です。
印象としては少し夏の流れで、水の飲み過ぎになっている人が多いように感じられます。そこに最近雨模様のことが多くなっているので、めまいの患者さんも増えたのかもしれませんね。
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2012年09月09日