【栄養療法】放射線障害にはビタミンC、αリポ酸が有効?
どうしても放射線に関することに興味が行ってしまっているので、その話題が中心になってしまいます。
点滴療法研究会というビタミンC点滴を中心とした治療を行っている団体のサイトにこういう記載があります。
急性放射線障害にはビタミンCが有効であるという論文があるとのことです。別の論文ではαリポ酸に放射線防護作用があるとの記載があるようです(論文の現物は未確認です)。
放射線障害を酸化ストレスと単純に割り切れるものなのか、つまり酸化を防ぐことで全てが上手く行くのかどうか分かりませんが、少なくとも効果はあるようです。
当クリニックは高濃度ビタミンC点滴を行っておりません。しかし今回の放射線障害は長期的なものを想定すべきと考えられますので、当方で準備できる高濃度ビタミンCの錠剤、またはαリポ酸とビタミンCの合剤を継続して内服すれば、十分に効果は得られるものと考えています。
読者の方に被ばく線量の高い、急性放射線障害の方がいらっしゃる状況は想定しにくいですが、そういう場合には内服でなく、高濃度ビタミンC点滴がより良いのではないかと推測します。
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2011年03月27日
『子供が丈夫になる食事』~栄養療法と断食療法
先週本の紹介を休んだから、というわけではありませんが、今週はここでも本を1冊ご紹介します。いつも教えていただいている定先生も書いている本です。
医師も実践している子供が丈夫になる食事
桜本美輪子、定真理子(著)、ワニブックス、2011/01
分子整合栄養医学の内容を噛み砕いて書いてある本です。切り口は「丈夫な子供」ですが、実は大人でもみな同じようにある一定以上の栄養が必要と私は理解しています。
定先生の前作である「妊娠セラピー」に関する本を、妊娠を希望している知人に渡したところ、見事に妊娠し、「すごーい」と思ったものです。今回は子供のことなので、その知人にはこの本を私からプレゼントする予定なのです。
さてさて・・・、
後述していることですが、断食療法と栄養療法では内容の整合性が全く取れていないではないか!!とご批判を受けるかもしれません。しかし私の中ではしっかりと整合性が取れています。
つまり、断食をすることによって、人間の根本の構造が変化するのだと思うのです。断食の結果、栄養は何倍にも増加した腸内細菌が補ってくれるようになるのでしょう。体の各所でも必要な栄養の質や量が変わってくるのだと解釈しています。
しかし断食で、そういう極限にまで至ることができない凡人である私たちには、栄養療法は魅力的な方法のように感じられます。そして可能なら練達の指導者の下で断食を短期間行うことが、体のクリーニングという意味では良いように私には感じられます。
栄養療法も断食療法も健康になるための手段という意味では同類です。しかし、栄養療法は肉体を万全にすることに主眼があり、断食療法は体を浄化するとともにメンタル面を磨くということに目的があるように感じます。考え方の相違、ゴールの違い、と言えるのではないでしょうか。
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2011年03月06日
【栄養療法】栄養療法から考える、いびき治療
いびきでお困りの患者さんがいらっしゃいました。
私もあまりそこまで指導することはないのですが、患者さんがあまりに一生懸命だったので、いろいろご一緒に考えてみました。
通常は「痩せて下さいね」と話して終わり!となるのですが、ご本人はかなり努力されているようです。これでは、気持ちが切れたときにリバウンドしてしまいます。体重の減少量も十分ではありません。
そこで、糖質制限についてお話をしました。血糖が上がらなければ太りません。タンパク質と脂質は栄養的にも重要なので制限すべきではなく、糖質を制限することが重要であることをお話しました。
さらに、タンパク質を十分に食事の前の方に摂取することで糖の上昇が抑えられることもお話しました。
タンパク質を摂取すると糖の上昇が抑えられることは、データとしては知っていますし、自分でも実践して血液データが良くなった実感があります。理屈は十分にご説明できませんが(苦笑)、有用で簡単な方法だと思います。
私のような体が頑丈で、食欲も旺盛な人間でも、サプリメントでタンパク質を1日15g摂取してカロリーが増えるようで、体が締まっていくのを感じます。いびきの患者さんにも同様の方法をお勧めしました。これなら栄養状態に問題はでませんので、リバウンドの心配がありません。
営業の仕事の際にも、お酒を蒸留酒にするように指導するなど、いびきの指導としてはなかなか良い内容だったのではないかと自画自賛しているところです(笑)。
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2011年02月20日
【栄養療法】栄養からみた花粉症対策~アスタキサンチン
久しぶりに栄養療法と花粉症の関連についてひらめいたのでご報告します。
花粉症は、最終的には肥満細胞というアレルギーを引き起こす細胞が壊れて、そのときにでてくるヒスタミンなどの生理活性物質がくしゃみや鼻水を起こす訳です。
もしもあなたの細胞の膜が壊れやすいとしたらどうでしょう?
