病診連携
病診連携という言葉があります。
病院と診療所が連携して患者さんが重症化したら←、治ってきたら→、という感じで、患者さんに適切な施設で診察をしていただく、というものです。
当地で病診連携がうまくいっているか、というと否だと思っています。
それは何ででしょうか?
以前、私は逆の立場で病診連携を行っておりました。病院の耳鼻科主催で勉強会や懇親会をして、近隣の耳鼻科診療所が全て閉まるまで積極的に救急対応をしましたし、患者さんのやりとりは頻繁に行われておりました。病院医師と開業医の全員が顔見知りであり、病院に連携室なんてものはありませんでしたが、病診連携は上手くいっていたと思います。
現状は、いろんな病院の病診連携室から診療案内が来たり、外来担当表が来たり、紹介用紙が来たりするわけです。でもみんな病院の都合が良い様に囲い込みをするために、いろんな書類が送られてきているように感じてしまいます。
本来の連携は大きい病院の医師が開業医をまとめて、診療支援をしていく、というのが本来の姿なのではないでしょうか?どんな人が自分の患者さんの診察をするのか分からない、病診連携室まで責任者の名前もない、ということでは本当の連携など夢のまた夢、送られてきた書類は紙の無駄としか思えません。
今日は辛口コメントでした。
2005年09月13日
めまい
どうも台風のせいか、めまいの患者さんが激増しています。
気圧のせいだと言う人もいますが、東洋医学的には湿度のせいだろうと思っています。
ここのところムシムシします。暑くはなくなったけれど、その分湿度が高くなってなんだかいつまでも暮らしにくい気候です。
気象庁 | 昨日までのデータ(統計値)によると
平均現地気圧 平均海面気圧 平均気温 最高気温 最低気温 平均相対湿度 最小相対湿度
1日1012.0 1016.2 27.3 31.3 23.3 62 42
2日1010.7 1014.8 28.3 32.4 24.2 59 36
3日1009.2 1013.4 28.2 32.1 25.3 64 44
4日1009.7 1013.9 26.7 30.8 22.6 73 55
5日1011.0 1015.2 23.8 25.4 22.3 84 78
6日1010.1 1014.3 24.6 27.6 22.0 84 76
やはり現地気圧は変化がなく、気温が下がったのと、湿度が上がったことが要因だと思います。以前から最小相対湿度が高くなったときに発症しているように感じています。
ただ、めまいの場合には明らかにストレスが要因になっている人と、今回のように気象に関連して起こっている人の2通りを考えなくてはなりません。ただ、東洋医学的にはどちらも水毒であり、同じことです。
ストレス性の場合にはストレスを除くことが一番効果的です。一方、気象に関連がより強い人は、水をめぐらせる処方が有用だと感じています。
2005年09月08日
読者100人!おめでとう!!
私は7月からメールマガジンを書いている。
実践ロハス生活~これであなたも医者いらず~
まあ、本当に医者が不要になるのは困るのだが(苦笑)、そういうお手伝いは医師にしかできないだろうと考えて、身近の生活の話題を素の視点から考えている。
早期の対処法を指導するだけで、無駄に薬を消費しなくてすむ。
身になる生活指導をすることで、無駄に医療材料を消費しないですむ。
本当に効果のある薬を見抜くことで、投薬量を最小にすることができる。
ひいては健康面で自立することができれば、まさにこれはロハスである。
そう考えてメルマガの題を上のようにしたのである。
現実に読者を集めるのはとても大変なのです。どうかこのブログを読んだ人は読者になってください!このページにも登録口があります。もしも読者なら1日1人(ちょっと多いか・・?)巻き込んで下さい。みなさんよろしくお願いします!
