健康と幸福について考える

 最近、「幸福のパラドックス」というものを知りました。
 
 私は人間が幸福になるために生きているのだと信じています。そのために、あくせく働いて収入を得て買い物をしたり、あるいは精神的に何かから満足を得て幸福を感じていますよね。

 精神的満足といっても、その何かを行う時間的余裕が必要です。この時間的余裕にも習い事であってもどこかに経済的裏づけが必要になりそうです。

 お金も必要としないし、習い事もしていないけど幸せという人もいるかもしれませんが、それはお坊さんのような方なのかもしれません。

 やはり通常はどこかに経済的裏づけが絡むように思います。

 でもお金を使っても確かに幸福と感じられないこともある気がします。この「幸福のパラドックス」というのは幸福を希求する私にはとても興味深いものです。

 断食療法の記述を読んで感じることですが、人間は渇望を満たされたときに幸福を強く感じるものなのだなと思います。断食後の最初の食事のことを、殆どの人が感動をもって書いているものですから。

 日々のある程度満たされた生活の中で幸福を感じるためには、自分で意識して幸福を感じることや、小さいことにでも感謝するように心がけることが必要なのかもしれません。

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2011年09月25日

なんでストレスは皮膚に出やすいのか?

 ストレスは皮膚に出やすいという面がありますが、どうしてでしょう?

 東洋医学では皮膚は肺に属します。体内のエネルギーが表に表出して物質化して今のわれわれの肉体が形作られていると考えられます。

 ストレスは東洋医学的には肝で処理されます。ストレスが大きくなると肝の伸びやかさが傷害されてしまい、胃腸で吸収されたエネルギーが皮膚の末端まで運ばれなくなってしまいます。

 ストレスが皮膚に出やすいのはこの点であろうと思います。

 また、皮膚の状態が悪くなると、肺(皮膚)は肝(ストレス処理)を剋する(相剋関係)ため、肝の状態がますます悪くなり、さらに皮膚の状態に影響するかもしれません。

 一方で、消化管との関わりも考えておく必要があります。

 ストレスが胃に出やすいというのはご経験のある方もいらっしゃるのではないかと思います。

 胃がむかむかして、胃酸がこみ上げてくる症状がでますね。お気楽な私でも経験がありますよ(笑)。

 ストレスのエネルギーが大きくて肝で処理しきれなくなると、その影響は脾、すなわち消化器系にでてしまいます。消化吸収が悪くなるのですね。

 そうすると、皮膚を十分に養うだけの栄養素が吸収されないということになってしまい、これもストレスが皮膚に出やすいひとつの要素になっているように思います。

 また、ストレスから便秘になってしまうと、体の解毒力が損なわれ、皮膚経由で解毒しようと体は考えるので、皮膚面は荒れがひどくなってしまいます。

 何だか、中医学と分子栄養学が合わさったような理論になってしまいましたが、私なりの解釈です。ご参考までに。

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2011年09月17日

朝の鼻水はどうしてでるの?

 患者さんと話をしていて、ふと気づくことがあります。大きな発見とはいえずとも、腑に落ちることだと嬉しくなりますね。

 昔から、鼻水のモーニングアタックと言って、朝に鼻水が大量に出る人がかなりいらっしゃいます。しかし実際にはどうしてなのか解明されていないのが現状なのです(たぶん)。

 先日、アーユルヴェーダの講習を受けたときに、朝6時からカパ(動きの鈍い、重い水のような感じ)が優位になるので、朝は鼻水が出やすいのだ、とこの鼻水を初めて理論的に解説していただきました。

 しかし、だったら、その人は朝6時以前のヴァータ(動きが素早く、落ち着きがない感じ)優位のときに起床すると朝の鼻水が出なくなるのでしょうか?誰かに試していただきたいものです。

 この説明は良かったのですが、しかし腑には落ちていませんでした。

 先日、患者さんが「寝ているときには具合が悪いんだよな」と言っているのを聞いて、むむむ~とちょっと考えがまとまってきました。

 寝ているときには重力の影響を受けにくくなりますので、水は体を循環しやすくなるはずです。この水の循環を支える力は、中医学的には腎と脾(生命エネルギーと消化吸収力)にあるわけです。

 腎と脾に問題がある場合に、水の循環が悪くなり、鼻水がでるのではないかと考えました。

 また、その腎と脾の能力以上に水分が体に入った場合、尿となって体外に排泄されるのがほとんどとは思いますが、汗や鼻水としても排泄させることがあるように感じています。

 鼻水のモーニングアタックを起こす人が増えているのは、過労により腎の力が衰えたり、美食により脾の力が衰えている人が多いからなのではないでしょうか?

