海外新薬はの承認迅速化は朗報なのか?

 久しぶりに時事問題について語ってみます。

 4月19日の日経に「海外新薬 1年半で承認」という記事がありました。

 欧米で使われる薬が国内では使えないことを「ドラッグラグ」というそうで早く新薬を導入できることは朗報である、という記事でした。

 本当に朗報ですか・・?私は、また薬が増えるのか、という気持ちです。

 確かに海外にしかない薬の使用を待ち望んでいる人たちにとっては朗報でしょう。しかし昨今の新薬開発を見ていると、本当に必要があるのかどうか考えたくなってしまう薬がたくさんあるように感じます。例えば抗生物質でも、少し化学構造を変える事で販売される薬の何と多いことでしょう。

 こんな本もありますよ。古くて安くて効果が確実な薬を集めたリストです。まあこの本が全てを表しているとは思いませんが、参考にはなります。

 ★『世界のエッセンシャルドラッグ』★

 薬の効き方が違う、副作用が少ない。確かにいろいろ理由もあるでしょう。創薬の発展の過程として仕方のない部分もあるでしょう。

 ただ薬の種類が増えることにより、薬の在庫も必要になるし、クリニックの処方薬のリスト管理も大変です。紛らわしい名前の薬も増えて、間違いの元でもありますし、他院でどの薬が出ているのか、最近ではいちいち調べないと分からないことも多いです。

 厚労省は個々の状態に合わせたテーラーメイド医療を推進しているのかと思っていましたが、男女差も無視している現状の上に、人種差や国情まで無視してしまうのか・・?ちょっと批判的に考えてしまいます。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年04月21日

風邪vs花粉症 最終章

 今までずっと風邪と花粉症を見分けることに時間を費やしてきました。

 喉の赤み、脈の沈み、寒気の有無が風邪と判断する根拠でした。

 喉の赤みは鼻づまりによる口呼吸からも生じることがあると自分でも感じていましたから、そこは十分に注意して鑑別を進めていました。

 ところが・・・

 ある疑問が私の中に芽生えてしまいました。否定しても否定しきれないこの疑問を誰かに解いてもらわねば!そこで・・・

 私ははじめて東洋医学を習った浅岡俊之先生の講演を聴きに行きました。

 東京漢方入門講座

 そこで私は思いきって、浅岡先生に尋ねました。

 「もしかして東洋医学的には風邪も花粉症も同じものなのではないですか?」

 私にとっては今までの診療姿勢の完全な自己否定ですから、かなり思い切った質問なのです。しかし浅岡先生は事もなげに

 「そうだよ」

 とおっしゃいました。外からやってくる邪なものに対して体が反応している、その反応の仕方はどちらも変わらないのです。しかし、一時点で判断するから、どちらかのように見えてしまう、そういうことなのでしょう。

 私がいままで風邪と花粉症を必死により分けていたことは何だったのでしょうか?(苦笑)

 漢方の世界では病因の如何を問わないということなのでしょう。まあそりゃ、漢方薬は自分に働く薬ですから、体の状態こそが大切です。そうか!漢方薬を正しく出していればはずれはない、ということになりますね。

 今後も徒労に終わるかもしれませんが、風邪なのか、花粉症なのかという西洋医の視点をまだ持っておこうとは思っています。ただ、私の診断と治療は今後少し匙加減か変わるかもしれません。。。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年03月18日

耳あか取れた!

耳あかが取れた!と言っても、取れるのは当然です。

どう取れたのかというと、泣かずに取れたんです!

以前から診察していたお子さん2人がいました。時々耳あかを除きにいらっしゃっていたのですが、いつも怖がって泣いて泣いて大変でした。

私たちはなれているので泣いても取るものは取るわけです。しかしご両親としては、何でこんなに泣くのかしら・・と考えてしまうので、少しうつむき加減になるわけです。

私はこのご両親に言ったことを覚えています。

「ご両親が『必ず泣かなくなる日がくる』と信じることが大事です」

経験上、必ず子どもたちは泣かないで良いんだ、と気づく日がくるのです。その日までじっと私たちは待っていました。

そしてとうとうその日が来たのです。しかも2人とも同時に!

ご両親は我が子の成長ぶりにさぞうれしかったことでしょう。私たちも何だか嬉しくなってしまい、じーんとしてしまいました。

子どもたちの成長を間近で見ることはご両親の最高の贅沢です。私たちもそのおすそ分けを元気に変えて仕事をしています。

2005年11月22日

声を使う人の診察

今日は声を使う職業の人たちの診察が多かった。

こういう人たちには、声が出ない!なんてことが起こらないようにしなくてはならない。でも風邪はひくし、気管支炎は起こすし、気候は乾燥している。声には悪いことばかり。

しかも西洋医学に乾燥による病の概念がない?ので薬も西洋薬にはほとんどないのが現状だ。西洋は乾燥しているのが基本なので、それに対応する薬の開発などされないのだろう。したがってメイドインジャパンで乾燥した粘膜を潤し、しかも副作用の少ない薬剤を開発しないと多くの人は救われないだろう。

