この季節のめまいについて
今日の健康6月号をみていて、「もう悩まない!めまいの新対策」という題が目に入ってきました。んんん?
内容を見ていると、「患者さんはやっぱりこれを読んで悩むのではないだろうか?」というものでした(笑)。何故なら、従来の神経耳科学の内容そのものが掲載されていて、患者さんにはちょっと難しい。大学の偉い先生が書いたのですから、仕方がないのかもしれません。
でも、最近めまいの患者さんを診ていて少し気になることがあるのです。
私もめまいの専門外来を大学病院時代に経験しています。耳の三半規管(バランスを感じる部分です)が原因と思われるめまいは疑い例も含めて全体の3分の2くらい、頭から生じるめまいはごく少数です。
残りの半分は「原因不明」と「神経耳科学的異常なし」ということになるのです。今まではそれで良いと思っていたけれど、原因不明とか異常なしとか言われても患者さんは困りますよね?
この季節は5月病という言葉があるように、「気」がどんどん頭に上ってきてボーっとするという人がとても多いです。これが原因でめまいになっている人はあまり診察をしても異常が出ない気がするのです。でもこれだってめまいなので患者さんは辛いでしょう。
こういう患者さんには漢方薬が有効な感じがしますが、結構こういう患者さんが、実は多いような気がするのですよね。
今後もそういうつもりで観察してみようと思います。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月10日
風邪にとって発熱とは・・?
診察をしていて気がついたことがありました。
「熱はでていないから風邪でなくて花粉症でしょう?」
このセリフを口にする患者さんが1日に数人いるのです。
「寒気がありますか?」と聞いても「熱はないですよ」と答える人もいるくらいです。
私は「熱は出ていなくても、風邪は風邪なの!」と説明するわけです。患者さんたちはポカンとしていますが、私は確信をもって言っているわけです。
特に最近多いのは以前から指摘しているように、くたくたに疲れてしまったか、解熱剤の乱用によって体が芯から冷えてしまい、鼻水やくしゃみがでている人です。脈をとって簡単な問診だけですぐにこの状態はわかります。熱を生む力がない人たちです。
しかしそうでなくても、単なる風邪で病初期に鼻水がどーっと出て、その後は少し収まってきたけれどやっぱり花粉症かなあ、ということを言う人たちもたくさんいるのです。
みんなが「風邪でない!」と主張する根拠は「熱がない」ということなのは分かる気もしますが、熱を生むことができない体になっているということもある、ということを知っていただきたいです。
だんだんエアコンがどこにでも入る時期になってきました。昨今では夏に汗をかけない人が増えていると聞いています。いつもいつも、室内環境にも配慮しなければいけない嫌な世の中になったものです。
自分が熱を生む余力があるのかどうかを意識するのは難しいですが、疲れ果てて、いつも寝汗だけでる、つまり寝ている間に少しだけ放熱する、という状態は避けたいものです。寝汗はバリア機能の破綻であることが多いので。子どもは別ですけれどね。
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2007年05月27日
風邪の常備薬には何が良いか・・?
今日はまたメールでのご質問で面白い!と思ったものがありましたのでご紹介します。
●Yさんからのメール
かぜのひきはじめ、また常備薬としての漢方は何がいいでしょうか?常備薬を漢方のものにしたいのです。かぜには、ケイシトウ・コウソサンがおすすめとのことでしたが、のどの痛みにと書いてある「甘草湯」を買いました。
注)
桂枝湯 香蘇散
甘草湯
以前は「葛根湯」を買っておいたこともあったのですが、先生のメルマガによると、葛根湯は胃弱には不向きでしたね。私は特別な胃弱ではありませんが、体質として体力のないほうです。小柄で痩せています。
・・・・・
なるほど~。ひとつ重要なのは風邪のひきはじめをしっかりと捕まえることができるかどうかです。これが十分にできるのであれば、体力のない方の処方としては桂枝湯、香蘇散は選択肢になりますね。ただ香蘇散は一般には売られていないようですね。もしも数回ならば葛根湯も考えてみてください。
これらの処方はおかゆとともに飲んで体をカッと暖めることが大切だ!と「楽しい中医学倶楽部」を担当して下さっている本多先生はいつも強調されます。せめてお湯では飲みたいものです。
では喉が痛くなってしまったら・・・というお話です。副作用が少なく、使いやすいのは桔梗の入っているものですが、桔梗湯、桔梗石膏などは医薬品で、なかなか手に入らないようです。
最も広く感冒の状態に対応できると思われる処方は、柴胡桂枝湯でしょうか(さいこけいしとう、と読みます)。販売もされているようです。
痩せている方の場合、喉の痛みの後に乾いた咳がでる可能性が高いです。それに対応できて、最も手に入りやすそうなのは麦門冬湯でしょうか?ただし、むくみがでたら減量する必要があります。
がっちり体型の人はもう少し選択肢が考えられます。胃腸が強い分だけ麻黄などの生薬が入ったものが使いやすくなるのです。これについてはまた後日お話します。
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2007年05月13日
風邪初期。ぞくぞく鼻水の対処について
みなさんは風邪でぞくぞくしたことがありますか?
