相対湿度の年次推移をみた衝撃

 先日、鼻アレルギーの講演を聞きました。

 7-8年前に横浜で聴講した演者の先生で、私の診療に大きな影響を与えた内容の講演でした。

 「鼻アレルギーの人が増えていることと、乾燥には関連があるのでは?」

 今回の講演で、年次相対湿度のグラフを見せていただいて衝撃を受けたので、私も自分で調べてみました。

 グラフも見つけました

 このグラフを見ていただくと分かるように、記録の残っている1876年以来、ずっと相対湿度は70%以上だったのです。

 初めて60%台になったのが1957年、初めて50%台になったのが2001年です。高度成長と共に湿度が低下していることが分かります。

 湿気を含まない西洋家屋の広がりもあり、乾燥はどんどん身近に迫っている印象があります。コンピュータもいたるところにありますが、1台1台が熱を産みますし、器械の保全のために乾燥させている事業所も多いはずです(うちのクリニックも、です)。

 これがいろんな病気の広がりを助長しているということもあり得る話ではないでしょうか?喘息も、アトピーも・・・。

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2007年09月15日

気管支炎患者が増加中!

 気管支炎の患者さんが急増しています。

 梅雨時にもいつも話しをすることですが、気管支炎が乾燥している冬の時期に起こりやすいと思っている人が多いはずです。

 確かにそういう気管支炎もあります。

 でも必ず、湿度が増してくると患者数が増加してきます。

 私の考えでは、呼吸によって逃げる水分が、通常はかなり気管から熱を奪っているのではないでしょうか。だから湿気が増して気管から熱が逃げにくくなると気管支炎が起こりやすくなる・・・。そんな気がしています。

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2007年09月09日

長く続く空咳の治療に関する私の考え

 空咳が続く、と訴える人が増加しています。

 世の中の大半(の医師)はアレルギーだ、と言って処理しています。

 まあ確かに、アレルギーの人は増加しているのでしょうし、それが原因と考えたいと言いたい医師の気持ちは分かります。血液検査をすると確かにアレルギーを示す値は上がっています。

 しかし私のように漢方薬を使用する医師が、患者さんの喉を潤してあげて、喉に潤いを保つための簡単な生活指導をすることで気管の被刺激性を下げ、つまり外からの刺激に敏感に反応しにくくし、かなりの患者さんが空咳から救われるのも事実です。

 気管が乾く原因は現代社会の中にたくさん存在しています。

 睡眠不足、暴飲暴食、濃い味の食事、ストレス、過労。そしてみなさんあまり意識していないことが多いかもしれませんが、一部の咳止め薬や一部の抗アレルギー薬も気管の乾きに一役かっているのです。

 アレルギーを抑えること、一方で気道の渇きを抑えること、どちらがより咳の治療の本質を衝いているのかを判断するのは、とても難しいです。

 あと忘れてはいけないのは飲酒の影響ですね。

 お酒を毎日飲んで、朝の喉の渇きが続くという人がいます。そういう方には飲酒量や飲酒機会を減らしていただいています。

 ちなみに、飲酒はタバコと違って癌にならないから飲んでいいのだ、という人もいますけれど、明らかにお酒が原因である癌も少なくありません。機会飲酒程度なら問題はありません。

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2007年09月09日

夏の猛暑と秋の気配

 8月は暑かったですね。西日本は残暑も厳しいようですが、関東以東はもう秋の気配がただよっています。

 気象庁のホームページで8月の猛暑を繰り返し記録した館林市を検索しました。すると、ナント猛暑日(気温35度以上)が21日あったのですね。熊谷市も猛暑日が19日あり、8月16日には40.9度の日本記録更新がありました。

 こんな暑かった夏だったので、本当は気持ちのよいはずの25度前後まで気温が下がると、急に寒くなったような感じがしてしまいます。体がついて行かず体調を崩される方も既に出てきています。

 気温の変化の大きいこれから10月初旬までは気温予想のチェックがいつも以上に必要だと思いますよ。

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2007年09月02日

そろそろ秋に備えましょう~易経の話

 まだまだ暑いですね。

 この季節は汗の量が多くなりますので、尿量が減少します。

 汗と尿は元々同じ吸収された水分で、それが汗と尿に振り分けられているのです。汗と尿によって体から出す毒が異なるようなので、この季節は尿を意識して出す、ということが必要になります。