恐らく、少しの刺激でも、あるいは大した刺激がなくても、くしゃみや鼻水の症状が起きるかもしれませんね。
つまり細胞の膜を安定化させることは、症状の改善につながると思うのです。
・・じゃあどうするの??と思いますよね?
細胞膜は主にたんぱく質とコレステロールでできています。ダイエットなどで脂肪分をあまり摂取しない人がいらっしゃるなら、膜が壊れやすくなってしまいますので要注意です。また古い酸化した油を使った料理ばかり食べていても膜が壊れやすいかも知れません。
膜の酸化(錆びのようなものですね)はストレスや喫煙、恐らくアルコールでも生じます。これらのものは避ける方が良いでしょう。当たり前?当たり前かもしれませんが、基本も大切です。
膜を構成するタンパク質と、その代謝に重要なビタミンB群を摂取することも膜の安定化につながるでしょう。
膜の酸化を防ぐという意味では、ビタミンEが有効でしょうね。あとは論理的には特にアスタキサンチンが有効ではないかと思います。アスタキサンチンは美肌効果だけではないと考え、当方でも扱っています。
細胞膜の安定化から花粉症を考えてみました。良い栄養を摂取することと、酸化に繋がる習慣を絶つことが必要でしょうね。
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2011年02月06日
【集会報告】鍼治療の講習から3 ~ 心経の兪穴=神門
先週から鍼と経穴に関する知識を増やそうと勉強を再開しています。
兪穴が、五臓の治療に使用すべき基本穴であること、経気の循環に最も有効に作用する経穴であることを学びました。
今日の私は、メルマガを書いているためかどうか分かりませんが、肝が強くなっています。ストレス?(笑)
そこで、「実証では子を瀉す(力があり過ぎる場合には子のエネルギーを削ぐ)」という原則に基づいて、肝の子である心を瀉すことにしました。兪穴は神門です。神様の門ということでしょうか?
早速、円皮鍼を刺してみました。確かに少し体が楽になります。大きな変化というわけではありません。
今日は決して易しい本とは言えない(笑)『まんが経穴入門』(医道の日本社)から引用してみます。
手少陰心経の原穴で、精神、思惟活動の神を指し、門は出入り口を指す。つまり神が出入りする門であり、寧心安神(心が休まること)の作用があるそうです。
イライラ、不眠、健忘、心痛などに効果があるそうです。置鍼するとスッキリするということは、もしかしてイライラしていたのかな?
手少陰心経には「青霊」「霊道」のような興味深い名称の経穴もあります。このあたりは、また機会をみて説明しますね。
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2011年01月23日
【集会報告】ドキュメンタリー「不食の時代」を見ました2
先週、断食に関して甲田先生のこと、そして栄養療法との比較についてお話しました。
そうしましたら、断食の経験談をメールいただきました。Tさん、ありがとうございます。
> 約25年前、障害を持つ長女の幼稚園の父親学習で、障害児を育てる父
> 親には健康増進が絶対必要とのことで、週に一日でも断食をして、健康
> を保ちなさいという内容でした。
ほおー。1985年といえば、経済発展期ですよね。この頃に断食を指導するなんて、余程の確信がないとできないことだったでしょう。誰がご指導されたのでしょうね。興味があります。
> 早速金曜日だけ3ヶ月間、朝から晩まで柿茶のみの断食を行ないました。
> 空腹ですごく苦しかったんです。ひどい風邪を引いて止めたのですが、
> 断食明け土曜日の朝ご飯の大変おいしかったのを覚えています。
私が知る限りでは、当初、体本来の免疫力が活性化されるまでは、栄養障害の状態になるわけですから、この間は少し注意が必要かもしれません。でも風邪が体のゆがみを修正するとともに発症するという考えもあるので、正常な反応であったという可能性もありますね。
> 大分後になって毎年苦しんでいた、スギ花粉症が完全に治り、以後一切
> アレルギーはありません。私はどうして断食でアレルギーが治ったのか
> 今でも不思議で、断食の情報には大変に興味を持って集めています。
やはり花粉症は免疫の状態の乱れから生じているという考え方は正しいように思えますね。私は昨今の食べ物にそういうものが多いことを感じていましたので、その感じと断食で効果があったことは合致しているように見えます。
> 毎日の楽しい晩酌から飲過ぎて、上がってしまった肝臓の数値と血圧を
> 正常に戻す為に、25年ぶりに「週1日断酒断食」を正月明けから実行
> しようと思っています。
そうですか。また結果を教えて下さい。一度効果を実感されている方でしたら、きっと続けられるでしょうから、結果が楽しみですね。
また映画の内容は次週になってしまいました(笑)。
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2010年12月26日
【栄養療法】鉄の欠乏について3
通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること、鉄過剰症はヘム鉄経口投与では生じないこと、溶血時に血清鉄が上昇すること、女性でフェリチンが低下しないとき、生理不順や肝炎を考えるということをお話しました。
検査データではもうひとつ、MCV(平均赤血球容積)が重要です。ヘマトクリット値を赤血球数の10倍で割った数です。ひとつの赤血球の占める面積の指標と言えましょう。
つまり十分に赤血球を作る材料が揃っていないとMCVは低下します。タンパク質、鉄、ビタミンB、ビタミンAの不足などを考えます。
