「ウイルスか何か」が特定できない現状
先日、某所の医療関係者の集まりに行ってきました。偉い先生の研究発表でした。実は私もその先生に一時期お世話になっていたことがありましたので、研究内容の総括を聞く感じでした。
まずはある病気のモデル動物の研究です。従来、原因不明と考えられていた病気が体の外から入ってきた何ものかによって引き起こされるのではないか、という結論を上手く導いていました。
私もこの内容をみて、「この○○病は、ウイルスか何かによって引き起こされるのだな」と確信しておりました。
ところが、その研究に行き詰まりが生じてきます。
この「ウイルスか何か」が特定できないのです。
患者さんを診察して「この○○病は△△検査をすれば分かりますから検査しましょう」ということにならないと、診察室の現場では診断できないことになります。
逆に○○病の人を診て、「このウイルスか何か」が体の中で増えているという事が分かると、やっぱりそうか!ということになります。
しかしウイルスや、その他の原因と思しきものは無数にあります。それを全て調べることはかなりの困難を要します。そこで研究は方向転換を余儀なくされてしまったのです。
実に惜しいことです。
でもこういう研究が世の中には無数にあるのだと思います。
この偉い研究者の先生はデータを出して論文をたくさん書いている方ですので、恐らく気功で診断すると・・・という話には耳を貸さないでしょう。私も不愉快な気持ちにはなりたくないので、質問はせずに会場を後にしました。
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2012年09月09日
耳鳴りの漢方処方の考え方
耳鳴りの漢方治療について講演を聞きましたのでご報告しますね。
通常耳鳴りは腎虚という生命力の減退の状態を治療していくのが基本になります。しかし講演の中では、耳の領域で寒熱燥湿の状態を見極め、それを引き起こしている全身の状態を整えていくことが重要であるとのことでした。意外とストレスによる気の滞りと慢性疲労による血虚の状態をもっている人が耳鳴りになりやすいということも聞き、確かにそういう傾向で耳鳴りになっている人が多いようにも感じました。
また、白し(びゃくし)という生薬が耳を開くという作用を持っているのでそれを配合することで耳鳴りを治りやすい状況にするということも聞きました。白しを使っている漢方処方は少ないのですが、いくつか今後は考えていこうと思っています。
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2012年09月02日
夕食を減らして、お腹が一杯になったら食べない習慣
雑談のようなものですが。
食事の習慣を少し変えてみました。昼に腹持ちのよい食事を摂るようにして、夜は本当に少しだけ食べるように心がけています。
今までは、食べ物は残してはいけない、と教えられて育ちましたので、とにかく何でも食べるという風に生活していたのですね。
ところが、実際には満腹になっていることも多かったのだろうと思います。だろう、というのは、もう食べると決めて食べていましたので、実は満腹であったのかどうかさえ分からなくなっていたのです。
今は、「あ。もうお腹が満腹になってきたので、これで止めよう」と思えるようになってきました。
当たり前といえばあたりまえのことです。
でも案外できていないことのように思います。
あと、例えば時間がきたから食事にしよう、という習慣も本当はあらためたいところです。ただ、時間の制約もあるので、なかなか思うようには行きません。
お腹が空いたら、それを適量で満たすということが実は良いのではないかと思っています。
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2012年08月26日
塞いだ気分+水の飲み過ぎで症状が出やすい時期です
どうも気鬱の人に症状がでやすい時期のようですね。
気鬱とは、文字通り、うつうつと考え込んでしまう傾向のことで、気の流れが悪くなる状態です。
これが続くと熱を帯びて気が詰まった感じになったり、気を使って消耗して気が足りなくなったりするわけです。
この季節は水の飲み過ぎが原因で、水をさばく力が強い人は良いのですが、力の弱い人は水が体に残ってしまい、気の通り道を塞いでしまうという現象が起こります。
気鬱は軽いうちに処理しておきたい病態です。そこで、食事の面から気鬱に対応する内容の書かれたサイトを見つけたのでご紹介します。
このサイトの「医食同源」に書かれています!
