コロナ後遺症について~気になっていること

コロナウイルス感染後遺症と思われる症状をお持ちの方から、たくさんのお問合せとご受診をいただきました。その経験から気になる点を2つだけ申し上げます。

1.免疫を上げる健康食品や飴類、ドリンク剤などは、念のためおやめいただくのが良いと思います。免疫過剰状態を助長する傾向があるように感じます。受診時には全ての健康食品の類について聴取させていただきます。

2.テレビ等でコロナウイルス感染後遺症として、感染を広げてしまう恐怖や不安感などから精神的に病んでしまう方たちの例が挙げられています。こういうことは確かにあると思います。ですが一方で、コロナウイルス感染後遺症が社会的に十分に認知されていないため身体的な後遺症についても「精神的」と一方的に片付けられてしまう人たちが大変多いです。その診断から自分がおかしくなってしまったのかと悩まれる方もいらっしゃいます。医療従事者が安易に「精神的」と片付けてしまうことには警鐘を鳴らしたいと思います。

2020年06月15日

コロナ感染の後遺症?

ずっと微熱が続く、ずっと経験したことのない頭痛を時折感じる、何だが息苦しいのが1カ月くらい続いている、などの症状を訴える人が増えているように感じます。大した事のない炎症といえばそれまでですが、どこの病院に行っても異常なしと言われる、と皆が口裏を合わせたように訴えてきます。これは何なのでしょうか?

コロナウイルス感染症が蔓延して久しいですが、どうもその後遺症のような風に感じています。
後遺症??そんなことを言っている情報番組はないけど・・?と思われるかもしれません。でもそういう番組に出てこられる先生方のところにかかられる患者さんは、軽症者の方は少ないのでしょう。

しかし私たちのような小さい診療所では、こういう症状の方を診察する機会が多いので、どうもこれはコロナウイルス感染の後で生じた、サイトカインストーム(過剰な免疫現象のことです)が何等かの理由で収まっていないのだなと推測することができます。実際、免疫を調整するように漢方薬を使ってみると、1カ月続いた症状が1-2日で取れてしまいます。しかしその後、数日して何かの刺激を受けたからなのか、少しだけ症状がでたり引っ込んだり。一直線には治りませんが、不安にならない程度の症状に落ち着いていきながら治っていくのです。「コロナウイルスに感染した覚えはない!」と皆さんおっしゃいますが、無症候性感染(症状がでない感染)でもサイトカインストームは起こりますので、決して不思議なことではないのです。

サイトによってはサイトカインストームに桂皮が有効、と書かれていることが多いですが、私はそうは思いません。一番確実にサイトカインストームを抑えてくれるのは恐らく甘草です。甘草+何か、ということで収まりをつけるのが有効でしょう。あとコロナウイルス感染予防に麻黄湯が有効ともいわれていますが、まあ否定はしませんが、あまり良い方法とも思いません。理由は割愛します。

今後はこういう患者さんが増えると思うので、今ある対策よりも、さらに良いものを考えておこうと思っています。

2020年05月08日

コロナの話題 記事への反論

昨日Yahooニュースで、真偽は定かではないが、自民党議員が「開業医はコロナから逃げているので援助などとんでもない」という意味合いの記事が掲載されました。本当なのでしょうか?私は目を疑いました。

確かに大きな病院には多くの重傷者が入院し、医療スタッフも本当に大変だと認識しています。でも防護資材が十分に提供され、コロナウイルス感染症と明確になっている患者に対応しています。危険と隣り合わせの状態が続いているとは思いますが、どこに危険があるのかが明確なのが私たちとは異なります。

私たちはというと、発熱があり保健所に問い合わせた結果「近くの診療所に行ってください」と言われた感染疑い患者さんも診察します。隔離はするものの、事前の連絡なく受付に熱があると現れる人もいらっしゃいます。資材に関しては、マスクは一切通常ルートでは納品されず、フェイスシールドは自分たちで作ったもので対応しています。ガウンもようやく女性用のものを少量入手したところで男性用のものは手に入りません。手袋も在庫が少なくなってきましたが納品は滞っています。消毒用アルコールも次の納品はいつなのか分かりません。

