常習便秘への対応

 排便は老廃物を体外に出すという重要な働きがあります。有害重金属や化学汚染物質はほとんど便と汗から出て行くため、便が出ないことで様々な問題が生じてきます。

 肌荒れが生じやすいですが、これは便からでない老廃物を無理やり皮膚から出すために生じる現象です。

 また、便が体のエネルギーを下向きに流す働きがあるので、便秘が常習化するとのぼせる傾向が強くなり、首から上に熱い感じや痒みが出ます。

 便秘の方たちは、水をたくさん飲んだり、繊維質のものをたくさん食べたり、ヨーグルトのようなものを常用していますよね?でも止めてしまうと元に戻ります。つまり根本的な治療にはなっていないのでしょう。

 では漢方薬が良いのか?というと、これも対症的になっているように思えます。止めれば便秘に逆戻りする場面に数多く遭遇します。一応、使用することの多い漢方薬を挙げているサイトがありますが、根本的解決には今ひとつの印象です。
 
 では、なぜ便秘が続いてしまうのでしょうか?

 ビタミンCが足りないのかもしれませんね。小腸で吸収しきれない量のビタミンCがあると、大腸で腸内をを酸性に保ち大腸菌の繁殖を抑えるのだそうです。ビタミンCはストレスやアルコール摂取などで消費されてしまいます。

 あとは、発酵食品の摂取が足りないことも考えておく必要があります。私が子どもの頃はいつも周りに発酵食品があったように思いますが、今は食卓に乗ることが少なくなりました。

 便秘によい経穴(つぼ)を探してみました。腸を動かすエネルギーを身体が取り込めないから便秘が続く、ということもあるのかもしれません。
 

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2011年06月19日

糖尿病の人たちの血糖管理について(門外漢ですが)

 本日は門外漢ではありますが、重要なことだと思いますので、糖尿病のことについて書いてみたいと思います。

 何故糖尿病なのかというと、数値を厳格にコントロールする医療があたり前のように行われていますが、どうなのかな?という疑問があるからです。

 糖尿病の患者さんはHbA1cという値を5%台にすることを求められることが多いようですね。2009年の日本糖尿病学会ガイドラインによれば、6.5%以下を良、5.8%以下を優(何だか成績みたいですね)と定められています。

 しかし、アメリカとカナダの共同研究には5%台の人たちと、7%台の人たちの間には統計学的に死亡率の差はなく、低血糖症になる人の割合が5%台の人たちの方にかなり多い(当たり前ですが)という結果になっています。

 低血糖症もときに命の危険のある病状ですし、死亡率に差がないのであれば、低血糖が少なく、快適に生活できることも大切だろうと思います。

 「でも、血糖が高いと糖尿病合併症が起こるのでは?」ということもご心配でしょう。

 しかしイギリスの糖尿病合併症予防研究(1998)によれば、合併症リスクはHbA1c値7%前後が最も少なかったというデータもあるのです。

 全てを日本人に当てはめてよいことにはなりませんが、同じ血糖値であっても、ことさらに高い血糖値でなければ数値で縛るのではなく、個々の臨床症状を見ながら管理を考えていくということも必要なのかもしれません。

 分子整合栄養医学講座で習ったことの受け売りになってしまいました。

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2011年06月05日

ピロリ菌のもたらす胃癌と貧血

 私も以前に、胃にピロリ菌感染があったので興味のあるところですが、ピロリ菌が胃に感染していることで、各方面に悪影響を与えるようです。

 元々ピロリ菌は胃癌を引き起こす菌ということでしたね。

 ピロリ菌が免疫に関する遺伝子を変異させてしまうことが、胃上皮細胞で示されています。

 また、ピロリ菌が胃内のビタミンC(アスコルビン酸)濃度を下げてしまうために発癌する可能性もあるようです。

 さて胃癌というと、何だか自分には関係のない話のように思えてしまいますよね?