 これは自分なりには腑に落ちたのですが、みなさんはどうでしょう?

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2011年09月10日

腎虚への対応~いつも疲れている方へ

 最近、身の回りに腎虚の方がとても増えているのが気になっています。

 腎虚?ナンダソレ?という方もいらっしゃるでしょう。

 腎は腎臓の腎ですが、中医学では人間の生命力を表現しています。もちろん虚=なくなった状態ですので、腎虚とは生命力の不足した状態といえます。

 生命力は下丹田によって生み出されると考えられています。人間の肉体においては発電機のようなものですね。生殖能力ということも言えます。

 最近、植物系男子が多いということをよく耳にしますが、腎虚の人が多いということと関連があるように思えて仕方がありません。

 過労、睡眠不足、あるいは過度のが続くと腎の力、すなわち生命力が削られていきます。症状としては下半身の冷え、腰痛、めまい、耳鳴り、夜間頻尿が挙げられます。

 元々の体質としてお子さんのときから腎虚ということもあり、最近では大人のように過労で腎虚になっているお子さんもかなりいらっしゃいます。お子さんの腎虚は分かりにくいのですが、人よりもよく寝る、大げさにびっくりする、頭からばかり汗をかく、というようなことを参考にして下さい。

 私は過労の状態のときに風邪をひいて、一度すごく腰痛になったことがあります。そのときにはさすがに休養しなくてはいけないなと感じました。腎の状態を維持することは生命にとって重要なことですから。
 
 さてさて。

 腎虚への対応ですが、お子さんの場合には休息をしっかり取ることでかなり改善が図れますが、大人の場合にはどうしたらよいでしょうか?

 基本は睡眠時間の確保と下半身の強化です。でもスポーツジムでいきなり筋トレをどんどんしたり、がんがん走り回るのは止めて下さい。回復に時間を要する体質なので、休息する時間が取れないと消耗する一方ですので。

 ゆっくりした下半身の運動がお勧めです。歩く、あるいはたんとう功、立禅といったところでしょうか。立禅はyoutubeのサイトが多数あります。
 

 ちょっと違う流派のようですが、こんなサイトもあります。
 
 食事から変えたい、という方もいらっしゃるでしょうね。腎は黒に親和性がありますので、黒ゴマ、黒豆、いわしなどが良いようですね。
 

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2011年09月04日

この新薬は果たしてどうなのか・・?

 新薬に関して感じたことがあるので、書いてみます。

 この新薬はどうなのかな?と思ったのは、乾癬治療薬のことです。

 乾癬は皮膚がどんどんはがれ落ちて赤くなり、痒みも強く治りにくい病気のひとつです。日本では増加傾向にあるとのことです。この乾癬に新薬が出たことで選択肢の幅は確かに広がりました。

 今回の新薬はインターロイキン12と23を抑えるのが薬の主作用とのことです。乾癬は免疫が過剰になっている病気だから、その免役に関わる物質を抑えましょう、というのが新薬の作用なのですが・・・。

 新聞記事にも大学教授が、免疫を抑える作用があるので、感染症などの副作用に注意し、安全な治療を目指すべき」とコメントしています。しかしこの薬を使いながら安全をどう確保するのでしょうか?

 インターロイキン23のことはよく分かりませんが、12は腫瘍免役でもかなり中核をなす物質のはずです。それを抑えて病気が治ったと喜んでいて良いのでしょうか?本当に副作用が生じないと言えるのでしょうか?

