コレステロールは下げた方が良いの?5

 食餌性脂肪の一連の流れをお話することにしました。先週はちょっと難しかったかもしれませんが、小腸から吸収されたトリグリセリドとコレステロールの行方についてお話しました。

ちょっとまた話が飛びますが(笑)、腸肝循環というものの存在をみなさん、知っておく必要があります。

 胆汁は腸に分泌されて脂質の吸収に役立つわけですが、この胆汁は最終的には腸から再吸収されて肝臓に戻されます。胆汁中の成分を失わないように、生体はそういう仕組みを作っているのです。

 ところで、胆汁酸は何から作られるのでしょうか。実はコレステロールです。コレステロールの約半分が胆汁酸に代謝され、腸管に分泌されます。分泌されたコレステロールの大半が腸から再吸収されて肝臓に戻ります。

 胆汁の一部が再吸収されないで便中に排泄されることがコレステロールの主な排泄経路になっているのです。

 この胆汁の再吸収を抑えるのは食物線維です。この再吸収が抑えられると、胆汁の排泄量が増加し、コレステロールが胆汁酸を生成するのに使われるため、コレステロール値が下がります。

 それだけでなく、胆汁酸が新しいものになるため、胆石もできにくいのだそうです。

 また、ビタミンCが胆汁酸合成を促進するので、これもコレステロール値を下げるのに一役買うようです。

 食事からコレステロールを下げるには、油ものを気にする以前に、食物線維とビタミンCを確認しておく方が良いでしょう。

 この流れであれば、必要以上にコレステロール値が下がることはないように感じられます。

 来週に続きます。

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2011年10月09日

コレステロールは下げた方が良いの?4

 このコラムを書いていて感じたのですが、脂質代謝全般がどのようになっているかを理解しないと、その先の説明が困難なのです。

 そこで、少し回り道になるかもしれませんが、脂質代謝の概要をお話しておくことにします。

 食餌性脂肪は腸からトリグリセリドとコレステロールとして吸収されます。そこから血液循環中から主に筋肉内と脂肪細胞中にトリグリセリドが放出されます。

 残りのコレステロールなどは一度肝臓に取り込まれ、そこでトリグリセリドと共に再度血液中に放出されます。

 トリグリセリドは筋肉と脂肪細胞に供給されて、残ったコレステロールを含むリポタンパク質はLDL(いわゆる悪玉コレステロール)と呼ばれます。このコレステロールが各組織に運ばれます。余ったコレステロールはHDL(善玉コレステロール)というリポタンパク質により肝臓に戻されます。

 主な物質の流れは以上の通りです。

 さて、小腸から吸収されたトリグリセリドとコレステロールはひとまとまりになり、リンパ管を流れていき、その後血液中に入っていきます。

 小腸でのコレステロールの吸収は30%程度とあまり高くありませんが、トリグリセリドがあるとコレステロールの吸収が良くなりますので、コレステロール値を下げるひとつの方法としては、低脂肪のものを摂取することが挙げられます。

 ただ、脂質代謝は上述のように複雑なので、それだけでは上手くいかないこともあるように思います。そのあたりの話はまた来週以後にします。

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2011年10月01日

コレステロールは下げた方が良いの?3

 先週まで、コレステロールには実は重要な働きがあるということ、コレステロール値が上昇するのは、コレステロール不要のメッセージが肝臓に届かないためであることをお話してきました。

 肝臓でコレステロールが生合成される量は、食事由来のコレステロール量が多かったり、各組織から回収されたコレステロールが多くなると、少なくなるように調整されています。

 コレステロールにはLDLコレステロールというものと、HDLコレステロールというものがあります。

 LDLは悪玉、HDLは善玉コレステロールなどと言われていますが、本当はどういう働きがあるのでしょうか?

 LDLは各組織にコレステロールを運搬する役割をします。各組織で余ったコレステロールはHDLが回収して肝臓に運んでいます。

 これが血管で生じると、LDLが血管にコレステロールを持ってきて、HDLが回収するという意味合いになります。

 ですので、LDLが悪玉、HDLが善玉などと言われるわけです。

 今週は勉強不足のため、ここまで!

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2011年09月25日

コレステロールは下げた方が良いの?2

 先週はコレステロールには実は重要な働きがあるということを書きました。コレステロールのことはみなさんご興味があるようでう、数通のメールをいただきました。ありがとうございます。

 さて、ではコレステロールを下げることをどのように考えていったら良いのかについて見てみましょう。

 人によって影響の大きさは異なりますが、コレステロールを含んだ食べ物を摂取すると、コレステロール値はすぐに上がります。食事中のコレステロールが血液に入ってくるからです。これは当たり前ですよね?

