びんろう子が何故、女神散に含まれているのか?
まったくの雑談です。
最近、九味びんろう湯(くみびんろうとう)という漢方薬を用いるようになりました。
ある先生がこういうお話をされていました。
この処方は一度飲みだすと、飲むととても体調が良くなるので、また処方して欲しいと言って戻ってくるとのことでした。
特に重要と思われる、びんろう子(びんろうじ)という生薬はどういうものなのかとても興味が湧きました。
消化液分泌促進、胃蠕動運動促進、腸内異常発酵軽減など、健胃整腸作用がまずは挙げられます。
次に逐水作用といって、水腫など水が溜まっているところに働いて、その水を処理するという作用があります。
そして最後に、殺三蟲といって条虫や回虫などを駆虫する効能があるのだそうです。
実は漢方エキス剤の中で、女神散(にょしんさん)という処方にこのびんろう子が含まれています。どうして含まれているのか、とても興味深いのですが、理由は分かりません。
気をめぐらし、気を降し、鬱を散じ、血熱をさまし、更年期の精神安定に寄与するのが女神散ですので、どうしてこの生薬が含まれているのか分かりません。とても興味深いですー。
結論は出ませんが、分かりましたらまた書きますね。
2012年02月19日
滋陰降火湯と滋陰至宝湯の比較~長引く咳への対応
しつこい咳の対応として新しい漢方薬を導入しました。滋陰至宝湯(じいんしほうとう)と言います。滋陰降火湯(じいんこうかとう)を従来は代用していたのですが、この考え方が誤りであることに、気づいたので導入を決めました。
これらの処方の名前は似ていますが、内容がかなり異なるのです(がーん)。
上級者の方はこちらのサイトが大変参考になります。ご覧下さい。
「滋陰」の意味は、「陰」は陰陽の陰ですので「水分」を表します。つまり水分を滋養するという意味です。その意味では両方ともに同じなのです。
しかし、滋陰至宝湯には疎肝作用といって、ストレスへ対応する内容の生薬が盛り込まれています。滋陰降火湯にはそういう作用はありません。
一方で水分を補う作用のある生薬は滋陰降火湯の方がたくさん入っていますし、血分についても同様です。
滋陰降火湯は水を補う作用が強いということもありますし、熱を奪う生薬も滋陰至宝湯よりも少し強力です。
そこで見えてきた両者の使い分けですが、滋陰至宝湯は長期間ストレスが続いて水分が失われて慢性的な咳になった人、ただし生命力の減退がない人が対象になるでしょう。つまりストレス自体は強くないのかもしれません。
滋陰降火湯を使うべき人は、恐らくは急激な負荷の増大により生命力にも影響が出るような人で、風邪を強くひくなどして体の急な変化に対応できず、渇きが強く、熱の残存もあるような人が対象になるのでしょう。
ポイントは滋陰降火湯だけに含まれる天門冬という生薬にあると思うのですが、この生薬が腎(生命力)にも効果が出ることと、熱を冷ます効果があることで、風邪の回復期に使用する意義があるのだと確認できました。天門冬はアスパラガスと近縁なのだそうです。これは初めて知りましたー。
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2012年02月12日
漢方薬は西洋薬と同じ対症療法なのか?
漢方薬は西洋薬と同じで対症療法ではないか?ということを言う人もいます。私はこれに敢えて反論してみようと思います。
漢方薬は実は、今の不足している点を補ったり、過剰な部分を捨てたり、冷えを温めたりしながら、バランスを取るということに主眼が置かれています。ということは、これぞ対症療法と言える部分もあるわけです。漢方は究極の対症療法であるといわれているわけですから。
確かに処方を続けていくだけであれば、西洋薬を使うのと同じことになってしまいます。これは気をつけなければならない点です。
いや、急性の病気の場合には、バランスだけ取って、あとは体にお任せするということで問題ありません。
でも慢性病のときに対症療法では困りますね?
