エビデンスがなくても・・(その2)アンケート結果
最近の医療は、医師の裁量がなかなか認められず、革新的なアイデアが出にくい状況があります。患者さんからも科学的な確拠(エビデンス)を求められる時代です。
でも患者さんはエビデンスのあることだけを求めているのでしょうか?アンケートの対象は私のメルマガとブログ読者さんたちです。情報の正確性についてはご容赦下さいね。厳密な調査ではありませんから。
(問)あなたは入院を要する程度の病気になったとき、医師からどのような情報が欲しいと思いますか?(回答総数116票)
(結果)
エビデンスの確立した情報のみをもらいたい:7%
エビデンスが未確立でも、確からしい情報1~2個はもらいたい:11%
エビデンスが未確立でも、可能性のある数個の情報は知りたい:19%
エビデンスが未確立でも、可能な限りの情報を示してもらいたい:59%
そのときの主治医の考えに任せたい:2%
情報はあまり重要ではないと思う:3%
100通を超える投票のご協力をいただきましてありがとうございました。コメント(表現改変あり)もご紹介します。重ねてありがとうございます。
適当な選択肢がありません。医者との信頼関係ができるまで時間が必要で
す。信頼関係ができる前の医者に診察を受ける機会も多く、エビデンスの
確立していない情報を受けるのは怖いです。信頼関係が確立していれば、
エビデンス確立の有無は問題ではありません。(Nさん)
治療は合う合わないがあるので、本人の判断を重視して欲しい。(Uさん)
この結果は考えさせられます。医師はエビデンスのあること以外には興味がない、という人が多いですが、患者さんは自分の可能性についてとにかく知りたいという今回の結果を踏まえるとそればかりではいけないのかもしれません。主治医が多数の選択肢を持っていて、そして患者さんの前で示すものを決めるというのが理想かもしれません。
現在の医療制度では、たくさん患者さんを診察しなくてはいけないので、外来で十分に話をすることがなかなか難しいです。重大な決定をしたいときに、医師との十分な信頼関係が持てるのか?これは問題です。
いかに医師が選択肢を広げるための勉強をする時間を作るか?そして患者さんとの関係のためにどれだけ時間を割けるか、このあたりにこの問題のポイントがありそうです。
ほかにもご意見があればlohas@jjclinic.jpまでお願いします。
メルマガ「実践ロハス生活~これであなたも医者いらず」より
2007年11月11日
気管支炎に対する認識
先日、患者さんに面白いことを聞きました。
私が急性気管支炎と診断した患者さんがいるのですが、内科の先生に真っ向から否定されてしまったようです。
「気管支炎なのに熱がでないなんておかしいから、気管支炎ではない」と患者さんは言われたようです。
私は怒り心頭です。「気管が赤いのをファイバースコープで見たんだよ!」
私はそのときに怒る(心の中で、ですよ)と同時に、内科では気管を見る手段がないから、そう思うのも仕方ないのかもしれないなあ、と思っていました。
でも・・・(怒りの反省モード)。
よく考えると声門下喉頭炎が気管に広がったものだから、喉頭炎というべきなのかな、という疑問もあります。気管が左右に分かれるところまでいかないのですから、気管支には炎症がなくて、厳密には気管支炎ではないとも言えます。
しかしこの部位の炎症が風邪のあと続いていて、放置されていつまでも咳がでて苦しんでいる人もたくさんいるのです。ただ、内科では呼吸音が正常なので、気管支炎ではない、と診断を受けることになります。
じゃあ部位を正確に伝えるため、「気管炎です」と言うのも何だかおかしい感じです。だいたい気管炎などという医学用語は聞いたことがないです。やはり気管が赤いのみでも「気管支炎」と言ってしまう方が、患者さんにも伝わりやすいように感じます。やや正確さを欠きますが。
確認方法を教えておきましょう。両側鎖骨が中央でくびれていますが、その上までは気管が浅いので触れます。強く押すと苦しいので、軽く押してみて痛みがあるようなら「気管炎」と言えます。医師には気管支炎の対応をしてもらいましょう。
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2007年10月27日
インフルエンザのローカル感染状況について
東京、神奈川でローカルなインフルエンザ感染があるようですね。真夏から沖縄にずっと少数の患者さんが出ていたのも不思議でしたが、まだ寒くないいまどきにインフルエンザなんて変ですね。
都下には学級閉鎖があったという情報もありますよ。びっくりです。
(注:未確認情報です)
異常なのは気象だけでなく、病状も気候に合わせて変化していくものなのかもしれませんね。気をつけて見ていきます。
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2007年10月20日
秋の花粉症対策・・スギ花粉も!!?
