吉村和敏さんの写真展

 吉村和敏さんの写真展に行って来ました。 

 吉村さんとは知人の紹介で知り合いになりました。しかししばらくお会いしなかったので、久しぶりにお会いできるかな?と楽しみにしておりましたが、残念ながらご本人は不在でした。

 彼は相変わらずの表現力でカナダを写真に収めています。そんな中でいつもいいなあと感じるのは、老人が家族と地域と仕事に誇りを持っていることです。こんなにいい顔はやはり誇りがないと生まれないと感じます。

 牛の彫り物を作っている老人、数十年ぶりで里帰りした未亡人、巨大カボチャを作る農夫・・・こんな風に歳をとってみたいと思うような表情ばかりです。自然も人もみんな見ていただきたいです。

 11月9日まで、新宿三井ビル1Fペンタックスフォーラムにて(無料)。

 行かれない方はこちらをお買い求め下さい。私も買いました。

 林檎の里の物語―カナダアナポリス・ヴァレーの奇跡
 

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2006年10月29日

高気圧カプセルって何が良いの?

 驚きの新聞記事を見つけました。
日経プラス1の18面に「一躍人気のベッカムカプセル、肝心の効果 未知数」とありました。

 先日、第59号で高圧酸素の効能について話しました。
 
 これはどうも高気圧カプセルとは異なるものらしいですね。実は早実のハンカチ王子と騒がれた斉藤投手が使ったのはこの高圧カプセルのようです。私は高圧酸素だと思ったのですが、そうではないのですね。まちがえた・・。

 しかしこの高気圧カプセルですが、効果も安全性も検証されていないというのには驚きました。これから検証されるとか書いてあります。確かにどういう効能なのか予想がつきません。

 さらに言うと、そういうものが使われることに何の規制もないことにも驚いています。

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2006年10月22日

野菜の量り売りについて

先日、ネット上で面白い記事を見つけました。

 野菜・果物の「裸売り」ワースト企業は東急ストア

 今までこういう論評を今まで読んだことがなかったので、ちょっと目をひく内容でした。

 私も少ないながら7ヶ月外国で暮らしましたが、そのときにはほとんどの野菜、果物は量り売りでした。違和感は全く感じなかったですね。

 ところが日本に帰ってくると不思議なもので、品物がパックに入って売っている状態にすぐに慣れてしまい、違和感がなくなってしまいました。

 しかし確かに量り売りのときにはゴミの量がかなり少なかったかもしれません。ごみを減らすために、こういう視点が必要なのですね。

 この記事で面白いのは、企業間の比較をしているところです。野菜と果物を対象に裸売りをしている品数の全体に占める割合を見てみると

  イオン      17.2%
  イトーヨーカドー 14.3%
  サミット      9.6%
  ダイエー      7.7%
  東急ストア     6.7%           とのことでした。

 記事の中で東急ストアは、ばら売りできるものを増やしていく方針だけれど数値目標などはなく、紙トレーの使用、トレーの再利用などの方を進めていきたいと考えを述べています。

 しかし、トレー自体が無くなる方がごみの量の観点からは優れているのは自明のことです。よく考えると、野菜や果物を裸売りすることによって、石油消費量を減らすことができますし、ダイオキシンの発生量も抑制することができますね。これは良いことばかりのように感じます。

 しかしさらに東急ストアは、「消費者からそういう声が上がらないから」ということを理由にして裸売りには消極的だと答えています。

 売り方、買い方は単に習慣の問題だと思うので、企業側から裸売りをするぞ、という姿勢を見せることで、消費者側も賛成の声を上げやすくなるのではないでしょうか。消費者側がそういう文化に慣れていないということに企業側にもう少し配慮があっても良いと思います。

 そして消費者側にも賢い消費者になるための仕組みが必要かもしれません。外国ではこういう運動が盛んなようですが、日本では、例えば不買運動のような消費者運動のようなものはあまり起こりません。しかしこれからは日本でも、環境に配慮しない企業のものは買わないというような、ものを言う消費者が増えていくべき時代になってきているのかもしれません。

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2006年10月22日

秋の養生法について

 さて、すっかり残暑がなくなり、季節は秋ですね。

 神戸南京町では主な節句ごとの祭りがあり、中秋が過ぎたという実感がもてますね。こういう季節感って大切だと思います。第9回中秋祭は6日から9日まで行われました。

 熱烈歓迎!神戸南京町

 残暑が終わり中秋も過ぎて、寒さに向かうこの季節の健康法について少し話しておきます。

 秋で最も大切なことは、水分を大きく消耗しない生活です。秋から冬に乾燥がひどくなります。特に住居の機密性が高くなっている昨今、屋内の乾燥はこれからかなりきつくなりますから要注意です。