あるに決まっているぞー!と思った方は正常です。でも私自身がそれを明確に感じるようになったのは、実はつい最近のことです。
気合が乗っていると寒気は感じないものなのです。仕事をやりまくっている方、夢中に何かを作っている方、そういう人たちは風邪初期の寒気がなくなってしまうのです。私の場合にはこれに該当するかもしれません。
そういう意味では、ぞくぞくすることに意識が向くようになったから、寒気を感じやすくなったと言えるかもしれません。
病初期の寒気はすぐに収まります。1-2日寝ていると、インフルエンザでない限り、ほとんどの場合になくなってしまいます。病初期のポイントは、喉がまだ痛くない、ということです。喉が痛ければ、病初期でないか、その前にひいた風邪の影響が残っている、ということになります。
この間に出やすい症状は水のような鼻水です。よく花粉症になったと来られる患者さんもいらっしゃいます。この鼻水を止めるために総合感冒薬を使用する場合がよくありますが、これはお勧めできません。
総合感冒薬には大抵、アセトアミノフェンが含まれています。あるいはイブプロフェンでしょうか。いずれも解熱効果を有しています。ぞくぞくしているときにこれらの感冒薬を使うと寒さが増してしまい、風邪が治りにくくなります。
感冒初期にたくさん水のような鼻水が出る時に、最も頼りになるのは小青竜湯です。
ドラッグストアで売ってるよー、とか、花粉症の薬じゃないの?という人もいるかもしれませんね。
しかしこの漢方処方は、麻黄という生薬を含んだ葛根湯の仲間です。風邪の葛根湯に鼻水を止める力を増強したものと考えて下さい。
それと、必ずお湯で飲んで下さいね。ドリンク剤を冷たいまま飲んでもあまり効果はでないと思います。
みなさん、試してみてください!
・・・でも風邪の始まりであることが分かるかどうかが勝負です!
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2007年04月15日
めまい、耳鳴の患者さんが増えてきました
気候が変わりましたね。日差しが暖かになりました。
テレビではインフルエンザがまだ流行しているようなことが言われているようですが、もうインフルエンザは終わりました。みなさんの周りはいかがですか?
花粉症も昨年同様の早い店じまいでした。東京では3月10日ごろに大きな飛散がありましたが、以後は収まる一方です。
病気の様相としては4月初旬に突入したような感じがしています。
さて!そこで出てきた病気があるのです。何でしょうか。
実は、ここ数日、急激にめまい、耳鳴の患者さんが増えてきました。
いつも思うのですが、どうしてなのかよく分からないのです(悩)。
みんな「気圧が・・・」と知っているかのように言っていますけれど、そんなに簡単なものとは思えないのです。
気象庁のホームページを見ると、確かに3月5日ごろから10日間くらい、少し気圧が低かったとは思います。しかしめまいを起こした患者さんが2週間以上経過してから来院している様子はありません。
気圧の変化が分かるというリウマチ患者さんの話を聞いたことがありますが、私はこれは湿度の変化を感じているのではないかと考えています。でも確かにめまいや耳鳴の流行には周期性があるように感じられます。では一体何が我々の健康を左右しているのでしょうか?
