風邪について古典を読み始めました!

 傷寒論(しょうかんろん)という中国の医学書の古典があります。張仲景(ちょうちゅうけい)という人が2~3世紀に記したとされています。

 医師にとっても傷寒論は読むのが大変な書物です。このたびその解説書を出版された先生が医師向けに20回(?)の講演会をやるようです。その中から面白いところを抜書きしてみようと思います。

 ★『傷寒論を読もう!』★
 高山宏世(著)、東洋学術出版社 (2008/05) 明らかに中級以上向けです

 (条文9)「太陽病解せんと欲す時は巳従り未の上に至る」
 『風邪の寒気がしている太陽病の時期は、人の体の陽気が高まる9時(巳の刻)から15時(未の刻)に治りやすい。』

 「天人合一」という言葉がありますが、自然と人のエネルギーの状態は共通であるということですね。太陽が上がって行く時期は、人の体もエネルギーが満ちてくるので、太陽経脈にある邪を体外に追い出し易いということでしょう。

 非科学的という批判もあるかもしれませんが、時刻によって出やすい症状があることは明らかです。

 ホメオパシーの教科書を見たことのある人は少ないかもしれませんが、例えば、太陽病と近いタイミングで使用することがありそうな「ベラドンナ」の使用時刻について見てみましょう。

 『全ての急性の発熱に使用する。全体的に午後3時に悪化する。発熱のピークは午後9時や午前8時になる傾向がある。』と書かれていました。やはり9時から15時には悪くならないですね。少し一致している印象です。

 そういえば、子どもが高熱を出すのが何故か夜中であるのも、太陽経脈の陽気の減少によるものなのかもしれませんね。

2008年06月21日

6月13日公開のサンプル原稿を読んで下さい!

 「ベストセラーを書こう!プロジェクト」のサンプル原稿をやっと書き上げ、疲労困憊です。みなさん、是非読んで下さいね。公開は6月22日までです。

 まあ25名中8名の本選に出場できると良いですが、書いたことで手元の情報がさらに充実し、これだけでも出場した甲斐があった感じがします。結果は天に任せます。ブログでもどんな反応があるのか楽しみにしています。

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2008年06月15日

寝てからの体温変化について

 みなさん、寝てからの体温の変化について考えたことがありますか?

 私も以前は知らなかったのです(苦笑)。

 7~8年前、我が家の小さな子どもたちが、どうしたら風邪をひかなくなるのか?と考えて、体温のことを調べたのが始まりでした。

 何の教科書で見たか忘れましたが、寝てから1~2時間は体温が0.5度程度(数値はあいまいです)上昇して、あとは朝までずっと下がっていくというのが自然の流れのようです。

 そのときの私の得た熱論は、寝ている子どもが汗まみれになっていても、自分が寝る前に全て着替えさせ、しかも少し厚めに着せれば、その後は汗をかいて体が冷えてしまうことはない、ということでした。

 ところで・・・

 昨日、よく知っている患者さんが、寝る前に咳がしつこく止まらない、ということを訴えてきました。

 私は経験のみから「寝る前には出るもんなんだよ」と乱暴に答えてしまいました(反省!)。するとその患者さんが言うのです。

 「寝る前の咳は体温のせいですかね?」

 これを聞いたときに、寝てからの体温変化のグラフが頭に浮かびました。確かに、体温の生理的変化に応じて咳が出ているのかもしれません。相手が生理的変化ですから、あまりいじり過ぎないようにこの咳に対応できると良いと思います。さて、どうしたら上手くいくかな?(まだ考え中)

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2008年06月07日

毎日の診療の中で少し最近気になること

 毎日の診療の中で少し最近気になることがあります。

 治癒までの期間をとにかく短く!と求められることが多くなったことです。非常に近視眼的な診察を求められます。熱が出たら解熱剤、咳がでたら鎮咳薬と症状を除くスピードを求められるのです。

 これはちょっと不本意だな、と思うことがあります。もっとすっきり治る方法があるのに、と残念に感じることも少なくありません。

 熱が出るのにはそれなりに意味があります。高熱がでているから重症とも思いません。数日続くこともあるかもしれないですが、理にかなっていれば、そのままにすることもあります。

 大切なことは、何故熱が出るに至ったのか、どうして咳がでているのか、ということなのです。それがきちんと理解できるものならば、その流れを止めないように薬は出していきたいと思うのです。

