認知症について~具体的治療について

 今週は認知症の治療について東洋医学的に考えてみます。

 復習ですが、考える力の低下を補うために、大雑把に言うと3つの方針を考えました。

 第一に生命力を補うことで、脳髄を補う。・・・補腎(ほじん)
 第二に動物性開窮薬で頭の機能を改善する。
 第三に血の滞りを除いて脳の機能を目覚めさせる。

 補腎を行うための処方としては、六味丸(ろくみがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などが挙げられます。みな医療保険の適応になっている処方です。私もよく使います。

 少し脱線しますが、補腎が高齢者のみに行われると思ったら大間違いです!最近は若い方でも、疲れきっていて、腎の力がなくなっている「腎虚(じんきょ)」の状態の人がとても多いです。疲れのある方は、どうかよくお休みを取られますよう。

 さて、話を戻します。脳梗塞で半身不随になると、リハビリ以外にも治療のメニューを用意したいですね。そこで、補腎をしながら第二、第三の方針も取れれば取ってみましょう。第三だけでしたら、エキス剤漢方薬に芍薬、当帰、川きゅうを含む当帰芍薬散があります。

 第二、第三の方針を満たしているものを(市販薬ですが)、ネット上で探してみました。ネット上のデータですが、それなりに信頼できそうな処方は、「補陽還五湯」というものでした。

 「補陽還五湯」名の由来(面白いです)

 脳梗塞後のリハビリとともに使用したいような内容です。そこで日本でも入手可能なものを探してみました。すると、こういうものがありますね。

 デルマンアストラガル

 生薬量がやや少ない印象ではありますが、補陽還五湯の生薬構成を忠実に再現したものは他にはないようです。あと構成が似ているものとしては冠元顆粒が挙げられます。いずれも使用してみないと効果は分かりませんが、理論的には効果があかっても不思議ではありません。

 冠元顆粒

 途中から脳梗塞後に用いる処方の紹介のようになっていますが、認知症治療と同じものを用いるようです。

 注)ただ私は本の上だけの治療しか知りませんので、念のため。使用感などわかることがありましたら、むしろ教えて下さいね。よろしくお願いいたします。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年11月15日

認知症について~まずは「もの忘れ」から

 最近、精神を病んでいる患者さんが多いのと、精神世界への興味の高まりから、精神科疾患の勉強をしています。先週までの不眠、うつの話をして参りました。今週は認知症について東洋医学的に考えてみます。

 ちなみに認知症の定義では、「社会生活が困難である」かどうかが、単なるモノ忘れと鑑別するポイントのようですね。

 東洋医学では、考える力の低下を補うために、大雑把に言うと3つの方針を考えます。

 第一に生命力を補うことで、脳髄を補う。
 第二に動物性開窮薬で頭の機能を改善する。
 第三に血の滞りを除いて脳の機能を目覚めさせる。

 第一の脳髄(脳神経と考えて下さい)を増やすというのは、生命力(=腎)を補う補腎をすることにより達成されます。生命力を補うための漢方薬もありますし、食事でも補腎を意識することが必要でしょう。具体的には次週解説する予定です。

 第二の動物性開窮薬というのは難しいですが、動物性の生薬の中には、詰まって塞がっているものを再開通するものがあります。何故か動物性のものに多いのです。入手しにくいようですが麝香(鹿の腺分泌物の塊)とか地竜(ミミズ)が挙げられます。

 詰まりが取れるという意味では、脳血栓、心筋梗塞にも使われます。鼻閉には使ったことはありませんが、恐らく効果があるでしょう。植物性の開窮薬としては菖蒲が挙げられるようですが、エキス剤漢方薬には含まれて居ません。

 脳梗塞後遺症などとともに、認知症の治療としても、この詰まりを除く開窮作用と、第三の血の滞り(瘀血(おけつ)と言います)を除く作用を合わせて使用することが多いようです。

 例えば、脳梗塞で半身不随になると、通常はリハビリのみで治療することになると思いますが、そこにこういう東洋医学的な内容を盛り込むと、リハビリも効果が出やすいのではないかと思うのです。

 次週は具体的治療内容に触れようと思います。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年11月08日

音楽や絵画にも五行があった!

 先日、いつも通っている中医学講座(正式名称は「次のステップを目指す中医学講座」です)で、とてもファンタスティックな講義を聴く機会に恵まれました。

 五行説、つまり木火土金水の内容について、詳しく勉強するというものでした。今まで気づかなかったのですが、人や性格ばかりでなく、音楽も絵画も、全ての事象は五行に分類され、お互いに影響を与えているのです。

 あらためていろんな音楽を聴き、絵画をみて、「これは肝」「あれは腎」とお遊びのように楽しく勉強?しています。今週はこの内容が色濃く出ると思います。お楽しみに!

