こじれた風邪の様々な側面について
この季節、朝夕あるいは日によって寒暖差があるため、風邪をひかれている方が多いです。疲れによって少しこじれたようになっていて、やや強い薬を処方する機会も増えています。
そういう時に生じる症状を覚えておきましょう。
少し肌寒い・水のような鼻水がでる、あるいはくしゃみがでる・ときに咳がでることもある・喉が痛くなることもある、そんな感じです。
鼻水がダーっとでるので、秋の花粉症と間違えて来院される方が少なくありません。しかし花粉症は毎年少しずつ症状が出てきます。今まで秋の花粉症になったこともないのに、急に鼻水がたくさん出る場合にはむしろ花粉症は疑い難いです。
あとよく患者さんがおっしゃるのは、「疲れているけど、いつも通り働いているだけなんだけど」というものです。
確かにいつもと変わりないのかもしれませんが、疲労の蓄積によって体が外邪(外からの悪い刺激)に対して、体温を上げることができるほどに体力が残っていない、ということが起こり得るということを覚えておきましょう。
鼻水がさらさらだったのに、粘ってきて、咳も強くなってしまった、と治療中におっしゃる方もいらっしゃいます。このように風邪がこじれたときには、こじれがほどけるほどに鼻水は粘り、痰のからむ咳がしつこく出てきます。寒くて水のような鼻水がたくさん出る時間が長いほど、反動で粘った鼻水も後からたくさん出て参ります。
寒気と水のような鼻水は風邪がこじれていなくても、もらった瞬間に生じる症状でもあります。どちらにしても、寒くなくなるまで温かくして寝ている方があとあとスッキリ治ります。
寒いから入浴して温まって寝たいという方もいらっしゃると思いますが、体力温存のため、できるだけ入浴はせず、早く就寝することをお勧めします。
ご参考までに、このこじれた状態から回復させる特効薬があります。漢方薬の麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)と呼ばれる処方です。
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2011年11月05日
熱ショック蛋白について
早朝のラジオで熱ショック蛋白(HSP;Heat Shock Protein)のことを話していたので、興味が湧きました。
実は動物実験をしていた時代(15年くらい前ですが・・)に、耳にもHSPがあり、どういう作用をしているのか、という話になっていたので、蛋白質としてはよく知っているものなのです。でも健康法と関係があるのか・・!と驚いています。
熱を加えて出てくるのだからあまり良くない蛋白質なのかと思っていましたが、実はそのダメージから細胞を守る蛋白質なのですね。見直しました!
ラジオでは、HSP入浴法という形で紹介されていました。人間は深部体温が下がっていくときに眠気を感じるものなので、就寝前に入浴で体温をあげることは睡眠にとっても凄く重要なことなのだそうです。
HSPの性質を分かりやすく例えているサイトもあります。(以下、抜粋です)
HSPは瀕死の細胞を助け、また救助が難しい場合は周りの細胞に迷惑をかけずに旅立たせるなど、新居に移るまでの間、体の中の被害を最小限にするために全力を尽くすのです。細胞内の災害対策本部と言っても過言ではないでしょう。
癌にもHSPは関与するのですね。癌の温熱療法のときに自分の細胞はどのようになるのか、HSPが大変重要な役割を果たしていることが分かります。
治療によって障害を受けた自分の細胞を修復したり、障害の大きい細胞を排除したり、癌に対する免疫力を向上させたり。HSPの作用は大きいのですね。
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2011年10月29日
歯科治療の重要性について
歯科金属が体に及ぼす影響は案外知られていません。「ノンメタル」というキーワードで検索すると実にたくさんのサイトが引っかかってきます。昨今はノンメタル治療は流行っているのかもしれません。
確かに歯の詰め物や冠をセラミックに交換するだけでも体への影響はかなり少なくなりますが、過去の不十分な治療への対応、接着剤の選び方や、咬み合わせの精密な調節も要求されるため、かなりの熟練者でないと真のノンメタル治療は難しいのではないかと私は思っています。
私も相当数の金属が歯に入れてありましたが、先日とうとう全て外すことができて、3年越しの治療になりましたが、実に気分がさっぱりしました。あとは咬合を十分に調整してもらえば終わりになります。
自分が診察しているときにも歯の金属を外すだけで、症状が取れそうな人は少なくありません。例えばアレルギーと言われていても、さらにその原因は歯科金属であるということもあるようです。
歯周病にも同様のことが言えます。
歯周病は歯だけの問題と考えられがちですが、各菌の供給源となる可能性があり、今では感染性心内膜炎は扁桃腺炎と歯周病をチェックするのがあたり前になってきているそうです。
歯周病を根絶するには、徹底的な骨を含めた清掃が重要になります。これも熟練の歯科医に受診する必要がありそうです。
肩こりとか皮膚病とか、原因不明の訴えを持っている方は、一度はこういう治療に理解のある歯科を訪ねるのが良いと思いますよ。
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2011年10月22日
高血圧の民間療法
高血圧は多くの人がなる病気なのですが、根本的な治療方法がなかなかないのが実情なのではないでしょうか?