 確かに過剰になった免疫を抑えるのは易しいことではありません。医療現場では、根本治癒よりも明日の結果を求められることも少なくありませんので、こういう薬が全く役に立たないということではありません。

 しかし、もっと根本にある「どうして免疫が過剰に活性化されているのか」という問題がなおざりにされているように思えて仕方がありません。しかもこういう薬に公費が投入されるのは如何なものかと考えてしまいます。

 ステロイドホルモン剤で病気を抑えていると、それに伴う副作用がでてしまうので、このような新薬が開発されているのだと思います。しかし基本的な考え方が変わらないので、完全な治癒に向けた取り組みがかえって進まないのではないかと考えてしまいます。

 まずはデトックスと歯科金属除去が大切なように感じられます。

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2011年08月19日

痛みがでたときに頭に入れておくべきこと

 先週「不通則痛」(先週は即痛と書かれていましたね)のことを書きました。ものの流れが妨げられると痛みがでるということを表現した言葉です。

 この季節にやたらと水を摂取すると、頭痛とくに後頭部から頚部にかけて頭痛がひどくなったり、副鼻腔炎がある人は頬の部分が痛くなりやすくなります。めまいになる人も少なくないですね。

 もちろん熱中症のことがありますので、水分摂取は大切なのですが、過剰に水分を摂取することは控えたいものです。ストレスでも不通の状態になり易くなります。

 さて。

 ある漢方雑誌をみていたらこんな言葉がありました。「不栄則痛」です。つまり十分に栄養がいきわたらないところに痛みが生じるという言葉です。
 
 まずは「不通則痛」の状態を解消させるべく努力をするわけですが、十分に通り道が確保されても、栄養不足により痛みが出る可能性があるということを言っているのでしょう。初めて聞きましたー。

 特に月経期から月経後に下腹部が痛むような場合が該当するようです。月経により血分が失われ、一種の栄養不足状態になっているものと思われます。そのときに痛みが出るのはまさに「不栄則痛」であるというわけです。

 漢方薬では十全大補湯とか人参養栄湯などの補剤(名称がいかにも補剤という感じが伝わりますか?)を使っていくのが基本と思います。

 「不栄則痛」の状態を他にも考えてみましたが、あとは過激なダイエット時にどこかが痛くなるとか、過度の運動のときに食事摂取が十分でないなどの状態のときに痛みがでるということが考えられますね。

 痛み止めでは対応できない痛みというのは決して少なくないので注意が必要だと思います。

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2011年08月13日

夏ばてからくる諸症状について

 夏ばてからいろんな症状がでてくる人を見かけます。

 基本的には食欲がわかないため、あるいは夏ばてをしてしまったために免疫が低下して、今まで押さえ込んできた体内の感染症が再開してしまうという形が多いようです。

 具体的に例を挙げると、食事がいい加減になり、免疫が下がったためにおなかが痛くなってしまった人とか、頭を冷やしすぎて?頭部の免疫が下がり、頭痛が起きてしまった人などが挙げられます。

 困ったことに、病院でいくら詳細に調べても結論がでてきません。潜在感染という発想が西洋医学には乏しいからだと思います。ですので「夏ばてでしょう」とか、「歳ですね」と言われてしまうわけです。

 現実には、局所免疫が下がったところ、あるいは全身の免疫が下がったときには、その人の免疫的に弱い場所に症状が出るようです。

 気をつけないといけないことは、痛みがでるので、冷やしたい、あるいは、鎮痛剤を飲みたい、と思うかもしれませんが、冷やすと局所免疫が下がりますし、鎮痛剤は全身免疫を下げるので、どちらも不適切であるということです。

 もちろん熱中症などの対策は十分に必要ですが、打ち身などの外力でできた痛みでなければ、むしろ少し保温をするくらいのつもりでいる方が結果が良いと思います。

 以前にもご紹介しましたが「不通即痛」、すなわち、通りがわるくなると痛みがでるということもありますので、とくにこの季節は水分をやたらと摂取することは控えたいものです。もちろん熱中症にならないように気をつける必要はありますが。

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2011年08月06日

今年は水に関するトラブルが絶えません

 今年は本当に水に関するトラブルが絶えません。猛暑に加えて節電なので、大量の水を飲む人が多いのか、めまい、頭痛、首の違和感など、水にちなんだ症状をたくさんの人が起こしています。

 このような症状を水が原因だとは誰も思いません。水はたくさん飲んだ方が良いというテレビ番組もそれに拍車をかけます。

 症状が取れなければ大きな病院に行くことになりますが、西洋医学にはこれらの症状に対応する薬があまりありません。めまいに対して時に利尿剤を使うことはありますが、その程度です。

 頭痛があるので鎮痛剤を使うことになります。しかし元々水の循環が滞って痛みがでているのです。鎮痛剤で体温が下がってしまい、水が余計に動きにくくなり、痛みがさらに悪化することがあるのも覚えておく必要があります。

