3度目の風邪

風邪の季節である。あまり風邪がなじまない気候のように思えるかもしれないが、朝の冷え込みで調子を崩している人も少なくない。何を着たら良いのか?と言いたくなるのも頷ける。4月の花粉症の時期よりも風邪の人が増えるため(あるいは学校健診の関係もあるか?)5月の方が忙しい。

そんな中、風邪を複数回ひいている人を多く見かける。本人はずっと同じ風邪を引きずっているつもりなのだが、前回は明らかに風邪の終わりかけだったのに、今回は風邪のひき始めになっている。先日、明確に3回続けて違う風邪をひいた人に出くわした。患者さんにきちんと通っていただいて、しかも良いタイミングでいらっしゃっていただき、しかも所見が分かりやすくないとそこまで診断をつけるのは難しい。

風邪も3度目になると患者さんも「もしかして」と感じているようで、理解が深まるごとに風邪の早期発見(予防まではいかないか・・?)に繋がると私は喜んでいる。ただ、3度目の始まりと2度目の終わりが重なったりして病態は複雑になるので、それぞれの症状がどこから来ているのかをより分けるだけでも結構な労力を要求される。より分けが終了すると全ての症状をカバーできる最小限の処方を考えることになるのである。

風邪だからと漫然と同じくすりをだらだら飲んでいたり、市販のくすりを訳もわからず飲んでみたりすることも多いと思うが、それではあまりに無駄が多い。それぞれの風邪の症状と状態にあったくすりを貰うべきであると思うがどうだろうか?

2005年05月13日

風邪のはじまりって?

1)花粉症があるので、抗ヒスタミン剤を内服している。それにしても眠い!ボーってしてしまう。だから風邪なんだか何なんだか分かりません。

2)忙しいので風邪の始まりは分かりません。気が抜けたら急に具合が悪くなったので来ました。

生じている事態は異なります(少し難しいです)が、どちらの場合にもただの風邪です。まずこれを明確にできないと、処方の内容が決められません。何日目で症状が出たのかを意識する必要があります。

2005年04月21日

風邪薬の使い方

風邪の治療に抗ヒスタミン剤や市販の風邪薬(以下、市販薬とする)を使用するのは一般的なことのようである。しかし、私はほとんど使用しない。何故か?

病初期には水様性鼻汁であるため、もしも市販薬を使うならこの時である。でもただでさえだるいこの時期に、もしも眠気が出たらさらに具合が悪くなりそうなのでやはり漢方薬で風邪を処理したいと私なら思う。

中期の鼻水は粘性が高くなる。この時には鼻汁の粘度が増すのは避けたいため、あまり市販薬は使用したくない時期である。粘膿性なら抗生物質が必要である。さらに後期になると口渇も現れるので、市販薬はさらに使用しにくくなる。この口渇の症状は結構見落とされている点であり、注意が必要だ。

もしも粘膿性の鼻汁が出ている中後期であるにも関わらず市販薬を使用すると、悪くすると、だるさが増し、鼻汁の粘度が増し、口渇が増すことになるのである。でも「喉が痛い」と明らかに風邪を意識できるのは残念ながら風邪の中後期なのである。病初期に使用すべきものであるということをメーカーはもっと周知すべきではないだろうか。  

2005年04月09日

花粉症で気になること2

花粉症でもうひとつ気になることがあった。「○○医院で渡された薬が効かない!」と言って多数の患者さんが訪れるのだけれど、「じゃあ何て言う薬をもらったの?」と聞くと答えられる人はほとんどいない。

なんでこんなことが起こるのか?といろいろ考えてみた。結論は、『花粉症に効く薬と効かない薬がある』という考え方に根幹があるのかな?と思った。つまり・・・

花粉症の薬の効き方は、
・薬の強さ
・本人の症状の強さ
・その日の花粉の量
に左右される。考えてみれば当たり前だが、世間では効果が出ない時には全て薬が悪者になってしまう。でも効果の悪い薬が出されているだけではないのです。