みなさん降圧剤を飲んでいますが、治りました、と言っている人を見たことがありません。血圧を下げるだけでなく、根本的に治りたいと思うことが大切なのではないでしょうか?
そこで、民間療法を探るべく、また中国の動画サイトを見てみました。
内容は動画を見ていただければ分かりますが、一応解説してみます。
高血圧がストレスからくる場合、まずストレスの処理に大きな役割を持っている肝経(肝臓の経絡)を考えます。
中医学の肝とは、体の末端までエネルギーを生き生きと運んでいくための臓器というような意味合いです。血に関係する臓器ですね。
ストレスの処理も肝でまずは行われます。ストレスを受けると肝の経絡が高ぶります。大怒傷肝といって、怒りの感情も肝を傷めます。これが高血圧の一因と考えられます。
そしてそれが高じると、肝に力がなくなってきて、血虚(血の気が足りない状態)になっていくものと思われます。
足の甲で、母指と示指の間に太衝穴(たいしょうけつ)という肝経のツボがあります。母指と示指の分かれ目のところですよ。
その部分を押してみましょう。肝経が傷んでいると痛みを感じるはずです。動画で示されているのは、1分強く押して5分優しくもむという方法です。私は血圧が高くないですが、ちょっと押すと痛みが出ます。ストレスあるのかなあ・・・。
ただ、本当に大切なことは怒りの原因を除くことです(当たり前ですね)。怒りが続くと治療効果もないのだそうです。怒りは物事を解決しないことを知りなさい、ということを動画の中で先生がおっしゃっています。
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2011年10月09日
なんでストレスは皮膚に出やすいのか?
ストレスは皮膚に出やすいという面がありますが、どうしてでしょう?
東洋医学では皮膚は肺に属します。体内のエネルギーが表に表出して物質化して今のわれわれの肉体が形作られていると考えられます。
ストレスは東洋医学的には肝で処理されます。ストレスが大きくなると肝の伸びやかさが傷害されてしまい、胃腸で吸収されたエネルギーが皮膚の末端まで運ばれなくなってしまいます。
ストレスが皮膚に出やすいのはこの点であろうと思います。
また、皮膚の状態が悪くなると、肺(皮膚)は肝(ストレス処理)を剋する(相剋関係)ため、肝の状態がますます悪くなり、さらに皮膚の状態に影響するかもしれません。
一方で、消化管との関わりも考えておく必要があります。
ストレスが胃に出やすいというのはご経験のある方もいらっしゃるのではないかと思います。
胃がむかむかして、胃酸がこみ上げてくる症状がでますね。お気楽な私でも経験がありますよ(笑)。
ストレスのエネルギーが大きくて肝で処理しきれなくなると、その影響は脾、すなわち消化器系にでてしまいます。消化吸収が悪くなるのですね。
そうすると、皮膚を十分に養うだけの栄養素が吸収されないということになってしまい、これもストレスが皮膚に出やすいひとつの要素になっているように思います。
また、ストレスから便秘になってしまうと、体の解毒力が損なわれ、皮膚経由で解毒しようと体は考えるので、皮膚面は荒れがひどくなってしまいます。
何だか、中医学と分子栄養学が合わさったような理論になってしまいましたが、私なりの解釈です。ご参考までに。
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2011年09月17日
朝の鼻水はどうしてでるの?