でもとうとう100人か。嬉しいな。でもまだまだだな。
2005年09月06日
経穴(ツボ)
昨日から経穴を勉強し始めた。
日々メールマガジンに追われてすごしていたが、少しだけ余裕ができてきた。そこで選んだのはやはり東洋医学である。
ツボは今までほとんど知らない領域である。しかしこの本に出会ってから経穴について勉強してみようという気になってきた。
漢方医として、私は病をこう思う(中田薫、源草社、2005/08)
ちょっと専門家向けのようでもあるが、一般の人でも勉強すると手が届くくらいの内容である。これくらいの書籍が私の勉強にはちょうどいい。
少しだけかじっているアロマセラピーとつながる箇所を見つけたり、経穴も具体的に自分で試したり、結構楽しい部分が多い。
私に中医学を教えてくださった仙頭先生がおっしゃっていることだが、病気は常に変化しているので、それぞれに診て、考えて、それぞれに治療内容を考えていかなくてはならない。
そういう意味では、手持ちの駒がたくさんあるほうが圧倒的に有利である。だからアロマセラピーなのであり、だから今回の経穴の勉強なのである。
2005年09月06日
アレルギーっぽいんです
鼻水がでて、どうもアレルギーっぽいんです、という患者さんがいる。
「アレルギーっぽい」と思う根拠は希薄だと思うが、それにしてもアレルギーという言葉の威力はすごい。説明するときにアレルギーという言葉を使うと「やっぱりそうですか」なんて納得されてしまう。
先日、「いやああ、アレルギーっぽいいがらっぽさがあってー」なんて話を聞いたときにはひっくり返りそうになった。
でも、何でもアレルギーのせいにしてしまっていないだろうか?
現実に、最近のほとんどの鼻水患者さんが風邪の鼻水である。「抗アレルギー剤が効かないんですよ」と言いながら、それでもアレルギーと信じている患者さんが多いことには驚かされる。
風邪の初期とアレルギーの症状は確かに見分けがつきにくい。でも風邪で鼻水が出るのは初期のみなので、風邪の初期でないことが判明したら初めてアレルギーを疑い始めるのが診察の常道であると私は思っている。
血液検査が陽性だからといって、8月になったからといって、すぐにブタクサアレルギーだ!ということにはならないのである。医療者側にも血液検査偏重の傾向があるので、要注意であると思う。
2005年08月27日
陣内の覚書
以前から扁桃腺炎の患者さんが集中してきたり、ぱったり来なくなったりすることが不思議でした。今回も8月20日頃から扁桃腺にまつわる患者さんが増えています。
ウイルス性と思われる患者さんは風邪の季節に来ることは分かっています。問題は重症になりやすい細菌性の患者さんなのです。
ずっと分からなかったのだが、今回は気温が急に下がったあとなので・・・もしかして・・と思っている。
以前から3-5月に多い印象を持っていたが、気温が下がった日(実際に来院されるのはその2-3日後ですが)に注目していきたいと思っています。
関係ないですが、重傷の扁桃腺炎の患者さんに点滴をしようとしたら、抗生物質の期限が揃って切れたばかりでした。患者さんには大変申し訳ないことをしました。情けないです。
2005年08月27日
久々のブログ
いろいろ考え事をしたり、自分のポジションを変えたりしていたら時間が経ってしまいました。
私の原点は「気候と耳鼻科」にあるので今日は少しそこに戻ってみることにします。
ここのところ、耳(聴力)の具合が悪い人、めまいのする人が目立ちます。大体8月18から19日にかけてみなさん具合が悪いようです。
特に湿度との関連をずっと考えてきたのですが、今回に関しては何も変化がありません。ずっと平均相対湿度で60-70%くらいに落ち着いています。
うーん、何でなのか・・。
強いて変化を挙げるとすれば、17日まで最低気温が24度前後で割りと寝苦しくなかったのに18日以降は再び熱帯夜になっていて、寝不足が原因の一端になっているのかな?と考えています。
寝不足も大きな要因になっていると思っています。しかしなかなか診察しているときには思いつかないので、問診したりしなかったりで、みんなが寝不足になっていたかどうかは明確ではありません。
なかなか気象の様子はリアルタイムで分かるものではないので(不精なので?)、その場でしつこく寝不足かどうかを聞いてはいないですね。
