健康観なくして、病気の予防はできず
大衆薬が「かぜの諸症状の緩和」といったように効能効果が漠然としているので、今後は「睡眠改善効果82.1%という医師の評価が得られました」というように情報充実を図り、市場の低迷を挽回しようとしている、という記事を読みました。
同記事には監督官庁の厚労省が、医療費抑制のために大衆薬を利用して大病を予防していくことを狙っているようです。
狙うことはよいのですが、果たして本当に予防につながるのでしょうか?
西洋薬の医薬品はには、予防を目的とした処方薬はありません。どれも症状を抑えていくものであると私は認識しています。
そして、大衆薬はその西洋薬の弱いもの、あるいは明らかに副作用の弱い、あるいはほとんどないものが使われているわけです。
薬の効果を評価しているのは、ほとんど西洋薬以外が使わない医師です。この状況の中で、予防的な効果が大衆薬に求められるのはムリでしょう。
健康には健康観が必要です。つまり何をもって健康とするか、という視点が必要です。中医学では何事も行き過ぎない中庸の状態がより病気になりにくい状態であるという考えが基本になっています。
西洋医学では、検査値と検査画像に異常がなければ健康であるという認識です。症状があって病院に行ったけれど、「検査では異常がありませんでした」と言われ、頭を捻りながら帰宅した人も読者の方の中にはいることでしょう。
病気の予防とは、自分の考える健康状態に自分を近づけていくことです。その健康観が育つことなしに病気の予防を考えることはできないでしょう。
「各々の健康観なくして、病気の予防はできず!」といったところです。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年08月05日
胸脇苦満って知っていますか?
最近、機会があり、さらに中医学を深く学んでおります。
そんな中、また頭が混乱しているのが風邪のいろいろです。
先日、いつも風邪でクリニックにいらっしゃる患者さんがいつもと違う症状で来られました。
「なんだが胸が苦しい」
よくよく聞いてみると、これは肋骨の縁に沿って苦しいのだと言います。
「これは胸脇苦満といって、風邪のひとつの症状なのですよ」
と教えてあげました。
胸脇苦満の説明(もう少し掘り下げて欲しいけれど)
胸脇苦満は(きょうきょうくまん)と読みます。風邪の終わりごろに出る症状なのです。お腹をへこませて、へこんだ一番上の部分と考えると良いでしょう。昔の漢方医が「この症状があれば小柴胡湯(しょうさいことう)をとにく飲ませろ」と言ったとか。それではダメなことも結構ありますが。
この考え方を批判したページです。
風邪の症状にもいろいろあります。いくら熱がなくても、咳がでなくても、頭が少しボーっとして、胸脇苦満だけがある、なんてこともあります。医師もあまり知らない、ということもありますが(苦笑)。
もしかして、あの違和感は風邪だったのかな?なんて思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。
(続きも読んでください)
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
(さらに…)
2007年07月29日
五味の重要性について
陰陽五行説の中で、食事に関する五味の重要性は改めて取り上げるまでもないのですが、意外に知られていないようなので、これからの季節に関すること、風邪と関連することを少し書いてみます。
五味とは言うまでもなく酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かんみ)を指します。
そして、それぞれの味は体に対する方向性のある作用を示します。
酸味の効用は、体を引き締めることです。特に風邪との関連で話をしますと鼻水を止める効果が期待できます。
苦味は体を冷やす作用があります。夏にビールが飲みたくなるのはそのためです。私が最近食べた中では、沖縄の食の代表であるゴーヤは特に下腹部が冷える感じがします。夏の食卓でビールとゴーヤという組み合わせにならないようにする必要がありますね。
甘味は水を体に溜める働きがあります。むくみには注意する必要がありますが、肌や粘膜の潤いには良いと思われます。風邪の後半に咳が続いたときに飴をなめたくなるのはこの働きのためでしょう。疲れが取れるのも、疲れで消耗した水分が体の内側から補われてくるためでしょう。
辛味は体に熱を生みます。熱が上がることで、血の循環がよくなるのと、体の防御機能が高まることになります。ただし、はたらきが一時的ですので、現実にはストレスを避けたり、運動をして熱を普段から生める体にしておく必要があります。
鹹味は塩辛いものを指します。髪・骨によいとされますが、風邪にはあまり関係しないように思います。
風邪で処方された漢方薬があったら確認してみてください。鼻水を止めたい時には酸っぱい薬、熱を下げたいときには辛味で発汗を誘導する薬、痰がひどく絡んだら甘味のある薬が出ていることが多いことでしょう。
さて、味と言えば、こういうニュースがありましたね。まったくふざけた話です。
段ボール肉まん告発、やらせ 北京TV謝罪「虚偽報道」
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月22日
データよりも自分の感覚を磨きましょう!
以前に私が主催した「耳鼻科漢方懇話会」に名古屋から駆けつけてくれたHさんから面白い情報いただきました。ありがとうございます!