 ところがこのピロリ菌感染による胃内ビタミンC濃度低下は別の側面も持っています。

 食事からの鉄吸収率は3.8%なのに、ビタミンCを加えると14.8~24.8%に上昇するというデータがあります。つまり、ピロリ菌が感染しているために鉄の吸収が悪くなり、鉄欠乏性貧血になりやすくなる可能性があります。

 一方で、がんの人は元々貧血になりやすいという側面があります。栄養状態が悪くなるとたんぱく質不足し、さらにフリーラジカルの影響で酸化ストレスに弱い赤血球が壊れやすくなり、溶血性貧血も生じます。

 つまり、貧血と胃癌は相なって悪化していく危険をはらんでいると言えます。

 まとめると・・、

 大切なのは、ピロリ菌の除菌、鉄吸収のためのビタミンC、赤血球が溶血しないように、たんぱく質とビタミンEの補給、といったところでしょうか。

 ピロリ菌は除菌の方法がかなり確立しているようなので、消化器科でご相談してみて下さい。

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2011年05月28日

【栄養療法】双極性障害と思われる方にナイアシンを使ってみました

  
 患者さんの中に、メンタルな問題を抱えている人が少なくありません。私は耳鼻科医ですので、あまりそういう患者さんへの対処が十分とは言えませんが、栄養療法で多少なりとも改善させることができれば、と考えています。

 先日、過労由来と思われる軽い双極性障害と思われる患者さんがやってきました。

 このメンタルな問題に対し、私はナイアシンとヘム鉄が候補に挙げました。

 ナイアシンは過労状態でメンタルな調整力を失っている人で、血液検査上はLDHが下がっている人に有効だと考えられます。まだ血液検査を確認していませんが、明らかにナイアシンの適応があると考えました。

 ヘム鉄は代謝を回すためのキーミネラルです。よってヘム鉄を使いたい場面はエネルギーが不足傾向であり、物質の滞りのためと思われますが、体に痛みが生じやすい印象があります。今回はナイアシンほどの緊急性は感じられないため、投与は見送りました。

 両者のもつエネルギーからも検証して、ナイアシンのみの投与にしましたが、今後、どのようになっていくのかを見守りたいです。

 それにしても過労は健康に影響が大きいですね。先日は東京電力の関係者に漢方薬で対処しましたが、補剤(体を補う処方)ばかりが必要になりました。胃腸を守り、血分を補うという感じです。大変なのだなと思います。

 震災で職を失った人がいる一方で、やたら仕事やストレスが増えている人も少なくないので、そういう方たちのバックアップを少しでもできればと考えています。

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2011年04月10日

【栄養療法】放射線障害にはビタミンC、αリポ酸が有効?

 どうしても放射線に関することに興味が行ってしまっているので、その話題が中心になってしまいます。

 点滴療法研究会というビタミンC点滴を中心とした治療を行っている団体のサイトにこういう記載があります。
 
 急性放射線障害にはビタミンCが有効であるという論文があるとのことです。別の論文ではαリポ酸に放射線防護作用があるとの記載があるようです(論文の現物は未確認です)。

 放射線障害を酸化ストレスと単純に割り切れるものなのか、つまり酸化を防ぐことで全てが上手く行くのかどうか分かりませんが、少なくとも効果はあるようです。

 当クリニックは高濃度ビタミンC点滴を行っておりません。しかし今回の放射線障害は長期的なものを想定すべきと考えられますので、当方で準備できる高濃度ビタミンCの錠剤、またはαリポ酸とビタミンCの合剤を継続して内服すれば、十分に効果は得られるものと考えています。

 読者の方に被ばく線量の高い、急性放射線障害の方がいらっしゃる状況は想定しにくいですが、そういう場合には内服でなく、高濃度ビタミンC点滴がより良いのではないかと推測します。

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2011年03月27日

『子供が丈夫になる食事』~栄養療法と断食療法

 先週本の紹介を休んだから、というわけではありませんが、今週はここでも本を1冊ご紹介します。いつも教えていただいている定先生も書いている本です。

子供が丈夫になる食事
医師も実践している子供が丈夫になる食事

 桜本美輪子、定真理子(著)、ワニブックス、2011/01

 分子整合栄養医学の内容を噛み砕いて書いてある本です。切り口は「丈夫な子供」ですが、実は大人でもみな同じようにある一定以上の栄養が必要と私は理解しています。

 定先生の前作である「妊娠セラピー」に関する本を、妊娠を希望している知人に渡したところ、見事に妊娠し、「すごーい」と思ったものです。今回は子供のことなので、その知人にはこの本を私からプレゼントする予定なのです。

