データよりも自分の感覚を磨きましょう!
以前に私が主催した「耳鼻科漢方懇話会」に名古屋から駆けつけてくれたHさんから面白い情報いただきました。ありがとうございます!
「アディポネクチン」という物質のことです。
アディポネクチンを体内で作れない動物は体重が増えにくく、脂肪も蓄積しにくいのだそうです。Hさんにはこういう人が冷え性になるのではないかというコメントもいただきました。
アディポネクチンは脂肪燃焼によるダイエット効果があるという情報が流れていたとか。ネット検索でも多数ヒットします。でも食欲増進や脂肪蓄積に寄与するというデータもあるのですね。
10年でデータの3分の1はくつがえる!
これは今日、私が教えていただいた言葉です。
脂肪燃焼というそれだけの面に捕らわれていると、ダイエットに良いような気がしてしまうものです。これはデータ主義に多く見られる現象で、ブラックボックスをこじあけて、見えるものだけを取り出して、全てが分かったような気になっているのです。
東洋医学の良いところは、ブラックボックスはそのままに、総体としてどういうことが起こるのかを見ている、というところです。結局何が起こっているのかを把握することが大切なのではないでしょうか?アディポネクチンだけを捕まえて、何だかよく分かった気になるなんて笑止千万です。
しかもデータが覆るということになりますと、大切なものは何か・・?
やはり自分の研ぎ澄まされた感覚、ということになりませんか?
このメルマガの主旨はその感覚を鍛えて、自力で持続的な健康を創造する、ということにあるのです。思い出していただけましたでしょうか?間隔を磨くための一助になればといつも考えております。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月15日
このところの病気の傾向について
今週の東京は、湿気の気になる日が続きました。
体の中の水の移動は見えませんから机上の理論ではありますが、体に取り込まれた水分は、体を巡ってから一部は尿や便となり、一部は体表から蒸散していくのが通常の状態です。
しかし湿度が上がってくると水の蒸散は抑えられるので、体内の水の移動が上手くいかなくなり水に関連する症状がいろいろ出てくる、というのが東洋医学の理論です。
したがって湿気が多くなると耳鼻科では、耳の閉塞感、めまい、耳の痒み、頭痛などの患者さんが増えてきます。
軽症の場合には、他の病気がないことが確認されれば、季節が過ぎるのを待つように、と指導するのみのこともあります。患者さんにとっては何もしない私のやり方が少し不安かもしれませんね。
あと今週は、気温が早朝に低くなり、朝夕の気温差が増したような感じがしました。
こういうときには、お子さんの受診が増えるのです。まあプール前ということもあるかもしれません。
もう既に窓を開けて寝ていたり、クーラーを付けて寝ている家庭があるようです。家の向きや風通しがいろいろなので、どのように指導したらよいか、とても苦慮していますが、ある程度汗をかいて寝ることも考えてよいのではないでしょうか?その方が自然な感じがしています。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月08日
漢方よもやま話
最近、診察する時に、東洋医学と西洋医学を両方使っているのに、パッと両方の処方が決まってしまうことがあります。
そうすると、東洋医学的な処方に対する十分な同意が得られていないという状況が生じてきます。
そもそも漢方薬は苦いこともあるので、飲めるのかどうかを確認する必要があります。
飲めはするけれど、漢方薬なんて・・?効かないから飲みたくない、などという考え方の人もいらっしゃいます。
漢方薬の働きの最も大切な点は、「中庸(ちゅうよう)」(全てにおいて適度である状態)です。患者さんにはそれを理解していただかないと、漢方薬を使って治ったという実感が持っていただけない場合も生じてきます。
例えば、やたら元気な人が中庸になるように「気」を少し抑えるように処方したら、ご本人は「なんだかいつもよりも元気がでない」という不満をもつかもしれないということです。
漢方薬の説明を暑さ寒さや渇き湿りで説明することは時間的には困難ですが、やはりそういうことをきちんと分かっていただけるような診察を心がけたいと思っています。
医師の中には「漢方薬を使っているから」と、他の薬を処方しないという人がいたり、ひどいときには「そんな薬、何になるのだ」といくら何でも・・ということを言ってくる人もいます。
自分もそうであったので、あまり他人のことは言えないのですが、「知らない」ということは治療の選択肢を狭くします。これは漢方薬を十分に使うようになると分かるのですけれどねー。
本日はじめて、医師の集まりで東洋医学全般の話を少ししました。みなさん不思議なものを見るような目でこちらを見ていましたが、以前よりも大分受容されている感じがしました。これからも東洋医学を広めていきたいと思いました。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年07月01日
風邪に関することなど~メールから
アメリカ東海岸在住のFさんからのメールからです。
風邪をひいても熱はあまり出ませんが、体質でしょうか?