「アディポネクチン」という物質のことです。
アディポネクチンを体内で作れない動物は体重が増えにくく、脂肪も蓄積しにくいのだそうです。Hさんにはこういう人が冷え性になるのではないかというコメントもいただきました。
アディポネクチンは脂肪燃焼によるダイエット効果があるという情報が流れていたとか。ネット検索でも多数ヒットします。でも食欲増進や脂肪蓄積に寄与するというデータもあるのですね。
10年でデータの3分の1はくつがえる!
これは今日、私が教えていただいた言葉です。
脂肪燃焼というそれだけの面に捕らわれていると、ダイエットに良いような気がしてしまうものです。これはデータ主義に多く見られる現象で、ブラックボックスをこじあけて、見えるものだけを取り出して、全てが分かったような気になっているのです。
東洋医学の良いところは、ブラックボックスはそのままに、総体としてどういうことが起こるのかを見ている、というところです。結局何が起こっているのかを把握することが大切なのではないでしょうか?アディポネクチンだけを捕まえて、何だかよく分かった気になるなんて笑止千万です。
しかもデータが覆るということになりますと、大切なものは何か・・?
やはり自分の研ぎ澄まされた感覚、ということになりませんか?
このメルマガの主旨はその感覚を鍛えて、自力で持続的な健康を創造する、ということにあるのです。思い出していただけましたでしょうか?間隔を磨くための一助になればといつも考えております。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月15日
このところの病気の傾向について
今週の東京は、湿気の気になる日が続きました。
体の中の水の移動は見えませんから机上の理論ではありますが、体に取り込まれた水分は、体を巡ってから一部は尿や便となり、一部は体表から蒸散していくのが通常の状態です。
しかし湿度が上がってくると水の蒸散は抑えられるので、体内の水の移動が上手くいかなくなり水に関連する症状がいろいろ出てくる、というのが東洋医学の理論です。
したがって湿気が多くなると耳鼻科では、耳の閉塞感、めまい、耳の痒み、頭痛などの患者さんが増えてきます。
軽症の場合には、他の病気がないことが確認されれば、季節が過ぎるのを待つように、と指導するのみのこともあります。患者さんにとっては何もしない私のやり方が少し不安かもしれませんね。
あと今週は、気温が早朝に低くなり、朝夕の気温差が増したような感じがしました。
こういうときには、お子さんの受診が増えるのです。まあプール前ということもあるかもしれません。
もう既に窓を開けて寝ていたり、クーラーを付けて寝ている家庭があるようです。家の向きや風通しがいろいろなので、どのように指導したらよいか、とても苦慮していますが、ある程度汗をかいて寝ることも考えてよいのではないでしょうか?その方が自然な感じがしています。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月08日
漢方よもやま話
最近、診察する時に、東洋医学と西洋医学を両方使っているのに、パッと両方の処方が決まってしまうことがあります。
そうすると、東洋医学的な処方に対する十分な同意が得られていないという状況が生じてきます。
そもそも漢方薬は苦いこともあるので、飲めるのかどうかを確認する必要があります。
飲めはするけれど、漢方薬なんて・・?効かないから飲みたくない、などという考え方の人もいらっしゃいます。
漢方薬の働きの最も大切な点は、「中庸(ちゅうよう)」(全てにおいて適度である状態)です。患者さんにはそれを理解していただかないと、漢方薬を使って治ったという実感が持っていただけない場合も生じてきます。
例えば、やたら元気な人が中庸になるように「気」を少し抑えるように処方したら、ご本人は「なんだかいつもよりも元気がでない」という不満をもつかもしれないということです。
漢方薬の説明を暑さ寒さや渇き湿りで説明することは時間的には困難ですが、やはりそういうことをきちんと分かっていただけるような診察を心がけたいと思っています。
医師の中には「漢方薬を使っているから」と、他の薬を処方しないという人がいたり、ひどいときには「そんな薬、何になるのだ」といくら何でも・・ということを言ってくる人もいます。
自分もそうであったので、あまり他人のことは言えないのですが、「知らない」ということは治療の選択肢を狭くします。これは漢方薬を十分に使うようになると分かるのですけれどねー。
本日はじめて、医師の集まりで東洋医学全般の話を少ししました。みなさん不思議なものを見るような目でこちらを見ていましたが、以前よりも大分受容されている感じがしました。これからも東洋医学を広めていきたいと思いました。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月01日
風邪に関することなど~メールから
アメリカ東海岸在住のFさんからのメールからです。
風邪をひいても熱はあまり出ませんが、体質でしょうか?