 さてさて・・・、

 後述していることですが、断食療法と栄養療法では内容の整合性が全く取れていないではないか!!とご批判を受けるかもしれません。しかし私の中ではしっかりと整合性が取れています。

 つまり、断食をすることによって、人間の根本の構造が変化するのだと思うのです。断食の結果、栄養は何倍にも増加した腸内細菌が補ってくれるようになるのでしょう。体の各所でも必要な栄養の質や量が変わってくるのだと解釈しています。

 しかし断食で、そういう極限にまで至ることができない凡人である私たちには、栄養療法は魅力的な方法のように感じられます。そして可能なら練達の指導者の下で断食を短期間行うことが、体のクリーニングという意味では良いように私には感じられます。

 栄養療法も断食療法も健康になるための手段という意味では同類です。しかし、栄養療法は肉体を万全にすることに主眼があり、断食療法は体を浄化するとともにメンタル面を磨くということに目的があるように感じます。考え方の相違、ゴールの違い、と言えるのではないでしょうか。

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2011年03月06日

【栄養療法】栄養療法から考える、いびき治療

 いびきでお困りの患者さんがいらっしゃいました。

 私もあまりそこまで指導することはないのですが、患者さんがあまりに一生懸命だったので、いろいろご一緒に考えてみました。

 通常は「痩せて下さいね」と話して終わり!となるのですが、ご本人はかなり努力されているようです。これでは、気持ちが切れたときにリバウンドしてしまいます。体重の減少量も十分ではありません。

 そこで、糖質制限についてお話をしました。血糖が上がらなければ太りません。タンパク質と脂質は栄養的にも重要なので制限すべきではなく、糖質を制限することが重要であることをお話しました。

 さらに、タンパク質を十分に食事の前の方に摂取することで糖の上昇が抑えられることもお話しました。

 タンパク質を摂取すると糖の上昇が抑えられることは、データとしては知っていますし、自分でも実践して血液データが良くなった実感があります。理屈は十分にご説明できませんが(苦笑)、有用で簡単な方法だと思います。

 私のような体が頑丈で、食欲も旺盛な人間でも、サプリメントでタンパク質を1日15g摂取してカロリーが増えるようで、体が締まっていくのを感じます。いびきの患者さんにも同様の方法をお勧めしました。これなら栄養状態に問題はでませんので、リバウンドの心配がありません。

 営業の仕事の際にも、お酒を蒸留酒にするように指導するなど、いびきの指導としてはなかなか良い内容だったのではないかと自画自賛しているところです(笑)。

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2011年02月20日

【栄養療法】栄養からみた花粉症対策~アスタキサンチン

 久しぶりに栄養療法と花粉症の関連についてひらめいたのでご報告します。

 花粉症は、最終的には肥満細胞というアレルギーを引き起こす細胞が壊れて、そのときにでてくるヒスタミンなどの生理活性物質がくしゃみや鼻水を起こす訳です。

 もしもあなたの細胞の膜が壊れやすいとしたらどうでしょう?

 恐らく、少しの刺激でも、あるいは大した刺激がなくても、くしゃみや鼻水の症状が起きるかもしれませんね。

 つまり細胞の膜を安定化させることは、症状の改善につながると思うのです。

 ・・じゃあどうするの??と思いますよね?