 1.「腎」についての解説
 

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年11月02日

ストレスに関する考え方7~うつ4

 肝気鬱結が長期化したときに生じる臓腑の障害について解説します。伸びゆく肝の性質は、それを十分に外に向かって発散できないとき、例えばストレスをかけられたときに、働きが悪くなります。これが肝気鬱結です。気が鬱した状態と考えて下さい。

 さて、この状態が長期化することで影響を受ける臓腑は何でしょうか?

 ―― それは脾(消化器)と心(頭と精神と血脈)です。

 <脾>
 どうして脾が影響を受けるのか、実はよく分かりません(悩)。肝気鬱結で脾が傷害されることは当然?のことのようです(誰か教えて!)。肝気犯胃から脾気虚(消化器のエネルギー不足で、消化吸収が上手く行かない状態)になり、体のエネルギーが全体に減少してしまいます。

 気持ちが沈むと倦怠感が生じ、食欲不振になる、ということは経験された方も多いでしょう(やはり常識なのかしら?)。そして診察としては、舌の色が淡くなり、脈は力がなく(弱脈)、細くなります(細脈)。

 <心>
 次に心。肝は血を蔵しています。肝気鬱結により肝血が消耗すると、五行の次の臓器(子臓)である心の血も不足します。血不養心というそうです。

 復習ですが、五行でいうと、肝(木)→心(火)→脾(土)→肺(金)→腎(水)→肝・・というサイクルで影響を与えます。ですので、肝の影響は心に出てしまうのですね。

 肝血虚から心血虚という状態になると、心不蔵神という状態になり、精神的に不安定になったり、めまい、顔面蒼白などが生じます。心は血脈も制御していますので、動悸がすることもあります。

 私も医学部時代に卒業試験のときに動悸がして内科を受診したことがあります。睡眠不足で自律神経が失調したと思っていましたが、ストレスから肝気鬱結になり、心血虚から動悸がしたのかもしれないですね。

 漢方薬の選択は、安神作用(心を安定化させる)を持つものが基本、あとは脾の状態も改善するかどうか、ということになります。心脾双方に対して効果が出る処方としては帰脾湯(きひとう)が代表的でしょうね。帰脾湯には安神、補血、補脾、すべての要素がバランスよく含まれています。

 内科に受診しておられる方の中にはあるいは、消化器だけ、メンタルな問題だけ、という対応になっている方がいらっしゃるかもしれませんね。

 次回から私もよく知りませんが、認知症についての勉強をご一緒しましょう。説明できるかな?(笑)

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年11月02日

ストレスに関する考え方6~うつ3

 我が家では理気(気を巡らせる)効果を狙ってグレープフルーツのアロマオイルを寝室で使用するようになりました。確かに少し良い感じで寝られるようになったかな?と思います。

 さて前回に予告しましたが、肝気鬱結により胃腸にまで症状が及んだ状態である、肝気犯脾の治療はどのようなものが考えられるでしょうか?

 脾土(脾は五行の土に当たります)の病気は、湿(水分)が胃腸に溜まる状態と、その湿が熱と結びついて痰(粘りを帯びた水)になる状態を考えなければなりません。

 脾土の湿を解消する代表的生薬は茯苓(ぶくりょう)、マツの根に寄生する真菌類である。そして痰を解消するための代表は半夏(はんげ)、サトイモ科のカラスビシャクの地下茎(球茎)です。

 余談ですが、この球茎からひげ根と花茎を除いた部分はへそをくりぬいたような形であり「へそくり」の語源だそうです。地位の低かった嫁が、つわり薬のへそくりを自分用と称して集め、こっそり薬屋で換金した、というのがへそくりの元々の意味とのことです。

 さて治療に戻りますが、肝の状態を元にもどす疎肝解鬱の代表的生薬である柴胡、そして脾に作用する茯苓と半夏をどう組み合わせるか、ということになります。

 茯苓と半夏を含む代表的処方は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。柴胡は含みませんが、厚朴の気を巡らせる作用が含まれているので、肝木よりも脾土の症状が強い時にはこの処方を使用します。

 肝気鬱結を主体に治療して脾土の痰湿も除きたいということであれば、柴胡、茯苓、半夏全てを含む方剤を考えます。代表的処方は柴朴湯(さいぼくとう)と竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう)です。前者は乾燥性が強く、後者は熱痰にも対応できるという特徴があります。

 肝気犯脾とは関係ありませんが、風邪の最後は熱痰となることが多いので、私は竹じょ温胆湯を多用しています。

 次週は肝気鬱結が長期化したときに生じる臓腑の障害について解説します。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年10月26日

ストレスに関する考え方5~うつ2

 ストレスにより、肝の疎泄機能が障害されたときに肝気鬱結はよく起こります。そのときにどうしたらよいのか、具体的に知りたいという質問をいただきました。ありがとうございます。