 尿の排出が十分でないと、晩秋くらいに排出されなかった毒の影響がでるとのことです。

 体には12経絡(ツボの系統)があります。各月に悪くなりやすい経絡があるのでしょう。まだ易経を読み込んでいないので、このあたりはこれから研究します。

 あまり水をがばがば飲むと、胃にも心臓にも負担になりますから、涼しいところで少し多めに水分を摂るということになりましょう。

 しかしエアコンがいつも効いているところにいると、汗がでないために肺(皮膚は「肺」に含まれます)の病になるのかもしれません。これも昨今は要
 注意です。

 暑いけれど、尿量と発汗量のバランスも取らないといけないようです。あまり考えたことはありませんでしたが、そういう真理もあるのかもしれません。

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2007年08月25日

記録的猛暑と熱中症

 今年の夏の暑さは異常ですね。子どものころに山形県で40.8度が日本記録であることを習いましたが、この記録も破られてしまいました。熱中症の患者さんも多いようです。

 チーム森田の“天気で斬る”から

 高齢者は水分の枯渇により体を冷却する働きが失われることが問題であり、水分をこまめに摂取することが大切です。

 これに対して運動中の熱中症の場合、水分摂取不足は論外ですが、正常な発汗があっても、運動で生まれる熱量が多すぎる時、湿度が高くて汗が蒸発しない時には体温が下がらなくなってしまうので危険です。

 寝転んで本を読んでいても汗が出てきますが、そのかいた汗がいつまでも体から蒸発しないということは、結構あることのように感じます。

 また運動中は水分だけでなく、塩分も摂取しないと、数年前の私のように、ゴルフ場で意識が朦朧とする事態にもなりかねません。私はこのとき塩分のあるトマトジュースで具合が良くなりました。私はこれ以来ゴルフをしていません(笑)。

 環境省から熱中症保健指導マニュアルというものが出されています(10.4Mb)。分かりやすいと思います。
 
 東南アジアの暑い国では、人々は必ず日陰にいますし、日中の暑いときには人影がまばらになります。暑さに対する身のおき方を分かっているのでしょう。無理をしている人は見かけません。そういう意味で日本人はまだエアコンと根性に少し頼りすぎているのではないでしょうか?自然には逆らえない、ということを感じ取りましょう。

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2007年08月18日

季節感のない外来風景

 風邪も含めて、上気道炎の患者さんに対して、冬の間はいろいろ苦労して薬のあれこれを駆使して何とかしのいでいるものです。

 どうしても治りの悪い・・・例えば、子どもの中耳炎などもあるわけです。抗生物質もあまりたくさんは使いたくないという気持ちはあります。しかしどうにもならないときもあるわけで、薬を出し入れしながら何とか重症化は避けていきます。

 そして、春が来て梅雨が来て暑くなると、いつの間にか患者さんは来なくなっています。暖かくなって治ってしまうわけです。そういうとき、実感として「自然の力には勝てないなあ~」という気分になったものです。

 ところが・・・

 夏があまりに暑いし、クーラーをどんどんかける風潮も手伝って、夏なのに治りの悪い炎症の患者さんが増えています。

 風通しの悪い住居であるとか、治安の悪化や空気が悪くて窓が開けられないという事情もあるようです。

 しかしそれにしても、昔は冷房28度設定なんて言っていましたが、その設定では冷房が十分に効かないほどに猛暑です。温暖化は本当に深刻なのだと思い知らされます。

 冷房をつけたまま寝ているという家庭がとても増えているのも気になります。寝ている間に適温に調節することはできませんからね。さらに鼻の中が乾きすぎて鼻血を出している人も増えています。

 私は家の中では涼しい部屋で寝ています。昨日初めて寝るときに1時間冷房を使いましたが、基本的には冷房なしで、毎日夜中に1度汗まみれのシャツを着替えてつつ、寝ています。まあ我慢大会のようではありますが。