私はコレではないかと思っているのですよ。
バイオタイド 月
月の引力はかなり圧力としては大きいらしいです。これなら天気の様相よりも定常的に気圧に変化を起こし得るでしょう。新月のときなら太陽―月―地球の並びになりますから、最も気圧を下げる可能性があります。
そういう意味から考えると、3月で最も気圧が下がりそうなのは19日です。そして数日で病院へ行ったということであれば辻褄が合います。もしもそういうことで病気が起こるなら、夏至の新月のときが一番生じやすいと言えそうです。今年は6月15日ですね。そのころに同じことが起きるかどうか楽しみ(失礼!)です。
月の魔力
この件について、読者の方たちで何かお感じになられた方はご意見をお寄せ下さい。誰も真実はまだ知らないのです。
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2007年03月25日
かかったかな?と思ったら・・・(私の場合)
風邪の診察をしていると、どうしても風邪をうつされてしまうことがあります。インフルエンザも例外ではなく、先日もちょっと油断していて「もらったかな?」と感じたことがありました。
私の場合おかしいと感じるのは、うつりそうなやりとりがあった後、5人くらい診察していると、ぼーっとしたり、だるくなったり、先日インフルエンザをもらった感じがしたときには動悸がしました。あくまで雰囲気ですが。
当然、診察をしながら内心、まずいまずいと思っています。その時点で患者さんにうつしてしまうことはありませんが、自分の体調は転げ落ちるように悪くなる予感がします。
<<よいですか!!ここで耐えてしまうとダメなのです。>>
初期症状がでる2日間を乗り切ると、風邪が体に入っていく過程で一時小康状態になるからです。大半の人たちはここで、治ったと判断するか、何事もなかったと判断するようです。
しかし!実際にはさらに2日くらい経過すると喉が痛くなってきます。そうなると、人によっては痰が出たり、咳が出たりでその後1週間くらい苦しむことになります。
さてさて私の場合、かかったかな?と思ったら、たとえ診察中でもまずお湯を沸かします。これは診察が一段落したときに漢方薬を飲む準備なのです。
そして体を温める漢方薬(葛根湯など)を熱めの湯で飲んで、みかんや飲料などでビタミンCを補給してとにかく寝ます。昼寝だと1時間程度ですが、午後の診療は十分できるようになります。そしてその日は早く帰り寝る!!とにかく自信が持てるまで最大限寝ます。
ときには栄養ドリンク剤を使って半日だけ持たせることもありますけど、そのときにはあとでよく休養することが重要です。
結局、今シーズンは1度も風邪らしい風邪はひかずに仕事を続けています。
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2007年03月11日
この1週間の病気のいろいろ
この1週間はインフルエンザが勢いを盛り返した週でした。南近畿、東関東、北九州に流行があったようですね。
私はこのデータを参考にしています(情報収集方法にご注意下さい)。
診察していて気づいたのですが、仕事に対する意欲を失っていない人はどんなに症状が強くてもインフルエンザの検査をすると陰性になります。脈も診続けていますが、浮脈(ちょっと触るだけで感じる脈のことです)であることは必要条件である印象です。浮脈でない人はインフルエンザではないと言えそうです。
花粉症も猛威を奮ってきました。花粉は少ないという前評判だったのに・・。
もしかして早く終結ということはないのでしょうかねえ?
花粉症はこのサイトが便利です。
ただ花粉症の合間に風邪をひくと、みなさん何が何だか分からなくなってしまうようですね。
花粉の量が変化しないのに急に薬が効かなくなるのは風邪の可能性が高いと思います。薬の内容を強くしないで、少し休んで様子を見てみましょう。
薬を飲んでいない方は寒気の有る無しが参考になることがあります。天気があまり変わらないのに症状が急にでたときには風邪であることをまず考えて行動しましょう。
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2007年03月03日
風邪を治したいか、症状を緩和したいか
また風邪ネタです。
私の得意ネタなのですが、割とこのネ話題には良い反応が返ってくるので、頑張って書いてしまいます。さて・・・
今日は私のちょっとした気づきについてです。
みなさんご存知かもしれませんが、私は総合感冒薬が嫌いです。病院にもそういう処方を好んで出す先生が少なくないですし、よりによって私に「下さい」と言う罪な患者さんもいらっしゃいます(涙)。
総合感冒薬は必ずと言って良いほど抗ヒスタミン作用と解熱鎮痛作用を持っています。みなさんは感冒にかかられたとき、いつお使いになるのでしょうか?