特にその日の花粉の量には注意を払いましょう。

2005年04月07日

花粉症で気になること

花粉症の患者さんを見ていてとても気になることがある。

ひとつは去年出なかったから治ったのだと思っていた、と発言する人が大変に多いことだ。私達は仕事で花粉症を扱うので、昨年は記録的に花粉飛散量が少なかったことを知っている。しかし患者さんは当然そんなことは知らないわけだ。

花粉症は病気ではない、という向きもあるが、重症の患者さんを診るにつけ、やはりこれは病気と認識せざるを得ない。病気であるという認識が広がればもう少し花粉の量に気を配るようにみんながなっていくのではないだろうか?

もうひとつは患者さんが花粉症はすぐに治せるはずである、と思っていることである。確かに鼻水やくしゃみは日常のものであるので、それを止めることは簡単であると考えられてもしかたがないが、それなりに用意周到に年初から対処しておくことが重要である。幸い今年は減感作療法を5-6月から始めたい、という患者さんが4-5人いらっしゃる。これは良い傾向であると思う。

簡単に治したいがためにステロイドホルモンを注射したり、レーザーで鼻を焼いたりという治療に安易に走るのはどうかと思っている。どちらも劇的によくなる治療ではあるのだが、どういう治療なのかよく考えてから受けるようにしていただきたい(私はどちらもやりません)。何でも一度は受け入れてしまうというのが日本人の悪いところであると思う。

そんな花粉症もだんだん終わりが近づいてきていて、ちょっとホッとする。

2005年04月05日

めまい、耳鳴り

少し空気が湿気を帯びてきたと思っていたら、めまいと耳鳴りの症状を訴える人が増えてきた。天気が悪いときに限ってそういう人が多く来院する。

東洋医学的にはめまいも耳鳴りも水毒である。水の調節がうまく行かないために、首から上の水分が過剰になり症状が出るという理屈である。

水の調節がうまく行かない人たちに2通りあることを従来より主張している(けれど誰も賛同はしてくれません(苦笑))。

ひとつは朝に具合が悪くなるパターンである。これは朝にむくんだりするのと同じで冷えが背景にあり、朝に体が温まるまで水の流れがスムーズに行かないために(恐らく神経の)むくみにより症状がでる。こういう場合には温めて水の流れを作ってやる必要が生じる。

もうひとつはストレスから気逆の状態になり首から上の水がうまく巡らない状況になり、症状が出てくる状態が考えられる。この特徴は午後、特に仕事が終わる夕方にかけて症状が出てくるのが特徴である。こういう場合には気を降ろしつつ水をめぐらせる治療が必要になってくる。

水を意識してたくさん飲んでいる人も少なくない。特に年をとった人に限って必要ないのに無理して水をたくさん飲む傾向にある。これはメディアの影響と思うが、全くナンセンスであると思う。必要なだけきちんと水分は摂取すれば良いのだ!こういう人たちがこの季節に上記のような症状で苦しむのである。

なかなか西洋医学とは相容れない考え方であるが、特に耳鳴りは西洋医学の治療が行き詰っているだけに、こういう東洋医学的見方が必要になっていると思う。どういう耳鳴りにも神経を回復させるために循環改善剤などを投与して、あとは観察のみ、というスタイルはあまりにさびしい感じがする。

2005年03月30日

花粉症

花粉症の患者さんが溢れている。

今日、駅から仕事場に至るまでにすれ違った70人のうちマスクをしていた人は自分を含めて7人。ゴーグルをしていたのは自分だけだった。

マスクをしている人が10%だが、これはすこし少ない印象である。花粉症の人は全国で人口の約20%なのでその半分が対策をしているとすればそんなものか・・・。

花粉を浴びるほどに症状が増強するということは案外知られていないが、それを考えると罹患していない人でも十分な予防対策を考える必要がある。

私は移動を8時以前、19時以降にしているが、これも(もともとそうなのだが)花粉対策の一環と考えている。

明日も相当量の花粉が飛ぶようである。屋外で遊ぶ予定のあるうちの子供たちには、発症はしていないがマスクとゴーグルを着用することを義務付けている。やりすぎという意見もあるが、花粉症になってしまってからでは遅いと思うので、子供たちには言い聞かせて着用させている。