患者さんと話をしていて、ふと気づくことがあります。大きな発見とはいえずとも、腑に落ちることだと嬉しくなりますね。
昔から、鼻水のモーニングアタックと言って、朝に鼻水が大量に出る人がかなりいらっしゃいます。しかし実際にはどうしてなのか解明されていないのが現状なのです(たぶん)。
先日、アーユルヴェーダの講習を受けたときに、朝6時からカパ(動きの鈍い、重い水のような感じ)が優位になるので、朝は鼻水が出やすいのだ、とこの鼻水を初めて理論的に解説していただきました。
しかし、だったら、その人は朝6時以前のヴァータ(動きが素早く、落ち着きがない感じ)優位のときに起床すると朝の鼻水が出なくなるのでしょうか?誰かに試していただきたいものです。
この説明は良かったのですが、しかし腑には落ちていませんでした。
先日、患者さんが「寝ているときには具合が悪いんだよな」と言っているのを聞いて、むむむ~とちょっと考えがまとまってきました。
寝ているときには重力の影響を受けにくくなりますので、水は体を循環しやすくなるはずです。この水の循環を支える力は、中医学的には腎と脾(生命エネルギーと消化吸収力)にあるわけです。
腎と脾に問題がある場合に、水の循環が悪くなり、鼻水がでるのではないかと考えました。
また、その腎と脾の能力以上に水分が体に入った場合、尿となって体外に排泄されるのがほとんどとは思いますが、汗や鼻水としても排泄させることがあるように感じています。
鼻水のモーニングアタックを起こす人が増えているのは、過労により腎の力が衰えたり、美食により脾の力が衰えている人が多いからなのではないでしょうか?
これは自分なりには腑に落ちたのですが、みなさんはどうでしょう?
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2011年09月10日
腎虚への対応~いつも疲れている方へ
最近、身の回りに腎虚の方がとても増えているのが気になっています。
腎虚?ナンダソレ?という方もいらっしゃるでしょう。
腎は腎臓の腎ですが、中医学では人間の生命力を表現しています。もちろん虚=なくなった状態ですので、腎虚とは生命力の不足した状態といえます。
生命力は下丹田によって生み出されると考えられています。人間の肉体においては発電機のようなものですね。生殖能力ということも言えます。
最近、植物系男子が多いということをよく耳にしますが、腎虚の人が多いということと関連があるように思えて仕方がありません。
過労、睡眠不足、あるいは過度のが続くと腎の力、すなわち生命力が削られていきます。症状としては下半身の冷え、腰痛、めまい、耳鳴り、夜間頻尿が挙げられます。
元々の体質としてお子さんのときから腎虚ということもあり、最近では大人のように過労で腎虚になっているお子さんもかなりいらっしゃいます。お子さんの腎虚は分かりにくいのですが、人よりもよく寝る、大げさにびっくりする、頭からばかり汗をかく、というようなことを参考にして下さい。
私は過労の状態のときに風邪をひいて、一度すごく腰痛になったことがあります。そのときにはさすがに休養しなくてはいけないなと感じました。腎の状態を維持することは生命にとって重要なことですから。
さてさて。
腎虚への対応ですが、お子さんの場合には休息をしっかり取ることでかなり改善が図れますが、大人の場合にはどうしたらよいでしょうか?
基本は睡眠時間の確保と下半身の強化です。でもスポーツジムでいきなり筋トレをどんどんしたり、がんがん走り回るのは止めて下さい。回復に時間を要する体質なので、休息する時間が取れないと消耗する一方ですので。
ゆっくりした下半身の運動がお勧めです。歩く、あるいはたんとう功、立禅といったところでしょうか。立禅はyoutubeのサイトが多数あります。
ちょっと違う流派のようですが、こんなサイトもあります。
食事から変えたい、という方もいらっしゃるでしょうね。腎は黒に親和性がありますので、黒ゴマ、黒豆、いわしなどが良いようですね。
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2011年09月04日
この新薬は果たしてどうなのか・・?
新薬に関して感じたことがあるので、書いてみます。
この新薬はどうなのかな?と思ったのは、乾癬治療薬のことです。
乾癬は皮膚がどんどんはがれ落ちて赤くなり、痒みも強く治りにくい病気のひとつです。日本では増加傾向にあるとのことです。この乾癬に新薬が出たことで選択肢の幅は確かに広がりました。
今回の新薬はインターロイキン12と23を抑えるのが薬の主作用とのことです。乾癬は免疫が過剰になっている病気だから、その免役に関わる物質を抑えましょう、というのが新薬の作用なのですが・・・。
新聞記事にも大学教授が、免疫を抑える作用があるので、感染症などの副作用に注意し、安全な治療を目指すべき」とコメントしています。しかしこの薬を使いながら安全をどう確保するのでしょうか?