 ところが長期的に観察すると、空腹時のコレステロール値は、摂取したコレステロールの量に相関しないことが分かっています。

 むしろ、コレステロール値が高くなったときに、

 「コレステロールはもう要りませんよ」

 という指令がコレステロールを作っている肝臓にくるわけですが(食事中のコレステロールとは別物です)、この指令が弱くなることでコレステロールが作られ続けてしまい、コレステロール値が高くなるようなのです。

 この指令を強くしてコレステロールを下げるお薬が今、全国的に処方されているわけです。

 以上のことから、なぜコレステロールの値を下げる指令が弱くなるのか?これが最も重要な点であることが分かりますね。

 ではどのような状況でその指令は弱くなるのでしょう?これはまだ十分に調べていないので(笑)来週にします。

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2011年09月17日

コレステロールは下げた方が良いの?1

 コレステロールを下げるための薬を飲んでいる人が、どうしたら薬を止められるのか?ということを聞いてきました。

 あまりコレステロールについて詳しくなかったので、自分でも考えながら方法を探ることにしました。

 そもそもコレステロールって何でしょう?まずは基本的なところから入ります。

 コレステロールは悪者のように扱われていますが、本当はとても重要な働きをもった物質です。

 まずすぐに思いつくのは、細胞膜の構成成分であることです。特に神経細胞にはたくさんのコレステロールが含まれています。コレステロール不足で、細胞の機能が十分に発揮されない可能性があります。

 次に重要(どちらも重要ですが・・)と思われるのは、ホルモンやその他の生理活性物質を作るための材料になることです。男性ホルモンや女性ホルモンの材料になるだけではなく、ビタミンDの材料などにもなっています。

 あとは、胆汁酸の主成分です。脂質を吸収しやすくします。胆汁酸を減らしてコレステロール上昇を抑えるという薬もあるくらいです。

 ここまで読まれて、あれ?と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか?コレステロールって案外大切なものなんだな、と思われた方も少なくないのではないでしょうか?

 では続きは来週に

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2011年09月09日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について4

 たんぱく質の摂取不足の影響について考えています。もう止めようと思いましたが(笑)、もう1回だけお話します。

 先週、分枝鎖アミノ酸(BCAA)が、体を作る成分として使われないともったいないので、少量の糖質を同時に摂取することをお話しました。そうすれば糖質が燃えてエネルギーになり、アミノ酸は体を形成する材料になります。

 市民ランナーのHさんからメールを頂きました。ありがとうございます。

 ランナーとしては、消化の重いたんぱく質摂取は走る前よりも後の方がよりよいのだそうです。ナルホド。

 しかしアミノ酸ではエネルギーが十分でないと感じられるそうです。アミノ酸は体の形態と機能の維持のために摂取しているので、エネルギーが別に糖質を摂取したほうがよいことをお話しました。

 あと余談ですが、走っているときにおなかが痛くなるのは、もしかするとグルタミン不足によるものかもしれません。

 グルタミンは腸のエネルギー源です。日ごろのたんぱく質不足があると、グルタミンなどがあってもみな燃やされてしまい、おなかがエネルギー切れになり痛くなるのではないかと思います。

 今度、グルタミンを摂取してからランニングとかしてみようかな。

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2011年09月04日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について3

 先々週からたんぱく質の摂取不足の影響について考えています。

 1週目はアルブミンが不足して浮腫や腹水の原因になったり、乾燥肌、咽頭痛の原因にもなること、慢性炎症、肝臓病などでアブルミンは消費されてしまうことを書きました。

 2週目は胃腸の吸収が悪いときには、たんぱく質でなくアミノ酸の形で摂取していくのがよいこと、状態に応じて、分枝鎖アミノ酸、グルタミンを使うとよいことをお話しましたね。

 説明を忘れていましたが、アルブミンは血液中のさまざまな物質を運ぶ役割があります。薬もアルブミンが種々の臓器に配りますので、アルブミンが不足してしまうと、様々な問題が出てしまうことは想像に難くないでしょう。

 ところが、例えば分枝鎖アミノ酸がいくら吸収しやすいからと言っても、食事のときに全く糖質を摂取しないとどうなるでしょう?・・・

 分枝鎖アミノ酸が、体を作る成分として使われず(もったいない!!)、エネルギー源として使われてしまうことになります。せっかく体を頑丈にしようとして摂取しても、全て燃えてしまうとは何とも悲しいことです。食事のときには少量でも良いので一緒に糖質を摂取することをお勧めします。

 あと、

 食後血糖を下げたい方!私もその一人なのですが・・・。

 細胞内に糖が取り込まれることで血糖が下がるのですが、インスリン以外にもこの血糖取り込みを行うための重要な物質が存在します。その物質はGLUT4と呼ばれています。
 
 GLUT4は通常細胞の中に隠れていて、血糖取り込もうとしません。

 (問題)ではどういうときに、GLUT4から血糖が細胞内に糖を取り込もうとするのでしょうか?