花粉症も予防を真剣に考えるときが来ていると思うが、ひどい花粉症になってしまった人には減感作を勧めている。

2005年03月30日

めまい

めまいの中でも水によるめまいであると思われる方を時々診察する。2日続けて湿気の多い日になったためか、めまいの患者さんは多い。

その中でも、水のみを意識して行っている人が二人居られた。私の考えでは水は体が求めるだけ飲むのが正しい。意識して飲んだってその水がずっと血管内にとどまるはずはないし、サードスペースに逃げた水が冷えなどの多彩な症状の原因になる。めまいもそのひとつである。

耳鼻科なので口の中を見る機会が多いが、舌が腫れているひとには必ずと言って良いほど頭痛の症状がある。それとともにめまいがあることが時々ある。私はどこに行っても異常がないと言われる、というそういう患者さんに水を処理する漢方薬を用いている。さて、今回はどうなるだろうか?

みんな水はたくさん飲んだ方が良いと思っているようだが、それで良いのだろうか?水が容易に入手できない地方の人たちはそんなに不健康だろうか?血液がどろどろだからとか、糖尿病だからとか言う理由で水をがばがば飲むのはマスメディアが言っているように本当に正しいのだろうか??

2005年03月25日

花粉症

サルが花粉症になったということが報道される。動物なら花粉が来たことを本能的に感じて避けるだろうに、これは動物園のサルだけのことなのだろうか?(そうであって欲しい)

残念ながら人間は本能的に危険を察知できないため、花粉が飛んできても何も感じられない。目や鼻に症状が出てもこれが危険なことであるということはやはり感じない。

異論があるかもしれないが、
子どもは動物的なところが残っているはずだと私は思っている。成長は進化の歴史であるからだ。花粉が飛んで症状が出てきたら、自ら外では遊びたくない、と言いそうなものだ。しかし実際には何も気にしないで外で遊んでいて、花粉症もどんどんひどくなる。

こんなものなのかな?と思う。人間社会に生きているのだから初めから本能など初めから持っていないのか、動物園のサルのように初めは持っていた本能を捨ててしまったのか?

自分の健康を守るという本能はかくも頼りないものなのだろうか?花粉は例外なのか?

2005年03月23日

花粉症2

c089fd1b.jpg私は外出のとき常にゴーグルをかけてマスクをしている。今日からはとうとう帽子もかぶったりして、つるつるの服を着て、もうこれ以上ない花粉症対策をしているつもりである。

我が家ではみんながそんな調子なので、家族4人で外出すると大変に怪しい感じになる。ゴーグルとマスクの軍団が電車に乗ってわいわい・・・。でも4人のうち花粉症なのは1人だけである。実は私は花粉症ではない。

花粉を浴びるほどに症状の出るチャンスは増える。気象庁は2050年まで花粉は増え続けるといつか言っていると聞いた。なので、花粉を浴びないということが最も基本的なことだろうと思っている。

今日は公園の横を一人で通った。私は子供たちと借りた本を返すため図書館に行ったのだが、うちの子供たちは家で留守番である。家にいてくれたほうが花粉の心配がないので楽である。公園のお母さんたちはマスクをしていても子供たちは無防備に元気に遊んでいる。

誰かが親や子供たちに3月は公園で遊んではいけないと言わないといけないのではないだろうか?ちょっと言い過ぎかな?春めいてきて外で思い切り遊びたいのは分かるのだけれど、でも現状ではそれは危険だと私には思える。花粉を浴びるほどに症状が強くなるということをもっと皆に周知した方が良いと思うけれど。

2005年03月20日