 そして水分を補わないといけない理由が他にもあります。それは、この夏に消耗した水分を補うという側面と、さらに来春に陽気がぐっと盛んになり、いろいろな意味でグンと成長する時にこの秋の水分が必要になってくるという側面です。たとえば秋に消耗の激しい生活をさせると、春からの成長期にお子さんの身長が伸びない、なんてことが理論的には起こりえます。

 これほど、秋の水分保持(「養陰」と言います)は重要なのです。

 さて、秋に傷害されるといわれている臓器は中医学の「肺」に関連する臓器は肺、口、鼻、皮膚、大腸です。

 皮膚や粘膜がやられやすいのは実感として分かりますが、大腸が乾いて便秘の傾向も増すようです。そんなものですかね?耳鼻科の私にはちょっと分かりにくいことですが。

 秋は養陰の季節なので、水をたくさん飲もう!とお考えのあなた!それではダメなのです。

 飲んだ水がうまく身体の中を流れて、しかもその水が失われないように節度ある行動をして、初めて達成されるのが養陰なのです。そのために体をあたたかくしておくことも重要です。

 人間は器械ではありません。喉が潤ってもすぐに体全体が潤う感じがしないことは日ごろ実感されることではないでしょうか?水をのんで皮膚もすべすべになるなら女性は苦労しないのです。

 さてそれなら過度の運動以外にどのようなことに気をつけて生活したら良いでしょうか?

 秋は早寝早起きの季節です。まずはこのあたりからでしょうか。特に早寝は有効です。寝ることは陰分(水分)を養う滋養効果があります。お肌にももちろん良いのです。

 あとは食材にも少し目を向けてみましょう。

 陰分(水分)を補う、という意味では梨などの果物は有効です。しかし体はやや冷える傾向になりますので過量に食べるのは要注意です。白菜、小松菜などの野菜類も同様です。

 だんだん冷えてくるにしたがって、大根、人参を食べるのに良い季節になってくると思います。さらに豆類ですね。豆類には潤性のものが多く、養陰には役立つと思います。季節のものでは銀杏ですね。

 いろいろな観点で養陰を実践すれば、春からどんどん元気がでてきますよ!

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2006年10月15日

またまた気管支炎が増えている理由

 梅雨時に気管支炎が出やすいということをメルマガ52号でお話しました。

 いや、エアコンかもしれませんよ、というご意見もいただいておりましたが、このところの湿気の多い気候のためか、またまた気管支炎は増えてきました。エアコンも否定はできませんけれどね。

 ただ、湿気が多いということが気管支炎増加の大きな要因であることは間違いないと思います。

 では雪国は冬中湿気が多いから気管支炎の患者さんが多いのかというと、そんなことは無いようです。

 湿気は気管支炎のための必要条件ではあるのですが、それで十分とはいえないようです。湿気だけで気管支炎は起こらないということです。

 では何が他の要因として大切でしょうか?

 私なりに3つの要因を候補として考えてみました。

 1.6月と10月初旬は気温の高さがだいたい同じであるので、適度に湿気があるうえに気温も比較的高いこと。

 2.適度な湿気がある上に、気温の変動が大きく季節がわりの時期であること。

 3.6月は新年度の疲れ、10月初旬は真夏の疲れが出る時期であること。

 恐らくどれかが、または複数が正しいのだと思っています。

 気管支炎はウイルス性感冒の後から生じてくることが多いので、それを考慮すると、恐らく2.が最も正解に近いのだと思います。しかし、それを検証することができません。

 また毎日観察する中で答えを探して行こうと思います。

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2006年10月08日

成都に行ってきます!

 当初、秋の学会は遠方(青森)なので、ちょっと気が進まず、さぼってしまおう、と思っていました。でも毎年、10月下旬と言えば、疲れがたまってくる季節なので、どこかでちょっと休みたいな、なーんて思っていました。

 開業医のくせに不謹慎だ!と言わないで下さいね。仕事も疲れるんですよっ!

 急に成都中医薬大学研修という話が舞い込んで来ました。研修で行くなら、不謹慎とは言えないな、と自分に言い聞かせ(結構気にしています)、思いきって言って来ることにしました。

 11月1日から5日まで留守にしますのでよろしくお願いいたします。また経験談をメルマガ上で公開しようと思いますので、お楽しみに~。

 東洋学術出版社が運営する中国研修旅行ブログ

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2006年10月01日

東洋医学のない風邪診療は考えられません

 私の診察を見て、漢方薬を使ってみたい、という先生がいます。しかし大学病院では人の患者さんの様子を細かく見ることはできません。

 じゃ、アルバイトの病院で毎週診察したら!と提案してみたのです。

 ・・・ところが

 そのアルバイトの病院には漢方薬が十分においてありません。私の場合、大学病院の漢方薬の品揃えでも少し不便を感じることがあります。漢方薬はまだまだ診察の主役ではないのです。

