五行の解説3(保存版(笑))~心について1
10月25日に受講した「次のステップを目指す中医学講座」のノートから内容をご紹介しています。講義は下谷武志先生。文責は陣内です。あまりに一度の内容が多すぎるので、今回から一臓器あたり2回の解説としますね。
五行説は木火土金水(もっかどこんすい)の順番で生じるという、世の中の原理を表しています。木から火が生まれ、火で燃えて灰→土になり、土の中に金属が生まれ、金が鉱脈となり水が生じ、水は木を育てる、という輪廻の思想です。
一日の朝昼晩も、人間の一生も、考えてみれば、みんな五行で例えることができます。「心」が例えられる夏の充実しきった状態は、シドニーオリンピックのときの高橋尚子選手に例えられます。完全な充実ぶりなので、気負いが必要ない。優勝すべくして優勝。しかし、あとには下り坂が待っていて、引退を意識せざるを得ない状況に囲まれます。盛者必衰とでも言えましょうか。
この絶頂期の飾らない状態を描く画家として、下谷先生はマティスを挙げておられました。確かに気負いのない華やかさが、いかにも「心」を感じさせます。
(2004年のマティス展(国立西洋美術館)行きたかったな)
楽曲としては「venus」が取り上げられました。
映像でも火が出てきますし、燃えるようなエネルギーを感じます。少し力が入りすぎかなとも思います。
どちらかというと、私は少し力の抜けたマティスの絵のようなイメージの方が「心」としてしっくりきます。
続きはまた来週!
2008年11月15日
五行の解説2(保存版(笑))~肝について
10月25日に受講した「次のステップを目指す中医学講座」のノートから内容をご紹介しています。
五行説は木火土金水(もっかどこんすい)の順番で生じるという、世の中の原理を表しています。木から火が生まれ、火で燃えて灰→土になり、土の中に金属が生まれ、金が鉱脈となり水が生じ、水は木を育てる、という輪廻の思想です。
一日の朝昼晩も、人間の一生も、考えてみれば、みんな五行で例えることができます。「肝」が例えられる春の伸び行く木々の様子は、青年期の少年少女が成長する様であり、二軍から初めて一軍登録されたプロ野球選手の様であり、健全に急成長する新興企業のようです。
このドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」を見て下さい。
民衆の死してなお自由を勝ち取ろうという力強さ、勢いは「肝」そのものです。そしてこの「肝」は実は、その勢いを止められると、そのエネルギーを自分で処理することができません。
浜田省吾「MONEY」 歌詞 楽曲
その止められたエネルギーは熱に変化します。自分の行為を咎められた若者が怒るのは、その熱に相当します。その熱をこの楽曲で感じることができます。金のない現実に昇華させられない自分の欲求ということでしょう。
自分の勢いをせき止める、つまりこれはストレスの存在を意味します。ストレスを「肝」は何とか処理しようとします(疎泄機能と言います)。しかし、過度のストレスは最終的には「肝」を傷めてしまいます。最近、ストレスの影響が体に感じられる人がとても多いです。
健康を守るためには、どのくらいストレスが体に影響を与えているか。これを病気が発症する前に知ることが大切です。私は脈が弦のようにピーンと張っていると、将来ストレスによる影響が体に出そうだと判断しています。
さて、「肝」の本質の話に戻ります。がむしゃらに伸びていく「肝」ですが、伸びていく中で自我の目覚めが生じ、他者との関係が意識されるようになります。その中で最も嫌なものは権威、既成概念です。
次週以後に出てきますが、既成概念は完成品としての「肺」を意味しています。「肺(金)」の力が強くなり過ぎると「肝(木)」の力は弱くなります。これを金克木と言います。木は金属に切られてしまう、と考えると分かりやすいですね。
大切なことは、体も社会も宇宙も、五行の相互のバランスで成り立っているということです。アーユルベーダですと、空、風、火、水、土の五大要素ということになりますが、これは切り口の相違だけだろうと私は考えます。要は複数要素の相互バランスであるという認識が大切でしょう。
だいたい「肝」のイメージを持っていただけましたでしょうか?