効果の上がった漢方薬の効能を詳しくみていくと、実はおのずから、生活のなかで改善すべき内容が浮き上がってきます。これが西洋薬と大きく異なる漢方薬のとても良いところです。
生活の内容をしっかりと指導することで、その人の生活が改善され、理想的な流れとしては、漢方薬から離れてもらうのが最終目的地になります。
もっとも、最近は薬に依存して生活を変えることができず、余計に無理がいってしまう人がいるのも事実です。
病気を直すのは最終的には自分であるという自覚が持てるまで、処方が続いてしまうことになります。
私は漢方薬は生活指導をするのに、現状では最も有用なツールだと思っています。
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2012年02月05日
のどカラカラとインフルエンザ
11月30日の山陽新聞の記事から。
仙台市の庄司内科小児科医院の庄司院長が絶対湿度とインフルエンザ流行の関連を調べて掲載しているのだそうです。都道府県ごとにも関連が考察されていて大変興味深いです。
インフルエンザが乾燥している気候に広がりやすいことはご存知のことでしょう。重要なのは絶対湿度なのですね。同じ湿度でも冬に発症しやすいのはそのためだったのかと改めて考えさせられました。
それにしても、このデータは大変きれいで驚きます。絶対湿度が7~11g/m3を下回るとインフルエンザが流行してくるのが明確に見て取れます。
こういう風に、地道に自分の目でデータを収集される人を応援したいものですね。
また、お菓子のメーカーが発表している、のどカラカラ予報もまあ面白いという程度のものですが、ご紹介しておきます。ただ、真冬になるといつも、乾燥状態が続くだけなので、予報としてはどうかな?とは思います。
それと、お菓子メーカーですので、あくまでものどがカラカラなときには、のど飴をなめましょう、と伝えるのが目的のようです。
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2012年01月29日
諸薬の調和とは何なのか・・?~漢方臨床
通常使われる漢方処方にはたくさんの生薬が用いられていますが、いろんな処方に使われている生薬がいくつかあります。
生姜、大棗、甘草が代表的でしょう。
基本的には食べ物で、しょうが、なつめ、そして甘味料の原料である草です。
この3つあわせて『諸薬調和』などと説明されていて、分かったような分からないような感じで、気分が悪かったのです。説明になっていない!
最近、偶然2人の先生方から基本的な考え方を教えていただき、ナルホドと思ったので、忘れないように書いてみようと思います。ちょっとマニアックな内容ですので、初学者にはちょっと難しいかもしれません。
その1
生姜は陽の動きをつける生薬で、温めて気を動かす作用があります。一方で
大棗、甘草は体に水分を量的に補充する働きがあります。
一方は気、他方で水、つまり胃腸の周りで陰陽のバランスを取っているのだそうです。
これはとても納得の行く説明でした。
その2
確かに諸薬を調和しているのですが、主な作用は以下の通りです。
甘草はゆっくり効かせるために入れる
大棗は体液を増やす働きがある
生姜は気を巡らせて水をさばく作用がある
従って、逆に捉えるとこのようになります。
甘草は緊急性があるときには抜く
大棗は湿病(水分が原因の病気)のときには抜く
生姜は潤したいときには抜く
このようにして出し入れしながら漢方処方が作られているという説明でした。これも大いに納得でしたね。
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2012年01月22日
生活の中で紫蘇を役立てる~赤紫蘇と青紫蘇
紫蘇には赤いものと青いものがあります。違いがよく分からないので調べてみました。
赤紫蘇にはアントシアニンが、青紫蘇にはβカロテンが多く含まれており、その色の違いがあるというだけで、赤も青も本質的な違いはないようです。
ただ赤紫蘇は6~7月に出荷されるので、梅干やジュースにして用いられることが殆どです。青紫蘇は店頭でいつも見かけますが、旬の収穫時期は6~10月だそうです。
紫蘇が刺身のつまとして、解毒の効能があることはよく知られています。ほかにも多様な作用を持っているので分かる範囲でご紹介しておきます。
紫蘇に含まれるαリノレン酸やロズマリン酸がアレルギー症状を抑えてくれるので花粉症の季節には使えるかもしれません。
また鮮度が良ければ香りがあるため、気の巡りに良く作用します。ストレスで調子を落としている人には良いかも知れません。ただし温性なので、熱がある人や乾いている傾向のある人には好ましくないこともあります。
さらに発散性があるので、外邪(外から来るウイルスや花粉)に対して対抗する作用を持っています。ですので、風邪予防や花粉症の予防には良い作用を発揮するのではないでしょ?ビタミンCが多く含まれていることも、風邪の予防に役立つと思います。
カリウムやカルシウムも含みますので、血圧の高い方には良いでしょうし、鉄分は貧血の改善に役立つことでしょう。
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2012年01月14日
トマトときゅうりの食べ合わせについて
サラダによくある食べ合わせである、トマトときゅうりですが、ちょっと一緒に食べるのは問題があるようです。
ひとつは、共に冷性の食べ物であることですね。ハウス栽培での技術が向上したために、季節感がなくなってしまいそうですが、トマトもきゅうりも初夏が旬です。暑い季節には体を冷やす食べ物が旬を迎える・・・なんとよくできているのでしょう!
でもこの組み合わせが寒い時期のサラダに出てくることも珍しくありません。健康のため、とせっせとトマトときゅうりのサラダを食べてしまうと、冷えが強くなり体調を壊しかねません。ご注意を!
そしてもう一点、この組み合わせが良くないと言われている理由があります。それは、きゅうりに含まれるアスコルビナーゼが、トマトの豊富なビタミンCを破壊してしまうというものです。
学術書にもこのことは書かれていました。対処法としては、加熱するか、酢などの酸を加えてアスコルビナーゼを失活させること、と書かれていました。割と酸味のあるドレッシングをかけることも多いように思いますが、そこまで考えてのことなのでしょうか??
