【栄養療法】コンドロイチン硫酸とグルコサミンについて1

 今日はコンドロイチン硫酸とグルコサミンについて考えます。

 コマーシャル等で2つともに有名になりましたね。余談ですが、よく考えると、テレビコマーシャルで流れている物が、安価で良い物だとはとても思えません。値段をその分高くするか、原材料費を安くあげるか、当然そういう仕掛けがあるものと思って下さい。

 さて、本題です。

 変形性膝関節症という病気があります。老人の膝痛で整形外科に行きますとレントゲン撮影を見せられ、手術をどうしましょう?という判断を迫られる病気という印象が私にはあります。

 ヨーロッパではコンドロイチン硫酸とグルコサミンで治療するというのがスタンダードのようです。実際に良質のものをある程度大量に摂取すると、変形がだんだんと治っていくようですよ。今まで聞いたこともないことなのでちょっとした驚きです。

 ということは、抗加齢という意味合いから、背中の屈曲や、背の縮みなども抑えることができる物質ということが言えるでしょう。

 また、目の角膜や水晶体、硝子体にもコンドロイチン硫酸が多く含まれているので、白内障、飛蚊症の予防にも効果があるようです。目にも抗老化の効果があるのですね。

 さらに肌の保湿にも大いに役立つため、見た目の老化予防にも有効と言えます。

 高齢者にとって福音とも言える、コンドロイチン硫酸とグルコサミンですが、実は各種疾患の治療にも役立てられるかもしれないのです。

 これについてはまた来週考えてみましょう。

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2010年08月08日

【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について5

 鉄分に関して、今週で5回目です。今回は鉄を補給するときの飲料です。

 以下はマウスの実験データです。参考にしているサイトはこちらです
  
 例えば紅茶とともに鉄分を摂取すると、紅茶のポリフェノールと鉄が結合してしまうので、鉄の吸収が悪くなります。しかし、前もってゼラチンを加えておくと、ゼラチンとポリフェノールが結合するので、鉄吸収は低下しません。

 食事と共に鉄分を摂取すると、鉄の吸収は落ちません。つまり鉄サプリメントを単独で、しかもお茶で摂取すると、鉄分の吸収が悪くなるので、食事と共に摂取するか、お茶でない飲料を用いると良いでしょう。食事からの鉄分の吸収はあまり飲料の影響は受けないと予想されます。

 さて、鉄については以上ですが、ここからは余談です。

 先日、某団体から、サプリメントの被害に関する情報を共有しましょう、という紙面が配られました。サプリメント被害に関する事例を集めたいようです。

 私はサプリメントを全面的に良いものとは思いませんが、現代人の食事事情、
 ストレス社会にあっては、サプリメントを摂取することで救われる人たちが
 少なからずいらっしゃることは事実として認めざるを得ません。

 サプリメントも服用方法や薬の選択を誤らなければ何も問題ないものと考えています。私は分子整合栄養医学を勉強して、それに即して、さらにご本人に合うものかどうか確認してサプリメントをお渡ししています。

 やはりこういう紙面が回ってくるということは、血液検査などでしっかり検査して、論理的にサプリメントを摂取する必要性が高まっている、という印象を持ちました。

 私とともに勉強している人たちです。
 オーソモレキュラー研究会
 

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2010年08月01日

【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について4

 鉄分に関して、今週で4回目です。今回は鉄欠乏をどのように判断していくか、ということを考えてみます。

 鉄が欠乏していると思う時には血液検査が欠かせません。注目すべき項目は
 ・ヘモグロビン(Hb)
 ・ヘマトクリット(Ht)
 ですね。貧血のときにこれらの値を見ることは広く行われています。逆にいうと、これらの値が基準値であると「正常」という判断がなされがちです。

 あと赤血球数を加えて、計算により導かれる値も注目したいですね。
 ・MCV(平均赤血球容積)=Ht/赤血球数×10
 ・MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)=Hb/Ht
 実は案外これらの値はあまり注目されません。Hbさえ正常ならOKという風潮があるのが現実です。