そのサイトによりますと、香りのよいものが気を巡らせるので食すると良いとか、水の飲み過ぎの場合には大根や玉ねぎなどを食べるのが良いとあります。
また軽い体操などは気を巡りやすくしますし、どうしても上手くいかない場合には鍼治療が効果を発揮するとのことです。経験的にはマッサージ程度のものでも、経絡(ツボをつないだ気の通り道のこと)の知識があれば、気を流すことができますよ。
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2012年08月19日
暑い夏ですけれど、冷たいものは控えましょう
ストレスを抱えている人が多く来院するので、発散性のある漢方薬を選択しようと考えることが多いです。
発散というと、桂枝(シナモン)、蘇葉(しそ)が代表的だと思いますが、理由は不明ながら、桂枝の入った漢方薬が体に合いやすい季節のようです。
特に最近使い始めたのが桂枝人参湯です。発散とともに、お腹を人参で温める、つまり体表の発散にも、内臓の温めにも効果がでる(温裏作用といいます)という処方です。
よく考えてみて下さい。
この処方がこの夏に出るという意味は何でしょう?
この桂枝人参湯の中に入っている人参が胃腸の働きを補うのです。食卓にある西洋人参とは違いますよ!
連日の暑さで冷たいものを口にする人が多くなっているのだと思います。いつもは黙々と食べたものを処理してくれる胃腸も、冷たいものがどんどん入ってくるので少しお疲れ気味なのでしょう。
こういう背景があり、桂枝人参湯を処方することが多くなっているのでしょう。
暑い夏ではありますが、できるだけ冷たいものは口にせず、胃腸を守ってあげましょう。
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2012年08月12日
双子は副鼻腔炎になりやすい?
特に双子のお子さんをたくさん診察しているのではないかもしれませんが、何となく、双子のお子さんたちは耳鼻科にいらっしゃることが多いように感じるのです。
あまり真剣に考えたことはありませんでしたが、副鼻腔炎が全然治らないある患者さんを診て、もしかして・・と思ったのです。
双子は結構ストレスが多いのではないかと予想します。10歳くらいまでは、欲しいものも半分と言われ、もしかすると優劣を何かと比較される、ということがあるのかな?と想像します。
ストレスと副鼻腔炎の関係はあまり言われていませんが、東洋医学的に考えると大いに関連があります。
ストレスは気逆と言って、気、つまりエネルギーが上へ上へと流れます。エネルギーは温かいものですから、通常上に向かって流れやすいのですが、どんどん流れていってしまう状態は病的です。
お子さんは気をたくさん持っていますし、気が上に登らないように抑える力が不安定ですので、気がただでさえ上に登りやすいのです。それに増してストレスがかかるのであれば尚更です。
双子のお子さんを見かける機会が多いのは、もしかして副鼻腔炎を繰り返す、または長引くということがあるためなのかな?と感じました。
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2012年08月05日
5タイプに分ける診察で精度を上がったかな?
最近、診察の内容を変えたという話をどこかに書きました。
やはり、体の根本の体質が結構影響してしまうので、体質をざっくり5つに分類してそれのどれに当てはまるのかをみながら治療を組みたてています。
先日、風邪の患者さんがいらっしゃいました。咳をしています。結構続いているそうです。そこでいつものように診察をして、風邪の後半で喉の渇きが出る前の状態と判断して、それに合うように漢方薬を処方しました。
通常ならおしまい。治ります。
でも、その患者さんは治りませんでした。・・・あれ??おかしい?
いつも風邪の診察をするときには、寒熱の状態(寒いのか暑いのか)、燥湿の状態(乾いているか、湿っているか)を診ています。大体はそれで治療はできるのです。
でも時々、血の足りない人、あるいは血の滞っている人がいて、それが治療の妨げになることがあるようなのです。治りが悪い、と感じられるときには血の状態に注目するようにしています。
その患者さんの場合、確かに初回の診察のときに、どこかしっくりこない感じがありました。でもいつも通りの内容で診察を終えました。
案の定、その患者さんは咳が止まらないと再度診察にみえました。血の状態を確認したところ、お血(血の滞り)が強くあるために咳が止まりにくいこと、またストレスによる気滞(気の滞り)も同時にあることが分かりました。
そこで、お血と気滞を治療する処方をしてみました。初見よりもはるかにしっくりくる処方でしたので、治っていくことでしょう。
5タイプに分けて治療薬を選択するようになり、先入観が入らずに上手く処方薬を選べるようになりました。
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2012年07月29日
日本における抗がん剤の認可基準
先日、バイオレゾナンス医学会に出席しました。
波動医学とは関係のないところですが、ナルホドと思ったところがありましたのでご紹介します。抗がん剤のことです。
抗がん剤は奏効率2割を達成されると厚生労働省の認可が下りるとのことです。奏効率2割とはどういうことでしょうか?