ところが、ビタミンB12、葉酸が少なくなると、MCVは高値になります。基本的には胃からの吸収が阻害される場合ですので、ピロリ菌感染による胃の委縮、胃の切除後、あとは飲酒も関連します。
MCVの低下と上昇、これが同時に生じることも少なくありません。MCVが一見正常に見えてしまうのですが、実は鉄もビタミンB12も同時に不足しているという場面に結構遭遇します。
その場合には、鉄を補給するとMCVが異常高値になりますし、ビタミンB12を補給するとMCVが異常低値に変化します。
血液検査が正常な値だからと安心できないひとつの好例であると思います。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
lohas@jjclinic.jpまでお願いします。
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2010年11月07日
【栄養療法】鉄の欠乏について2
通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること。鉄過剰症は、経口投与では生じないことをお話しました。
ところが、鉄を過剰に投与されなくても血清鉄の値が上昇することがあります。それは溶血しているとき、すなわち、赤血球が壊れているときです。このときには赤血球中のヘモグロビンが血清中に出てきますので血清鉄の値は上昇するのです。
これは酸化ストレスが増しているときに生じる現象です。生活環境や、食事の環境の見直しが重要ですが、同時にビタミンEを摂取することで改善されてくるでしょう。
体内貯蔵鉄の指標となるフェリチンという値があります。通常の血液検査では何故か測定されることはまずありません。この値は若い女性では大体低下しています。月経の影響はそれだけ大きいわけです。
ところが若い女性で、フェリチンが低下しない人がいます。正常値だから良いのではないか?ということにはなりません。フェリチンが高い若い女性のの場合考えておかなくてはならない状態がいくつか考えられます。
ひとつは生理不順。生理がこないと出血しないので、フェリチンの値が下がりません。もうひとつは肝臓が炎症などで、フェリチンをたくさん作るように刺激を受けている場合です。あとは、鉄が潜在的に欠乏しているとき、フェリチンを代償的に作って、何とか鉄を貯蔵しようとしている場合でしょう。
私は少しフェリチンの値が高かったので、肝臓の負担を軽減するように、ビタミンBとたんぱく質を十分に補ってきました。これでフェリチンが下がると良いのですが、下がらないときには潜在的鉄欠乏を考えないといけません。
来週ももう少し鉄のお話が出来ると思います。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
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2010年10月31日
鉄の欠乏について
鉄については以前にも話をしたかもしれません。
とにかく重要なミネラルなので繰り返しになっても良いでしょう。
鉄欠乏性貧血の方で鉄剤を服用すると胃が痛くなる、という人もいると思います。私はずっと胃酸過多による症状が出てしまうのだと解釈していたのですが、実は違っていました。
原因はフリーラジカルです。
胃の中で3価の鉄が2価に変化しますが、このときにフリーラジカルができてしまいます。これが胃痛の原因になっているのです。
こういう場合でも、胃痛なので胃酸分泌を抑える薬が投与されているケースが多いようです。しかし、それだと鉄が2価に変化しませんから、吸収が悪くなり、鉄剤を投与している意味がなくなってしまいます。
やはり鉄剤はヘム鉄の形で2価のまま摂取した方が良さそうですね。
医師は、鉄過剰症について学生時代に習います。試験にも出やすい項目なので、よく覚えています。反面、鉄欠乏性貧血はありふれているので、かえってよく分かっていないという面がありそうです。
鉄の過剰は口から鉄分を摂取しても生じないようです。過剰になるのは、鉄剤を注射した場合だけのようです。鉄をたくさん摂らないといけない人はたくさんいます。そういう場合にはきちんとしたサプリメントを口から摂れば問題ありません。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
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2010年10月24日
【栄養療法】分子整合栄養医学講座を受講しました~ホモシステイン
先週、分子整合栄養医学講座を受講しました。国内唯一の講座で、全国から興味を持っているドクターが集まってきます。今年は昨年よりも20人くらい多い70人くらいのドクターが、もの凄い量の講義内容と格闘していました。
飲み会の席で、あるベテランの先生が「ホモシステインを測定している」と話してくれました。
ホモシステイン・・?
ホモシステインは加齢とともに増加し、葉酸、ビタミンB12、B6が欠乏することでも高ホモシステイン血症になります。
高ホモシステイン血症は血管内皮を傷害しますし、活性酸素を発生させる系
活性化してしまうので、動脈硬化や血栓症の危険因子と考えられています。(知らなかったー)
これを防ぐには葉酸を摂取することが重要とのことです。もちろんビタミンB群の摂取も必要です。
ホモシステイン濃度を測定することは、葉酸とビタミンB12の状態をみる事ができるので、実は大変便利だったのですね。
ただ、ホモシステインの値は抗てんかん薬や喫煙で高値になるので、判断には注意を要します。
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2010年10月17日