次週は「心」についてお話します。
2008年11月08日
五行の解説1(保存版(笑))~腎について
五行説は木火土金水(もっかどこんすい)の順番で生じるという、世の中の原理を表しています。木から火が生まれ、火で燃えて灰→土になり、土の中に金属が生まれ、金が鉱脈となり水が生じ、水は木を育てる、という輪廻の思想です。
一日の朝昼晩も、人間の一生も、考えてみれば、みんな五行で例えることができます。「水」で表現される夜明けは、初めて光を見る人間の誕生のようです。そして引きこもりつつ少し表の光を見て歌う中島みゆきの楽曲も、闇を描く画家であるレンブラントも、みんな闇の中の光を表現していて、水の性質を持っていると言えます。この「水」の性質は体の器官では「腎」を示しています。
私はこの説明を聞いた講義の最初の30分で、芸術にまで入り込んでいる五行は、間違いなく諸事万物の根本であると確信しました。
たぶん中島みゆきの歌は、引きこもりの人には心地よく感じられるのではないでしょうか?(どうですか?)
「腎」は腎臓と言ってしまうと、ただの一臓器ということになってしまいますが、東洋医学では「腎」=生命力であり、砕けて言うと、「腎」は体の強さを表していると言えましょう。
私が時々メルマガで「腎虚」という言葉を使いますが、これは生命力の不足を意味しています。元々腎虚は、生まれつき虚弱な方の場合と老化で力がない場合がほとんどで、中年の方たちには縁のないものでしたが、最近は慢性疲労により「腎」が枯渇して、体力を失い、風邪をひき易いなどの症状を訴える人が多くなっています。
「腎」のもつエネルギーは「腎精」と言いますが、これを誰もがたくさん持って生まれ、段々に消耗し、高齢者になると枯渇してくる。これが人の一生と「腎」の関係です。だから高齢者は皆、「腎虚」の傾向を持っています。
あと余談ですが、生まれるときに、難産などのトラブルがあると、新生児が生まれるときに腎精を大量に消費してしまい、虚弱になりやすいのです。
ちなみに腎の生命力を補う生薬は「附子(ぶし)」です。附子はトリカブトを無毒化したものを使います。手足を中心に体を温める作用が強いです。「腎」の熱が補われて温まるわけです。
足の裏には「腎経」という経絡(ツボを結んだ線です)が走っています。足裏マッサージなるものが流行していますが、もしかすると腎経に効果があって生命力アップ!ということになっているのかもしれません。
次週は「肝」についてお話します。
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2008年11月02日
免疫力が落ちている原因を考える
患者さんの中には繰り返し風邪をひいて来られる方も少なくありません。中には「免疫が落ちている」「免疫が弱い」と自分で分析される方もいらっしゃいます。
患者さんは風邪を繰り返すという現象を見て「免疫が落ちた」と感じるわけですが、何故免疫が落ちたのかを突き詰めて考えるということはあまりないようです。
でも免疫が落ちる、ということはあまりあって欲しくないことですよね?