 (答え)運動負荷がかかったときです。

 運動の重要性がここでも示されています。

 しかもこの働きが作動するにはロイシンという必須アミノ酸が必要ですので、たんぱく質摂取が血糖維持にも関係しているということになります。

 たんぱく質についてはこんなところでしょう。

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2011年08月27日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について2

 先週はたんぱく質の摂取不足の影響について考えてみました。

 アルブミンが不足して浮腫や腹水の原因になったり、乾燥肌、咽頭痛の原因にもなることをお話しました。また、慢性炎症、肝臓病などでアブルミンが消費されてしまうことにも注意を払う必要があります。

 いつも気まぐれなこのコラムですが、もう少したんぱく質のことを書こうと思います。

 栄養療法をしていて、いつも壁に突き当たるのは、摂取したサプリメントが十分に吸収されないことです。

 胃にピロリ菌がいるときには、まずその治療をするわけですが、元々吸収力が弱いひともいらっしゃるわけで、そういう場合には投与方法に少し工夫が必要になります。病状によるたんぱく関連製剤の使用方法も考える必要があります。

 ちなみに下記は『がんになったら肉を食べなさい』を参考にしています。

 たんぱく質が単純に吸収されないので補充したい場合には、必須アミノ酸を中心に補充していくことになります。必須アミノ酸とは、体内では合成できないアミノ酸で、筋肉、血液、骨などの合成に欠かせないアミノ酸のことです。たんぱく質よりもアミノ酸の方が分子が小さいので吸収しやすいのです。

 浮腫や腹水を抑えたり、慢性炎症などでアルブミンの消費に対応したい場合、特に肝蔵病があるときには分枝鎖アミノ酸を中心に投与します。肝臓病では分枝鎖アミノ酸が特に低下して、肝性脳症という病気になりやすいためです。
 
 また、抗がん剤や放射線療法などのストレスにさらされる場合にはグルタミンを中心に投与します。グルタミンは腸管のエネルギー源になります。治療により食欲が落ちるのを防いでくれます。また、免疫に重要なリンパ球もグルタミンが必要なのだそうです。

 たんぱく質やアミノ酸を工夫して使用することが重要なことが分かりますね。

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2011年08月19日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について

 たんぱく質の摂取不足の影響について考えてみましょう。

 アルブミンが最も多い血液中のたんぱく質ですので、アルブミンの働きを考えて、不足時に何が生じるかを考えることが大切であろうと思います。

 アルブミンは血液中で水分をひきつける働きを持っています。

 血管の中で水をひきつけて何になるのか?と感じる方も多いと思います。

 実は血管はアルブミンがないと水が漏れ出てしまうほど、目の粗い管なのです。アルブミンは血管の外に出るほどには大きな分子ではありませんので、アルブミンが水をひきつけて、血管外に水が出ないようにしているのです。

 従って、アルブミンが低下してしまうと水が少しずつ血管外に漏れ出て、むくみの原因になります。

 癌末期の患者さんで栄養状態が悪くなりアルブミンが低下してしまい、これが原因で腹水が溜まってしまうのも同じ理由で生じてきます。

 次に皮膚の表面に目を向けてみますと、水分は皮膚の表面から定期的に出て行ってしまいます。ですので、皮膚表面で水をひきつける作用のあるたんぱく質が必要になります。

 従ってたんぱく質不足により乾燥肌になることがありますし、粘膜で乾燥が生じれば、炎症が起きやすくなったり、喉が痛くなったりするわけです。

 アルブミン不足は急性炎症、癌や慢性炎症などの消耗性疾患、肝蔵の病気で起こりやすくなります。あと大切なのはストレスでもアルブミンは消費されてしまいますので注意が必要です。

 気が向いたら(笑)来週はこの続きを書きます。

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2011年08月13日

歯周病にまつわる病気について

糖尿病と歯周病、あまり関連がないように感じられるかもしれません。

 しかし現実には、歯周病を治療することにより血糖のコントロールが良くなる例が少なからずあるそうです。

 理由はよく説明できないのですが、そういう現実が存在するということが、大変大きな事だと思います。

 歯周病は心臓疾患とも関連しているようです。

 よく考えてみると、胃潰瘍もピロリ菌が原因だったわけだし、潜在感染症の宝庫?である歯周病が、いろんな病気の原因になってもおかしくないように感じられます。

 歯周病は様々な菌やウイルス、カビから寄生虫の類まで、いろんなものが繁殖の機会をうかがっているような病気です。炎症自体が弱いため、症状から感染を見つけることは相当困難でしょう。

 炎症反応も通常のCRPという検査値ではあまり明確に炎症を指摘できませんが、昨今は高濃度CRPという検査項目があるそうで、これで歯周病がチェックができるようです。

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2011年07月23日