九段クリニック分院の訪問記~最先端がん治療

 先日、午後に半日時間があったので、以前から一度訪れてみたかった、九段クリニック分院を訪問しました。

 ここでは、がん治療の最先端をみることができました。自分のがん組織の特徴を、体外で自分の免疫細胞に記憶させて、その免疫細胞を体に戻してがんを攻撃するという治療法です。

 効果(治癒率ではありません)が、各種がん全て含めて60%程度ということで、相当に効果が高いです。この免疫療法にビタミン点滴療法とか、キレーション療法などを組み合わせて治療効果を上げているとのことでした。

 プライベートがんバンクの考え方も最先端、という感じでした。

 大病院では医療保険の関係でできない治療法の数々です。 東京近郊の方でお困りの方は一度、相談してみては如何でしょう?

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2009年07月04日

(中医学)耳鳴について考える3~肝の異常

 耳鳴の講義を菅沼栄先生から受けました。菅沼先生のプロフィールとも言えるサイトを先週もご紹介しました。東洋学術出版社のサイトです。

 耳鳴治療は難しいものですが、基本的考え方を整理したいと考えています。先週は腎の異常についてお話しましたが、今週は肝の関わりについてです。

 ストレスや疲れは体の中のエネルギーをぐっと凝縮させます。するとそれは熱と化して火邪となり、肝胆の経絡にそって上昇し、耳を傷めるとされています。この結果が耳鳴や難聴なのです。

 熱が体を上りますから随伴症状としては、頭痛、顔面紅潮、イライラ、不眠と、のぼせのときのように頭の熱症状が数多く出ます。熱が上へ上へと行ってしまうので、熱が下に逃げる=通便もなくなり便秘しやすくなります。

 悪化する因子として大きいのは、ストレス、飲酒、疲れ、睡眠不足でしょう。前2者は熱が体内に生じます。後2者は熱を冷ますための体の水分(津液)が失われ、体内の火を消すことができないために症状が悪化するのです。

 治療の原則は清熱(熱を冷ます)と瀉肝(肝を下すこと)が中心になります。最も代表的な処方は、日本においては適応症でないのですが、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)です。熱を冷ます力が強いので、強いストレスの方には有効性が高いです。

 ただ、今の季節は湿気が多いので気の巡りが悪くなりがちで、竜胆瀉肝湯の効果が少し落ちることもあります。その場合には疎肝作用のある四逆散に理気効果のある香蘇散を加えるというやり方もあります。竜胆瀉肝湯に四逆散を加えることもあるそうです。ナルホド。

 急性期の耳鳴にはあまり効果はありませんが、よく使われる加味逍遥散にも疎肝作用と清熱作用がありますので、特に感情的、精神的要因から生じた耳鳴に少し長く投薬したい時に使うことがあります。

 耳鳴の漢方治療シリーズは如何だったでしょうか?

 なかなか難しい耳鳴治療ですが、原因が腎、脾、心、肝のどこにあるのかを見極めると、少し解決に近づけるのではないかと思います。

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2009年06月21日

強い過労のある人の風邪について

 風邪をひいているのに、忙しいのか、休めずに動いていて、とうとう熱を出すエネルギーまで失ってしまう人がいます。これは時々あることなのです。

 その後さらに弱ってしまい、エネルギーが枯渇して寝汗が数週間止まらずに当院を訪れる方が6月に入り4人いました。エネルギーがなくなっているのに微熱がでるからと、解熱剤を連続して使っている人が殆どです。

 ちなみにこの寝汗は、皮膚がもう水分を維持するだけのエネルギーを持っていないということを意味しています。かなり危機的状態だと思います。

 そしてどうして微熱が出るのか、これもとても重要なところです。

 この微熱は寝汗が出続けて体を冷ますことができず、ほてりが生じて出ている熱であり、体が邪気を退散させるために積極的に出している熱とは異なります。体の水分がなくなってきて出る熱で、虚熱(きょねつ)と言います。

 この虚熱の概念は西洋医学にはありません。恐らく西洋人は基本的に頑丈で体が大きいので、虚熱の状態になるほど消耗することは、日常ではないからだろうと想像しています。しかし日本人の場合には事情が異なります。

 解熱剤はエネルギーを削いで熱を下げる薬です。しかしこの場合の虚熱のように、エネルギーを使い果たし寝汗がで始めて既に1-2週間虚熱が続いている、というところで解熱剤を使ったらどうなるか、考えてみて下さい。エネルギーの枯渇を促進していることになるのです。危ないですよ。ホント。