そこで、どのような状況だと免疫が落ちるのか、東洋医学的に考えてみようと思います。
まずは肺。体を覆う、皮膚と粘膜は肺と考えて下さい。外界との境目にあたります。肺のどこかに慢性的なほころびができていれば、それは免疫低下と考えても良いでしょう。傷、乾燥、有害物質、ウイルス、タバコなど肺に影響を与えるものはたくさんあります。通常は痛みや腫れを伴うので、始まりも分かりやすいですが、慢性刺激だけは注意が必要です。
次に肺の働きを弱める原因を考えてみます。肺のほころびを治しても、肺を弱める体質を持っていないかどうかを考える必要があります。
のぼせのある人でさらに足は冷えるという人は、生命力の不足をまず考えます。元々体の弱い人、慢性疲労、老化などが考えられます。このような場合には腎が弱っているため、十分な休養と足腰の強化が必要になります。
のぼせるが冷えはない、という人は、入ってくるエネルギーが過剰な状態を考えましょう。これもバランスが悪くなり免疫的にはマイナスです。過食、飲酒(結構多い印象です)、ストレスなどが原因となります。これは原因を除いていくのが一番の早道のようですが、生活習慣と密着しているので、なかなか解消が難しい面もあります。
あと肺と関連するのは太りにくい体質です。食べてもエネルギーが体に入って来ないので、体を防御する働きが弱くなります。こういう体質を解決するには、少しずつ運動量と食事量を増やしていくということになりましょう。
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2008年10月26日
自己鍛錬気功法について
先日、日本気功科学研究所の仲里誠毅先生に香功(しゃんごん)を教えていただき、内養功(医療気功)のデモンストレーションを拝見する機会を得ました。
日本気功科学研究所
香功は脳活性化のための手順の決まった簡単な体の動きで、入門レベルに向いているということです。実際に私たちも行ってみましたが、音楽もありましたし、気分良く体が動かせました。
この香功を仲里先生は「自己鍛錬による国民の健康づくり運動」と位置づけておられ、2005年までに約2万人に指導してきたとの事です。
内養功は動きがもっと複雑で、バランスなども要求される、少し高度な動きが主体になっていました。これは国民運動と位置づけるのはムリなようです。
仲里先生が特に強調されていたのは、深刻な医療財政から脱却するためには有効な国民運動が必要で、香功にはその可能性がある、ということでした。
私は正論としてはかなり良い印象を持ちました。確かに10分強の適度な運動で高齢者向きとはいえ、軽い疲労感を覚えるような動きです。これが国民全体に広がれば、医療費抑制の効果も確かに出るように思います。音楽も良かったです。
しかし現実には、その場限りの香功になっている人がほとんどなのではないかと思うのです。これは効果の即効性が実感できないというところにあるのだと思います。国民運動になるか、というと程遠い印象を受けました。
どうしたら若い人が巻き込めるのかと考えますが、恐らく何かカッコイイ要素を加えるか、芸能人の間で香功が流行するなどの動きが必要なのではないかと思いました。
即効性と見た目の良さ。どちらも私はあまり好きではありませんが、こういうものを意識して運動を広げていっていただきたいな、と思いました。
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2008年10月18日
死に至る病、温暖化の影響か?
インターネットで情報集めをしているときに気になった記事です
「死に至る12の病」、温暖化の影響か
地球環境の変化により、大流行する可能性のある病気があり、その中で特別に注意すべき12の感染症が挙げられています。
ペスト、結核、コレラ、エボラ出血熱、ライム病、鳥インフルエンザなど。
この記事の何が面白いのか?それはこの部分です。
「微生物と野生生物は長い年月をかけてともに進化しており、動物種は微生物に対処できるように適応する仕組みを発達させている。だから感染症が流行するというのは、通常、自然界に何らかの乱れが生じている証拠なのだ」
突然、急性感染症が生じるようになったのは、恐らく2000年ころからだと思います。この考え方からすると、このころから地球規模で気候変動が生じていたということになりますね。そう言われるとそうかもしれません。
西ナイル熱、SARDS、鳥インフルエンザ・・みんな騒がれだしたのは、丁度そのころからかもしれません。もっともSARDSはハクビシンが原因とも言われていますけれど。
現実的対応として大切なのは、現地での早期の感染の発見であるとのことです。感染症の兆候を発見することができるように地元の人たちを訓練することなのだそうです。
この対応は確かに大切ですし、継続することが必要かもしれませんが、地球規模の対応が必要ですからね、なかなか大変かな、という印象です。
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2008年10月12日
難治性中耳炎の攻略について~十全大補湯で見えること
鼻水について過去2回考察してきましたが、また耳鼻科ネタになりますが、中耳炎について考えてみたいと思います。
中耳炎は鼻の奥にある菌が、耳と鼻を繋ぐ管(耳管といいます)を通じて、感染を耳に起こすために生じるとされています。
私は西洋医学者でもありますので、この常識を否定するつもりはありません。確かに鼻の治療をしっかりすることで、中耳炎は確実に良くなります。
ところがー。
最近とても気になる現象があるのです。
中耳炎が全然治らないという子どもたちに、十全大補湯という処方を選択すると、不思議なくらい治っていくのです(黒部市民病院の丸山裕美子先生に教わった方法です)。そしてよくよく見ると、今まで気づかなかったそういう子どもたちの共通項が浮かんできました。
治りにくい中耳炎の子は、体の細い子、そして体格は良くてもやや水太り傾向の子であることが分かります。なるほど、十全大補湯を使いたくなるわけです。
もしかしてこういう子どもたちに必要なのは抗生物質ではなく、体質を補正する薬ではないのだろうか?そんな考えが頭の中をよぎります。
一方で西洋医学にも、少量長期使用することで良くなるという抗生物質の使い方が存在し、これも確かに効果があります。
体を補う漢方処方、そして少量の抗生物質処方。どちらも同じような効果を感じるのですが、気のせいでしょうか?