 うつ証というのは何かが詰っていることを意味しています。漢字だと「滞」「積」「不通」を使います。数日のうつ様状態であれば、睡眠により改善する可能性があります。

 この気詰まり状態を通じさせるということが治療の基本になります。敢えて言うならば、漢方薬なら柴胡剤が基本になるでしょう。加味逍遥散などが基本の処方になりましょう。軽症であれば理気作用のある香蘇散でもよいかもしれませんね。

 香蘇散は紫蘇の発散性を用いた処方です。あまり詳しくないので、もしも誤りがあったらどなたかに修正していただきたいのですが、発散性のあるアロマオイルも効果があるのではないかと考えます。レモン、グレープフルーツ、ジャスミンといったところでしょうか。これらは予防、もしくは軽症向きでしょう。

 肝の障害が長期間になると、肝と胆の経絡が障害されます。頭痛は確かに側頭部に多く生じる傾向があります。ストレスが長期間生じているために、脈にも影響が出てきます。弦脈と言って、ギターの弦のようにピーンと張った脈が生じます。この脈の患者さんがこのところ大変に多い印象があります。

 明らかに脈が弦になっているのにストレスなど感じないという方も少なくありません。何かがストレスの感情を抑圧している可能性もあるため、私は患者さんの話よりも脈が弦脈になっていることの方を重要視しています。ストレスを受けていることに体は反応していると考える方が自然な感じがします。

 弦脈は睡眠不足で簡単に作ることができます(みんな作れるかな?)。私は自分で脈を取りながら、弦脈の傾向がでてきたら、休むように心掛けていますよ。

 次回は、肝気鬱結により胃腸にまで症状が及んだ状態である、肝気犯脾より治療を調べてみます。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年10月18日

ストレスに関する考え方4~うつ1

 先週まで3回にわたり、不眠症について考察してきました。今日からはうつについて考えて見たいと思います。ネタ本は引き続き『いかに弁証論治するか~疾患別漢方エキス剤の運用』(東洋学術出版社)です。

 「うつ」とはそもそも何でしょうか?

 古典には「鬱とは滞りて不通の意なり」とあるそうです。つまり何かが滞り、通じなくて鬱結した状態ということができます。滞るものの種類としては、気・血・痰・湿・熱・食が挙げられ、それぞれに対応の原則があるようですので順次ご紹介していきます。

 「およそ病はうつによりておこること多し」

 こんな言葉があるようです。七情といって喜・怒・憂・思・悲・怖・驚)の七つの感情は中医学では重要な発病の要因とされています。どれもちょっと体に悪そうですね(笑)。喜びは健康に良さそうですが、中医学では過ぎた感情は健康には悪いと考えます。

 気鬱の話をします。気の巡りが悪くなる状態ですが、発散する場がなくて、気が行き場を失って溜まってしまう状態とでも申しましょうか。

 この発散働きは肝が持っています。肝の持つ疎泄機能とは、気の滞りを修復してのびのび生長できる状況を整える働きのことです。

 この疎泄機能は憂鬱な気分や怒り、ストレスの影響を受けやすく(のびのびできないので当たり前ですね)、肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる状態になります。ストレスでカーッとなってできたエネルギーがこもる状態です。よくありますでしょ?(笑)

 肝気鬱結は憂鬱になったり、情緒不安定になるだけ(だけってことはないですが)です。しかし長時間持続すると熱になり熱が体を上り、口が苦くなったり、舌が赤くなり黄色の苔が見られたり、頭痛も生じることがあります。頭痛は肝と関連の深い胆の経絡(ツボの列のこと)にも生じやすく、側頭部に痛みが強くなることがあります。

 肝の熱は脾(消化器)にも及びやすく、「肝気犯胃」という状態が生まれると食欲がなくなります。また、肝は血を蔵しますので、月経不順になり、血が滞ると生理痛が生じることになります。

 気持ちの問題からいろんなことが起こるものですね。発散が大切ということがよく分かります。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年10月12日

ストレスに関する考え方3~不眠症3

 先週まで2回にわたり、不眠症について考察してきました。今日は不眠の最終回です。

 大まかに分類すると、精神活動過剰による「心血不足」による不眠とストレ
 スによる「肝血不足」による不眠
、そして消化器不調による「血虚」による
 不眠
と説明して参りました。
  
 あとは腎の働きを説明しなければなりません。腎は生命力を意味していますが、心火(活発な精神活動)の行き過ぎを弱めることができるのは、水をつかさどっている腎の働きです。

 心の火と腎の水は本来、上半身と下半身に分かれていますが、それが腎の生命力を得て「心腎交通」の状態となり、体の平衡を保っているという側面があるのです。

 従って、生命エネルギーが弱まり(すなわち老化のことですね)、腎の水を心までくみ上げることが出来なくなった場合、あとは先週お話した、脾(消化器)の機能異常により腎の水が減少したときに、心火が消せずに不眠になってしまうのです。「心腎不交」と言います。