 高熱ではないのですから、熱の行方を見守りながら安静にするだけの余裕が必要な気がします。熱の意味を正確に判断するためにも、この場合には解熱剤は避けていただきたいのです。

 市販の感冒薬なら大丈夫と思わないでください。解熱効果のある成分が少量含まれていることが殆どです。弱っているときにはそんな薬でも致命傷になることがあります。

 うちのクリニックでは温裏補陽(体の芯を温め、陽気を補う)剤で、止汗作用の強い黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を使用して切り抜けていただいています。こういうときに頼りになる処方です。

 症状の出方にもよりますが、黄耆建中湯だけ1-2週間使えば、だいたいは回復してきます。過労の方が多いようなので要注意です。

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2009年06月21日

【院長の独り言】~ 重金属蓄積の問題

 重金属の体への蓄積は主に、歯科金属とマグロなどの刺身からと考えます。歯科金属は、歯科の先生の中ではもちろん問題ないものと考えられています。でも金属の問題は、長期間かかってできる障害である可能性があるので、分かりにくい側面がありますし、また問題が生じてからでは、取り返しがつかないということも言えると思います。

 マグロにも水銀が蓄積すると言われていますが、現実に刺身を食べる量を減らすと障害が取れる人も中には見受けます。まだ少数ですが・・。

関連ブログはこちら

2009年06月14日

耳鳴について考える2~脾と心の異常

 耳鳴の講義を菅沼栄先生から受けました。菅沼先生のプロフィールとも言えるサイトを先週もご紹介しました。東洋学術出版社のサイトです。 

 耳鳴治療は難しいものですが、基本的考え方を整理したいと考えています。先週は腎の異常についてお話しましたが、今週は脾と心の関わりについてお話します。

 脾は消化吸収の働きを担いますが、脾の力が減少すると吸収したエネルギーが頭(心)に届かなくなり、耳の失調が起こるとされています。この状態は心血不足といわれる状態です。こういう人には活血法と昇陽(エネルギーを上(頭=心)に送る)が必要になると考えられます。

 脾の働きが悪いので、昇陽させることを重点的に考えるなら、代表的処方は補中益気湯だと思います。ただし、後で触れますが、痰湿が頭に生じて症状が出ている場合には、降濁しにくくなり、症状が悪化することもあります。

 活血については、以前にお話した認知症の活血法と同じように治療をしていきます。更年期の耳鳴などはここに含まれると予想できます。

 当帰芍薬散が使いやすいですが、積極的に活血したい場合には、冠元顆粒も考えてよいでしょう。

 逆に、頭で生じた老廃物を体に戻すのも脾の働きですが、この働きが弱ることでも耳の症状がでてしまいます。汚れた水が頭に溜まるという意味で痰湿(あるいは陰濁)が頭に溜まると表現します。この場合、降濁(汚れを頭から除く)が治療の基本になります。清暑益気湯(せいしょえっきとう)には黄柏(おうばく)という生薬が入っていて、その作用を生じます。痰湿を除くということを中心に考えるならば、温胆湯(うんたんとう)を考えます。 

 美食でも痰湿が全身に現れ、頭まで上昇してしまうことがあります。この場合にも降濁して治療しますが、入ったカロリー量が多いため、湿熱の状態になっているため、同時に清熱(熱を除く)する必要があります。食事の内容も少し考えるべきなのかもしれませんね。

 次回は肝にまつわる耳鳴について解説します。

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2009年06月07日

傷寒論について

 中国に傷寒論(しょうかんろん)という古典があります。風邪の漢方治療の総元締めのような本だという理解でおりましたが、解説書を読んでいると、治し損なった場合の対処方法も書いてあったり、いろんな可能性への配慮が滲み、とても面白いのです。古典は現代に合わないから読まない、という姿勢を今まで貫いてきたのですが(単なる不勉強ですが)、やはり謙虚に学ばないといけませんね。

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2009年05月24日

友人の急な入院で思うこと

 親しい友人にメールしたところ「昨日入院した」との返事・・・びっくりして、昼食抜きで見舞いに行きました。余談ですが、お見舞いの品は、吉村和敏さんの最新写真集です。このメルマガでもご紹介しましたね。

 いつも元気な友人は何度か入院歴があるようで、健康を過信するタイプのようです。無理がきくタイプの人は大抵、無理に無理を重ね、いつか体が悲鳴を上げてしまいます。

 体が弱い人が体を整えることはもちろんですが、無理がきく体の強い人も生活から整え、中庸を目指して健康管理することが大切でしょうね。メルマガや、ブログ、クリニックでの指導で、そのお手伝いができるよう頑張ります!