日本における抗がん剤の認可基準は、部分寛解(腫瘍の縮小率が50%以上で、新しい病変の出現が4週間以上ない状態)が、20%の患者さんで認められることとされています
みなさんどう思われますか?
奏功するということが、腫瘍の縮小だけでよく、しかも4週間の縮小があればよいのです。さらにその縮小が20%の患者さんで認められれば良いのです。
あれ?治らない薬でも認可されるの?という印象を私は持ちました。
学会発表の中で問題点が指摘されていましたが、延命効果は考慮されていないこと、そして副作用の程度も考慮されていないのだそうです。
患者さんや家族の方たちは、治る、あるいは延命するということを期待されて抗がん剤治療に踏み切るのでしょうけれど、医師は縮小または一時的効果があり、時には治るという認識なのかもしれません。
諸外国で認可されている抗がん剤を日本でどうして使えないのだ、と様々な意見をサイトで拝見します。諸外国の認可制度のことは分かりませんし、何が正しいのかも分かりませんが、どのような経緯で日本で、あるいは海外で認可された抗がん剤なのかをきちんと調べて使用する必要がありそうです。
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2012年07月22日
中医学はシンボリズム的である?
先日、久しぶりに師匠の一人と考えている永楽堂クリニックの下谷武志先生の講演を拝聴しました。下谷先生は来年の第30回日本東方医学会会頭を務められます。
先生は「肝」とか「気滞」というのはシンボリズムであると言います。
正直なところ、よくわからないなー、とずっと思っていました。今回、先生のお話を聞いておぼろげながら分かったことを書いてみます。私がその程度の理解度ですので、みなさんにうまく伝わるかどうか。。。
たとえば中医学で使う用語は「肝」と言っても、物質としての肝臓のことを指すというよりは、栄養分(血)を蓄えることと、気血水全体の流れを調整するという機能的な内容が主になっています。
確かに「肝」の内容は肝臓の働きと近い感じもするのですが、完全に肝臓と一致しているわけではなく、あくまでも「肝」は機能を指しています。
こういう「肝」のイメージ、機能的側面をシンボリズムという風に表現されたのだと思います。
中医学はこういうイメージの側面がありますが、これは波動的であり、量子力学的であるので、方剤も2剤、3剤と重ね合わせていくことができるという考えがなりたちます。方剤の組み合わせは無限に近いでしょうから、現代の複雑化した病状にも対応できる場面が多いのではないでしょうか?
一方でいわゆる日本漢方医学はどうでしょうか?
古典を基礎とするこの学問は、叙述的に診断して治療方剤を選択していくという面があるので、きわめて粒子的、古典力学的であり、方剤を合わせると相加的効果しか得られない、西洋薬的な働きを生薬に求めることになります。
伝わったかどうか分かりませんが、私がずっとみなさんに伝えたかった内容のひとつなのです。
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2012年07月22日
嗅覚障害に当帰芍薬散がよいの?
嗅覚障害、つまりニオイがしなくなった人に当帰芍薬散を処方することが多くなってきました。
実は私が不勉強で、患者さんから医学雑誌(しかも耳鼻咽喉科の!)のコピーをいただき、「これを読んで下さい」と渡された内容なのです。もう数年前になりますが。しかもその後、その雑誌のコピーは放置してありました。
最近、何だかそのことが気になって、そのコピーを読んだり、ネット検索をかけたり、自分で診察したりした感想を述べます。
何故か分かりませんが、確かに嗅覚障害のエネルギーを消す効果があることが多いように感じられます。そして治療薬としても実際に使えるという印象も持ち始めています。
耳鼻咽喉科で漢方薬を使い始める人たちの間では、めまいには苓桂朮甘湯、嗅覚障害には当帰芍薬散という安直な使い方もでてきています。めまいよりも、嗅覚障害の方が上手くいく印象ですね。
今後、どのように当帰芍薬散が効いているのか、観察していきたいと思います。
ひとつ注意点があります。
ネット上では学術論文としていろんなところに紹介されているこののサイトですが、これは研究発表であり学術論文ではありません。両者の間には大きな差があるので要注意です。
しかも地方の漢方研究会ですので、全く鵜呑みにはできない情報です(信じないわけではありませんが)。何故なら内容の確認ができないからです。どうして効果があったかのようなことをみなさん書くのでしょうか? 一人が発信するとみんなが信じてしまうのがネット情報の怖いところです。
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2012年07月15日