≫風邪をひいても熱があまりでない方はいらっしゃいます。これが体調なの
≫か、体質なのか、これは難しい問題ですね。
熱がでないので、会社を休むわけにはいきません。でも立っているのも辛いことがあります。熱があれば堂々と休めるのに、と感じることもしばしばです。我慢すべきかどうか考えてしまいました。
≫熱は悪い反応ではなく、生体がウイルスと戦っている状態と考えて下さい。
≫だから風邪をひいているのに熱が出ない状況は、むしろ悪い状況と考えた
≫方が良いです。従って、我慢はすべきではないです。休んだ方が良いです。
注)疲れがひどくて熱がでない人が増えている印象です。疲れが影響して、体が熱を生む力がなくなっているようです。そういうときには、変な寒気が出ますので、要注意です。
≫まあしかし、ウイルスの側が弱くて熱が上がらないということもあるでしょ
≫うね。
アメリカでは医療費が多くかかるので「医者いらず」になる必要があり、代替医療(Altanative Medicine)を利用するようになりました。以前のように外食中心の食事はしなくなりました。パンも自分で作ります。
また、ハーブや漢方、ホメオパシー、フラワーエッセンスに至るまで身近に手に入るので、必要に応じて時々試しています。
ゆっくり日ごろから体調を整えたり、自分の体調に即した情報を得ること大変有益です。
注)ジャンクフードは外国から入ってきたものなのに、実は日本の方がそういう食事が氾濫しているのではないでしょうか?
Fさん、ありがとうございました!
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月24日
暴飲暴食していませんか?
日本では食べるに困るということはほとんどないように思います。病気を考える上で、昔とは食生活の状況が大きく違うということは、絶対に押さえておかなければならないところだと思います。
たくさん美味しいものが食べられることから生じることは、胃弱の人の場合には胃が荒れて、余計に食べ物を吸収する力が少なくなることになるでしょう。問題は、消化の力が十分にある人です。私のような人ですね(苦笑)。
食べ物を取り込むと元気になります。これは他の生物の「氣」を自分に取り込んでいるからです。ところが、元気の元も体に入りすぎると熱になります。
ストレスもカーッとなったりすることで分かるように熱になりますから、やけ食いなどは最悪です。さらに強い熱源である飲酒でますます熱を体に溜めるということもありがちです(あるある)。
熱は体の中を上りますので、首から上に熱が溜まることになります。赤ら顔の方は大抵お酒を召し上がる方です(そうでない方、ごめんなさい)。
器械も熱が生じると暴走したり、止まったり、壊れたりするわけですが、人間にも同じようなことが生じるのでしょう。熱が溜まることで、耳がかゆくなったり、アレルギー症状がでたり、咳が続くなどの症状が出ている人もいらっしゃるのではないですか?
これは、楽しい中医学倶楽部のあと、本多先生が「氣」が過剰になるからとお酒を飲まないことから思いついて、話を書いてみました。私はまだ「氣」が満ちていないようです(笑)。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月17日
この季節のめまいについて
今日の健康6月号をみていて、「もう悩まない!めまいの新対策」という題が目に入ってきました。んんん?