トマトと相性がよいのはアボガドだそうです。
トマトにはリコピンというカロチノイドがアボガドに溶けて吸収が良くなるからだそうです。
分子栄養学から考えると、このようなことになりますが、良い食材を食べ過ぎないように摂取していれば、問題はないのかもしれませんね。
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2012年01月05日
みかんについて考えること~スジは大切?
冬の味覚の代表格であるみかんが食べごろの季節になってきました。
みかんのスジ、ありますよねー?どうしていますか?
先日、みかんを食べていたときに、
「へえー、スジを取るんですね」と言われて、「・・???」。
何のことかよく分からなかったのですが、どうもこういうことのようです。
みかんの皮は橘皮(きっぴ)、または陳皮(ちんぴ)と呼ばれ、漢方処方の中でも代表的な理気(気をめぐらせる)作用のある生薬です。通常の漢方処方にも多く使われています。とくに胃腸の補強、痰の減少に役立ちます。
どうでも良いことですが、古いものほど上質で「陳皮」と呼ばれるのだそうです。いつ橘皮が陳皮になるのかは分かりません。あいまいなのだと思います。
さて、その橘皮ですが、実は細かく分けられるようなのです。
橘紅(きっこう)は橘皮外層の固い部分で、痰を乾かす作用が強いようです。
橘白(きっぱく)は橘皮内層の白い部分で、胃腸を整える作用が中心です。
橘絡(きつらく)は中の網の目状の線維管束で、通絡(気を流れやすくする)や、順気活血といって気が巡ることで、血も巡るようになるのが特徴です。
さて、みかんのスジは恐らく橘絡に該当するのでしょう。気の巡る作用がもったいないので、中身はスジをつけたまま食べました。
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2011年12月25日
こわ~い、薬品の話
先日アレルギーで来られた患者さんですが、薬品の汚染がかなりある様子だったのです。お仕事を伺うと美容師さんでした。美容師の方たちは1日中薬品に触れていますからね。
でもどうしてアレルギーになる美容師さんとならない美容師さんがいるのでしょうか?
今回の場合、この美容師さんには便秘があり、それで薬品の汚染が十分に体外に排出できなくなっていたことが要因のように感じられました。
さらに上流にさかのぼりますが、何で便秘になったのでしょう?
それは推測ですが、ストレスによりビタミンCが消費され、そのためにビタミンCが足りなくなってしまったことが要因のように思われました。
この患者さんの場合には、ビタミンCの補給と薬品の解毒でアレルギーを治療していくことになりました。
さて、私事ですが。
先日、洗剤が体についてしまったときに「おや?」と思いました。どうも、
呼吸が苦しくなるようなのです。他の洗剤で試してみたところ、それらは大丈夫なんですね。衣服とかについたままになっていると、大変なことになってしまう予感があります。どうぞすすぎにはご注意を!
そういえば、私の友人も歯磨き粉で同じようなことを言っていました。特定の歯磨き粉を使うと体調が悪くなるそうです。
こういう薬品類のことは他人事は考えず、できるだけ少量を使用する必要がありますし、環境への配慮も必要だと思いますね。
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2011年12月18日
冬至に小豆とかぼちゃの煮込みを食べる
寒い冬がやってきて、冬至の日を迎える前になりますね。昔から「冬至に小豆とかぼちゃの煮込みを食べると風邪を引かない」と言われてきました。どうしてなのでしょう?
かぼちゃは保存がきくのだそうですが、冬至までが限界であり、以後は栄養価が下がっていくのだそうです。もっとも昨今はいつでもかぼちゃが店頭に並んでいますから、あまり気になりませんけれども。
かぼちゃは栄養価が高いので気血を補う方向に働きます。また温性の食物なので冬に滞りがちな気血の循環を助けます。さらに食材自体に胃腸の働きを整える作用があります。解毒効果を謳っているサイトもありますが、これはかぼちゃの種の効能だと思います。
確かにかぼちゃを冬に食べることには一理ありそうですね。
小豆は利水消腫、つまり利尿を促して浮腫みを除くという作用が強いようです。それと、解毒排膿効果があるそうです。抗生物質を使いダメなら切開排膿と教えられている私には排膿効果は驚きがありました。
小豆の帰経(主に影響する経絡)が心と小腸というのも面白いですね。どちらも休みなく働き、表裏関係の臓腑ですね。利水効果も解毒効果もあまり心と小腸には関連性がないように感じられますが、何か関連があるのでしょう。
小豆を冬に食べるのは、冬に循環が悪くなり浮腫みやすくなったのを解消するためでしょうか。もしかすると、アントシアニン(赤い色の元)の抗酸化作用が何らかの作用をしているのかもしれませんね。
さて本題ですが、小豆とかぼちゃの煮込みを食べると風邪を引かないのは、主にはかぼちゃの作用であり、胃腸を整えて衛気(防御のエネルギー)が増すからでしょう。小豆はその気の循環を妨げないように作用しているものと思われます。
(おまけ)
かぼちゃをつかった美味しそうなデザートを見つけました。
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2011年12月10日