記録的猛暑と熱中症

 今年の夏の暑さは異常ですね。子どものころに山形県で40.8度が日本記録であることを習いましたが、この記録も破られてしまいました。熱中症の患者さんも多いようです。

 チーム森田の“天気で斬る”から

 高齢者は水分の枯渇により体を冷却する働きが失われることが問題であり、水分をこまめに摂取することが大切です。

 これに対して運動中の熱中症の場合、水分摂取不足は論外ですが、正常な発汗があっても、運動で生まれる熱量が多すぎる時、湿度が高くて汗が蒸発しない時には体温が下がらなくなってしまうので危険です。

 寝転んで本を読んでいても汗が出てきますが、そのかいた汗がいつまでも体から蒸発しないということは、結構あることのように感じます。

 また運動中は水分だけでなく、塩分も摂取しないと、数年前の私のように、ゴルフ場で意識が朦朧とする事態にもなりかねません。私はこのとき塩分のあるトマトジュースで具合が良くなりました。私はこれ以来ゴルフをしていません(笑)。

 環境省から熱中症保健指導マニュアルというものが出されています(10.4Mb)。分かりやすいと思います。
 
 東南アジアの暑い国では、人々は必ず日陰にいますし、日中の暑いときには人影がまばらになります。暑さに対する身のおき方を分かっているのでしょう。無理をしている人は見かけません。そういう意味で日本人はまだエアコンと根性に少し頼りすぎているのではないでしょうか?自然には逆らえない、ということを感じ取りましょう。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年08月18日

季節感のない外来風景

 風邪も含めて、上気道炎の患者さんに対して、冬の間はいろいろ苦労して薬のあれこれを駆使して何とかしのいでいるものです。

 どうしても治りの悪い・・・例えば、子どもの中耳炎などもあるわけです。抗生物質もあまりたくさんは使いたくないという気持ちはあります。しかしどうにもならないときもあるわけで、薬を出し入れしながら何とか重症化は避けていきます。

 そして、春が来て梅雨が来て暑くなると、いつの間にか患者さんは来なくなっています。暖かくなって治ってしまうわけです。そういうとき、実感として「自然の力には勝てないなあ~」という気分になったものです。

 ところが・・・

 夏があまりに暑いし、クーラーをどんどんかける風潮も手伝って、夏なのに治りの悪い炎症の患者さんが増えています。

 風通しの悪い住居であるとか、治安の悪化や空気が悪くて窓が開けられないという事情もあるようです。

 しかしそれにしても、昔は冷房28度設定なんて言っていましたが、その設定では冷房が十分に効かないほどに猛暑です。温暖化は本当に深刻なのだと思い知らされます。

 冷房をつけたまま寝ているという家庭がとても増えているのも気になります。寝ている間に適温に調節することはできませんからね。さらに鼻の中が乾きすぎて鼻血を出している人も増えています。

 私は家の中では涼しい部屋で寝ています。昨日初めて寝るときに1時間冷房を使いましたが、基本的には冷房なしで、毎日夜中に1度汗まみれのシャツを着替えてつつ、寝ています。まあ我慢大会のようではありますが。

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2007年08月11日

十問歌~いまどきの問診

 珍しく調べ物があるので、大学図書館に行きました。

 昔は私のように資料をひいてはコピーをとって紙の束を持って歩くという人が多かったのですが、今の図書館は閑散としています。ネットでほとんどの資料が集まりますからね。そういう時代なのでしょう。

 そんな図書館にいると、関係のない本もちょっと開いてみたくなります。私自分が求めている資料とは違う号の「中医臨床」の古い本を見ていました。

 そんな中に「十問歌」というものが載っていました。問診の仕方です。

 一に寒熱、二に汗を問い、三に頭身(頭痛と身体痛)、四に便を問い、五に飲食、六に胸を問い、七八耳聾口渇ともに問い、九は旧病、十病因を問う。服薬した後、変化があるならこれを問い、婦女なら月経、遅速閉崩(閉経と異常出血)これまた問い、小児の麻疹天花(痘瘡)も忘れずこれを問う。

