暴飲暴食していませんか?

 日本では食べるに困るということはほとんどないように思います。病気を考える上で、昔とは食生活の状況が大きく違うということは、絶対に押さえておかなければならないところだと思います。

 たくさん美味しいものが食べられることから生じることは、胃弱の人の場合には胃が荒れて、余計に食べ物を吸収する力が少なくなることになるでしょう。問題は、消化の力が十分にある人です。私のような人ですね(苦笑)。

 食べ物を取り込むと元気になります。これは他の生物の「氣」を自分に取り込んでいるからです。ところが、元気の元も体に入りすぎると熱になります。

 ストレスもカーッとなったりすることで分かるように熱になりますから、やけ食いなどは最悪です。さらに強い熱源である飲酒でますます熱を体に溜めるということもありがちです(あるある)。

 熱は体の中を上りますので、首から上に熱が溜まることになります。赤ら顔の方は大抵お酒を召し上がる方です(そうでない方、ごめんなさい)。

 器械も熱が生じると暴走したり、止まったり、壊れたりするわけですが、人間にも同じようなことが生じるのでしょう。熱が溜まることで、耳がかゆくなったり、アレルギー症状がでたり、咳が続くなどの症状が出ている人もいらっしゃるのではないですか?

 これは、楽しい中医学倶楽部のあと、本多先生が「氣」が過剰になるからとお酒を飲まないことから思いついて、話を書いてみました。私はまだ「氣」が満ちていないようです(笑)。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2007年06月17日

どこまで毒で毒を制するか・・?

 先日ラジオを聴いていたら、生島ヒロシさんと東京女子医大の川嶋先生が話をしていて、電話をして合言葉を言って賞金をゲットするということをやっていました。その合言葉が川嶋先生らしかったです。

 「毒を毒で制するホメオパシー」

 確かに毒に対して少量の毒を使って、体が元に戻ろうとする反応を惹起しよう、というのがホメオパシーの根本原理になっています。

 先日、耳鼻咽喉科でホメオパシー医学会の先輩に、熱があるときにベラドンナを使ったのだけれど、全然熱が下がらず怖い思いをした、という話を聞きました。これの漢方薬版の話をしてみます。

 ベラドンナは生薬で言うと麻黄(まおう)で、みなさん御存知の葛根湯や小青竜湯にも入っています。感冒初期の熱があるときに葛根湯を使うところは、少しホメオパシーと似ていると言えます。

 ひどく熱が出ている患者さんは耳鼻科にはあまりいらっしゃいませんが、時としてそういう患者さんが来たとき、麻黄が入っている漢方薬を使うのは、原則ではあるけれど、時々難しいなあと感じます。

 私は感冒に対する解熱剤の悪い面をたくさん見てきているので、解熱剤を処方するのをためらってしまいます。

 しかし熱が高い患者さんに「熱を上げる薬を渡します」という説明を分かっていただくのも容易ではありませんし、増してもしも熱が下がらなかったら、という思いも頭をよぎりますから、正直なところどうするか少し迷います。

 まずは「寒さを取らないと風邪が治らないから」という説明をして、熱が出過ぎたときには減量して漢方薬を服薬するように指導することが多いです。

 解熱剤を処方するくらいなら何もしない、という選択肢もあり得ますが、これは一番患者さんが納得しにくい内容であることは間違いありません(笑)。

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2007年04月22日

風邪のときに試してみたいこと

 いつも得意になって風邪ネタをたくさん書いてきましたが、今回は受け売りです。

 私が尊敬している東京女子医大助教授・青山自然医療研究所クリニック所長川嶋朗先生が女性自身1月2・9日合併号に「風邪を早く治す方法を教えます」という記事で載っていました(先生の写真は少しニヤけていますが・・(笑))。

 基本的なスタンスは私と変わりないですが、普段私も考えていないことが書かれていましたのでご紹介します。

 1.緑茶でうがい
 これはカテキンがウイルスの増殖を抑えるということからです。一時、耳鼻科医の間で、吸入に緑茶や紅茶を入れてみようか、という話もあったのですが、安全性が全く不明なため立ち消えになりました。

 安い出がらしのお茶の方がカテキンが豊富なのだそうです。ホント?

 2.ビタミンCを1日1000mg以上摂る
 風邪のときにビタミンCを摂ると良いということは聞きます。1日1000mg以上の摂取で風邪が早く治るというデータがあるそうです。

 ビタミンCは熱と水に弱く、加熱するたびにビタミンCが失われます。ただし、ゆで汁や煮汁にはビタミンCが溶け出していますから、汁まできちんと摂取することも考えましょう。

 3.アロマのスチームバス
 ティートリーという抗菌力の強いアロマオイルを使って、スチームバスをやると有効なのだそうです。洗面器に熱湯を入れ、最後にティートリーオイルを1滴たらして顔に蒸気を当てながら、頭からバスタオルをかけて蒸気がこもるようにするそうです。

 ティートリー情報辞典
 
 いろんな方法がありますね。

 自分で試していないことはメルマガにはあまり書かないようにしていましたが、川嶋先生がおっしゃるのですから信頼できます。みなさんやってみて下さい。私も試してみます。

 感想などありましたらコメントをお願いします。

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2007年01月07日

病気の考察からロハス生活へ

 知人のドクターS氏からメールをいただきました。ありがとうございます!