 細胞膜は主にたんぱく質とコレステロールでできています。ダイエットなどで脂肪分をあまり摂取しない人がいらっしゃるなら、膜が壊れやすくなってしまいますので要注意です。また古い酸化した油を使った料理ばかり食べていても膜が壊れやすいかも知れません。

 膜の酸化(錆びのようなものですね)はストレスや喫煙、恐らくアルコールでも生じます。これらのものは避ける方が良いでしょう。当たり前?当たり前かもしれませんが、基本も大切です。

 膜を構成するタンパク質と、その代謝に重要なビタミンB群を摂取することも膜の安定化につながるでしょう。

 膜の酸化を防ぐという意味では、ビタミンEが有効でしょうね。あとは論理的には特にアスタキサンチンが有効ではないかと思います。アスタキサンチンは美肌効果だけではないと考え、当方でも扱っています。
 
 細胞膜の安定化から花粉症を考えてみました。良い栄養を摂取することと、酸化に繋がる習慣を絶つことが必要でしょうね。

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2011年02月06日

【集会報告】ドキュメンタリー「不食の時代」を見ました2

 先週、断食に関して甲田先生のこと、そして栄養療法との比較についてお話しました
 
 そうしましたら、断食の経験談をメールいただきました。Tさん、ありがとうございます。

 > 約25年前、障害を持つ長女の幼稚園の父親学習で、障害児を育てる父
 > 親には健康増進が絶対必要とのことで、週に一日でも断食をして、健康
 > を保ちなさいという内容でした。

 ほおー。1985年といえば、経済発展期ですよね。この頃に断食を指導するなんて、余程の確信がないとできないことだったでしょう。誰がご指導されたのでしょうね。興味があります。

 > 早速金曜日だけ3ヶ月間、朝から晩まで柿茶のみの断食を行ないました。
 > 空腹ですごく苦しかったんです。ひどい風邪を引いて止めたのですが、
 > 断食明け土曜日の朝ご飯の大変おいしかったのを覚えています。

 私が知る限りでは、当初、体本来の免疫力が活性化されるまでは、栄養障害の状態になるわけですから、この間は少し注意が必要かもしれません。でも風邪が体のゆがみを修正するとともに発症するという考えもあるので、正常な反応であったという可能性もありますね。

 > 大分後になって毎年苦しんでいた、スギ花粉症が完全に治り、以後一切
 > アレルギーはありません。私はどうして断食でアレルギーが治ったのか
 > 今でも不思議で、断食の情報には大変に興味を持って集めています。

 やはり花粉症は免疫の状態の乱れから生じているという考え方は正しいように思えますね。私は昨今の食べ物にそういうものが多いことを感じていましたので、その感じと断食で効果があったことは合致しているように見えます。

 > 毎日の楽しい晩酌から飲過ぎて、上がってしまった肝臓の数値と血圧を
 > 正常に戻す為に、25年ぶりに「週1日断酒断食」を正月明けから実行
 > しようと思っています。

 そうですか。また結果を教えて下さい。一度効果を実感されている方でしたら、きっと続けられるでしょうから、結果が楽しみですね。

 また映画の内容は次週になってしまいました(笑)。

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2010年12月26日

【栄養療法】鉄の欠乏について3

 通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること、鉄過剰症はヘム鉄経口投与では生じないこと、溶血時に血清鉄が上昇すること、女性でフェリチンが低下しないとき、生理不順や肝炎を考えるということをお話しました。

 検査データではもうひとつ、MCV(平均赤血球容積)が重要です。ヘマトクリット値を赤血球数の10倍で割った数です。ひとつの赤血球の占める面積の指標と言えましょう。

 つまり十分に赤血球を作る材料が揃っていないとMCVは低下します。タンパク質、鉄、ビタミンB、ビタミンAの不足などを考えます。

 ところが、ビタミンB12、葉酸が少なくなると、MCVは高値になります。基本的には胃からの吸収が阻害される場合ですので、ピロリ菌感染による胃の委縮、胃の切除後、あとは飲酒も関連します。

 MCVの低下と上昇、これが同時に生じることも少なくありません。MCVが一見正常に見えてしまうのですが、実は鉄もビタミンB12も同時に不足しているという場面に結構遭遇します。

 その場合には、鉄を補給するとMCVが異常高値になりますし、ビタミンB12を補給するとMCVが異常低値に変化します。

 血液検査が正常な値だからと安心できないひとつの好例であると思います。

 質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
 lohas@jjclinic.jpまでお願いします。

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2010年11月07日