 水を動かして痛みを除く方法はいくつもあるのですが、簡単なのは漢方薬ですね。五苓散などは有名で、かなりの医師が知っている処方かもしれません。

 鍼も有効です。鍼は経絡上の詰まりを動かして通るようにすることができます。また邪魔している悪いエネルギーを除いて改善する場合もあるでしょう。

 マッサージをしたり、温めたりするのも有効でしょう。マッサージの場合には、施術者がどの方向に水やエネルギーを流すべきか、明確に分かった上で行わなければなりません。

 あとは、運動などで発汗させて、余分な水を捨てて水が流れやすくするとか、大量に水を摂取しないようにし、飲酒を控えるのも有効でしょう。

 たかが水なのですが、水が原因と分かるまで時間がかかる場合があるので、注意が必要です。

2011年07月31日

真夏のビールはおいしいけど控えめに

 私はお酒があまり飲めません。飲める人は冷たいビールをカブカブという季節ですが、気をつけるべきことがあります。

 ひとつは水の摂り過ぎ。

 水はたくさん摂る方が良いと信じている人があまりに多くて困ります。摂らないのは熱中症などの問題が生じる可能性がありますが、摂り過ぎの害をいう人が誰もいないので私が話します。

 まあ確かにたくさん飲みましょう!というと売れるものもありましょう。適量飲みましょう、と言っても経済効果はないのですから、そんなことを言う人はいない訳です。

 以前にも話したことがありますが、不通則痛という言葉が中国にはあります。「通じず、すなわち痛む」・・つまり、通りが悪くなると痛みが出ますよ、という意味です。

 水がたくさん体に入ってきても全て処理できるとは限りません。実際に若い人でも水の影響を受けて、ふらつきや鼻水で来院されるケースが少なくありません。水を循環させるような漢方薬をだして、少し水分を制限するように話をします。

 二つ目はビールが熱になることです。

 酒類はみな熱の要素を持っています。これにストレスや暑い夏であることなど、熱の要素がさらに加わる可能性があります。すると、器械と同じように頭がオーバーヒートしてしまいます。

 やたらと頭から汗をかいたり、ボーっとしたり、寝られないとか、ひどいとうわごとを言ったりということになります。調子がくるって鼻水もでることがあります。水のときとは別の形のふらつきとか、軽い難聴になる人もいます。

 特にストレスを酒で発散しようとすると、熱の要素が加わるので健康にはあまりよくありません。暑い夏が続きますので飲みたいところですが、逆にビールはかなり控え目にされた方が良いでしょう。

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2011年07月23日

お子さんたちの休息について~腎陰虚

 最近のお子さんたちは、本当に忙しそうです。

 習い事を複数抱えていて、それをこなすのに懸命なお子さんとか、半端でない運動量をこなしている、プロスポーツ選手の卵のようなお子さんもいらっしゃいます。

 少子化の影響なのか、親も子どもたちに多くを学ばせたいという気持ちが明確ですし、スポーツの世界でも小さいころから親しんでいるスポーツでないと一流になれないという現実もあります。

 しかし、この暑い季節になって少し分かってきた事があります。

 お子さんたちは、興味のあることなので、体力的に無理でも、どんどん吸収しようとして予定をこなしてしまいます。結果として、腎の力(生命力?)を削ってしまうということがあるようです。

 まずお子さんをよく観察しましょう。

 たくさん寝ないと動けない、あるいはキレてしまう、というお子さん、頭から汗を異常なほどにかくお子さん、何かをすると「疲れた」を連発するお子さん、足が冷たいお子さん、これらのお子さんたちは腎の力が弱いことが予想されます。

 腎の力が元々弱い場合、あるいは過労により弱っている場合、足が冷たくなれば腎陽虚、頭の熱いのが目立つ場合には腎陰虚と言います。お子さんは後者の腎陰虚が多いです。

 腎陰虚は体の中の熱が上がってのぼせてしまうのを、自分の力では抑えきれない状態です。この季節は暑くて普通でものぼせやすいのですから、腎陰虚のお子さんたちには辛い時期だと思います。

 一番重要なのは睡眠時間です。運動した分だけは余計に寝るようにします。よく聞かれますが、通常の睡眠は何時間か、という常識論は全く役に立ちません。お子さんをよく見て、十分に睡眠が取れているかどうかを目で見て判断するように心がけていただきたいのです。

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2011年07月17日