ただ私は乾燥に抗する潤性の漢方薬を手段としてもっているので、何とか対応できていると思う。声への対応は漢方薬なしではなかなか難しいように感じている。

2005年11月11日

嗅覚障害

においがしないという患者さんがいます。

においがしないと味がしない、風味がないので人生がつまらなくなります。

ところで、においの治療をしているといつも人間の身体はよくできている、
と思うことがあります。

必ず、悪い、くさいにおいから回復してくるのです。

患者さんは変なにおいばかりが回復してくるので、あまり嬉しくはないようです。

でも、動物として生きる上では、良いにおいは生殖、悪いにおいは避けることで
生存に繋がるのではないでしょうか?

まず生存、そして生殖、という順に大切なのですから、その順番で障害から回復
するというのは全く理にかなっていると言えます。

当たり前なのかもしれませんが、初めて気がつきました。

2005年11月01日

アレルギーっぽいんです

鼻水がでて、どうもアレルギーっぽいんです、という患者さんがいる。

「アレルギーっぽい」と思う根拠は希薄だと思うが、それにしてもアレルギーという言葉の威力はすごい。説明するときにアレルギーという言葉を使うと「やっぱりそうですか」なんて納得されてしまう。

先日、「いやああ、アレルギーっぽいいがらっぽさがあってー」なんて話を聞いたときにはひっくり返りそうになった。

でも、何でもアレルギーのせいにしてしまっていないだろうか?

現実に、最近のほとんどの鼻水患者さんが風邪の鼻水である。「抗アレルギー剤が効かないんですよ」と言いながら、それでもアレルギーと信じている患者さんが多いことには驚かされる。

風邪の初期とアレルギーの症状は確かに見分けがつきにくい。でも風邪で鼻水が出るのは初期のみなので、風邪の初期でないことが判明したら初めてアレルギーを疑い始めるのが診察の常道であると私は思っている。

血液検査が陽性だからといって、8月になったからといって、すぐにブタクサアレルギーだ!ということにはならないのである。医療者側にも血液検査偏重の傾向があるので、要注意であると思う。

2005年08月27日

補聴器外来あれこれ

私は補聴器専門外来を月に2回、予約のみでやらせていただいている。

先日面白いことがあった。

補聴器をつけたら自分の声が小さくなってしまい、同じく耳の遠いだんな様が困ってしまう、というものだった。

補聴器は聞こえ方だけ意識していれば良いと思っていたが、声の大きさの変化にも気を使わないといけないのか!

改めてこの器械の難しさを痛感した。

2005年08月07日

子供の夏休み

夏休みになるとお子さん達が家にいる時間が増えて、お母さん達が疲れてきますね。

夏ばての人が少し増えてきたように思います。

子ども達はいつもみんな元気です。

2005年07月29日

子どもの診察3

子どもが怒っても泣いても、笑って受容し続ける。

するとあるとき、子どもは自分が受け入れられていることに気づく。
ピタッと泣き止むその瞬間である。

これがたまらなく面白い。

何でこの人は怒り返さないの?という顔をしてきょとんとしている。

それを続けていくうちに鼻水を吸ったくらいでは泣かなくなるのである。

2005年07月16日

医療情報について

体のことについてはみんながいろんなことを知りたがっている。もちろん私もその一人だ。ホームページはそういう欲求を満たしてくれるツールのひとつと言える。

病気のことに関して、私のホームページの使い方は「あれれ、これは知らないぞ(忘れたぞ)」ということであたふたと調べることがほとんどだ。ホームページを見た時にその情報の有用性については何となく勘が働く。いくつかのホームページをみて、そのうちのひとつを熟読することで終わりになる。

でも、たいていの人は自分の症状で検索をかけてみることが多いのではないだろうか?そうするといろんな情報がランダムに自分の前に現れる。それを上から順番に読むことになり、「じゃあ自分の病気は何??」と混迷がかえって深くなることも多いのではないかと思う。

例えば「首が腫れた」というだけで、風邪から喉頭癌、果ては結核まで検索されてしまう。結局不安がつのるばかりで何も解決しないということになりかねない。

・・・さて何か妙案があるか?

残念ながらない。いくら情報が開示されてもそれはあくまでも確率上のことであり、診断確率を高めるのは結局医療従事者の経験によるのだと思う。さらに情報にうそや紛らわしい情報まで混じって伝わってくる以上、医師患者間の情報の非対称性はいつまでも解消されない。残念。

医療相談をメールでしている医師もいる。ただやはり不確実だし、結局「不安なら来て下さい」という結論になりそうなので、時間対効果が悪い感じがする。

私はこのブログ、そして今度創刊するはず(笑)のメルマガで感性を鍛えていただこうと思っている。

実践ロハス生活!~これであなたも医者いらず~
http://www.mag2.com/m/0000164378.html

予防こそ最大の防御。病気になったら諦めて受診する。これが私のオススメである。

2005年07月14日