早朝のテレビで秋にもスギ花粉症が起こることが放送されていました。秋の雑草の花粉症が起こることは大分認識されてきたように思いますが、スギ花粉も飛散することはあまり知られていません。
でも、実際にスギ花粉は少しですが飛散しています。誤差の範囲かもしれませんが、特にスギ花粉飛散量が多い地域では、5月初旬と同程度に飛散しているところもあるということは言えそうです。これは青梅地域の例です。
テレビではアレルギー反応を抑制する物質を含むつくし、わさびなどを食すると良いとか、断肉が良いというように言っていましたが、食事内容でアレルギー対策を考えるときには、あまり極端にならないように気をつけたいものです。
同じ放送で、ヨーガが良いのではないか?蒸気浴が良いのでは??と紹介されていました。これらにはそれなりの根拠がありそうです。生活の中に取り入れられる方は試してみると良いでしょう。
昨今は風邪をひいても「アレルギーになりました」と言って来られる方がとても多いですね。秋の花粉症はあまりひどい症状がでないことがほとんどですし、晴れた日、風の強い日に症状が出やすいです。一方で風邪のときには2-3日経過すると鼻症状は収まります。ご自分でもだいたいの判断はできると思いますよ。
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2007年10月14日
気管支炎患者が増加中!
気管支炎の患者さんが急増しています。
梅雨時にもいつも話しをすることですが、気管支炎が乾燥している冬の時期に起こりやすいと思っている人が多いはずです。
確かにそういう気管支炎もあります。
でも必ず、湿度が増してくると患者数が増加してきます。
私の考えでは、呼吸によって逃げる水分が、通常はかなり気管から熱を奪っているのではないでしょうか。だから湿気が増して気管から熱が逃げにくくなると気管支炎が起こりやすくなる・・・。そんな気がしています。
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2007年09月09日
長く続く空咳の治療に関する私の考え
空咳が続く、と訴える人が増加しています。
世の中の大半(の医師)はアレルギーだ、と言って処理しています。
まあ確かに、アレルギーの人は増加しているのでしょうし、それが原因と考えたいと言いたい医師の気持ちは分かります。血液検査をすると確かにアレルギーを示す値は上がっています。
しかし私のように漢方薬を使用する医師が、患者さんの喉を潤してあげて、喉に潤いを保つための簡単な生活指導をすることで気管の被刺激性を下げ、つまり外からの刺激に敏感に反応しにくくし、かなりの患者さんが空咳から救われるのも事実です。
気管が乾く原因は現代社会の中にたくさん存在しています。
睡眠不足、暴飲暴食、濃い味の食事、ストレス、過労。そしてみなさんあまり意識していないことが多いかもしれませんが、一部の咳止め薬や一部の抗アレルギー薬も気管の乾きに一役かっているのです。
アレルギーを抑えること、一方で気道の渇きを抑えること、どちらがより咳の治療の本質を衝いているのかを判断するのは、とても難しいです。
あと忘れてはいけないのは飲酒の影響ですね。
お酒を毎日飲んで、朝の喉の渇きが続くという人がいます。そういう方には飲酒量や飲酒機会を減らしていただいています。
ちなみに、飲酒はタバコと違って癌にならないから飲んでいいのだ、という人もいますけれど、明らかにお酒が原因である癌も少なくありません。機会飲酒程度なら問題はありません。
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2007年09月09日
そろそろ秋に備えましょう~易経の話
まだまだ暑いですね。
この季節は汗の量が多くなりますので、尿量が減少します。
汗と尿は元々同じ吸収された水分で、それが汗と尿に振り分けられているのです。汗と尿によって体から出す毒が異なるようなので、この季節は尿を意識して出す、ということが必要になります。
尿の排出が十分でないと、晩秋くらいに排出されなかった毒の影響がでるとのことです。
体には12経絡(ツボの系統)があります。各月に悪くなりやすい経絡があるのでしょう。まだ易経を読み込んでいないので、このあたりはこれから研究します。
あまり水をがばがば飲むと、胃にも心臓にも負担になりますから、涼しいところで少し多めに水分を摂るということになりましょう。
しかしエアコンがいつも効いているところにいると、汗がでないために肺(皮膚は「肺」に含まれます)の病になるのかもしれません。これも昨今は要
注意です。
暑いけれど、尿量と発汗量のバランスも取らないといけないようです。あまり考えたことはありませんでしたが、そういう真理もあるのかもしれません。
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2007年08月25日
健康観なくして、病気の予防はできず
大衆薬が「かぜの諸症状の緩和」といったように効能効果が漠然としているので、今後は「睡眠改善効果82.1%という医師の評価が得られました」というように情報充実を図り、市場の低迷を挽回しようとしている、という記事を読みました。
同記事には監督官庁の厚労省が、医療費抑制のために大衆薬を利用して大病を予防していくことを狙っているようです。
狙うことはよいのですが、果たして本当に予防につながるのでしょうか?