内容を見ていると、「患者さんはやっぱりこれを読んで悩むのではないだろうか?」というものでした(笑)。何故なら、従来の神経耳科学の内容そのものが掲載されていて、患者さんにはちょっと難しい。大学の偉い先生が書いたのですから、仕方がないのかもしれません。
でも、最近めまいの患者さんを診ていて少し気になることがあるのです。
私もめまいの専門外来を大学病院時代に経験しています。耳の三半規管(バランスを感じる部分です)が原因と思われるめまいは疑い例も含めて全体の3分の2くらい、頭から生じるめまいはごく少数です。
残りの半分は「原因不明」と「神経耳科学的異常なし」ということになるのです。今まではそれで良いと思っていたけれど、原因不明とか異常なしとか言われても患者さんは困りますよね?
この季節は5月病という言葉があるように、「気」がどんどん頭に上ってきてボーっとするという人がとても多いです。これが原因でめまいになっている人はあまり診察をしても異常が出ない気がするのです。でもこれだってめまいなので患者さんは辛いでしょう。
こういう患者さんには漢方薬が有効な感じがしますが、結構こういう患者さんが、実は多いような気がするのですよね。
今後もそういうつもりで観察してみようと思います。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月10日
こんな寒暖差のあるときこそ、最低気温チェックを!
5月下旬の東京は、朝が少し冷え込んでいます。
私は家を7時に出て、帰りは21時を過ぎますので、家を出るときには薄手のセーターが必要ですが、帰りは長袖であれば上着は不要です。私は2種類の上着を持ち歩いていますよ。
さて、久々に気象庁の気象データを見てみました。
すると、5月の月間平均気温、月間最高気温は去年も今年もあまり変わらず、最低気温にいたっては、今年の方が13度と高いのです。ふーん、意外ですね。今年の方が寒いような感じがしますよね?
ただ今年は月末になって最低気温が下がったので、イメージとのズレが大きくて、妙に寒いように感じるのでしょう。
この季節感というか、気温推移のイメージというのは、健康に大きな影響を与えるものだと思います。毎日わざわざ翌日の最低気温と最高気温を確認することはないでしょうからね。
しかし、健康オタク+気象オタク?の私は、冬物のパジャマをしっかり着て寝ていました。翌日の気温をチェックすることが習慣になってからは、大きく体調を崩すことが少なくなったように感じます。
みなさんも如何でしょうか?気温チェック生活!
以前から言っているように最高気温だけではダメですよ。最低気温が特に大切です。前日の夜に確認してみましょう。最低気温が23度を超えるまで、窓を開けたままで寝てはダメですからね~。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年06月02日
風邪にとって発熱とは・・?
診察をしていて気がついたことがありました。
「熱はでていないから風邪でなくて花粉症でしょう?」
このセリフを口にする患者さんが1日に数人いるのです。
「寒気がありますか?」と聞いても「熱はないですよ」と答える人もいるくらいです。
私は「熱は出ていなくても、風邪は風邪なの!」と説明するわけです。患者さんたちはポカンとしていますが、私は確信をもって言っているわけです。
特に最近多いのは以前から指摘しているように、くたくたに疲れてしまったか、解熱剤の乱用によって体が芯から冷えてしまい、鼻水やくしゃみがでている人です。脈をとって簡単な問診だけですぐにこの状態はわかります。熱を生む力がない人たちです。
しかしそうでなくても、単なる風邪で病初期に鼻水がどーっと出て、その後は少し収まってきたけれどやっぱり花粉症かなあ、ということを言う人たちもたくさんいるのです。
みんなが「風邪でない!」と主張する根拠は「熱がない」ということなのは分かる気もしますが、熱を生むことができない体になっているということもある、ということを知っていただきたいです。
だんだんエアコンがどこにでも入る時期になってきました。昨今では夏に汗をかけない人が増えていると聞いています。いつもいつも、室内環境にも配慮しなければいけない嫌な世の中になったものです。
自分が熱を生む余力があるのかどうかを意識するのは難しいですが、疲れ果てて、いつも寝汗だけでる、つまり寝ている間に少しだけ放熱する、という状態は避けたいものです。寝汗はバリア機能の破綻であることが多いので。子どもは別ですけれどね。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年05月27日
風邪の常備薬には何が良いか・・?