 聞いた話なのですが、先日日経新聞に「急性疾患は西洋医学、慢性疾患には東洋医学で対応する統合医療」という記事があったそうです(未確認)。

 では漢方薬は、急性期病院には不要でしょうか?風邪には不要でしょうか?私は漢方薬のない風邪の診察なんて恐ろしいです。

   風邪をひいて寒気があるとき
   水みたいな鼻水が出るとき
   頭痛がはじまったとき
   喉が痛くなってきたとき
   痰が混じり始めたとき
   咳が出てきたとき
   再度、寒気が襲ってきたとき
   今度は喉仏のあたりが痛くなってきたとき
   喉が渇いてきたとき

 風邪にはいろいろな場面が予想されますが、これらの症状に対して漢方薬にはそれぞれにふさわしい漢方薬があるものです。しかし西洋薬ではどうでしょう。十分に対応できるのは恐らく痰に対してのみでしょう。

 鼻水止めをもらって効いた、と思っている人の多くは自力で鼻水が止まっているように感じます。頭痛に頭痛薬を飲んで、気分的にはよくなっているのだけれど、本当によくなっていますか?身体を薬で冷やしてしまい、逆に風邪を長引かせる要因を作っていませんか?

 そういうことを考え出すと東洋医学なしで診察することが恐ろしくさえあります。

 先日、脈がどうしても触れることのできない年配の方がいらっしゃいました。風邪の症状で何度か来られているのですが、脈が診られないのは本当にこまります。脈は東洋医学の主幹を成すものですからね。

 急性、慢性で東洋医学と西洋医学を分けるのではなく、それぞれの患者さんを前に考えて、内容を選択していかなくてはならないと私は思っています。

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2006年10月01日

「沖縄26ショック」寿命を縮める要因について

 みなさんは沖縄の「26ショック」というものを知っているでしょうか?これには健康管理に関する大きなヒントが隠されているように感じています。

 長寿国の沖縄に異変

 医療関係者の間では3Cが原因であろうとの推測がなされています。

 沖縄長寿3Cでかげり
 
 コレステロール、シガレット(タバコ)、カー(車)による運動不足ということです。なかなか上手い言い方です。

 豆腐を使った郷土料理などはあまり意識されなくなってきており、本土とほとんど食べるものは同じであるということです。やはり食事は大きな要因と言えそうですね。

 きちんと確認できておりませんが、肺ガン死全国1位のようですね。健康と向き合う文化が育っていないと喫煙率が上がるような印象があります。これはどうも、喫煙率が低下している地域からそうでない地域へとタバコ消費地が移動していることが原因のようなのです。

 あとは運動不足ですか。耳が痛いですね(笑)。ただ、案外地方都市の方が車社会であるがゆえに運動不足になりやすいもののようですね。私も自動車通勤を先日から半分程度にしています。

 他に議論されていたところでは、自殺、飲酒機会が多い、検診率が低いといったところが挙げられていました。そう、今トップを行く長野県は検診率がとても高いのだそうです。うーん、やはり検診は寿命にも顕著な影響を与えるのですね。

 私は生活環境よりもストレスなどの職場環境の方が寿命には大きな影響を与えると思ってきましたが、生活環境もこれだけ影響が大きいということには驚きでした。

 他に参考にしたサイトを挙げておきます。

 揺らぐ長寿王国沖縄
 
 コザの町医者ブログ
 

2006年09月24日

鼻づまり。夏の暑さの影響か、ストレスなのか?

 今日も耳鼻科っぽく、鼻のお話をしてみます。

 大体この季節の鼻詰まりというと、ハウスダスト、または秋の花粉症(東京だと主にブタクサですね)のアレルギー性鼻炎を考えます。

 あとは感冒初期の鼻づまり、そして感冒後期に副鼻腔炎を合併して膿のような鼻汁が鼻に詰まってしまうことを考えます。お子さんの場合には逆の順番で考えて行きます。

 他に鼻づまりの病気といえば、腫瘍とかポリープなど何かができているというようなことでしょうか。それくらいしか思いつきません。

 ところが何が原因かよく分からない鼻づまりの患者さんが2人いました。

 2人は性別も違いますし、共通点があまり見出せないのですが、ひとつだけ共通部分を見つけました。

 首から上が熱いと感じるようなのです。そういえば赤ら顔の男性、かたや首から上に汗をかく女性です。

 ・・・

 男性は暑さの影響のようでしたが、女性はストレスが原因のようです。

 男性には熱を冷ます漢方薬を渡したところ、何と鼻づまりがとれてきたとのことでした。熱いことと鼻づまりは理論的にはつながり難いですが、これは事実です。

 先日も、体の水のバランスを取る漢方薬を使っただけで鼻水が少なくなり、汗かき体質まで修正されて喜ばれた、ということも経験しています。やはり体のバランスは鼻にとっても重要なのです。

 鼻だけでもこんな調子ですから、西洋医学ではどうしても説明のできない病態がまだまだたくさんありそうです。

 ストレスを持った女性にも同じ処方をしてみましたが、どうなりますか?

2006年09月16日