いつの間にか、診療所は丸腰で資材不足のままコロナウイルス感染症の最前線に立たされるという状況になっています。おそらく必要な資材はほぼ全てが大きな病院に回されていることと思います。この状況がこの議員に認識されていないのは大変残念です。私たちは30分毎に院内全てを清拭したり、ビルのエレベーターのボタンまで清拭し、入口は開放のままで換気を十分にするなど、綿密に院内感染対策をしているつもりです。しかしどんなに対策をしても100%の防護は難しいかもしれません。

この苦境を乗り切るように、院内では様々なアイデアを出し合い、考えながら、節約しながら、院内感染に十分に注意しながら、個別に対応しているところです。

2020年04月14日

医療崩壊を防げるか?

東京都では、コロナウイルス感染者の中で軽症者をホテルなどに移すことになったそうですね。
これで重傷者が十分な医療を受けられるので、医療崩壊を防げる・・・果たしてそうでしょうか?

今まで感染者といっても軽症者が多ければ、医療従事者の濃厚接触の機会はかなり少なかったと推測します。
しかし、感染病棟に重傷者が並んでいたらどうでしょうか?

おそらく従来のマンパワーでは立ちいかず、スタッフの増員も必要になるでしょうし、濃厚接触機会も増えるでしょう。
器材もさらに必要になり、病棟内はかなり混乱するのではないでしょうか?

スタッフは心理的にも軽症者がいることで、ピリピリしつつも、患者さんが命の危険にさらされていないので、
今までは少し息がつけたはずです。しかし重症者ばかりだと気が抜けず、スタッフの心身の疲弊が心配です。

私たちのような弱小末端医療機関でさえも、保健所で検査対象にならない人たちがいらっしゃるので、
患者数は少なくなっても、緊張が続くためか大変疲れます。私事ですが、最近は22時前後には寝ています。
しかし、医療従事者としての役割を果たすため、注意深く、医療の継続に力を注いでいきたいと思います。

2020年04月09日

コロナウイルスに関する新たな考え

しばらく下火だった東京におけるコロナウイルス感染ですが、この5日間は40~60人台の感染者と増加しています。

おそらく武漢でコロナウイルス感染が広がった当初、東京はその渦に巻き込まれたのだと思います。複数の医師がおかしな肺炎の患者が来ていたということを口にしていました。私も風邪にしてはおかしいと思ったことがありました。

その後、ヨーロッパを席捲したコロナウイルスですが、死亡者の数が異常なので、変異するなど性質が変わったのではないかと推測します。

都内にいる私は、都内の人の大半が無症状のまま感染を終わらせたものと理解して、東京に居れば安全と高をくくっていましたが、今回の感染者増大は前回(2月ごろ)の感染拡大の時とは内容が違う、すなわち前回の無症候で作られた体内の抗体はおそらく抑止力が薄く、ウイルス自体も凶悪化している、本当に危険な状態と考えます。

自分は大丈夫!と飲みに繰り出す人もいますが、命を守る行動が求められていると思います、今回は。この連休では終わりになりません。もう少し長い闘いになるでしょう。

2020年03月29日

コロナウイルスによる味覚嗅覚障害

先日、大阪の感染症最前線の先生が「コロナウイルス感染の患者さんには味覚障害を訴える人が多い」と発言されたり、阪神の藤浪選手がコロナウイルス感染に嗅覚障害を合併したと報道されたりして、味覚嗅覚への関心が高まっています。
嗅覚障害には感冒後性のものがあります。特にインフルエンザの後からの嗅覚障害はよく見られることから、コロナウイルスでも同様の嗅覚障害を生じているものと思われます。
味覚障害については詳細はまだ分かりませんが、嗅覚障害が先に生じて風味障害、つまり味覚の機能的異常ではなく、嗅覚が障害されているので味覚を感じにくいという症状が出ているように今のところは感じられます。