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2009年05月17日

健康のはずの私2~矢山クリニック見学と体験

 自分の病院を1日休診にして、佐賀市の矢山クリニックに行ってきました。

 矢山利彦先生は知る人ぞ知る、気と波動(同じもの?)を理論的に使って診療を行っている、その方面の第一人者の先生です。私も2ヶ月に1度、矢山先生の講習を受けています。

 メルマガ195号には天外司朗氏との対談本をご紹介しました。
 『いのちと気』 天外伺朗 矢山利彦(著)ビジネス社(2009/03)

 私はこの病院に入ったとき、ひとつ大きなことに気づきました。院内の気の流れです。空気がとても澄んでいました。気の流れの良いクリニックであることは木造のクリニックであることも原因なのでしょうけれど、職員さんたちの持っている気もあるでしょうし、シューマン波のでる機器類に原因があるのかもしれません。待合から廊下にかけての気の心地よいこと!

 そして、矢山先生の診察を一日拝見したのですが、その内容は置いておいて(20人くらい見学をさせていただきました)、私自身もどれだけ健康なのか診察していただきました。

 まず、別棟で30分間全身のデトックスをしていただき、そのときに出た汗で波動診断をしていただきました。すると・・・(驚)

 矢山先生によると「鉛はないけど、アルミニウムと水銀の蓄積が大量にある。あと、右肩から副鼻腔と左大腿部に潜在感染があって、今は症状は無いけれど、食事に十分に気をつけて、症状を生じないようにして!」とのことでした。

 指導内容の詳細は書きませんが、昨日のどこででも聞ける指導内容とは随分と違っていて、心に滲みました。食堂では、目指すべき食事の一例が実際に示されていて、これもおいしかった~。

 前日は高いお金を払って人間ドックを受けましたけれど、割引航空券を利用すると佐賀まで飛行機で往復して、治療を受けても金額は大して変わりません。未病を処理するという意味ではどちらも必要な体のチェックだと思っています。

 私の場合は佐賀に行くと診察の勉強もできますから、とてもオトクでした!

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2009年05月03日

健康のはずの私1~西洋医学的な健康診断

 自分の健康には自信があるのですが、一応チェックしておいた方が良いだろう、ということで、先週は2ヶ所(1ヶ所は想定外でしたが)の健康診断を受けました。

 片方では、「メタボ予備軍ですので、少し食事に気をつけられていれば、あとは全く申し上げることはありません。」というお墨付きをいただきました。ちなみに病院はS路加国際病院です。

 ところが翌日、思わぬ展開から、全く違う角度からの健康診断を受けました。その結果は惨憺たるものでした・・・。

 (続く)

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2009年05月03日

過労でよわった人の、寝汗のある風邪

 風邪で、ちょっと困ったなあ、と感じた患者さんがいました。それはこじれ方が尋常ではなかったということです。

 風邪が体表の防御を突破して体の芯に届いたときに体内(裏)からも熱が生まれます。過労などがあるとその熱の割に体温が上がらず、熱が裏にこもったようになります。

 こういう場合によくやるのは、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を使って、表裏の体温を上げて、裏の熱を表に誘導するということです。汗をすでにかいているときには、教科書的には桂枝湯(けいしとう)を用いて、発汗し過ぎで体液を失い過ぎないようにします。

 以前はそれでも麻黄附子細辛湯を使って、陽気をがんがん補っておりました。現代人は体力がありますし、患者さんが早く楽になりますので。

 ところが、先日拝見した患者さんは寝汗もかいておりました。

 数年前、それでも同じように治療したら、寝汗は増えるばかり、のども渇いてきて困ったことがありました。体液をたくさん喪失してしまったのです。

 昔の人は体力がありませんでしたから、この寝汗をたくさんかいて、喉が渇いてきた状態は死に直結したことと思います。現代なら、いざとなれば点滴をすれば切り抜けられるでしょうけれど。

 今回は、すでに過労で寒気、口渇、寝汗の症状がそろっていましたので、寝汗を止めつつ、体液を補い、体内の寒邪にも対応する黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を使ってみました。

 こういう状態は抗生物質では良くならないのです。

 さてさてどうなるかお楽しみ。

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2009年04月26日