 耳鳴りの一般的な投薬をしましたが全く変化なく、非常に寒がりであることがわかり人参養栄湯という体を温める処方で治ったというのです。

 人参養栄湯の温める効果が良かったのか、この方剤のベクトルが患者さんに合っていたのか、まだ考え中なのです。

 ただこの事実は、体質が病状に与えるものの大きさを教えてくれている感じがします。

 病気になってから医師に何とかしてもらおう、というのは重症の病気のときには仕方のないことです。年齢からくる症状も仕方がないでしょう。

 しかし軽症の病気は、普段の生活の中で何とかできるものが多いのではないでしょうか?体質も長い時間かけて生活習慣を見直すことでなんとかなる部分も多いのではないでしょうか?

 それを考えるのがこのメルマガであり、ロハス生活につながる道のひとつであると私は思うのです。

 ちょっと硬いですね

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2006年12月10日

見えないものへの畏怖

 耳鳴りの治療について考えていました。

 私が考えていたのはストレスによる耳鳴治療です。どんな薬を飲んでも治ったことがない人で、以前に黄連解毒湯で少しだけ耳鳴りが良くなった人の治療の続きです。

 ストレスは中医学では肝気鬱血と言って肝の経絡(ツボを結ぶ線ですよ)に気が渋滞すると言われています。ですので治療としては、肝の経絡にある余った気を捨てる(瀉する)ことが中心になります。

 確かに黄連解毒湯にもそのような作用があります。でも竜胆瀉肝湯の方がより目的に合いそうです。さて、では保険診療ではどんな人にこの処方が使えるのかというと、膀胱炎、尿道炎くらいのものです。

 「むむむ・・・保険診療はムリか。中医学の教科書には竜胆瀉肝湯がストレス性の耳鳴治療の最初に書かれている処方なのに・・・」と残念に感じたのは言うまでもありません。

 でも、そういう薬もあるのだけれど、と一応その患者さんに話してみました。

 すると患者さんは驚いた表情でこう言うのです。

 「私、膀胱炎があるんです!」

 私も呆気に取られてしまいました。保険病名に堂々と「膀胱炎」と記載して処方をお出ししたことは言うまでもありません。何かの偶然でしょうか?

 しかし次に同じ話をした患者さんも「とても尿の出が悪くて困っていたのです」ということでした。二度びっくりです。やはり耳鳴りと膀胱炎の間には何か関連があるとしか思えません。

 結果はまだ出ていないのですが、効果が出そうな予感がします。西洋医学者は、これだけの事実があっても関連を認めず単なる偶然と言い張るのでしょうね。私には見えないつながりが感じられるのですけれど。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2006年12月03日

東洋医学のない風邪診療は考えられません

 私の診察を見て、漢方薬を使ってみたい、という先生がいます。しかし大学病院では人の患者さんの様子を細かく見ることはできません。

 じゃ、アルバイトの病院で毎週診察したら!と提案してみたのです。

 ・・・ところが

 そのアルバイトの病院には漢方薬が十分においてありません。私の場合、大学病院の漢方薬の品揃えでも少し不便を感じることがあります。漢方薬はまだまだ診察の主役ではないのです。

 聞いた話なのですが、先日日経新聞に「急性疾患は西洋医学、慢性疾患には東洋医学で対応する統合医療」という記事があったそうです(未確認)。

 では漢方薬は、急性期病院には不要でしょうか?風邪には不要でしょうか?私は漢方薬のない風邪の診察なんて恐ろしいです。

   風邪をひいて寒気があるとき
   水みたいな鼻水が出るとき
   頭痛がはじまったとき
   喉が痛くなってきたとき
   痰が混じり始めたとき
   咳が出てきたとき
   再度、寒気が襲ってきたとき
   今度は喉仏のあたりが痛くなってきたとき
   喉が渇いてきたとき

 風邪にはいろいろな場面が予想されますが、これらの症状に対して漢方薬にはそれぞれにふさわしい漢方薬があるものです。しかし西洋薬ではどうでしょう。十分に対応できるのは恐らく痰に対してのみでしょう。

 鼻水止めをもらって効いた、と思っている人の多くは自力で鼻水が止まっているように感じます。頭痛に頭痛薬を飲んで、気分的にはよくなっているのだけれど、本当によくなっていますか?身体を薬で冷やしてしまい、逆に風邪を長引かせる要因を作っていませんか?