<感冒の初期>
やたら鼻水が出るので薬を飲みたくなります。しかし、もともと鼻水は2日くらいで収まるものです。薬を探しているうちに自然に収まってしまうことでしょう。この時期に熱がでることがありますが、総合感冒薬で安易に熱を下げにいくと、あとで風邪の治りにくくなることがあります。
<感冒の中~後期>
喉の痛い時期ですが、ここでも鎮痛目的で総合感冒薬を用いて、疲れなどが重なると、やはり風邪の治りが悪くなることがあります。また、後になればなるほど喉が渇いてきます。これも総合感冒薬の抗ヒスタミン作用が症状を悪化させる可能性があります。
こう考えるとなかなか総合感冒薬の使い方は難しく感じられます。だから嫌いなのです。
某社の「あなたの風邪は喉から」などというCMを聞くたびに風邪が喉からくることはないのだが、といつも感じてしまいます。
しかしそのCMでは風邪を治すとは言わないのですね。じゃあ何て言っているのかというと、「風邪の諸症状の緩和に」ですって。治さないのね・・。
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2007年02月25日
風邪と花粉症の振り分け外来
今年は早い時期から花粉が飛び始めました。
連休明けには私のクリニックでさえ、たくさんの患者さんが来てしまい混乱しました。
でも花粉症だと言ってくる人たちにまだまだ風邪の人たちがたくさん混じっています。花粉もウイルスも外から鼻や口に入っている病気だからでしょうか。なんとなく病気の雰囲気は似ています。両者を初期に完璧に見分けることは不可能かもしれません。
発症から数日経っていれば、私の場合には脈診を使いますけれど、一般には話の内容から判断するしかないわけです。風邪の初期には眼もかゆくなりますしね、本当にやっかいです。
風邪と花粉症の振り分け外来が2月中は続きそうです。
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2007年02月18日
今週の風邪の動向
今週はわがクリニックでもインフルエンザの患者さんがでました!2人だけなのですが、A型とB型が一人ずつです。
例年はA型の流行が終わるとB型の流行が始まるという感じなのですが、温暖な気候のためでしょうか、流行が同時に起こっているようです。
インフルエンザの流行に関してはこのサイトをご覧下さい。
ところで、今週東京では花粉がようやく飛び始め「花粉症です」と診察を受ける人が増えてきました。しかし実は8割以上は風邪の患者さんです。
「のどは痛いけれど、鼻水は出ているし、眼もかゆい」
のどが痛くなった後に水のような鼻水が出るときには要注意です。風邪本来の形は、鼻水が出てから喉が痛くなるわけです。風邪で眼もかゆみがでます。
のどの痛みよりも鼻水が後から出るときは、過労とか解熱剤などの影響で、体の防御ラインがズタズタになっていることが多いです。それが証拠に寒気が少しですが出てきます。寒気と鼻水が連動して出てきます。
この時にはのどの痛みも増しますが、痛み止めを飲むと体温が下がり、かえって防御線が弱くなり、のどの痛みもかえって増していきます。そしてまた痛み止めを飲んでしまうという深みにはまっている人はとても多いです。
とある1日で考えると、その鼻水に対してのみ使用する麻黄附子細辛湯という処方が14人!(自分で数えても驚きです)、ちなみに本当の感冒初期の水のような鼻水だった人は5人。本当に花粉症で鼻水を垂らして来た人はほんの数人です。
診察室でよくある会話です。
「え?じゃああの先週のだるかったのはその風邪の始まりだったの?」
「なんだ、折角気づいていたのに、対応が遅れましたね。」
余談ですが、私が東洋医学に傾倒したのは麻黄附子細辛湯の効果を見たときからです。本当に頼りになる処方です。でも使わないですむならそれに越したことはありません。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年02月10日