インターロイキン23のことはよく分かりませんが、12は腫瘍免役でもかなり中核をなす物質のはずです。それを抑えて病気が治ったと喜んでいて良いのでしょうか?本当に副作用が生じないと言えるのでしょうか?
確かに過剰になった免疫を抑えるのは易しいことではありません。医療現場では、根本治癒よりも明日の結果を求められることも少なくありませんので、こういう薬が全く役に立たないということではありません。
しかし、もっと根本にある「どうして免疫が過剰に活性化されているのか」という問題がなおざりにされているように思えて仕方がありません。しかもこういう薬に公費が投入されるのは如何なものかと考えてしまいます。
ステロイドホルモン剤で病気を抑えていると、それに伴う副作用がでてしまうので、このような新薬が開発されているのだと思います。しかし基本的な考え方が変わらないので、完全な治癒に向けた取り組みがかえって進まないのではないかと考えてしまいます。
まずはデトックスと歯科金属除去が大切なように感じられます。
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2011年08月19日
痛みがでたときに頭に入れておくべきこと
先週「不通則痛」(先週は即痛と書かれていましたね)のことを書きました。ものの流れが妨げられると痛みがでるということを表現した言葉です。
この季節にやたらと水を摂取すると、頭痛とくに後頭部から頚部にかけて頭痛がひどくなったり、副鼻腔炎がある人は頬の部分が痛くなりやすくなります。めまいになる人も少なくないですね。
もちろん熱中症のことがありますので、水分摂取は大切なのですが、過剰に水分を摂取することは控えたいものです。ストレスでも不通の状態になり易くなります。
さて。
ある漢方雑誌をみていたらこんな言葉がありました。「不栄則痛」です。つまり十分に栄養がいきわたらないところに痛みが生じるという言葉です。
まずは「不通則痛」の状態を解消させるべく努力をするわけですが、十分に通り道が確保されても、栄養不足により痛みが出る可能性があるということを言っているのでしょう。初めて聞きましたー。
特に月経期から月経後に下腹部が痛むような場合が該当するようです。月経により血分が失われ、一種の栄養不足状態になっているものと思われます。そのときに痛みが出るのはまさに「不栄則痛」であるというわけです。
漢方薬では十全大補湯とか人参養栄湯などの補剤(名称がいかにも補剤という感じが伝わりますか?)を使っていくのが基本と思います。
「不栄則痛」の状態を他にも考えてみましたが、あとは過激なダイエット時にどこかが痛くなるとか、過度の運動のときに食事摂取が十分でないなどの状態のときに痛みがでるということが考えられますね。
痛み止めでは対応できない痛みというのは決して少なくないので注意が必要だと思います。
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2011年08月13日
今年は水に関するトラブルが絶えません
今年は本当に水に関するトラブルが絶えません。猛暑に加えて節電なので、大量の水を飲む人が多いのか、めまい、頭痛、首の違和感など、水にちなんだ症状をたくさんの人が起こしています。
このような症状を水が原因だとは誰も思いません。水はたくさん飲んだ方が良いというテレビ番組もそれに拍車をかけます。
症状が取れなければ大きな病院に行くことになりますが、西洋医学にはこれらの症状に対応する薬があまりありません。めまいに対して時に利尿剤を使うことはありますが、その程度です。
頭痛があるので鎮痛剤を使うことになります。しかし元々水の循環が滞って痛みがでているのです。鎮痛剤で体温が下がってしまい、水が余計に動きにくくなり、痛みがさらに悪化することがあるのも覚えておく必要があります。
水を動かして痛みを除く方法はいくつもあるのですが、簡単なのは漢方薬ですね。五苓散などは有名で、かなりの医師が知っている処方かもしれません。
鍼も有効です。鍼は経絡上の詰まりを動かして通るようにすることができます。また邪魔している悪いエネルギーを除いて改善する場合もあるでしょう。
マッサージをしたり、温めたりするのも有効でしょう。マッサージの場合には、施術者がどの方向に水やエネルギーを流すべきか、明確に分かった上で行わなければなりません。
あとは、運動などで発汗させて、余分な水を捨てて水が流れやすくするとか、大量に水を摂取しないようにし、飲酒を控えるのも有効でしょう。
たかが水なのですが、水が原因と分かるまで時間がかかる場合があるので、注意が必要です。
2011年07月31日