今日はまたメールでのご質問で面白い!と思ったものがありましたのでご紹介します。
●Yさんからのメール
かぜのひきはじめ、また常備薬としての漢方は何がいいでしょうか?常備薬を漢方のものにしたいのです。かぜには、ケイシトウ・コウソサンがおすすめとのことでしたが、のどの痛みにと書いてある「甘草湯」を買いました。
注)
桂枝湯 香蘇散
甘草湯
以前は「葛根湯」を買っておいたこともあったのですが、先生のメルマガによると、葛根湯は胃弱には不向きでしたね。私は特別な胃弱ではありませんが、体質として体力のないほうです。小柄で痩せています。
・・・・・
なるほど~。ひとつ重要なのは風邪のひきはじめをしっかりと捕まえることができるかどうかです。これが十分にできるのであれば、体力のない方の処方としては桂枝湯、香蘇散は選択肢になりますね。ただ香蘇散は一般には売られていないようですね。もしも数回ならば葛根湯も考えてみてください。
これらの処方はおかゆとともに飲んで体をカッと暖めることが大切だ!と「楽しい中医学倶楽部」を担当して下さっている本多先生はいつも強調されます。せめてお湯では飲みたいものです。
では喉が痛くなってしまったら・・・というお話です。副作用が少なく、使いやすいのは桔梗の入っているものですが、桔梗湯、桔梗石膏などは医薬品で、なかなか手に入らないようです。
最も広く感冒の状態に対応できると思われる処方は、柴胡桂枝湯でしょうか(さいこけいしとう、と読みます)。販売もされているようです。
痩せている方の場合、喉の痛みの後に乾いた咳がでる可能性が高いです。それに対応できて、最も手に入りやすそうなのは麦門冬湯でしょうか?ただし、むくみがでたら減量する必要があります。
がっちり体型の人はもう少し選択肢が考えられます。胃腸が強い分だけ麻黄などの生薬が入ったものが使いやすくなるのです。これについてはまた後日お話します。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年05月13日
どこまで毒で毒を制するか・・?
先日ラジオを聴いていたら、生島ヒロシさんと東京女子医大の川嶋先生が話をしていて、電話をして合言葉を言って賞金をゲットするということをやっていました。その合言葉が川嶋先生らしかったです。
「毒を毒で制するホメオパシー」
確かに毒に対して少量の毒を使って、体が元に戻ろうとする反応を惹起しよう、というのがホメオパシーの根本原理になっています。
先日、耳鼻咽喉科でホメオパシー医学会の先輩に、熱があるときにベラドンナを使ったのだけれど、全然熱が下がらず怖い思いをした、という話を聞きました。これの漢方薬版の話をしてみます。
ベラドンナは生薬で言うと麻黄(まおう)で、みなさん御存知の葛根湯や小青竜湯にも入っています。感冒初期の熱があるときに葛根湯を使うところは、少しホメオパシーと似ていると言えます。
ひどく熱が出ている患者さんは耳鼻科にはあまりいらっしゃいませんが、時としてそういう患者さんが来たとき、麻黄が入っている漢方薬を使うのは、原則ではあるけれど、時々難しいなあと感じます。
私は感冒に対する解熱剤の悪い面をたくさん見てきているので、解熱剤を処方するのをためらってしまいます。
しかし熱が高い患者さんに「熱を上げる薬を渡します」という説明を分かっていただくのも容易ではありませんし、増してもしも熱が下がらなかったら、という思いも頭をよぎりますから、正直なところどうするか少し迷います。
まずは「寒さを取らないと風邪が治らないから」という説明をして、熱が出過ぎたときには減量して漢方薬を服薬するように指導することが多いです。
解熱剤を処方するくらいなら何もしない、という選択肢もあり得ますが、これは一番患者さんが納得しにくい内容であることは間違いありません(笑)。
メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より
2007年04月22日