 しかし、MCVは値が90を切ると少し鉄欠乏と判断します。ビタミンB群が不足している人はとても多いのですが、そういう方ではMCVが上がりますので、鉄欠乏+ビタミンB不足=MCV正常、という図式もよくありますので総合的な判断が求められます。

 MCHCが低下していると(具体的には31以下くらいかな?)鉄欠乏が軽度を過ぎていると判断します。MCHCが低値でもHbが正常のことがありますので注意が必要です。

 そして通常の血液検査では全く測定されませんが、重要な項目はフェリチンです。フェリチンは炎症がどこかにあると上昇してしまうので注意が必要ですが、低値は貯蔵鉄の欠乏を考えねばなりません。そして鉄欠乏症状とフェリチンの値がとてもパラレルに動きますので、とても有用な検査項目です。

 フェリチン(単位ng/ml)は検査によっては女性10、男性20が基準とされていますが、これがとても問題で、男女ともせめて50くらいは欲しいです。100程度だと鉄欠乏の症状が出ないものと安心してみていられる感じですね。

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2010年07月25日

【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について3

 さて、今日は鉄欠乏の臨床についてです。

 鉄が不足するともちろんのことですが、体に酸素が行き渡らなくなります。手足の冷えや頭痛、耳鳴りなどはこれが原因かもしれません。全身倦怠感、眠気やうつ症状との関連も考えておきましょう。

 さらに鉄は骨、皮膚、粘膜の代謝、コラーゲンの生合成に働くので、鉄の不足により、爪の変形、肌の張りの低下を招いたり、ニキビができやすくなりシミが増えます。風邪をひきやすいときも鉄の不足を考えるべきです。

 知能や情動とも関連するため、イライラ、疲れ、集中力の低下が特に原因がないのにいつもみられる時にも鉄の低下について考えておきましょう。

 これだけ多彩な症状が出てしまう鉄不足ですので、診断と治療が重要になってきます。検査データの読み方と、食事あるいはサプリメント摂取の上での注意を次回に考えてみたいと思います。

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2010年07月18日

【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について2

 先週から鉄について解説を始めています。頭痛や肩こり、風邪をひき易い、めまい耳鳴り、疲れやすい、などのありふれた症状が、鉄欠乏性貧血の診断にならなくても、鉄欠乏により生じている可能性がある、ということでした。

 さて、今日は鉄の代謝についてです。

 鉄は吸収率が必要量や摂取した鉄の形態、同時に摂取した食物などに影響を受けます。

 食物中の鉄分は一時小腸粘膜細胞の中に貯蔵されます。そして必要時には吸収されるわけですが、不要な場合には小腸粘膜ごとはがれおち、便となり排泄されます。小腸がこういう機構を持っているので、鉄が過剰に吸収されるということは考えにくいわけです。

 動物性食品の中にはヘム鉄が豊富に含まれます。吸収率が10~30%と高くなります。一方、植物性食品の鉄は非ヘム鉄で吸収率は5%以下です。同時に摂取した食物により吸収率が左右されやすい性質があります。

 鉄の吸収を妨害する物質とは、鉄と不溶性の塩を形成するものと考えられます。フィチン酸(穀物の外皮に含まれる)、リン酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、お茶やコーヒーに含まれるタンニン、食物繊維、カルシウム、防腐剤に含まれるEDTAが挙げられます。

 逆に鉄が可溶性で吸収されやすくなるためには、2価鉄が酸化されないこと、または3価鉄が可溶性キレートを形成することが条件になります。ビタミンCは最も有効な物質と考えられ、他には食肉中の含硫アミノ酸、有機酸が挙げられます。

 読者のHさんからは、カフェインの影響について質問がありました。ここで調べた限りですが、コーヒーの場合にはタンニンの方が影響あるようです。たくさんの人が緑茶をペットボトルで飲んでいますけれど、鉄の代謝の観点からはあまりおススメできないことのようです。