西洋薬の医薬品はには、予防を目的とした処方薬はありません。どれも症状を抑えていくものであると私は認識しています。
そして、大衆薬はその西洋薬の弱いもの、あるいは明らかに副作用の弱い、あるいはほとんどないものが使われているわけです。
薬の効果を評価しているのは、ほとんど西洋薬以外が使わない医師です。この状況の中で、予防的な効果が大衆薬に求められるのはムリでしょう。
健康には健康観が必要です。つまり何をもって健康とするか、という視点が必要です。中医学では何事も行き過ぎない中庸の状態がより病気になりにくい状態であるという考えが基本になっています。
西洋医学では、検査値と検査画像に異常がなければ健康であるという認識です。症状があって病院に行ったけれど、「検査では異常がありませんでした」と言われ、頭を捻りながら帰宅した人も読者の方の中にはいることでしょう。
病気の予防とは、自分の考える健康状態に自分を近づけていくことです。その健康観が育つことなしに病気の予防を考えることはできないでしょう。
「各々の健康観なくして、病気の予防はできず!」といったところです。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年08月05日
胸脇苦満って知っていますか?
最近、機会があり、さらに中医学を深く学んでおります。
そんな中、また頭が混乱しているのが風邪のいろいろです。
先日、いつも風邪でクリニックにいらっしゃる患者さんがいつもと違う症状で来られました。
「なんだが胸が苦しい」
よくよく聞いてみると、これは肋骨の縁に沿って苦しいのだと言います。
「これは胸脇苦満といって、風邪のひとつの症状なのですよ」
と教えてあげました。
胸脇苦満の説明(もう少し掘り下げて欲しいけれど)
胸脇苦満は(きょうきょうくまん)と読みます。風邪の終わりごろに出る症状なのです。お腹をへこませて、へこんだ一番上の部分と考えると良いでしょう。昔の漢方医が「この症状があれば小柴胡湯(しょうさいことう)をとにく飲ませろ」と言ったとか。それではダメなことも結構ありますが。
この考え方を批判したページです。
風邪の症状にもいろいろあります。いくら熱がなくても、咳がでなくても、頭が少しボーっとして、胸脇苦満だけがある、なんてこともあります。医師もあまり知らない、ということもありますが(苦笑)。
もしかして、あの違和感は風邪だったのかな?なんて思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。
(続きも読んでください)
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
(さらに…)
2007年07月29日
データよりも自分の感覚を磨きましょう!
以前に私が主催した「耳鼻科漢方懇話会」に名古屋から駆けつけてくれたHさんから面白い情報いただきました。ありがとうございます!
「アディポネクチン」という物質のことです。
アディポネクチンを体内で作れない動物は体重が増えにくく、脂肪も蓄積しにくいのだそうです。Hさんにはこういう人が冷え性になるのではないかというコメントもいただきました。
アディポネクチンは脂肪燃焼によるダイエット効果があるという情報が流れていたとか。ネット検索でも多数ヒットします。でも食欲増進や脂肪蓄積に寄与するというデータもあるのですね。
10年でデータの3分の1はくつがえる!
これは今日、私が教えていただいた言葉です。
脂肪燃焼というそれだけの面に捕らわれていると、ダイエットに良いような気がしてしまうものです。これはデータ主義に多く見られる現象で、ブラックボックスをこじあけて、見えるものだけを取り出して、全てが分かったような気になっているのです。
東洋医学の良いところは、ブラックボックスはそのままに、総体としてどういうことが起こるのかを見ている、というところです。結局何が起こっているのかを把握することが大切なのではないでしょうか?アディポネクチンだけを捕まえて、何だかよく分かった気になるなんて笑止千万です。
しかもデータが覆るということになりますと、大切なものは何か・・?
やはり自分の研ぎ澄まされた感覚、ということになりませんか?
このメルマガの主旨はその感覚を鍛えて、自力で持続的な健康を創造する、ということにあるのです。思い出していただけましたでしょうか?間隔を磨くための一助になればといつも考えております。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月15日