私は軽症であり、お子さんが飲んでくれるなら(結構飲んでくれます)漢方処方を、軽症とは言えない場合には漢方処方と少量の抗生物質を併用しています。
たかが中耳炎と思われるかもしれませんが、いろんな考え方で攻めないと、攻略はできないのです。今日も知り合いの先生と再会し、「十全大補湯は効果あるよねー」と話をしましたよ。
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2008年10月05日
鼻水に関する話題~お便りコーナー
今回はたくさんのメールのご意見をいただきました。その中からご紹介してみます。
先週、老人に運動意欲が生じて水泳をしている方が少なくないけれど、体液の損失が少なくないので、それに見合った休息を取ることが必要である、とお話しました。
●これに対してIさんより
「身体を鍛えて、より健康をと望まれるのでしょうが、休息とのバランスなど目に見えない部分への気遣いが多いに不足しているように思えます。」というご意見をいただきました。
見えない部分。これは西洋医学の最も苦手とするところです。私も漢方薬を使うようになって見えるようになったことがたくさんありました。Iさんも治療家でいらっしゃるので、それがとても気になったのでしょうね。体の状態をモニターしながら運動するのが理想かもしれません。Iさん、ありがとうございました。
●Yさんはお子さんの副鼻腔炎について、薬以外に何か対応を考えたいということでした。
一般的ではないですし、私も普段は抗生物質を使うのですがー。
副鼻腔の位置づけは、中医学では水がめぐり、体の熱で蒸発していく、といったところです。水の過剰と不足、熱の過剰と不足について、それぞれ考えねばなりません。
水に関する異常であれば、消化器の不調、水の飲み過ぎ、逆に極度の過労で水が足りないということもあり得るでしょう。先週も書きましたが、運動のし過ぎもこの中に入ります。過労や運動し過ぎは、体表の水を維持する力がなくなってしまった状態ですね。睡眠不足は潤いが足りなくなり、体表は水不足になります。
熱に関してはどうでしょう?