 Hさん、ありがとうございました。
 来週は鉄欠乏の臨床についてお話します。

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2010年07月10日

【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について1

 分子整合栄養医学を勉強するまでは、鉄分の不足に関する理解は全くありませんでした。しかし勉強した上で患者さんに接すると、鉄分の不足を思わせる症状を持っている人がとても多いことに驚かされます。

 医師は必ず、鉄の欠乏は鉄欠乏性貧血、鉄の過剰はヘモクロマトーシスと勉強します。私もそうだったのですが、医師は鉄をたくさん摂取することにとても恐れを抱きます。貧血とヘモクロマトーシスでは重みが異なるからです。鉄の過剰はとてもやっかいな印象を医師は持っています。

 しかしよく考えてみると、私が耳鼻科だからかもしれませんが、ヘモクロマトーシスの患者さんは学生時代から通じて診たことがありません。それにひきかえ、鉄欠乏性貧血の患者さんはありふれています。鉄欠乏性貧血はとてもよく見かけるので、どうも医師には深刻さ、切迫感がないのです。

 でも、ひどい頭痛であったり、肩こりが慢性的に生じていたり、風邪をひき易かったり、めまい耳鳴りがあったり、疲れやすかったり・・・。いろんなありふれた症状が、鉄欠乏性貧血の診断にならなくても、鉄欠乏によって生じていることを、みなさんは知る必要があります。

 なぜこういう症状は女性に多いのでしょうか?それは月経があるからです。私も同じことを習いましたが、よくまとまっているこのサイトを参照して下さい。

 大切な部分だけ抜粋します。『食物中に含まれる鉄は1日10~20mgで、そのうち約10%にあたる1mgが腸管から吸収されます。また、消化管や汗、尿中に排泄される鉄も1日約1mgで、収支のバランスがとれています。ところが生理によって失われる鉄は約30mgで、女性に鉄欠乏が起こりやすいのはこのためです。』

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2010年07月04日

【栄養療法】アミノ酸について2 ~ 癌、肝硬変とアミノ酸

 先週からアミノ酸について勉強しています。

 アミノ酸摂取はバランスが重要です。それぞれのアミノ酸を必要量摂取することが重要です。植物性のたんぱく質ではメチオニンというアミノ酸が不足する傾向があるので、動物性たんぱく質の摂取が重要とされます。

 思いつきで書いていますので(笑)話が飛びますが、癌への対応もアミノ酸が重要な役割を果たしています。

 抗癌剤を使用するときには、その無毒化、発生した活性酸素の除去が重要になりますが、その働きを担うのはグルタチオンです。グルタチオンはシステイン、グルタミン酸、グリシンから成るトリペプチドです。

 またグリシンは癌に栄養を供給する血管が新しく作られるのを阻止する働きを持っています。癌の浸潤を抑える働きもあることが肝癌で確認されています。

 また、肝硬変の場合ですが、アルブミンの値が3.8mg/dl以上あると生存率が大きく上がることが報告されています。

 たんぱく質の摂取不足や癌などアルブミンがどんどん消費されてしまう場合、積極的に補っていく必要があります。

 補っても補ってもアルブミン値が上がらない場合、胃腸からの吸収が悪くなっていないか、慢性疾患がないか、尿たんぱくがでていないか、胃癌などにより出血していないか、などを検証する必要があります。

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2010年06月27日

【栄養療法】アミノ酸について

 今週はアミノ酸について勉強します。

 読者のHさんから、トレーニング生活を始めてあった不調が、プロテイン摂取で改善したとのことです。まず、長距離を走っても飛蚊症にならなくなり、そして風邪を引かないようになり、肉の食べ放題に行きたい欲求が抑えられるようになったとのことです。なるほど!