 今まで述べてきた不眠の中で重要と思われる処方を挙げておきます。

 第一に挙げられるのは帰脾湯(きひとう)です。元々消化を助ける作用が中心の処方ですが、安神作用に補血作用を合わせ持つ生薬が多数配されています。当帰(とうき)、龍眼肉(りゅうがんにく)。酸棗仁(さんそうにん)は肝の補血にも効果がありますし、遠志(おんじ)は心腎交通の生薬ですので、どの型の不眠に対しても一定の効果を上げることができるでしょう。

 ストレスがとても強くて寝られない場合には、肝の傷害が中心になりますので、酸棗仁湯(さんそうにんとう)が中心になりますが、これで肝鬱の解消が難しい場合には、さらに柴胡を配した処方を考えていきます。

 薬膳ではあまり身の回りの食材はないですね。強いて挙げるなら小麦、あとは酸棗仁、牡蠣(ぼれい;牡蛎殻のこと)ですね。重みのあるもので、精神状態を鎮めるという意味で、鉱物なども使われるようです。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年10月05日

ストレスに関する考え方2~不眠症2

 昨今はみな忙しく精神活動をしているので、「心」が疲弊しやすく、心血の不足となり、心の安定を血が維持できずイライラして(=心火)眠れなくなるという話を先週書きました。どうりで不眠症の人が増えているはずだ、と。

 心火亢進が心血不足以外の要因からも生じることがあります。

 血と魂を蔵すると言われる肝はストレスにより傷つきます。肝血が減少すると魂による精神活動が不安定になり、熟睡できなくなります。

 肝と不眠の関連で言えば、ストレスを溜め込んだとき、そのエネルギーは体内で火(熱)に変わります(気鬱化火)。火は体を急上昇して心を傷めることになり、不眠の原因となることがあります。

 さて今までのお話では、気鬱化火の他はみな、血の不足により不眠が生じると考えられます。血が不足する病態として、もうひとつ重要なものがあります。それは脾(消化器)の働きの低下です。

 脾で消化吸収されて体内に栄養が入ることで、体の気と血は充填されます。ですから、脾の働きが低下したときには気も血も不足がちになります。血の不足は心の安定を損なうため、脾の不調で不眠が生じることがあります。

 「脾は思を主る(つかさどる)」と言います。考えすぎると食欲が落ち、血虚の状態になるため不眠が生じやすくなります。また元々血虚の体質の方、色白で、髪の毛が細く、皮膚や爪が脆い痩せ型の人ですが、そういう人には当然不眠が生じやすいと言えるでしょう。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年09月27日

ストレスに関する考え方1~不眠症

 不眠症の方が増えているように思います。

 私は耳鼻科の医師ですが、不眠症はいろんな症状の原因になりますし、影響もかなり大きいので、対応を迫られることも少なくありません。

 不眠症というと、安定剤や睡眠薬が処方されておしまい。あとは「頑張ってね」という医療機関の対応がとても気になります。これでは根本的解決にならないので、いつまでもたくさんの人が薬を飲む結果になっているようです。

 不眠の本質を考えなければと思い、今日はこの本を紐解いてみました。
 『いかに弁証論治するか~疾患別漢方エキス剤の運用』(東洋学術出版社)
 (初級者の知識は持っている、という方向けの本です)

 普段診察をしていて最も多いと感じるのは、五臓の「心」を傷めてしまい、不眠症に陥るパターンです。

 「心は神を蔵す」と言われます。神、すなわち意識ですが、心は全ての血脈を集めており(すべての血液が心臓を流れるというイメージでも良いですよ)、心はその血液の養分を得て精神を安定させているのです。

 さて、昨今はみな常に忙しく精神活動をしており、「心」は疲弊しやすくなっていると考えられます。心の疲弊は心血の不足となり、心の安定を血が維持できなくなって、「心火」となってイライラして眠れなくなるのです。

 心血不足、あるいは別の原因でも心火亢進が生じる状態を探していくと、不眠症の根本的治療につながりそうです。詳細は次回に話します。

 実は「心血不足」「心火亢進」のほかに、もうひとつ不眠症の有力な原因になりそうなものがあります。肝の働きを考えてみましょう。

 「肝は血を蔵す」と言われています。血液には魂が宿るとされているため(科学的でない感じがしますか?)「肝は魂を蔵す」とも言えます。

 当然、魂は精神活動に関与していますから、肝は傷つくと肝血が減少し、魂が肝の外へ流出してしまうため熟睡できなくなるとされています。肝を傷つける最も大きな要因はストレスです。肝の障害についても次回に考察します。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
メルマガ英語版はこちらです。

2008年09月20日