 医師は数字と影ばかりを頼りにして診察していることが多くなっていますが、こういうところに基本があるのだと私なりに反省しています(以前よりも良くはなっていると思うのですがー)。いまどきの問診はひどいことが多いですよね?こんなに問診をきちんと取られることはあまりないかもしれません。

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2007年08月05日

健康観なくして、病気の予防はできず

 大衆薬が「かぜの諸症状の緩和」といったように効能効果が漠然としているので、今後は「睡眠改善効果82.1%という医師の評価が得られました」というように情報充実を図り、市場の低迷を挽回しようとしている、という記事を読みました

 同記事には監督官庁の厚労省が、医療費抑制のために大衆薬を利用して大病を予防していくことを狙っているようです。

 狙うことはよいのですが、果たして本当に予防につながるのでしょうか?

 西洋薬の医薬品はには、予防を目的とした処方薬はありません。どれも症状を抑えていくものであると私は認識しています。

 そして、大衆薬はその西洋薬の弱いもの、あるいは明らかに副作用の弱い、あるいはほとんどないものが使われているわけです。

 薬の効果を評価しているのは、ほとんど西洋薬以外が使わない医師です。この状況の中で、予防的な効果が大衆薬に求められるのはムリでしょう。

 健康には健康観が必要です。つまり何をもって健康とするか、という視点が必要です。中医学では何事も行き過ぎない中庸の状態がより病気になりにくい状態であるという考えが基本になっています。

 西洋医学では、検査値と検査画像に異常がなければ健康であるという認識です。症状があって病院に行ったけれど、「検査では異常がありませんでした」と言われ、頭を捻りながら帰宅した人も読者の方の中にはいることでしょう。

 病気の予防とは、自分の考える健康状態に自分を近づけていくことです。その健康観が育つことなしに病気の予防を考えることはできないでしょう。

 「各々の健康観なくして、病気の予防はできず!」といったところです。

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2007年08月05日

胸脇苦満って知っていますか?

 最近、機会があり、さらに中医学を深く学んでおります。

 そんな中、また頭が混乱しているのが風邪のいろいろです。

 先日、いつも風邪でクリニックにいらっしゃる患者さんがいつもと違う症状で来られました。

 「なんだが胸が苦しい」

 よくよく聞いてみると、これは肋骨の縁に沿って苦しいのだと言います。

 「これは胸脇苦満といって、風邪のひとつの症状なのですよ」

 と教えてあげました。

 胸脇苦満の説明(もう少し掘り下げて欲しいけれど)
 
 胸脇苦満は(きょうきょうくまん)と読みます。風邪の終わりごろに出る症状なのです。お腹をへこませて、へこんだ一番上の部分と考えると良いでしょう。昔の漢方医が「この症状があれば小柴胡湯(しょうさいことう)をとにく飲ませろ」と言ったとか。それではダメなことも結構ありますが。

 この考え方を批判したページです。

 風邪の症状にもいろいろあります。いくら熱がなくても、咳がでなくても、頭が少しボーっとして、胸脇苦満だけがある、なんてこともあります。医師もあまり知らない、ということもありますが(苦笑)。

 もしかして、あの違和感は風邪だったのかな?なんて思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。

(続きも読んでください)

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(さらに…)

2007年07月29日

五味の重要性について

 陰陽五行説の中で、食事に関する五味の重要性は改めて取り上げるまでもないのですが、意外に知られていないようなので、これからの季節に関すること、風邪と関連することを少し書いてみます。

 五味とは言うまでもなく酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かんみ)を指します。

 そして、それぞれの味は体に対する方向性のある作用を示します。

 酸味の効用は、体を引き締めることです。特に風邪との関連で話をしますと鼻水を止める効果が期待できます。

 苦味は体を冷やす作用があります。夏にビールが飲みたくなるのはそのためです。私が最近食べた中では、沖縄の食の代表であるゴーヤは特に下腹部が冷える感じがします。夏の食卓でビールとゴーヤという組み合わせにならないようにする必要がありますね。