 もちろん、「明日、大切な○○だから、何とかして!」という切実な思いにはできるだけ対応しようと思います。でも流れを理解していただいた上で対応したいと思っています。

 風邪には必ず原因があります。それを毎回推測していかないと、二の足を踏むということになりますから、それをできるだけお伝えしているつもりです。そして最終的に皆さんが自分から健康を指向してくだされば、この上ない幸せです。

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2008年05月10日

最終目標は薬無用の診察ですね

 私の診察はただでさえ日常生活のあれこれにうるさい指導が入るのですが、さらにそれに磨きをかけて(笑)、薬を使わない治療を編み出すというのが私の目標です。

 救急医療では薬が必要なことはいうまでもありませんが、普段の診療では生活を見直すだけ、あるいは時間を待つだけ、で解決できることが少なくありません。そして一度崩れたバランスを元にもどすのが、本当に困難であることも日々実感します。

 まだ基本は西洋医学者ですので薬で治す診療ですが、いつか処方箋無用の診察ができたら良いと思っています。まだまだですけれど(笑)。

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2008年04月27日

今年の風邪の最大の特徴とは・・?(エネルギー医学)

 今年の冬の風邪の最大の特徴は何か・・?

 私が耳鼻科だからそう思うのかもしれませんが、中耳炎が多いことです。

 風邪をひいて子どもなら鼻水が垂れて次の日、大人なら3日くらい置いて、急に耳が痛くなってきます。しかもシャープな痛みです。

 へえ、そう??という声が聞こえてきそうですが、この中耳炎はエネルギーが体をたくさん上昇してこないと生じない中耳炎なのです。

 簡単に言うと、ハナタレから中耳炎になっているのではなく、風邪に対抗しようとする体のエネルギーが大きすぎて耳に集まってしまって、その結果として中耳炎が生じているのです。

 このエネルギーがどうして大きくなってしまっているのか、仮説を考えてみました。
 1)飽食の時代なので、反発するエネルギーを生みやすい
 2)ストレス、過労、睡眠不足により、エネルギーの抑えが効かない
 3)この冬が寒いので、風邪になったときにより大きな反発エネルギーがでている

 こういう中耳炎は元々5月に多いものなのです。体のエネルギーがどんどん生まれる季節です。中耳炎だけでなく、そのエネルギーが頭に上って五月病なんて状態も生まれます。

 でもそれが今年は1月に来ているのです。回りに耳が痛い人が増えていませんか??その人はどんな人でしょう?食べすぎ?睡眠不足?あるいは薄着の人でしょうか?

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2008年02月23日

季節感のない外来風景

 風邪も含めて、上気道炎の患者さんに対して、冬の間はいろいろ苦労して薬のあれこれを駆使して何とかしのいでいるものです。

 どうしても治りの悪い・・・例えば、子どもの中耳炎などもあるわけです。抗生物質もあまりたくさんは使いたくないという気持ちはあります。しかしどうにもならないときもあるわけで、薬を出し入れしながら何とか重症化は避けていきます。

 そして、春が来て梅雨が来て暑くなると、いつの間にか患者さんは来なくなっています。暖かくなって治ってしまうわけです。そういうとき、実感として「自然の力には勝てないなあ~」という気分になったものです。

 ところが・・・

 夏があまりに暑いし、クーラーをどんどんかける風潮も手伝って、夏なのに治りの悪い炎症の患者さんが増えています。

 風通しの悪い住居であるとか、治安の悪化や空気が悪くて窓が開けられないという事情もあるようです。

 しかしそれにしても、昔は冷房28度設定なんて言っていましたが、その設定では冷房が十分に効かないほどに猛暑です。温暖化は本当に深刻なのだと思い知らされます。

 冷房をつけたまま寝ているという家庭がとても増えているのも気になります。寝ている間に適温に調節することはできませんからね。さらに鼻の中が乾きすぎて鼻血を出している人も増えています。

 私は家の中では涼しい部屋で寝ています。昨日初めて寝るときに1時間冷房を使いましたが、基本的には冷房なしで、毎日夜中に1度汗まみれのシャツを着替えてつつ、寝ています。まあ我慢大会のようではありますが。

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2007年08月11日

十問歌~いまどきの問診

 珍しく調べ物があるので、大学図書館に行きました。

 昔は私のように資料をひいてはコピーをとって紙の束を持って歩くという人が多かったのですが、今の図書館は閑散としています。ネットでほとんどの資料が集まりますからね。そういう時代なのでしょう。