「2週間前に味覚障害、あるいは嗅覚障害だったのだけれど、私はコロナウイルス感染者なのでしょうか?(感染者だったのでしょうか?)」というような質問を複数受けていますが、冷静に考えてみましょう。
コロナウイルス感染者の症状が、発熱、咳、倦怠感がなくて味覚嗅覚障害だけが生じるということはありません。味覚嗅覚障害は様々な理由で生じますし、当然そういう方たちはコロナウイルスの検査の対象外です。

コロナウイルス感染者でないのに、味覚嗅覚障害の患者さんたちが、コロナ感染者なのではないかと疑われる、という事態は避けたいと思い、書かせていただきました。

2020年03月28日

インフルエンザ?「私は大丈夫」という英語

英語を学んでいる人は多いと思います。私も細々と勉強しています。

さて本日は、「私は大丈夫でした」(私はそれ(その病気)にかかっていませんよ)という英語です。これは思いつきませんでした。

I’m OK. で、もちろん通じますが面白くないですよね。

「それは私をわずらわせなかった」と表現します。

It didn’t bother me.

う~ん、やられた・・・。病気を主語にするのか。

すると、インフルエンザにはかかっていません Flu doesn’t bother me.ということですね。なかなか慣れていないと出てこない表現です。

この文章はbizcomのEnglish Trainer62 No19にでてきます。

私はこちらの教材のお世話になりもう6年目です。

また気になる表現がでてきたらご紹介します。

2020年03月06日

新型コロナウイルスの報道から

新型コロナウイルスはすでに日本で8人の感染者が確認されており、潜伏期間中に感染するという中国政府の発表や、バス会社関連の報道を考慮すると、あくまでも予想ですが、すでにこれは何百倍(もっと?)もの不顕性感染(症状がでないうちに受ける感染)者がいると推測せざるを得ません。しかしそのことで、知らないうちに免疫を獲得する人も出てくると思います。もちろん危険なウイルスだと思うので、封じ込めなど気をつける必要がありますが、みなさんは怖がるよりも自分の体調を整えることに集中し、人込みを避けるようにして、SARSの時のように時間の経過を待つのが良いと思います。

2020年01月30日

渋谷区の就学時検診

渋谷区医師会に所属して一番大変な仕事は、学校検診です。先生によっては昼休みに少しずつやる、という方もおられますが、私は仕事に没頭するタイプなのか、半日休診にして小学校や中学校に出向くことが多いです。

もう18年!学校耳鼻科医をやっています。以前は富谷小、上原小、代々木中と務めさせていただきましたが、現在は笹塚小学校と笹塚中学校を担当し、地元のお子さんたちの健康管理の一端を担わせていただいています。

先週、平日に就学時検診に行かれなかった方たちの検診を渋谷区役所内で行ないました。全部で126人だったと思いますが、土曜日午前の仕事を終えてから従事するので相当疲れました。でも、いつも受診されているお子さんのご家族にお会いすることができるなど、望外の喜びもありました。小さい頃から診察していても、もう小学生!、もう社会人!ということがしばしばあります。お子さんたちが成長するのは早いものだと感じました。

2019年12月15日

認知能力の改善を補聴器で

「健康な100歳をめざして」という日本赤十字社から出版された本を読みました。

耳鼻科に関連するところを抜粋すると、難聴があると軽度認知機能障害が1.3倍、認知症には2.39倍なりやすいのだそうです。音の刺激とはかくも脳の機能に重要なのだなと感じます。

老人性難聴はある程度は避けられないものですので、ビタミンCが不足しないようにして進行を抑えつつ、補聴器で適切な補正をかけていることが重要になるでしょう。

補聴器の一番のメリットはもちろん聞こえることですが、いつまでも聡明で居られるというところに私は大きなメリットを感じています。認知症の予防ということとつながるように思います。

当院の補聴器外来は月2回しかありませんが、一度通常の外来での診察をお願いいたします。

2019年07月28日