 甘味は水を体に溜める働きがあります。むくみには注意する必要がありますが、肌や粘膜の潤いには良いと思われます。風邪の後半に咳が続いたときに飴をなめたくなるのはこの働きのためでしょう。疲れが取れるのも、疲れで消耗した水分が体の内側から補われてくるためでしょう。

 辛味は体に熱を生みます。熱が上がることで、血の循環がよくなるのと、体の防御機能が高まることになります。ただし、はたらきが一時的ですので、現実にはストレスを避けたり、運動をして熱を普段から生める体にしておく必要があります。

 鹹味は塩辛いものを指します。髪・骨によいとされますが、風邪にはあまり関係しないように思います。

 風邪で処方された漢方薬があったら確認してみてください。鼻水を止めたい時には酸っぱい薬、熱を下げたいときには辛味で発汗を誘導する薬、痰がひどく絡んだら甘味のある薬が出ていることが多いことでしょう。

 さて、味と言えば、こういうニュースがありましたね。まったくふざけた話です。

 段ボール肉まん告発、やらせ 北京TV謝罪「虚偽報道」

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年07月22日

データよりも自分の感覚を磨きましょう!

 以前に私が主催した「耳鼻科漢方懇話会」に名古屋から駆けつけてくれたHさんから面白い情報いただきました。ありがとうございます!

 「アディポネクチン」という物質のことです。

 アディポネクチンを体内で作れない動物は体重が増えにくく、脂肪も蓄積しにくいのだそうです。Hさんにはこういう人が冷え性になるのではないかというコメントもいただきました。

 アディポネクチンは脂肪燃焼によるダイエット効果があるという情報が流れていたとか。ネット検索でも多数ヒットします。でも食欲増進や脂肪蓄積に寄与するというデータもあるのですね。

 10年でデータの3分の1はくつがえる!

 これは今日、私が教えていただいた言葉です。

 脂肪燃焼というそれだけの面に捕らわれていると、ダイエットに良いような気がしてしまうものです。これはデータ主義に多く見られる現象で、ブラックボックスをこじあけて、見えるものだけを取り出して、全てが分かったような気になっているのです。

 東洋医学の良いところは、ブラックボックスはそのままに、総体としてどういうことが起こるのかを見ている、というところです。結局何が起こっているのかを把握することが大切なのではないでしょうか?アディポネクチンだけを捕まえて、何だかよく分かった気になるなんて笑止千万です。

 しかもデータが覆るということになりますと、大切なものは何か・・?

 やはり自分の研ぎ澄まされた感覚、ということになりませんか?

 このメルマガの主旨はその感覚を鍛えて、自力で持続的な健康を創造する、ということにあるのです。思い出していただけましたでしょうか?間隔を磨くための一助になればといつも考えております。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年07月15日

このところの病気の傾向について

 今週の東京は、湿気の気になる日が続きました。

 体の中の水の移動は見えませんから机上の理論ではありますが、体に取り込まれた水分は、体を巡ってから一部は尿や便となり、一部は体表から蒸散していくのが通常の状態です。

 しかし湿度が上がってくると水の蒸散は抑えられるので、体内の水の移動が上手くいかなくなり水に関連する症状がいろいろ出てくる、というのが東洋医学の理論です。

 したがって湿気が多くなると耳鼻科では、耳の閉塞感、めまい、耳の痒み、頭痛などの患者さんが増えてきます。

 軽症の場合には、他の病気がないことが確認されれば、季節が過ぎるのを待つように、と指導するのみのこともあります。患者さんにとっては何もしない私のやり方が少し不安かもしれませんね。