 そういうことを考え出すと東洋医学なしで診察することが恐ろしくさえあります。

 先日、脈がどうしても触れることのできない年配の方がいらっしゃいました。風邪の症状で何度か来られているのですが、脈が診られないのは本当にこまります。脈は東洋医学の主幹を成すものですからね。

 急性、慢性で東洋医学と西洋医学を分けるのではなく、それぞれの患者さんを前に考えて、内容を選択していかなくてはならないと私は思っています。

メルマガ「実践ロハス生活!これであなたも医者いらず」より

2006年10月01日

経穴(ツボ)

昨日から経穴を勉強し始めた。

日々メールマガジンに追われてすごしていたが、少しだけ余裕ができてきた。そこで選んだのはやはり東洋医学である。

ツボは今までほとんど知らない領域である。しかしこの本に出会ってから経穴について勉強してみようという気になってきた。

漢方医として、私は病をこう思う(中田薫、源草社、2005/08)

ちょっと専門家向けのようでもあるが、一般の人でも勉強すると手が届くくらいの内容である。これくらいの書籍が私の勉強にはちょうどいい。

少しだけかじっているアロマセラピーとつながる箇所を見つけたり、経穴も具体的に自分で試したり、結構楽しい部分が多い。

私に中医学を教えてくださった仙頭先生がおっしゃっていることだが、病気は常に変化しているので、それぞれに診て、考えて、それぞれに治療内容を考えていかなくてはならない。

そういう意味では、手持ちの駒がたくさんあるほうが圧倒的に有利である。だからアロマセラピーなのであり、だから今回の経穴の勉強なのである。

2005年09月06日

漢方診療をしていてよかったこと

比較的高齢の人で口が渇いて、熱っぽい。そんな訴えで耳鼻科に来られる人も多い。

ところが異常がない、ということで解熱剤とうがい薬を渡されるということもある。でも西洋医学的にはそれでおしまいだ。

あまりしつこく食い下がるとしまいには、気のせいだ、年齢のせいだ、と言われ追い返される。・・いや、年齢のせいだ、というのは少し当たっているのだが(苦笑)。

こういう患者さんは漢方診療の独壇場である。

実はもっと聞いてみると、下半身は冷えて、最近食べる量が減っていたそうだ。

こういう風に水が体を巡らないために、上半身に熱を生み、口が渇いたり、熱っぽくなったりする現象を「虚熱」という。

熱はないのであるが、体熱を定期的に冷ます仕組みにトラブルが出てしまうのである。逆に巡らない水は下半身にたまり、下半身を冷やしてしまうわけだ。

体の水の巡りに必要なエネルギーは食事によってもたらされるものもあるが、生命力そのものも影響する。

食事が少し減っていて、年齢的にだんだん高齢になっていることを考えると、年齢的なものがある上に、食事を十分に摂っていなかったために、虚熱が生じたと判断せざるを得ない。

食欲はあり、食事も意識してきちんと摂れるということだったので、生命力そのものを補い水が巡るように処方を考えてみたのだが、どうだろうか?

ちょっと耳鼻科っぽくないと言われるけれど、これくらいのことをしないと対処できない症状にはいつもお目にかかっている。体は全部一体なのである。

2005年08月01日

漢方医学の会合

正式名称は忘れてしまったが、渋谷漢方の会合に出席した。

漢方の勉強会にありがちな総花的なものでもなかったし、くそまじめな会でもなかったし、久々になかなか良い会合であったように思う。

ストレスがテーマであったのだが、これは現代社会では大変に大きなテーマである。ストレスから生じる病気が多い昨今、やはり臓器別に考える西洋医学よりも心身一如の東洋医学の方に自分としては魅力を感じる。

東洋医学のみで勝負している人たちの話には本当に深みを感じる。今日の講師の先生にも何か人間力というのであろうか、感じるものがあった。

かたや、私の診察は東西のちゃんぽんで、都合の良い方を取ったり、両方の理論を使ったりしている。人間も八方美人的で診察と同じ感じ(笑)。

2005年07月06日

桔梗

2c4b1e0f.jpg先日、患者さんがこんなことを言っていた。

この薬は良い!今までなかなか取れなかった喉の痛みがこの薬だと取れる!

私はこれが大変に嬉しかった。というのは・・・、
どこでも喉が痛いと言えば消炎鎮痛剤を使う。それでもダメなら抗生物質か?しかし、実際にはそれではダメな痛みの方がはるかに多い。それに気づいているこの患者さんのような人は案外多いのではなかろうか?

風邪のとき、何かの理由で喉が渇きで痛みが出たとき、渇きの体質の人、そういう人の喉の痛みには桔梗が効果を発揮する。先日も医者の友人が桔梗湯が効くと実体験を話していた。私は潤す効果の期待して桔梗石膏を多用する。

桔梗(写真は(株)ツムラのホームページより)はいろいろな処方に入っているが、やはり桔梗の効能がより強く出るのは、桔梗湯、桔梗石膏ではないだろうか?

あまり去痰に効果があるという実感はなく、乾いた感じに有効であると思うのは桔梗よりも石膏の効果を強く感じているのか?

私は平素、痛みなら痛み止め、効かなければ抗生物質、という短絡的な医療に警鐘を鳴らしたいと思っている。痛み止めが悪いと言うことではなく、使うべきときとそうでない時があるということである。こういうことをわかってくれる患者さんが増えると市中の医療も変化するだろう。

2005年04月03日