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2007年08月11日

十問歌~いまどきの問診

 珍しく調べ物があるので、大学図書館に行きました。

 昔は私のように資料をひいてはコピーをとって紙の束を持って歩くという人が多かったのですが、今の図書館は閑散としています。ネットでほとんどの資料が集まりますからね。そういう時代なのでしょう。

 そんな図書館にいると、関係のない本もちょっと開いてみたくなります。私自分が求めている資料とは違う号の「中医臨床」の古い本を見ていました。

 そんな中に「十問歌」というものが載っていました。問診の仕方です。

 一に寒熱、二に汗を問い、三に頭身(頭痛と身体痛)、四に便を問い、五に飲食、六に胸を問い、七八耳聾口渇ともに問い、九は旧病、十病因を問う。服薬した後、変化があるならこれを問い、婦女なら月経、遅速閉崩(閉経と異常出血)これまた問い、小児の麻疹天花(痘瘡)も忘れずこれを問う。

 医師は数字と影ばかりを頼りにして診察していることが多くなっていますが、こういうところに基本があるのだと私なりに反省しています(以前よりも良くはなっていると思うのですがー)。いまどきの問診はひどいことが多いですよね?こんなに問診をきちんと取られることはあまりないかもしれません。

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2007年08月05日

健康観なくして、病気の予防はできず

 大衆薬が「かぜの諸症状の緩和」といったように効能効果が漠然としているので、今後は「睡眠改善効果82.1%という医師の評価が得られました」というように情報充実を図り、市場の低迷を挽回しようとしている、という記事を読みました

 同記事には監督官庁の厚労省が、医療費抑制のために大衆薬を利用して大病を予防していくことを狙っているようです。

 狙うことはよいのですが、果たして本当に予防につながるのでしょうか?

 西洋薬の医薬品はには、予防を目的とした処方薬はありません。どれも症状を抑えていくものであると私は認識しています。

 そして、大衆薬はその西洋薬の弱いもの、あるいは明らかに副作用の弱い、あるいはほとんどないものが使われているわけです。

 薬の効果を評価しているのは、ほとんど西洋薬以外が使わない医師です。この状況の中で、予防的な効果が大衆薬に求められるのはムリでしょう。

 健康には健康観が必要です。つまり何をもって健康とするか、という視点が必要です。中医学では何事も行き過ぎない中庸の状態がより病気になりにくい状態であるという考えが基本になっています。

 西洋医学では、検査値と検査画像に異常がなければ健康であるという認識です。症状があって病院に行ったけれど、「検査では異常がありませんでした」と言われ、頭を捻りながら帰宅した人も読者の方の中にはいることでしょう。

 病気の予防とは、自分の考える健康状態に自分を近づけていくことです。その健康観が育つことなしに病気の予防を考えることはできないでしょう。

 「各々の健康観なくして、病気の予防はできず!」といったところです。

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2007年08月05日

胸脇苦満って知っていますか?

 最近、機会があり、さらに中医学を深く学んでおります。

 そんな中、また頭が混乱しているのが風邪のいろいろです。

 先日、いつも風邪でクリニックにいらっしゃる患者さんがいつもと違う症状で来られました。

 「なんだが胸が苦しい」

 よくよく聞いてみると、これは肋骨の縁に沿って苦しいのだと言います。

 「これは胸脇苦満といって、風邪のひとつの症状なのですよ」

 と教えてあげました。

 胸脇苦満の説明(もう少し掘り下げて欲しいけれど)
 
 胸脇苦満は(きょうきょうくまん)と読みます。風邪の終わりごろに出る症状なのです。お腹をへこませて、へこんだ一番上の部分と考えると良いでしょう。昔の漢方医が「この症状があれば小柴胡湯(しょうさいことう)をとにく飲ませろ」と言ったとか。それではダメなことも結構ありますが。

 この考え方を批判したページです。

 風邪の症状にもいろいろあります。いくら熱がなくても、咳がでなくても、頭が少しボーっとして、胸脇苦満だけがある、なんてこともあります。医師もあまり知らない、ということもありますが(苦笑)。

 もしかして、あの違和感は風邪だったのかな?なんて思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。

(続きも読んでください)

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

(さらに…)

2007年07月29日