 そんな図書館にいると、関係のない本もちょっと開いてみたくなります。私自分が求めている資料とは違う号の「中医臨床」の古い本を見ていました。

 そんな中に「十問歌」というものが載っていました。問診の仕方です。

 一に寒熱、二に汗を問い、三に頭身(頭痛と身体痛)、四に便を問い、五に飲食、六に胸を問い、七八耳聾口渇ともに問い、九は旧病、十病因を問う。服薬した後、変化があるならこれを問い、婦女なら月経、遅速閉崩(閉経と異常出血)これまた問い、小児の麻疹天花(痘瘡)も忘れずこれを問う。

 医師は数字と影ばかりを頼りにして診察していることが多くなっていますが、こういうところに基本があるのだと私なりに反省しています(以前よりも良くはなっていると思うのですがー)。いまどきの問診はひどいことが多いですよね?こんなに問診をきちんと取られることはあまりないかもしれません。

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2007年08月05日

漢方よもやま話

 最近、診察する時に、東洋医学と西洋医学を両方使っているのに、パッと両方の処方が決まってしまうことがあります。

 そうすると、東洋医学的な処方に対する十分な同意が得られていないという状況が生じてきます。

 そもそも漢方薬は苦いこともあるので、飲めるのかどうかを確認する必要があります。

 飲めはするけれど、漢方薬なんて・・?効かないから飲みたくない、などという考え方の人もいらっしゃいます。

 漢方薬の働きの最も大切な点は、「中庸(ちゅうよう)」(全てにおいて適度である状態)です。患者さんにはそれを理解していただかないと、漢方薬を使って治ったという実感が持っていただけない場合も生じてきます。

 例えば、やたら元気な人が中庸になるように「気」を少し抑えるように処方したら、ご本人は「なんだかいつもよりも元気がでない」という不満をもつかもしれないということです。

 漢方薬の説明を暑さ寒さや渇き湿りで説明することは時間的には困難ですが、やはりそういうことをきちんと分かっていただけるような診察を心がけたいと思っています。

 医師の中には「漢方薬を使っているから」と、他の薬を処方しないという人がいたり、ひどいときには「そんな薬、何になるのだ」といくら何でも・・ということを言ってくる人もいます。

 自分もそうであったので、あまり他人のことは言えないのですが、「知らない」ということは治療の選択肢を狭くします。これは漢方薬を十分に使うようになると分かるのですけれどねー。

 本日はじめて、医師の集まりで東洋医学全般の話を少ししました。みなさん不思議なものを見るような目でこちらを見ていましたが、以前よりも大分受容されている感じがしました。これからも東洋医学を広めていきたいと思いました。

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2007年07月01日

風邪に関することなど~メールから

 アメリカ東海岸在住のFさんからのメールからです。

 風邪をひいても熱はあまり出ませんが、体質でしょうか?

 ≫風邪をひいても熱があまりでない方はいらっしゃいます。これが体調なの
 ≫か、体質なのか、これは難しい問題ですね。

 熱がでないので、会社を休むわけにはいきません。でも立っているのも辛いことがあります。熱があれば堂々と休めるのに、と感じることもしばしばです。我慢すべきかどうか考えてしまいました。

 ≫熱は悪い反応ではなく、生体がウイルスと戦っている状態と考えて下さい。
 ≫だから風邪をひいているのに熱が出ない状況は、むしろ悪い状況と考えた
 ≫方が良いです。従って、我慢はすべきではないです。休んだ方が良いです。

 注)疲れがひどくて熱がでない人が増えている印象です。疲れが影響して、体が熱を生む力がなくなっているようです。そういうときには、変な寒気が出ますので、要注意です。

 ≫まあしかし、ウイルスの側が弱くて熱が上がらないということもあるでしょ
 ≫うね。

 アメリカでは医療費が多くかかるので「医者いらず」になる必要があり、代替医療(Altanative Medicine)を利用するようになりました。以前のように外食中心の食事はしなくなりました。パンも自分で作ります。

 また、ハーブや漢方、ホメオパシー、フラワーエッセンスに至るまで身近に手に入るので、必要に応じて時々試しています。

 ゆっくり日ごろから体調を整えたり、自分の体調に即した情報を得ること大変有益です。

 注)ジャンクフードは外国から入ってきたものなのに、実は日本の方がそういう食事が氾濫しているのではないでしょうか?

 Fさん、ありがとうございました!

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2007年06月24日