カロリー過剰や飲酒は熱量が多くなりすぎる傾向が出ます。ストレスも大きな熱量の過剰を招きます。胃腸の吸収が弱い方、生来体が弱いとか、冷えが強い方の場合には熱量不足になります。
相対的に熱が過剰(水が不足)だと膿のような鼻水、熱が不足(水が過剰)だと水のような鼻水が出るのです。
Yさんはお子さんがどのような体質なのか、よくお考えになり、対応を考えた方が良さそうです。
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2008年09月27日
耳鼻科医らしく副鼻腔炎の話~運動し過ぎの問題
私は耳鼻科医ですので、鼻水が止まらないという患者さんが来るわけです。
だいたい、風邪であり、アレルギーであり、あとは副鼻腔炎なわけです。気になるのは、患者さんがすぐに「アレルギーですか??」と聞いてくることです。私からみると医師もすぐに「アレルギーですね」と断定するのも少し気にかかります。
高齢者の話にしぼりますよ。いや、高齢者でないのにそういう人が多いのも少し気にはなっていますけれど・・・。
体内の水は重力で下へ下へと集まりますが、生命の熱エネルギーでこの水を体の上にくみ上げていき、体内の水を均等に分散させているわけです。高齢者はこのエネルギーが不足してきますので、どうしても水が下半身に集まりやすく、足が冷え、トイレが近くなり、顔がほてるのです。
プールでがんがん泳いでいるという初老(失礼!)がいらっしゃいました。最近は、高齢者も相当数の方がプールでかなり泳がれているようですね。毎日のように泳がれている方も少なくないのです。
しかし水泳は運動としては激しいですから、体液の損失は少なくありません。その分、十分な休息を取るのであれば理想的なのですが、現実には泳いでいる方たちは筋骨隆々で健康に自信があり、休息も少なくなりがちです。
すると、筋力アップで熱が生じているのに、体液が失われてその熱を冷ますことができないことになります。そうすると特に首からに熱がこもることになって、熱の逃げ道として鼻水が濃く出てくることになるのです。
鼻水で熱を体外に逃がしている、という考え方は一般的ではありませんが、私が観察する限り、高齢者の鼻水のかなりの部分がこの鼻水だと思います。
普通にしていても、のぼせたり、ほてったりする高齢者がいらっしゃるわけですが、過度な運動はそれを助長してしまう結果になります。休息とのバランスを取りながら運動をするようにしましょう。
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2008年09月20日
漢方薬の勉強を始めたい方へ
漢方薬を勉強するのに何か良い本はないですか?ということをよく聞かれます。では漢方薬の勉強で何を知るのが早道なのでしょうか?それはそれぞれの生薬の働きを知ることだと思います。
漢方薬は生薬の組み合わせからできています。例えばご存知「葛根湯」ですが、これは7つの生薬の組み合わせです。「桂枝(けいし)」「芍薬(しゃくやく)」「生姜(しょうきょう)」「大棗(たいそう)」「甘草(かんぞう)」「葛根(かっこん)」「麻黄(まおう)」の7つです。
生姜はショウガ、大棗はナツメ、甘草は甘味料の原料ですが、いずれも胃腸障害の予防とか諸薬調和のための生薬です。葛根湯を特徴付けるのは麻黄、葛根、桂枝、芍薬ということになります。
諸薬調和の三生薬と桂枝+芍薬で「桂枝湯」という風邪の初期に使う漢方薬になります。桂枝は発汗作用があり解熱を助けますし、芍薬は温性生薬ばかりにならないように、少し熱を冷ます傾向をもってバランスを取りつつ、首の凝りに有効なのです。
風邪の初期に桂枝湯で十分!・・とは言えないので葛根湯があると言えます。桂枝湯に麻黄を加えた理由は発汗を増強するためであり、葛根(字の通り、クズの根です)で風邪の首肩の凝りを強く除きます。
ですから風邪の初期に関して、もう既に発汗している状態であれば桂枝湯で十分と言えますし、首肩の凝りが強いときには桂枝湯では不十分なので葛根湯を選択します。胃腸に優しいのは麻黄の入っていない桂枝湯ですので、胃腸障害があれば、葛根湯はキビシイかもしれませんね。
生薬それぞれが、温めるのか冷やすのか、体のどこに効きやすいか、潤す性質か乾かす性質か、「氣」の流れが上向き(昇性といいます)か下向き(降性)か、などが分かると良いでしょう。
以上のレベルで理解するために、初学者向けの本として私がおススメしているのは、以下の2冊です。
『薬膳素材事典』
それぞれの生薬の性質を知り、料理から勉強してみたい人向け。漢方薬(生
薬の組み合わせ)についての記述はないので、それは別に勉強することになり
ます。
『漢方臨床ハンドブック』
基本的な漢方薬を生薬構成から性質を考察している本。もらった漢方薬の詳
細を調べてみたい人向け。総論が素晴らしい。医師向けではありますが、一
般の方でも何とか読み解けます。
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2008年09月14日