 あと今週は、気温が早朝に低くなり、朝夕の気温差が増したような感じがしました。

 こういうときには、お子さんの受診が増えるのです。まあプール前ということもあるかもしれません。

 もう既に窓を開けて寝ていたり、クーラーを付けて寝ている家庭があるようです。家の向きや風通しがいろいろなので、どのように指導したらよいか、とても苦慮していますが、ある程度汗をかいて寝ることも考えてよいのではないでしょうか?その方が自然な感じがしています。

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2007年07月08日

漢方よもやま話

 最近、診察する時に、東洋医学と西洋医学を両方使っているのに、パッと両方の処方が決まってしまうことがあります。

 そうすると、東洋医学的な処方に対する十分な同意が得られていないという状況が生じてきます。

 そもそも漢方薬は苦いこともあるので、飲めるのかどうかを確認する必要があります。

 飲めはするけれど、漢方薬なんて・・?効かないから飲みたくない、などという考え方の人もいらっしゃいます。

 漢方薬の働きの最も大切な点は、「中庸(ちゅうよう)」(全てにおいて適度である状態)です。患者さんにはそれを理解していただかないと、漢方薬を使って治ったという実感が持っていただけない場合も生じてきます。

 例えば、やたら元気な人が中庸になるように「気」を少し抑えるように処方したら、ご本人は「なんだかいつもよりも元気がでない」という不満をもつかもしれないということです。

 漢方薬の説明を暑さ寒さや渇き湿りで説明することは時間的には困難ですが、やはりそういうことをきちんと分かっていただけるような診察を心がけたいと思っています。

 医師の中には「漢方薬を使っているから」と、他の薬を処方しないという人がいたり、ひどいときには「そんな薬、何になるのだ」といくら何でも・・ということを言ってくる人もいます。

 自分もそうであったので、あまり他人のことは言えないのですが、「知らない」ということは治療の選択肢を狭くします。これは漢方薬を十分に使うようになると分かるのですけれどねー。

 本日はじめて、医師の集まりで東洋医学全般の話を少ししました。みなさん不思議なものを見るような目でこちらを見ていましたが、以前よりも大分受容されている感じがしました。これからも東洋医学を広めていきたいと思いました。

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2007年07月01日

風邪に関することなど~メールから

 アメリカ東海岸在住のFさんからのメールからです。

 風邪をひいても熱はあまり出ませんが、体質でしょうか?

 ≫風邪をひいても熱があまりでない方はいらっしゃいます。これが体調なの
 ≫か、体質なのか、これは難しい問題ですね。

 熱がでないので、会社を休むわけにはいきません。でも立っているのも辛いことがあります。熱があれば堂々と休めるのに、と感じることもしばしばです。我慢すべきかどうか考えてしまいました。

 ≫熱は悪い反応ではなく、生体がウイルスと戦っている状態と考えて下さい。
 ≫だから風邪をひいているのに熱が出ない状況は、むしろ悪い状況と考えた
 ≫方が良いです。従って、我慢はすべきではないです。休んだ方が良いです。

 注)疲れがひどくて熱がでない人が増えている印象です。疲れが影響して、体が熱を生む力がなくなっているようです。そういうときには、変な寒気が出ますので、要注意です。

 ≫まあしかし、ウイルスの側が弱くて熱が上がらないということもあるでしょ
 ≫うね。

 アメリカでは医療費が多くかかるので「医者いらず」になる必要があり、代替医療(Altanative Medicine)を利用するようになりました。以前のように外食中心の食事はしなくなりました。パンも自分で作ります。

 また、ハーブや漢方、ホメオパシー、フラワーエッセンスに至るまで身近に手に入るので、必要に応じて時々試しています。

 ゆっくり日ごろから体調を整えたり、自分の体調に即した情報を得ること大変有益です。

 注)ジャンクフードは外国から入ってきたものなのに、実は日本の方がそういう食事が氾濫しているのではないでしょうか?

 Fさん、ありがとうございました!

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年06月24日