 方法としては運動前にアミノ酸サプリメントを摂取して、運動後にプロテインを摂取し、間食で空腹を避けるようにしたとのことです。これは実は深い内容を含んでいますよ。

 アミノ酸は吸収されて30分でほとんどが肝臓に到達します。ところが、プロテインではアミノ酸に分解されるのに時間がかかるので、少しずつしか肝臓には到達しないのです。

 ですから、トレーニング前にアミノ酸を摂取するというのはとても理にかなっています。もしトレーニングで傷んだ体を修復することを考えるならば、トレーニング後もアミノ酸摂取して、トレーニングとは関係のない食事のときにプロテインを摂取するというのは如何でしょうか?

 本題と外れますが、間食で空腹を避けるとありました。これはとても有効な場合があります。それは食後数時間後に低血糖になり、食欲が異常に増す人の場合です。もしかするとHさんは「肉を食べたくなる衝動がある」と話しておられましたので、食後高血糖、食後4~5時間後に低血糖になっているのではないでしょうか?

 この場合には、食事の最初に繊維質のものとプロテイン(あるいは肉類)を摂取して、糖質の吸収を抑えて食後高血糖を抑えていくという方法があります。実は私も食後に血糖がとても上がるので、プロテインの食前摂取をしています。間食する場合にも糖質過多にならないような配慮が必要です。

 Hさん、メールありがとうございました。

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2010年06月19日

【栄養療法】溝口先生のご講演をみて感じたこと

 今週はアミノ酸について勉強するはずでしたが、現在、新幹線の中ということもあり、十分な資料をもっておりませんので、また脱線します。

 溝口先生の学会でのご講演は、「脳の栄養療法」というタイトルでした。まさに栄養療法が重要であろうという分野です。

 いつものごとく、うつ病患者さんの症例紹介があり、検査データが数項目スクリーンに映りました。8項目程度ですが、たんぱく質とビタミンBの不足が見てとれます。サプリメントを飲んだら治った、というお決まりのコースの説明が続きました。

 抗うつ剤しか手段のない先生方にはとてもショッキングな内容のはずです。討論でも「本当に検査データの読み方が深くて感心する」というコメントがありました。

 でも会場はどこか冷ややかです。検査データ正常だから問題あるの??という空気も流れます。結局、会場の先生方は、頭では理解してもホンモノであるとは映らなかったのでしょうね。

 保守的な社会の中で、栄養療法がどこまで広がっていくのか、ここからが難しいところです。

 「一体、何グラム投与したのですか?」という質問もありました。

 それぞれを機械的に正常値にもっていくのではなく、その人にとって一番良い値に持っていくという考え方が全く理解されていないので、少しがっかりしましたよ。

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 さて、来週こそはアミノ酸のことをお送りする予定です。

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2010年06月13日

【栄養療法】たんぱく質の重要性3~トランスポーター

 たんぱく質の重要性について考えてきました。酵素、ホルモン、免疫物質の材料になっているたんぱく質の機能面の重要性、筋肉や皮膚など構造面の重要性について説いてきました。

 また、たんぱく質が足りているかどうかを見分ける血液検査の指標についても言及しました。

 さて今週は、たんぱく質の機能面に関係しますが、トランスポーターについて少し詳しく見ていきましょう。

 トランスポーターとは、物質運搬物質のことです。運び屋ですね。血液の中の様々な物質はそれぞれにたんぱく質に結合して移動し、必要なところでたんぱく質と分かれるという仕組みになっています。

 例えばビタミンAが血液中で運ばれていくには、レチノール結合タンパクとトランスサイレチンというたんぱく質が必要です。鉄が運ばれて細胞内に取り込まれるにはトランスフェリンという糖たんぱく質が必要です。

 ほとんどの物質にトランスポーターがそれぞれあるような状況ですので、たんぱく質の不足により、体の種々の機能が低下してしまうということは想像に難くありません。

 いろんな薬剤もアルブミンに結合して体内を循環して効能を発揮します。ですので、アルブミンが不足している人が薬を投与されると効果が十分にでないことが考えられ、薬剤量が増えていくことになります。薬で思うような効果がでないときに、医師はあまりたんぱく質不足であるかどうか気に留めません。このことは覚えておきましょう。

 質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
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 さて、来週はアミノ酸のことをお送りする予定です。

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2010年06月06日