≫風邪をひいても熱があまりでない方はいらっしゃいます。これが体調なの
≫か、体質なのか、これは難しい問題ですね。
熱がでないので、会社を休むわけにはいきません。でも立っているのも辛いことがあります。熱があれば堂々と休めるのに、と感じることもしばしばです。我慢すべきかどうか考えてしまいました。
≫熱は悪い反応ではなく、生体がウイルスと戦っている状態と考えて下さい。
≫だから風邪をひいているのに熱が出ない状況は、むしろ悪い状況と考えた
≫方が良いです。従って、我慢はすべきではないです。休んだ方が良いです。
注)疲れがひどくて熱がでない人が増えている印象です。疲れが影響して、体が熱を生む力がなくなっているようです。そういうときには、変な寒気が出ますので、要注意です。
≫まあしかし、ウイルスの側が弱くて熱が上がらないということもあるでしょ
≫うね。
アメリカでは医療費が多くかかるので「医者いらず」になる必要があり、代替医療(Altanative Medicine)を利用するようになりました。以前のように外食中心の食事はしなくなりました。パンも自分で作ります。
また、ハーブや漢方、ホメオパシー、フラワーエッセンスに至るまで身近に手に入るので、必要に応じて時々試しています。
ゆっくり日ごろから体調を整えたり、自分の体調に即した情報を得ること大変有益です。
注)ジャンクフードは外国から入ってきたものなのに、実は日本の方がそういう食事が氾濫しているのではないでしょうか?
Fさん、ありがとうございました!
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月24日
暴飲暴食していませんか?
日本では食べるに困るということはほとんどないように思います。病気を考える上で、昔とは食生活の状況が大きく違うということは、絶対に押さえておかなければならないところだと思います。
たくさん美味しいものが食べられることから生じることは、胃弱の人の場合には胃が荒れて、余計に食べ物を吸収する力が少なくなることになるでしょう。問題は、消化の力が十分にある人です。私のような人ですね(苦笑)。
食べ物を取り込むと元気になります。これは他の生物の「氣」を自分に取り込んでいるからです。ところが、元気の元も体に入りすぎると熱になります。
ストレスもカーッとなったりすることで分かるように熱になりますから、やけ食いなどは最悪です。さらに強い熱源である飲酒でますます熱を体に溜めるということもありがちです(あるある)。
熱は体の中を上りますので、首から上に熱が溜まることになります。赤ら顔の方は大抵お酒を召し上がる方です(そうでない方、ごめんなさい)。
器械も熱が生じると暴走したり、止まったり、壊れたりするわけですが、人間にも同じようなことが生じるのでしょう。熱が溜まることで、耳がかゆくなったり、アレルギー症状がでたり、咳が続くなどの症状が出ている人もいらっしゃるのではないですか?
これは、楽しい中医学倶楽部のあと、本多先生が「氣」が過剰になるからとお酒を飲まないことから思いついて、話を書いてみました。私はまだ「氣」が満ちていないようです(笑)。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月17日
この季節のめまいについて
今日の健康6月号をみていて、「もう悩まない!めまいの新対策」という題が目に入ってきました。んんん?
内容を見ていると、「患者さんはやっぱりこれを読んで悩むのではないだろうか?」というものでした(笑)。何故なら、従来の神経耳科学の内容そのものが掲載されていて、患者さんにはちょっと難しい。大学の偉い先生が書いたのですから、仕方がないのかもしれません。
でも、最近めまいの患者さんを診ていて少し気になることがあるのです。
私もめまいの専門外来を大学病院時代に経験しています。耳の三半規管(バランスを感じる部分です)が原因と思われるめまいは疑い例も含めて全体の3分の2くらい、頭から生じるめまいはごく少数です。
残りの半分は「原因不明」と「神経耳科学的異常なし」ということになるのです。今まではそれで良いと思っていたけれど、原因不明とか異常なしとか言われても患者さんは困りますよね?
この季節は5月病という言葉があるように、「気」がどんどん頭に上ってきてボーっとするという人がとても多いです。これが原因でめまいになっている人はあまり診察をしても異常が出ない気がするのです。でもこれだってめまいなので患者さんは辛いでしょう。
こういう患者さんには漢方薬が有効な感じがしますが、結構こういう患者さんが、実は多いような気がするのですよね。
今後もそういうつもりで観察してみようと思います。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月10日
こんな寒暖差のあるときこそ、最低気温チェックを!
5月下旬の東京は、朝が少し冷え込んでいます。
私は家を7時に出て、帰りは21時を過ぎますので、家を出るときには薄手のセーターが必要ですが、帰りは長袖であれば上着は不要です。私は2種類の上着を持ち歩いていますよ。
さて、久々に気象庁の気象データを見てみました。
すると、5月の月間平均気温、月間最高気温は去年も今年もあまり変わらず、最低気温にいたっては、今年の方が13度と高いのです。ふーん、意外ですね。今年の方が寒いような感じがしますよね?
ただ今年は月末になって最低気温が下がったので、イメージとのズレが大きくて、妙に寒いように感じるのでしょう。
この季節感というか、気温推移のイメージというのは、健康に大きな影響を与えるものだと思います。毎日わざわざ翌日の最低気温と最高気温を確認することはないでしょうからね。
しかし、健康オタク+気象オタク?の私は、冬物のパジャマをしっかり着て寝ていました。翌日の気温をチェックすることが習慣になってからは、大きく体調を崩すことが少なくなったように感じます。
みなさんも如何でしょうか?気温チェック生活!
以前から言っているように最高気温だけではダメですよ。最低気温が特に大切です。前日の夜に確認してみましょう。最低気温が23度を超えるまで、窓を開けたままで寝てはダメですからね~。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月02日