寝不足のようなものは指摘しないと患者さんの口からは聞かれないものなので、原因として掴むのは少し大変です。
今日から難聴やめまいで来られた患者さんはしつこく聞かれることでしょう(笑)。
(さらに…)
2005年08月24日
子どもの難聴
会報「しぶやの学校保健」第69号より
テーマ「子どもを守る」
副題 「子どもの難聴」
新生児難聴の早期発見は、患児のその後の言語の発達のために欠かせないものです。近年、聴力検査機器類の発達してより早い時期に難聴を見つけられるようになってきました。一方で新生児難聴を早期に発見するための施策も近年組織的に行われるようになってきています。岡山県では県下の多くの医療機関にそのための検査機器類が導入され、それらの医療機関が連携して新生児難聴の早期発見に努めています。その結果、新生児難聴は6ヶ月以内に全体の約3分の2が見つけられるようになってきたとのことです。その後の治療や訓練の組織化も行われているようであり、このような流れが全国に広がっていくことを予感させます。また、検査に関する詳細や手術の問題点などについても学会において多施設間で論じられるようになってきており、良い方向性が見えてきているように実感しています。
新生児難聴が早期に発見されるようになった現在、残された課題は学会の講演でも取り上げられるようになりましたが、主に小児難聴の予防になると思います。新生児難聴の原因の多くは不明あるいは先天奇形なので現状では回避することは困難ですが、先天性風疹症候群や流行性耳下腺炎、髄膜炎のように感染症が原因になっている難聴に関してはワクチン接種などで回避できる部分があるように思います。また、新生児や乳児の感染症の際に、難聴にも配慮した薬剤を選択していくことも小児難聴の予防につながるでしょう。
今まで私は子どもの難聴を早期に発見して、それに対応していけばそれで良いと考えておりました。しかし私たちはそれが生じないように予防するための何らかの行動を取れるはずです。恐らくこれは小児難聴に限らないことであり、各種疾患の予防の推進が真に子どもを守るということなのかもしれません。
2005年08月10日
自分の健康は自分で守る~野生動物たちの健康管理に学ぶ
しぶやの学校保健 第68号
テーマ:自分の健康は自分で守る
副題 :野生動物たちの健康管理に学ぶ
野生動物は常に病気を回避しようと本能的に行動するという。一例を挙げると、野生動物にバイキングスタイルで食物を選ばせると栄養バランスの取れたメニューを選択すること、食物の種類が変化しても栄養やエネルギーをバランスよく摂りこむこと、昆虫でさえ摂りこむ糖質とアミノ酸の量を調節していること、どの植物が自分の健康や病気の回復に必要であるかを見分けることができること、などである。これは、実に残念なことに家畜や人間が文明社会に飼いならされているうちに失ってしまった本能なのだろう。
この素晴らしい本能を文明社会の中で失ってしまったわれわれ人間は、知恵を駆使して病気から逃れることを真剣に考えなければならないだろう。ただ現代社会は経済性が最優先であり、それがために誤った情報も氾濫している。一方で情報の誤りを的確に指摘できない学者や医師の数も、テレビに振り回される市民の数も、もはや無視できない状況である。いつからそうなってしまったのか分からないが、恐らく健康産業などという言葉が当たり前に聞かれるようになったあたりからであろうか、失った健康を高価な薬やサプリメントを購入すれば元に戻せるという安易な誤った考えが市民の間に蔓延するようになったことは大変に深刻な問題である。
そんな中で、自分の体を自分で守るために最も重要なのは、野生動物のように絶え間なく自分の健康に配慮した行動について学び、実践することである。そのために適切な教育が必要であることは論を待たない。子供たちは自分の体に対する興味を誰でも持っている。そんな子供たちの興味を伸ばしてやり、常に自分の健康に配慮できるという人材を育てる仕組みを構築することが急務ではなかろうか。
参考図書:動物たちの自然健康法(シンディ・エンジェル著、羽田節子訳;紀伊国屋書店)
2005年08月10日
(質問)減感作療法
減感作療法で注射をしている人から質問。
注射したときの腫れは、今後抵抗力がついてきたら小さく腫れにくくなるのでしょうか?
さて、私は即答できませんでした。
答えはコメントに載せるようにします。
2005年08月09日